この章には、Oracle GoldenGateをサポートするシステム・リソースとデータベース・リソースの要件が含まれます。
この章の内容は次のとおりです。
データベース・バージョンとオペレーティング・システムの特定の組合せで使用可能なOracle GoldenGateのビルドを確認するには、http://support.oracle.com
にログオンし、「動作保証」タブを選択します。不明な点がある場合は、「動作保証検索のヒント」をクリックしてください。
このサイトに入るには、電子メールとパスワードが必要です。
この項では、ローカル・オペレーティング・システムでOracle GoldenGateをサポートするための要件を概説します。
ホスト・システムで次のシステム・サービスが有効である必要があります。
Unix System Services (USS)を、最小モードでなく全機能モードでアクティブにします。これには、 z/OS UNIX構成ウィザードを使用できます。詳細は、『IBM UNIX System Services Planning』を参照してください。UNIXのカスタマイズについては、次のとおりです。
言語環境ランタイム・ライブラリ(RTL)をリンク・リストまたはLink Pack Area (LPA)に含めるか、STEPLIB
環境変数に追加して、Oracle GoldenGateおよび他のCプログラムで使用できるようにします。RTLは、データ・セットSCEERUN
およびSCEERUN2
で構成されます。STEPLIB
を使用する場合、SCEERUN
データ・セットをLLAに定義すると、ランタイム・モジュールのロードが速くなります。詳細は、『UNIX System Services Planning』を参照してください。
TSO/E OMVSコマンドでOracle GoldenGateの編集およびレポート・コマンドをサポートするには、次のターゲット・ライブラリを適切なISPFデータ定義名(ddnames
)に連結します。
データ・セットSYS1.SBPXPENU
をddname
ISPPLIB
に
データ・セットSYS1.SBPXMENU
をddname
ISPMLIB
に
データ・セットSYS1.SBPXTENU
をddname
ISPTLIB
に
データ・セットSYS1.SBPXEXEC
をddname
SYSEXEC
またはSYSPROC
に
Recoverable Resource Manager Services (RRS)をインストールして、パフォーマンスを最適にします。接続タイプに応じて、Oracle GoldenGateを実行するユーザーは、DSNRリソース・クラスに対して次の権限のいずれかが必要です。
RRSAFを使用する場合、RACF ACCESS(READ)
をRRSAFリソースに割り当てます。RRSAFには、CAFと比べていくつかの利点(2フェーズ・コミットのサポート、スレッドの再利用、アカウンティング期間の管理など)があるため、IBM社はRRSAFの使用を推奨しています。
CAFを使用する場合、RACF ACCESS(READ)
をBATCH
環境に割り当てます。CAFを使用する場合、トランザクションのコミットを受信するまでOracle GoldenGateでシステム・カタログのロックを保持することが可能です。
Oracle GoldenGateでは、シスプレックス・データ共有がサポートされます。
Oracle GoldenGateは、ローカル・システムに次のメモリー・リソースを必要とします。
作業単位当たりの未コミット・データの量に応じて、約50-100MBの仮想メモリーを各Oracle GoldenGate Extractプロセスに割り当てます。Oracle GoldenGateでは、コミットまたはロールバックのインジケータを受信するまで、ソース・システムにトランザクション・データを保持します。あるいは、スピル・ファイルを使用してデータの大半を保持することもできます。USSの使用率の高いz/OSページ・データ・セットの使用状況を監視する必要があります。初期Extractメモリー・ヒープのデフォルト・サイズは、一部のz/OSシステム(特に、主に小規模なトランザクションを生成するアプリケーションを実行するシステム)には大きすぎます。サイズを調整するには、Extractパラメータ・ファイルでTRANSMEMORY
パラメータを使用します。
GGSCIプログラムは、International Components for Unicode (ICU)ライブラリを使用します。このため、48MBの仮想メモリーの割当てが必要です。
TSOを使用してUSSにアクセスする場合、TSOユーザーに、Oracle GoldenGate GGSCIプロセスを起動するのに十分なメモリーを割り当てます。エラー・メッセージ"CEE3536S Not enough storage was available for the WSA
