多くの場合、リスク・アナリストは、モデルにおける変動の2つの原因を考慮する必要があります:
不確実性 - 正確な(ただし、不明な)値に関する情報が十分でないために不確実な仮定。不確実性の例には、油田の埋蔵量規模や12か月のプライムレートなどがあります。不確実性仮定は確率分布を使用して表すことができます。理論的には、より多くの情報を収集することによって不確実性を解消できます。ただし、現実的には、まだ収集していなかったり収集にコストがかかりすぎるなどの理由により、情報は足りない場合があります。
可変性 - 値が異なる母集団を表しているために変化する仮定。可変性の例には、母集団内の個人の体重や1年間に販売された製品の日々の数などがあります。可変性仮定は離散分布を使用して表す(または、連続分布を使用して近似値を求める)ことができます。可変性はシステム内に本来備わっているものであるため、より多くの情報を収集しても解消することはできません。
多くのタイプのリスク評価において、不確実性と可変性を区別することが重要です(参考文献一覧内のHoffmanおよびHammondsを参照)。シミュレーション内でこれらの概念を区別することにより、知識の不足が原因である予測の変動や、測定または母集団内の自然な可変性が原因である変動をより正確に検出できます。一般的にリスクの正確な確率を表す上で1次元シミュレーションの方が一点推定より優れているのと同じように、一般的にリスクを特徴づける上で2次元シミュレーションの方が1次元シミュレーションより優れています。
2次元シミュレーション・ツールでは、外部ループを使用して不確実性の値をシミュレートしてから、不確実性の値を固定しながら(モデル全体の)内部ループを実行し、可変性をシミュレートします。このプロセスでは、外部シミュレーションを複数回繰り返すことにより、不確実性が原因で予測分布がどのように変化するかを表します。
このプロセスの主な出力は、一連の累積度数分布を表すグラフです。このグラフは、母集団に関連付けられた潜在的なリスクの範囲として解釈できます。