Oracle Tuxedo ATMIアプリケーション開発のためのチュートリアル

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STOCKAPP(完全なCOBOLアプリケーション)のチュートリアル

このトピックには次の項が含まれます:

 


STOCKAPPとは

STOCKAPPは、Oracle Tuxedoシステム・ソフトウェアに同梱されているサンプルATMI株式アプリケーションです。このアプリケーションでは、顧客の口座情報の確認および更新、株式またはファンド(あるいはその両方)の売買注文の実行という株式仲買業務機能を実行します。

このドキュメントでは、STOCKAPPアプリケーションを開発するための手順を順に示します。このチュートリアルでSTOCKAPPの開発を経験すると、独自のアプリケーションを開発できるようになります。

STOCKAPPチュートリアルは、次の3つの項から構成されています。

注: ここで説明する内容は、アプリケーションの開発、管理、プログラミングに経験のあるシステム・ユーザーを対象としています。また、Oracle Tuxedoシステム・ソフトウェアについて理解していることを前提としています。Oracle Tuxedoアプリケーションをビルドするには、開発ライセンスが必要です。

 


STOCKAPPの把握

ここでは、STOCKAPPアプリケーションを構成するファイル、クライアントおよびサービスについて説明します。それぞれの詳細は、次のアクティビティのいずれかをクリックしてください。

STOCKAPPのリクエスト

 


STOCKAPPのファイルについて

STOCKAPPアプリケーションを構成するファイルは、次のような位置にあるSTOCKAPPディレクトリに置かれています。

STOCKAPPのリクエスト

株式アプリケーションのファイルについて

STOCKAPPディレクトリには、次のファイルが置かれています。

表5-1では、STOCKAPPを構成するファイルを示しています。表にはOracle Tuxedoシステム・ソフトウェアに同梱されているソース・ファイル、株式アプリケーションのビルド時に生成されるファイル、および各ファイルの内容の概要が示されています。

表5-1 株式アプリケーションファイルの目的
ソース・ファイル
生成されるファイル
内容
BUY.cbl
BUY.o
BUY
クライアント
BUYSR.cbl
BUYSR.o
BUYSR
BUYサービスを含みます。
ENVFILE
 
tmloadcfで使用されるENVFILE
FILES
 
STOCKAPPのすべてのファイルを説明したリスト
FUNDPR.cbl
FUNDPR.o FUNDPR
クライアント
FUNDPRSR.cbl
FUNDPRSR.o FUNDPRSR
PRICE QUOTEサービスを含みます。
FUNDUP.cbl
FUNDUP.o FUNDUP
クライアント
FUNDUPSR.cbl
FUNDUPSR.o FUNDUPSR
FUND UPDATEサービスを含みます。
README
 
インストールおよび起動手順のオンライン版
SELL.cbl
SELL.o SELL
クライアント
SELLSR.cbl
SELLSR.o SELLSR
SELLサービスを含みます。
STKVAR
 
変数の設定を含みます(ただし、ENVFILE内のものは除く)。
STOCKAPP.mk
 
アプリケーションmakefile
UBBCBSHM
TUXCONFIG
SHMモードの構成で使用するUBBCONFIGのサンプル・ファイル
cust
CUST.cbl cust.V cust.h
BUYおよびSELLクライアント間、BUYSRおよびSELLSRサーバー間で受渡しが行われる構造体を定義するために使用されるビュー
quote
QUOTE.cbl quote.V quote.h
FUNDPRおよびFUNDUPクライアント、およびすべてのサーバー間で受渡しが行われる構造体を定義するために使用されるビュー

関連項目

 


STOCKAPPクライアントの検証

Oracle TuxedoシステムのATMIクライアント/サーバー・アーキテクチャでは、通信に次の2つのモードがあります。

システム・クライアント・プログラム

図5-1では、STOCKAPPの階層を示しています。ユーザーは4つのサービス・リクエストの1つを選択します。図中の楕円形は、アプリケーション・サービスを表しています。

図5-1 STOCKAPPのリクエスト

STOCKAPPのリクエスト

型付きバッファ

型付きバッファは、Oracle Tuxedoシステムの主要部分です。Oracle Tuxedoシステムでは、型付きバッファは特定のデータ型を保持するように設計されています。VIEWSTRINGCARRAYX_OCTETX_COMMONおよびXMLの6つの型が定義されています。アプリケーションでは、追加の型を定義できます。