"が表示される場合、TSOユーザー・メモリーを増やすか、TSO管理者にそのように依頼してください。
この項では、Oracle GoldenGateのサポートに必要なディスク要件を概説します。
zFS (zSeriesファイル・システム)またはHierarchical File System (HFS)ボリュームを割り当てます。Oracle GoldenGateのダウンロード・ファイルのサイズを判断するには、選択したビルドをOracle Software Delivery Cloudからダウンロードする前に「サイズ」列を確認します。表示される値は、圧縮形式のファイルのサイズです。展開したOracle GoldenGateインストール・ディレクトリのサイズは、ディスク上で非常に大きくなります。詳細は、2.3項「Oracle GoldenGateのダウンロード」を参照してください。
Oracle GoldenGateをクラスタ環境にインストールするには、すべてのクラスタ・ノードで使用できる共有ファイルシステムにOracle GoldenGateのバイナリおよびファイルをインストールします。
DSN=[hfs dsn]
DISP=(NEW,CATLG,DELETE)
SPACE =
DCB=DSORG=PO,DSNTYPE=HFS
BPXPRM UNIX PARMLIB
メンバーを更新したIPLで新規ファイルを自動的にマウントします。BPXPRM PARMLIB
メンバーでHFSに対するMOUNT FILESYSTEM
パラメータがNOSETUID
に設定されていないことを確認します。次のようにファイルをマウントします。
MOUNT FILESYSTEM([hfs dsn]') TYPE(HFS) MODE(RDWR)
MOUNTPOINT('[/u/ggs]')
Oracle GoldenGate証跡(作業用データが含まれているファイル)をホストするシステムに追加で1GBのディスク領域が必要です。証跡によって消費される領域は処理されるデータ量に応じて異なるため、これとは多少異なる容量が必要となる場合があります。Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXで証跡のサイズのガイドラインを確認してください。
Oracle GoldenGateには、次のネットワーク・リソースが必要です。
DNSを含むTCP/IPサービスを使用するようシステムを構成します。Oracle GoldenGateはIPv4とIPv6をサポートし、これらのプロトコルのいずれか、または両方ともがサポートされるシステムで稼働します。
Oracle GoldenGateのプロセスをホストし、Oracle GoldenGateの接続先となるすべてのシステムのホスト名またはIPアドレスを使用してネットワークを構成します。ホスト名を使用する方が簡単です。
Oracle GoldenGateでは、予約されていない制限なしのTCP/IPポートが必要とされます。必要な数は、構成内のプロセスの数とタイプによって異なります。必要なポートに対応するようManagerプロセスを構成する方法の詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
Oracle GoldenGateに割り当てたポートを記録します。Managerプロセスの構成時にパラメータを使用してそれらを指定します。
Oracle GoldenGateのポートを介した接続を受け入れるようにファイアウォールを構成します。
Oracle GoldenGateをサポートするには、次のオペレーティング・システムの追加機能が使用可能である必要があります。
Oracle GoldenGateユーザー・イグジットを使用するには、C/C++コンパイラをインストールします。これによって、必要な共有オブジェクトまたはDLLにプログラムが作成されます。
最適な結果を得るには、次のツールをシステムに用意します。
Oracle GoldenGateインストール・ファイルを解凍するGzip。そうでない場合、PC上でWindowsベースの製品を使用してインストールを解凍し、z/OSマシンにFTP送信する必要があります。
RACFコマンド・プロセッサまたは相当するセキュリティ・パッケージ(このドキュメントに、RACFの推奨事項と例を示します。)
許可されたTSO/Eコマンドを含むTime Sharing Option Extensions (TSO/E)コマンド・プロセッサ
最適な結果を得るには、IBM社から推奨されているとおり、HIPERメンテナンスを定期的に適用して現在のメンテナンス・リリースから1年以内になるようにします。HIPERプロセスは、データの可用性や整合性に影響を及ぼす可能性のある不具合を識別します。DB2およびz/OSに見つかった不具合を修正するProgram Temporary Fixes (PTF)がIBM社から提供されます。
