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Oracle® GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIX
12c (12.1.2)
E49846-06
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3 Managerおよびネットワーク通信の構成

この章では、Managerプロセスの構成方法とローカルおよびリモートのネットワーク通信に使用するポートの指定方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

3.1 Managerプロセスの概要

Oracle GoldenGateを構成して実行するためには、Oracle GoldenGateのソース・システムとターゲット・システムのすべて、および中間システム(構成内で使用している場合)でManagerプロセスを実行する必要があります。Managerは、Oracle GoldenGateプロセスのインスタンス化、ポート番号の割当ておよびファイル・メンテナンスを行うコントローラ・プロセスです。Managerプロセスとその子プロセス、およびそれに関連するプログラムとファイルを合せてOracle GoldenGateインスタンスを構成します。Managerプロセスは次の機能を実行します。

  • Oracle GoldenGateプロセスの起動

  • 動的プロセスの起動

  • Collectorプロセスの起動

  • プロセスのポート番号の管理。(Oracle GoldenGateのポートはすべて構成可能です。)

  • 証跡管理の実行

  • イベント、エラーおよびしきい値レポートの作成

Oracle GoldenGateのインストール環境ごとに1つのManagerがあります。1つのManagerで、Oracle GoldenGateの複数の抽出プロセスおよびレプリケーション・プロセスに対応できます。

3.2 Managerへのローカル通信用ポートの割当て

Managerプロセスは、Oracle GoldenGateのインストール環境ごとに、他のローカルOracle GoldenGateプロセスと通信を行うための専用ポートを必要とします。このポートを指定するには、Managerパラメータ・ファイルのPORTパラメータを使用します。次のガイドラインに従ってください。

  • Managerのデフォルト・ポート番号は7809です。デフォルト・ポート番号(使用可能であれば、こちらを推奨)または任意の別のポートを指定する必要があります。

  • これは、予約されていない制限なしのポートである必要があります。

  • システム上のManagerインスタンスごとに異なるポート番号を使用する必要があります。

PORTの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

3.3 ファイアウォール経由でのリモート接続に使用するポートの管理

Oracle GoldenGateのターゲットの場所でファイアウォールを使用している場合、リモートOracle GoldenGateプロセスからの動的TCP/IP通信を受信するには、ターゲット・システムに追加のポートが必要です。具体的には次のポートです。

  • リモートのオンラインExtractプロセスから伝播されたトランザクション・データを受信するためにローカルのManagerが起動するCollectorプロセス用に1ポート。Extractプロセスがターゲットにデータを送信すると、ターゲットのManagerが専用のCollectorプロセスを起動します。

  • ローカルのManagerがリモート・タスクの一環として起動するReplicatプロセス用に1ポート。リモート・タスクは初期ロードに使用されるもので、RMTTASKパラメータで指定します。このポートは、リモートExtractプロセスからの着信リクエストを受信するために使用されます。RMTTASKの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

  • ローカルOracle GoldenGate構成の拡張に必要な場合は、追加で数ポート。

  • 他のOracle GoldenGate製品がOracle GoldenGateのローカル・インスタンスとやり取りする場合は、その製品用のポート(各製品のドキュメントを参照)。

これらのポートを指定するには、Managerパラメータ・ファイルのDYNAMICPORTLISTパラメータを使用します。次のガイドラインに従ってください。

  • 次の形式を自由に組み合せて、最大5000のポートを指定できます。

    7830, 7833, 7835
    7830-7835
    7830-7835, 7839
    
  • 予約されていない制限なしのポートである必要があります。

  • システム上のManagerインスタンスごとに異なるポート・リストを使用する必要があります。

必須パラメータではありませんが、最高のパフォーマンスを得るためにDYNAMICPORTLISTを使用することを強くお薦めします。Collectorプロセスの役割は、使用可能なポートを見つけてバインドすることですが、有効なポートの既知のリストがあれば、このプロセスが迅速化されます。DYNAMICPORTLISTがない(または、DYNAMICPORTLISTに十分な数のポートが指定されていない)場合、Collectorはポート7840を使用してリモート・リクエストを行おうとします。7840が使用できない場合、Collectorは使用可能なポートが見つかるまで番号を1ずつ増やします。これが原因で、リモート・リクエストの受入れが遅れる可能性があります。CollectorがDYNAMICPORTLISTリスト内のポートを使い果すと、次の処理が発生します。