リクエスト/レスポンス・クライアント: BUY.cbl

BUYは、クライアント・プログラムの例です。BUYSRサービスを呼び出す口座の問合せを行います。これは、次のように実行可能プログラムとして呼び出されます:

BUY

BUY.cblのソース・コード

BUY.cblプログラムの次のセクションをみなおします。

* Now register the client with the system
* Issue a TPCALL
* Clean up

これらのセクションには、BUY.cblでOracle Tuxedo ATMI関数が使用されるすべての場所が含まれています。csimpl.cblと同様に、BUY.cblでは、TPINITIALIZEを呼び出してアプリケーションに参加し、TPCALLを呼び出してサービスに対してRPCリクエストを行い、TPTERMを呼び出してアプリケーションを終了します。BUY.cblは、VIEW型付きレコードとcustファイルで定義されている構造体を使用するプログラムの例でもあります。構造体のソース・コードは、VIEW記述ファイルcust.Vにあります。

クライアントのビルド

VIEW記述ファイル(その例がcust)は、ビュー・コンパイラviewc(1)で処理されます。view(c)を実行して、ビューをコンパイルします。

viewc-C-n
  cust.v

viewcには、COBOLファイル(CUST.cbl)、バイナリVIEW記述ファイル(cust.V)およびヘッダー・ファイル(cust.h)の3つの出力ファイルがあります。

クライアント・プログラム、BUY.cblFUNDPR.cblFUNDUP.cblおよびSELL.cblは、buildclient(1)により、コンパイルまたは必要なOracle Tuxedoライブラリとのリンク編集(あるいはその両方)のために処理されます。

選択すれば、これらのコマンドを個別に使用することもできますが、これらすべての手順の規則はSTOCKAPP.mkに含まれています。

関連項目

 


STOCKAPPサーバーの検証

ここでは、次の内容について説明します。

ATMIサーバーとは、1つ以上のサービスを提供する実行可能プロセスです。Oracle Tuxedoシステムでは、サーバーはクライアントとして動作するプロセスから継続的にリクエストを受け取り、それを適切なサービスにディスパッチします。サービスは、特にアプリケーション用に記述されたCOBOL言語コードのサブルーチンです。Oracle Tuxedoシステムのトランザクション処理アプリケーションの機能性は、これらのサービスがリソース・マネージャにアクセスすることによって実現されます。サービス・ルーチンは、Oracle Tuxedoシステム・プログラマによって作成する必要のあるアプリケーションの一部です(ユーザー定義のクライアントは、アプリケーションの別の部分)。

すべてのSTOCKAPPサービスでは、アプリケーション・トランザクション・モニター・インタフェース(ATMI)の機能を使用して、次のタスクを実行します。

STOCKAPPサービス

STOCKAPPには4つのサービスがあります。各STOCKAPPサービスは、次のリストに示すように、サーバーのソース・コードのCOBOL関数名と一致します。

BUYSR

ファンド/株式レコードを購入します。BUYSELLサーバーによって提供されます。入力としてVIEWレコードを受け入れ、CUSTFILEレコードを挿入します。

SELLSR

ファンド/株式レコードの売却します。BUYSELLサーバーで提供されます。VIEWレコードを入力として受け入れ、CUSTFILEレコードを挿入します。

FUNDPRSR

建値。PRICEQUOTEサーバーで提供されます。VIEWレコードを入力として受け入れます。

FUNDUPSR

資金の更新。会話型サービス。FUNDUPDATEサーバーで提供されます。VIEWレコードを入力として受け入れます。

 


STOCKAPPのファイルおよびリソースの準備

ここでは、STOCKAPPを実行するために必要なファイルやその他のリソースを作成するために完了する必要のあるの手順を順に示します。

各作業をクリックすると、その作業を行う手順が表示されます。

STOCKAPPのリクエスト

 