表1-1に、Oracle GoldenGateを使用するために必要なオペレーティング・システム権限を示します。
表1-1 オペレーティング・システム権限
ユーザーの権限 | Manager | Extract | Replicat |
---|---|---|---|
OMVSセグメントを持つResource Access Control Facility (RACF)アカウント(または、それに相当するもの)脚注 1 |
X |
||
ローカルDB2サブシステムへの |
X |
X |
|
ブートストラップ・データ・セット(BSDS)への |
X脚注 3 |
||
|
X |
||
Oracle GoldenGateディレクトリのサブディレクトリに対する |
X |
X |
X |
脚注 1 Managerプロセスを起動するユーザーは、通常他のOracle GoldenGateプロセスを実行するユーザーです。
脚注 2 ODBC初期化ファイルのMVSATTACHTYPE値に応じて、CAFまたはRRSAFで保護されたDSNR RACFリソース・クラス内のアクセス・プロファイルへのアクセスが必要です。
脚注 3 非データ共有のみ。
脚注 4 Extractプログラムをインストールするユーザーに必要です。
この項には、z/OS上のDB2データベースに固有のOracle GoldenGate要件が含まれます。
Oracle GoldenGateをサポートするには、次のデータベース・コンポーネントを構成します。
DB2 ODBCドライバをインストールします。Oracle GoldenGate ExtractおよびReplicatプロセスは、ODBC (Open Database Connectivity)を使用してDB2サブシステムに接続します。ODBCの詳細は、『DB2 for z/OS ODBC Guide and Reference』を参照してください。
DB2 ODBC動的ロード・ライブラリをインストールして構成します。
Oracle GoldenGateに、ODBC初期化ファイルに指定されているプラン(デフォルトはDSNACLI
)に対するEXECUTE
権限を付与します。
ローカルDB2サブシステムの名前を、リモートDB2サーバーの場所を含むSYSIBM.LOCATIONS
表に挿入する必要がある場合があります。次のような文を使用します(この例では、DB2Aという名前を使用します)。
INSERT INTO SYSIBM.LOCATIONS (LOCATION, PORT) VALUES ('DB2A', '446');
Oracle GoldenGateには、データベース・ユーザー・アカウントが必要です。次のガイドラインに従ってこのアカウントを作成し、権限を割り当てます。
デフォルトでは、Managerプロセスを起動したユーザーが、そのOracle GoldenGateインスタンスでユーザーが起動したすべてのOracle GoldenGateプロセスのデフォルトDB2 1次許可IDになります。JCLまたはUNIX変数を使用して別のユーザーをプロセスに割り当てることができます。
Oracle GoldenGateの処理を正確に監視するには、他のアプリケーションまたはプロセスがOracle GoldenGateユーザーとして動作することを許可しないでください。
表1-2にリストしたDB2の権限を、ExtractおよびReplicatを実行するユーザー(デフォルトはManagerを起動するユーザー)に割り当てます。これらは、DB2 ODBCで必要な権限以外に必要なものです。記載がないかぎり、すべてのExtract権限は、初期ロードおよびログベースのExtractプロセスに適用されます。
表1-2 z/OS上のDB2用Oracle GoldenGateに必要な権限
ユーザーの権限 | Extract | Replicat |
---|---|---|
(初期ロードExtractには非適用) |
X |
|
次のSYSIBM表に対する
|
X |
X |
ソース表に対する |
X |
|
ターゲット表に対する |
X |
|
|
X |
|
ODBCプラン(デフォルトはDSNACLI)に対する |
X |
|
|
X |
X |
脚注 1 表にLOB列が含まれている場合または初期ロードExtract(使用する場合)に対してのみ、ソース表に対するSELECT
が必要です。
脚注 2 GGSCIでADD CHECKPOINTTABLE
を使用してデータベースのチェックポイント機能を使用する場合に必要です。
脚注 3 SQLEXEC
によって、Oracle GoldenGateプロセスによるストアド・プロシージャおよび問合せの実行が可能になります。