  • Managerは、プロセス・レポートおよびOracle GoldenGate ggserrログにエラーを記録します。

  • Collectorは、Oracle GoldenGate tcperrsファイルのルールに基づいて再試行します。tcperrsファイルの詳細は、15.5項「TCP/IPエラーの処理」を参照してください。

DYNAMICPORTLISTの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

3.4 インターネット・プロトコルの選択

デフォルトでは、Oracle GoldenGateは接続が成功する可能性を最大限に高めるために、次の優先順位でソケットを選択します。

  • IPv6デュアルスタック

  • IPv4(IPv6デュアルスタックが使用できない場合)

  • IPv6

ネットワーク内にデュアルスタック・モードをサポートしていないIPv6ネットワーク機器がある場合、USEIPV6パラメータを使用すると、Oracle GoldenGateにすべての接続でIPv6を使用させることができます。これは、Oracle GoldenGateインスタンスのすべてのプロセスに適用されるGLOBALSパラメータの1つです。USEIPV6を使用するときは、接続障害が発生しないように、ネットワーク全体をIPv6対応にする必要があります。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

3.5 推奨されるManagerパラメータ

次のパラメータはManagerプロセスではオプションですが、使用することをお薦めします。

  • AUTOSTART: Managerの起動時にExtractプロセスおよびReplicatプロセスを起動します。このパラメータはクラスタ構成では必須であり、システムの起動後ただちにOracle GoldenGateアクティビティを開始する必要がある場合に便利です。(Managerが起動ルーチンの一部であることが必要です。)同じパラメータ・ファイルで複数のAUTOSTART文を使用できます。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

  • AUTORESTART: 異常終了の後にExtractプロセスおよびReplicatプロセスを再起動します。このパラメータはクラスタ構成では必須ですが、どのような構成でも処理を確実に継続するのに便利です。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

  • PURGEOLDEXTRACTS: Oracle GoldenGateによる処理が終了した証跡ファイルを消去します。PURGEOLDEXTRACTSを使用しない場合、消去は実行されないため、証跡ファイルが大量のディスク領域を消費する可能性があります。最適な結果を得るため、PURGEOLDEXTRACTSはExtractパラメータやReplicatパラメータとしてではなく、Managerパラメータとして使用してください。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

  • STARTUPVALIDATIONDELAY | STARTUPVALIDATIONDELAYCSECS: Managerがプロセスの実行ステータスを検証するまでの遅延時間を設定します。起動時に検証を行うことで、Oracle GoldenGateユーザーは、エラー・メッセージやプロセス・レポートが生成される前に、失敗したプロセスを認識できます。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。

3.6 Managerパラメータ・ファイルの作成

必須のポート情報とオプションのパラメータでManagerを構成するには、次の手順に従ってパラメータ・ファイルを作成します。Oracle GoldenGateのパラメータ・ファイルの詳細は、「Oracle GoldenGateプロセス・インタフェースのスタート・ガイド」を参照してください。


注意:

Oracle GoldenGateがクラスタ内に位置する場合は、ベンダーのドキュメントに従ってクラスタ・アプリケーション内でManagerプロセスを構成し、Oracle GoldenGateが他のアプリケーションに適切にフェイルオーバーされるようにしてください。クラスタへのOracle GoldenGateのインストールの詳細は、使用中のデータベースに対応するOracle GoldenGateのドキュメントを参照してください。

  1. Oracle GoldenGateディレクトリからGGSCIプログラムを実行して、Oracle GoldenGateソフトウェア・コマンド・インタフェース(GGSCI)を開きます。

  2. GGSCIで、次のコマンドを発行してManagerのパラメータ・ファイルを編集します。

    EDIT PARAMS MGR
    
  3. Managerプロセスに使用するパラメータを1行に1つずつ追加します。

  4. ファイルを保存して閉じます。

次に示すのは、必須および推奨のパラメータを使用したUNIXシステムでのManagerパラメータ・ファイルの例です。

例3-1 UNIXシステムでのManagerファイルの例

PORT 7809
DYNAMICPORTLIST 7810-7820, 7830
AUTOSTART ER t*
AUTORESTART ER t*, RETRIES 4, WAITMINUTES 4
STARTUPVALIDATIONDELAY 5
USERIDALIAS mgr1
PURGEOLDEXTRACTS /ogg/dirdat/tt*, USECHECKPOINTS, MINKEEPHOURS 2