ステップ1 :環境変数の設定

STOCKAPPに必要な環境変数は、STKVARファイルで定義されています。ファイルには多数のコメントが含まれているため大きくなります(約100行)。

  1. テキスト・エディタで、STKVARファイルをよく理解します。9行目では、TUXDIRが設定されていることを確認します。設定されていない場合、ファイルの実行が失敗して、次のメッセージが表示されます。
  2. TUXDIR: parameter null or not set
  3. TUXDIRパラメータにOracle Tuxedoシステムのディレクトリ構造でのルート・ディレクトリを設定し、エクスポートします。
  4. STKVARの別の行で、APPDIR{TUXDIR}/samples/atmi/STOCKAPPディレクトリが設定されています。これは、STOCKAPPのソース・ファイルが置かれたディレクトリです。APPDIRは、Oracle Tuxedoシステムによって、アプリケーション固有のファイルが検索されるディレクトリです。オリジナルのソース・ファイルを上書きしないように、STOCKAPPファイルを別のディレクトリにコピーできます。その場合は、そのディレクトリをそこに入力します。TUXDIRの下位ディレクトリである必要はありません。
  5. 注: STKVARで指定されるほかの変数は、サンプル・アプリケーションで各種の働きをします。独自のアプリケーションを開発する場合は、それらの働きについて認識しておくことが必要です。それらをSTKVARに含めることで、後で実際のアプリケーションのテンプレートとして使用できます。
  6. STKVARに必要な変更を加えたら、次のようにSTKVARを実行します。
  7. . ./STKVAR
    リスト5-1 STKVAR: STOCKAPPの環境変数
    #ident    "@(#)samples/atmi:STOCKAPP/STKVAR
    #
    # This file sets all the environment variables needed by the TUXEDO software
    # to run the STOCKAPP
    #
    # This directory contains all the TUXEDO software
    # System administrator must set this variable
    #
    TUXDIR=${TUXDIR:?}
    #
    # This directory contains all the user written code
    #
    # Contains the full path name of the directory that the application
    # generator should place the files it creates
    #
    APPDIR=${HOME}/STOCKAPP
    #
    # Environment file to be used by tmloadcf
    #
    COBDIR=${COBDIR:?}
    #
    # This directory contains the cobol files needed
    # for compiling and linking.
    #
    LD_LIBRARY_PATH=$COBDIR/coblib:${LD_LIBRARY_PATH}
    #
    # Add coblib to LD_LIBRARY_PATH
    #
    ENVFILE=${APPDIR}/ENVFILE
    #
    # List of field table files to be used by CBLVIEWC, tmloadcf, etc.
    #
    FIELDTBLS=fields,Usysflds
    #
    # List of directories to search to find field table files
    #
    FLDTBLDIR=${TUXDIR}/udataobj:${APPDIR}
    #
    # Set device for the transaction log; this should match the TLOGDEVICE
    # parameter under this site's LMID in the *MACHINES section of the
    # UBBCBSHM file
    #
    TLOGDEVICE=${APPDIR}/TLOG
    #
    # Device for the configuration file
    #
    UBBCBSHM=$APPDIR/UBBCBSHM
    #
    # Device for binary file that gives /T all its information
    #
    TUXCONFIG=${APPDIR}/TUXCONFIG
    #
    # Set the prefix of the file which is to contain the central user log;
    # this should match the ULOGPFX parameter under this site's LMID in the
    # *MACHINES section of the UBBCONFIG file
    #
    ULOGPFX=${APPDIR}/ULOG
    #
    # List of directories to search to find view files
    #
    VIEWDIR=${APPDIR}
    #
    # List of view files to be used by CBLVIEWC, tmloadcf, etc.
    #
    VIEWFILES=quote.V,cust.V
    #
    # Set the COBCPY
    #
    COBCPY=$TUXDIR/cobinclude
    #
    # Set the COBOPT
    #
    COBOPT="-C ANS85 -C ALIGN=8 -C NOIBMCOMP -C TRUNC=ANSI -C OSEXT=cbl"
    #
    # Set the CFLAGS
    #
    CFLAGS="-I$TUXDIR/include -I$TUXDIR/sysinclude"
    #
    # Export all variables just set
    #
    export TUXDIR APPDIR ENVFILE
    export FIELDTBLS FLDTBLDIR TLOGDEVICE
    export UBBCBSHM TUXCONFIG ULOGPFX LD_LIBRARY_PATH
    export VIEWDIR VIEWFILES COBDIR COBCPY COBOPT CFLAGS
    #
    # Add TUXDIR/bin to PATH if not already there
    #
    a="`echo $PATH | grep ${TUXDIR}/bin`"
    if [ x"$a" = x ]
    then
    PATH=${TUXDIR}/bin:${PATH}
    export PATH
    fi
    #
    # Add APPDIR to PATH if not already there
    #
    a="`echo $PATH | grep ${APPDIR}`"
    if [ x"$a" = x ]
    then
    PATH=${PATH}:${APPDIR}
    export PATH
    fi
    #
    # Add COBDIR to PATH if not already there
    #
    a="`echo $PATH | grep ${COBDIR}`"
    if [ x"$a" = x ]
    then
    PATH=${PATH}:${COBDIR}
    export PATH
    fi

