R 監視対象ネットワーク・トラフィックの確認

この付録では、TCP診断機能を使用して、目的のすべてのネットワーク・トラフィックをRUEIが認識していることを確認する方法を説明します。ネットワークが変更された後には、収集したネットワーク・トラフィックを組織のネットワーク・エンジニアが検証することを強くお薦めします。

R.1 概要

TCP診断ユーティリティでは、選択したコレクタが認識するネットワーク・トラフィックの1分間のスナップショットを作成できます。このスナップショットを使用すると、予期していたトラフィック・フローとの差がないかどうかを判別できます。たとえば、構成されていないポート番号や、間違って指定されたVLAN IDが存在する場合があります。

TCP通信は、ポート番号やVLAD IDはもとより、クライアントやサーバーのIPアドレスおよびMACアドレス全体にわたって分析できますネットワーク・トラフィック情報に関する各スナップショットの有効範囲を図R-1に示します。

図R-1 ネットワーク・トポロジの例

「図R-1 ネットワーク・トポロジの例」の説明

R.2 トラフィックのスナップショットの作成

TCPトラフィックのスナップショットを作成する手順は、次のとおりです。

「構成」機能でコレクタ・ステータスの表示アイコンをクリックします。または、「システム」→「ステータス」→コレクタ・ステータスの順に選択します。図R-2に示す「ネットワーク・データ・コレクタ」ウィンドウが開きます。この詳細は、Oracle Real User Experienceユーザーズ・ガイドに記載されています。

図R-2 ネットワーク・データ・コレクタ

「図R-2 ネットワーク・データ・コレクタ」の説明
目的のコレクタをクリックします。「システム(ローカル・ホスト)」項目は、レポータ・システムで実行されているコレクタ・インスタンスを表します。ネットワーク内の他のコレクタは、IPアドレスで表します。
「TCP診断」タブをクリックします。例R-0に示すようなパネルが表示されます。

図R-3 TCP診断

「図R-3 TCP診断」の説明
ツールバーの「新規スナップショット」アイコンをクリックします。図R-4に示すダイアログが表示されます。

図R-4 「新規TCPトラフィック・スナップショット」ダイアログ

「図R-4 「新規TCPトラフィック・スナップショット」ダイアログ」の説明

「フィルタの適用」チェック・ボックスを使用して、トラフィックのスナップショットを作成するときに、選択したコレクタで認識されるすべてのトラフィックをレポートするか、コレクタで現在定義済のフィルタに合うトラフィックのみをレポートするかを指定します(13.4項「ネットワーク・フィルタの定義」を参照)。これらのフィルタはダイアログの下半分に表示されます。ツールバーの「スナップショット・フィルタの表示」アイコンをクリックして表示することもできます。次に、「スナップショットの作成」をクリックします。

注意:

RUEIインストール内の全コレクタ・システムにわたるトラッフィック・スナップショットの最大数は15ですこの最大数に達すると、一番古いスナップショットが新しく作成されたスナップショットに自動的に置き換えられます。

スナップショットが作成されるときに1分間の遅延があります。完了すると、新たに作成されたスナップショットの概要が表示されます。例を図R-5に示します。

図R-5 TCPトラフィック・スナップショットの概要

「図R-5 TCPトラフィック・スナップショットの概要」の説明

R.3 トラフィック情報の分析

作成されたトラフィック・スナップショットを分析する手順は、次のとおりです。

目的のスナップショットをスナップショットのメニューから選択するか、TCP診断のメイン・パネル(図R-3を参照)でクリックします。フィルタを適用して作成したスナップショットは、「フィルタ済」列にチェック・マークが表示されます。チェック・マークをクリックすると適用されたフィルタを表示できます。
(図R-5に示すような)選択したスナップショットの概要が表示されます。選択できる項目をクリックすると、その項目についてフィルタリングできることに注意してください。たとえば、レポートされる項目のリストを、特定のサーバーIPアドレスを含むものに限定する必要がある場合などです。フィルタを削除するには、パネルのフィルタ・セクションでフィルタの横の「削除」アイコンをクリックします。

オプションとして、スナップショット・メニューの右側のソート・メニュー(図R-6を参照)を使用して、表示される項目で使用される第1列を選択します。

図R-6 ソート・メニュー

「図R-6 ソート・メニュー」の説明

図R-5に表示される「ステータス」列に、スナップショットの際に監視対象のTCPトラフィックに問題が存在していたかどうかが示されます。失敗ステータスがレポートされている場合は、「ステータス」アイコンにマウスを置くと追加情報が表示されます。考えられる問題で確認されているものを、表R-1で説明します。

表R-1 問題および考えられる原因の識別

ステータス	説明
クライアント/サーバーのパケット比率が高すぎます。	クライアント・パケット数がサーバー・パケット数に対して異常に多いように思われます。これは、コレクタがトラフィックの両方の方向を確認できない(または一方向で重複したトラフィックを認識している)ことを意味します。または、サーバーに関連する問題(たとえば、オフされている)があることを示します。
サーバー/クライアントのパケット比率が高すぎます。	サーバー・パケット数がクライアント・パケット数に対して常に多いように思われます。これは、コレクタがトラフィックの両方の方向を確認できない(または一方向で重複したトラフィックを確認している)ことを意味します。または、クライアントに関連する問題(たとえば、認識されないサーバー・パケット)があることを示します。
分析のためのサーバー・パケットとクライアント・パケットの数が不足しています。	信頼のおけるクライアントとサーバーの比率分析を実行するにはトラフィック(TCPパケット)が十分ではありませんでした。少なくとも100パケットが必要です。サーバーへの通常のトラフィック・レベルが低い可能性があります。または、RUEIでのルーティングの問題のため、ネットワーク・トラフィックの一部分を認識できない可能性もあります。
サーバーのVLAN IDがクライアントのVLAN IDと一致しません。	これは通常はルーティングの問題を示します。たとえば、クライアントからサーバーへのトラフィックがあるVLANを介してルーティングされるが、サーバーからクライアントへのトラフィックは別のVLANを介してルーティングされます。RUEIで一度に監視できるトラフィックは、1つのVLANセグメントのみであることに注意してください。