この項には、z/OSプラットフォームでOracle GoldenGateによってサポートされるDB2のデータ型およびこのサポートの制限をリストします。
Oracle GoldenGateは、マルチバイト・データを含む列の文字セットの変換を行いません。これには、GRAPHIC
、VARGRAPHIC
、DBCLOB
の各データ型やENCODING_SCHEME
が'M
'(複数CCSIDセットまたは複数エンコーディング方法)または'U
' (Unicode)で定義された表のCHAR
、VARCHAR
およびCLOB
があります。これらのデータは、ソースとターゲットのシステムが同じCCSIDの場合にのみサポートされます。
Oracle GoldenGateでは、ASCII、EBCDICおよびUnicodeデータ形式がサポートされます。Oracle GoldenGateは、ASCIIとEBCDICの間でデータを自動的に変換します。Unicodeは変換されません。
Oracle GoldenGateでは、1.5項「サポートされていないz/OS上のDB2のデータ型」にリストされたもの以外のほとんどのDB2のデータ型がサポートされます。
サポートの制限
浮動小数点数の範囲と精度のサポートは、ホスト・マシンによって異なります。通常は有効桁数が16桁の精度ですが、データベースのドキュメントで想定されている近似について確認してください。サポートされる精度を超える場合、Oracle GoldenGateで丸めまたは切捨てが行われます。
Oracle GoldenGateでは、サイズが4Kを超えるオブジェクトのフィルタリング、列マッピングや操作はサポートされません。Oracle GoldenGateのすべての機能は、4K以下のオブジェクトに対して使用できます。
DECFLOAT
はReplicatによって完全にサポートされます。Extractはトランザクション・ログからはDECFLOAT
を取得しませんが、データベースからのフェッチによる取得はサポートします。
この項には、z/OSプラットフォームでOracle GoldenGateによってサポートされないDB2のデータ型をリストします。サポートされないデータが、ソース・データとターゲット・データとの整合性に影響する場合があります。
XML
ユーザー定義型
負の日付
TIMESTAMP WITH TIMEZONE
この項には、Oracle GoldenGatでサポートされるデータベース・オブジェクトおよび操作のタイプをリストします。
最大512KBの長さの行を含むDB2 for z/OS表でのDML操作の抽出とレプリケーション。このサイズは、DB2の最大行サイズを超えています。
IBM LOADユーティリティによるINSERT
操作は、ユーティリティがLOG YES
およびSHRLEVEL CHANGE
で実行されており、ロードされるソース表でDATA CAPTURE CHANGES
が有効(Oracle GoldenGateで必要)で、この表がOracle GoldenGate Extract構成で指定されている場合、変更の取得でサポートされます。Oracle GoldenGateは、初期同期時のターゲット表のインスタンス化でLOADユーティリティによる初期ロードもサポートします。詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
Oracle GoldenGateでは、データベースによってサポートされている、1つの表当たりの最大列数がサポートされます。
Oracle GoldenGateでは、データベースによってサポートされている最大列サイズがサポートされます。
DB2のデータ圧縮(CREATE TABLESPACE COMPRESS YES
)を使用して格納されたデータの抽出およびレプリケーション。
TRUNCATE TABLE
はサポートされていますが、このコマンドでは、行の削除を発行して切捨てを行うため、Oracle GoldenGate統計で削除として表示され、切捨て操作として表示されません。TRUNCATE
をレプリケートするために、ReplicatはWHERE
句を指定しないDELETE
を使用します。
TRUNCATES
はDB2 for z/OSソースから必ず取得されますが、IGNORETRUNCATES
パラメータがReplicatパラメータ・ファイルで使用されている場合、Replicatによって無視されます。
DDL操作の抽出またはレプリケーション
表のクローニング
次のようなユーザー指定のDB2出口ルーチン内で実行されるデータ操作(圧縮など)
日付と時間のルーチン
編集ルーチン(CREATE TABLE EDITPROC
)
検証ルーチン(CREATE TABLE VALIDPROC
)
Oracle GoldenGateセキュリティ機能におけるAES暗号化