そのほかの要件

関連項目

 


ステップ2 : STOCKAPPでのサーバーのビルド

実行可能なATMIサーバーをビルドするには、buildserverを使用します。このコマンドではオプションを使用して、出力ファイル、アプリケーションで提供される入力ファイル、各種の方法でOracle Tuxedoシステム・アプリケーションを実行するためのライブラリを指定します。

buildserver-Cオプションを指定して、cobccコマンドを起動します。環境変数ALTCCおよびALTCFLAGSを設定して、かわりのコンパイル・コマンドを指定し、コンパイルおよびリンク編集時にフラグを設定します。主要なbuildserverコマンド行オプションは、後述の例で説明されています。

buildserverコマンドはSTOCKAPP.mkで使用され、株式アプリケーションの各サーバーをコンパイルしてビルドします。(詳細は、『Oracle Oracle Tuxedoコマンド・リファレンス』「buildserver(1)」を参照してください。)

BUYSELLサーバーのビルド

BUYSELL ATMIサーバーは、BUYSR関数およびSELLSR関数のコードが含まれるファイルから導出されます。BUYSELLサーバーは、buildserverコマンドに指定する前に、まずBUYSELL.oファイルにコンパイルされ、コンパイル時のエラーを明確に特定し、このステップの前に処理できるようにします。

  1. BUYSELL.oファイルを作成します(STOCKAPP.mkで実行)。その後にBUYSELLサーバーのビルドに使用したbuildserverコマンドが続きます。
  2. buildserver -C -v -o BUYSELL -s SELLSR -f SELLSR.cbl -s BUYSR -f BUYSR.cbl

    次は、コマンド行で指定されている各オプションの説明です。

    • -Cオプションは、COBOLモジュールを持つサーバーをビルドする場合に使用します。
    • -vオプションは、冗長モードを指定します。ccコマンドを標準出力に書き込みます。
    • -oオプションは、実行可能出力ファイルに名前を指定する場合に使用します。名前が指定されていない場合は、SERVERという名前が付きます。
    • -sオプションは、サーバーの起動時に通知されるサーバーのサービス名を指定します。サービスを実行する関数名がサービス名と異なる場合、関数名が-sオプションの引数の一部になります。STOCKAPPでは、関数名はサービス名と同じなので、サービス名のみを指定します。サービス名では、すべての文字列を大文字で指定します。ただし、buildserver-sオプションでは、サーバー内のサービスを処理する関数には任意の名前を指定できます。詳細は、『Oracle Tuxedoコマンド・リファレンス』「buildserver(1)」を参照してください。システム管理者は、buildserverコマンドでサーバーを作成する際に使用されたサービスのサブセットのみをサーバーの起動時に利用できるように設定することもできます。詳細は、『Oracle Tuxedoアプリケーション実行時の管理』および『Oracle Tuxedoアプリケーションの設定』を参照してください。
    • -fオプションは、リンク編集時に使用されるファイルを指定します。buildserverリファレンス・ページの-lオプションも参照してください。これら2つのオプションの詳細は、COBOLを使用したOracle Tuxedo ATMIアプリケーションのプログラミングサーバーのビルド」を参照してください。ファイルがリストされる順序には意味があります。この順序は、関数の参照、およびその参照がどのライブラリで解決されるかによって決まります。ソース・モジュールは、それらの参照を解決するために使用されるライブラリの前にリストされます。これらが.cblファイルの場合、最初にコンパイルされます。オブジェクト・ファイルは、別個の.oファイル、またはアーカイブ(.a)ファイルにあるファイル・グループです。-fの引数として1つ以上のファイル名を指定する場合は、二重引用符でファイル名のリストを囲む必要があります。-fオプションは、必要な数だけ使用できます。
    • -sオプションは、BUYSELLサーバーを構成するサービスとしてSELLSRおよびBUYSRサービスを指定します。-oオプションは実行可能出力ファイルにBUYSELLという名前を付け、-fオプションはSELLSR.cblおよびBUYSR.cblファイルがビルドでのリンク編集時に使用されるように指定します。