3.7 Managerの起動

Managerは、他のOracle GoldenGateプロセスが起動する前に実行されている必要があります。Managerは次の方法を使用して起動できます。

  • オペレーティング・システムのコマンドライン。手順については、「Managerをオペレーティング・システムのコマンド・シェルから起動する手順」を参照してください。

  • GGSCIコマンドライン・インタフェース。手順については、「ManagerをGGSCIから起動する手順」を参照してください。

  • Windowsシステムの「サービス」アプレット(Managerをサービスとしてインストールした場合)。Windowsのドキュメントを参照するか、システム管理者に連絡してください。

  • クラスタ・アドミニストレータ・ツール(システムがWindowsクラスタの一部である場合)。この方法は、Managerリソースをオンラインにする場合に推奨されます。クラスタのドキュメントを参照するか、システム管理者に連絡してください。

  • UNIXまたはLinuxクラスタのクラスタ・ソフトウェア。クラスタ・ベンダーから提供されているドキュメントを参照して、Managerをクラスタから起動するか、GGSCIまたはオペレーティング・システムのコマンドラインを使用して起動するかを確認してください。

3.7.1 Managerをオペレーティング・システムのコマンド・シェルから起動する手順

Managerをオペレーティング・システムのコマンド・シェルから起動するには、次のコマンドを発行します。

mgr paramfile parameter_file [reportfile report_file]

reportfile引数はオプションです。この引数は、Oracle GoldenGateのインストール場所にあるデフォルトのdirrptディレクトリ以外の場所にManagerプロセス・レポートを格納する場合に使用できます。

3.7.2 ManagerをGGSCIから起動する手順

ManagerをGGSCIから起動するには、Oracle GoldenGateディレクトリでGGSCIを実行してから、次のコマンドを発行します。

START MANAGER

注意:

Windows Server 2008でユーザー・アカウント制御を有効にした状態でコマンドラインまたはGGSCIからManagerを起動すると、プログラム実行の許可または拒否を求めるUACプロンプトが表示されます。

3.8 Managerの停止

Managerは、ユーザーが停止するまで無制限に実行されます。通常、同期アクティビティの実行中は、常にManagerが実行されている必要があります。Managerは、重要な監視機能およびメンテナンス機能を実行するため、Managerが稼働していないとプロセスを起動できません。

3.8.1 UNIXおよびLinuxでのManagerの停止

UNIXおよびLinux(z/OS上のUSSを含む)では、GGSCIのSTOP MANAGERコマンドを使用してManagerを停止する必要があります。

STOP MANAGER [!]

説明:

!は、ユーザー確認なしでManagerを停止します。

UNIXまたはLinuxクラスタの場合、クラスタ・ベンダーから提供されているドキュメントを参照して、Managerをクラスタから停止する必要があるか、GGSCIを使用して停止する必要があるかを確認してください。

3.8.2 WindowsでのManagerの停止

Windowsでは、「サービス」アプレットからManagerを停止できます(Managerをサービスとしてインストールしている場合)。Windowsのドキュメントを参照するか、システム管理者に連絡してください。

Managerがサービスとしてインストールされていない場合、GGSCIのSTOP MANAGERコマンドを使用してManagerを停止できます。

STOP MANAGER [!]

Windowsクラスタでは、クラスタ・アドミニストレータからManagerリソースをオフラインにする必要があります。GGSCIインタフェースからManagerを停止しようとすると、クラスタ・モニターがその操作をリソース障害と解釈し、リソースを再度オンラインにしようとします。GGSCIを介して起動リクエストが何度も行われると、最終的にはManagerクラスタ・リソースの起動しきい値を超えてしまい、クラスタ・モニターがManagerリソースを障害状態としてマークします。