STOCKAPP.mkでビルドされるサーバー

STOCKAPPサーバーをビルドする場合、buildserverコマンドの指定方法を理解していることが大切です。ただし、実際にビルドする場合、makefileにビルドの定義を記述することがよくあります。STOCKAPPでもその方法が採用されています。

関連項目

 


ステップ3 : STOCKAPP.mkファイルの編集

STOCKAPPには、すべてのスクリプトを実行可能にし、VIEW記述ファイルをバイナリ形式に変換し、アプリケーション・サーバーの作成に必要なすべてのプリコンパイル、コンパイルおよびビルドを行うmakefileが提供されています。また、最初からやりなおす場合にもこのファイルを利用できます。

提供されているSTOCKAPP.mkには、いくつか編集した方がよいフィールドがあり、説明が必要なフィールドもあります。

TUXDIRパラメータの編集

STOCKAPP.mkの次のコメントとTUXDIRパラメータに移動します。

#
# Root directory of TUXEDO System. This file must either be edited to set
# this value correctly, or the correct value must be passed via "make -f
# STOCKAPP.mk TUXDIR=/correct/rootdir", or the build of STOCKAPP will fail.
#
TUXDIR=../..

TUXDIRパラメータを、Oracle Tuxedoシステム・インストールのルート・ディレクトリの絶対パス名に設定します。

APPDIRパラメータの編集

APPDIRパラメータの設定を考える必要がある場合もあります。STOCKAPPが提供されるとき、APPDIRはSTOCKAPPファイルが置かれているディレクトリに、TUXDIRに対して相対的に設定されています。STOCKAPP.mkの次のセクションでは、APPDIRの設定を定義し、説明しています。

#
# Directory where the STOCKAPP application source and executables live.
# This file must either be edited to set this value correctly, or the
# correct value must be passed via "make -f STOCKAPP.mk
# APPDIR=/correct/appdir", or the build of STOCKAPP will fail.
#
APPDIR=$(TUXDIR)/samples/atmi/STOCKAPP
#

READMEファイルに従って、別のディレクトリにファイルをコピーした場合、APPDIRにはファイルのコピー先のディレクトリを指定します。makefileを実行すると、そのディレクトリにアプリケーションがビルドされます。

STOCKAPP.mkファイルの実行

  1. STOCKAPP.mkに必要な変更を加えたら、次のコマンド行を入力して実行します:
  2. nohup make -f STOCKAPP.mk install &
  3. nohup.outファイルを調べて、処理が正しく行われたことを確認します。

関連項目

 


ステップ4 :構成ファイルの編集

STOCKAPP構成ファイルでは、一連のマシンでアプリケーションを実行する方法が定義されています。STOCKAPPは、UBBCONFIG(5)で記述されているテキスト形式の構成ファイルで提供されます。UBBCBSHMは、単一コンピュータでアプリケーションを定義します。

  1. テキスト・エディタで、STOCKAPPの構成ファイルの内容を確認します。
  2. リスト5-2 UBBCBSHM構成ファイルで置き換えるフィールド
          #Copyright (c) 1992 Unix System Laboratories, Inc.
          #All rights reserved
          #Skeleton UBBCONFIG file for the TUXEDO COBOL Sample Application.
          *RESOURCES
          IPCKEY 5226164
          DOMAINID STOCKAPP
    001 UID <user id from id(1)>
    002 GID <group id from id(1)>
          MASTER SITE1
          PERM 0660
          MAXACCESSERS 20
          MAXSERVERS 15
          MAXSERVICES 30
          MODEL SHM
          LDBAL Y
          MAXGTT 100
          MAXBUFTYPE 16
          MAXBUFSTYPE 32
          SCANUNIT 10
          SANITYSCAN 12
          DBBLWAIT 6
          BBLQUERY 180
          BLOCKTIME 10
          TAGENT “TAGENT"
          #
          *MACHINES
    003 <SITE1's uname> LMID=SITE1
    004                       TUXDIR="<TUXDIR1>"
    005                       APPDIR="<APPDIR1>"
                              ENVFILE="<APPDIR1>/ENVFILE"
                              TUXCONFIG="<APPDIR1>/TUXCONFIG"
                              TUXOFFSET=0
    006                       TYPE="<machine type>"
                              ULOGPFX="<APPDIR>/ULOG"
                              MAXWSCLIENTS=5
          #
          *GROUPS
          COBAPI LMID=SITE1 GRPNO=1
          #
          #
          *SERVERS
          FUNDUPSR SRVGRP=COBAPI SRVID=1 CONV=Y ENVFILE="<APPDIR1>/ENVFILE"
          FUNDPRSR SRVGRP=COBAPI SRVID=2 ENVFILE="<APPDIR1>/ENVFILE"
          BUYSELL SRVGRP=COBAPI SRVID=3 ENVFILE="<APPDIR1>/ENVFILE"
          #
          #
          *SERVICES
  3. アプリケーション・パスワード機能を有効にするには、UBBCBSHMRESOURCESセクションに次の行を追加します。
  4. SECURITY   APP_PW
  5. 一部のパラメータの値が山カッコ(<>)で囲まれています。山カッコで囲まれた値は、実際のインストールに適した値に置き換えます。これらのフィールドはすべて、ファイルのRESOURCESMACHINESおよびGROUPSセクションにあります。表5-2では、山カッコで囲んだ文字列を置き換える値について説明しています。各stringには、適切な値を代入します。
  6. 表5-2 値の説明
    行番号
    置き換える文字列
    目的
    001
    UID
    掲示板のIPC構造体のオーナーを示す有効なユーザーID。マルチプロセッサ構成では、この値はすべてのマシンで同じにする必要があります。これがOracle Tuxedoソフトウェアのオーナーと同じ場合、問題は回避されます。
    002
    GID
    掲示板のIPC構造体のオーナーを示す有効なグループID。マルチプロセッサ構成では、この値はすべてのマシンで同じにする必要があります。アプリケーションの各ユーザーは、このグループIDを共有する必要があります。
    003
    SITE1 name
    マシンのノード名。UNIXコマンドで生成される値を使用します。
    uname -n
    004
    TUXDIR
    Oracle Tuxedoシステム・ソフトウェアのルート・ディレクトリの絶対パス名。ファイルに出現するすべての<TUXDIR1>をこの値に置き換えます。
    005
    APPDIR
    アプリケーションを実行するディレクトリの絶対パス名。ファイルに出現するすべての<APPDIR1>をこの値に置き換えます。
    006
    マシン・タイプ
    このパラメータは、異なるタイプのマシンが存在するネットワーク・アプリケーションでは重要です。Oracle Tuxedoシステムでは、マシン間のすべての通信でこの値をチェックします。値が異なる場合のみ、メッセージencode/decodeルーチンがデータを変換するために呼び出されます。

関連項目

 


ステップ5 :バイナリ形式の構成ファイルの作成

バイナリ形式の構成ファイルを作成する前に

バイナリ形式の構成ファイルを作成する前に、STOCKAPPファイルが置かれたディレクトリに移動し、環境変数を設定することが必要です。その場合、次の手順に従います。

  1. STOCKAPPファイルが置かれたディレクトリに移動します。
  2. 次のコマンドを入力して、環境変数を設定します。
  3. . ./STKVAR

構成ファイルのロード

構成ファイルを編集したら、それをMASTERマシン上にバイナリ・ファイルとしてロードする必要があります。バイナリ形式の構成ファイルの名前はTUXCONFIG、そのパス名はTUXCONFIG環境変数に定義されています。このファイルは、Oracle Tuxedoのシステム管理者の有効なユーザーIDおよびグループIDを持つユーザーが作成し、この2つのIDは、ご使用の構成ファイルのUIDおよびGIDの値と同じであることが必要です。この要件が満たされない場合、STOCKAPPの実行時に権限の問題が発生します。

  1. 次のコマンドを入力して、TUXCONFIGを作成します。
  2.     tmloadcf UBBCBSHM

    構成のロード時には、この構成をインストールするかどうか、およびインストールする場合は既存の構成ファイルを上書きすることを確認するメッセージが何回か表示されます。このような確認を省くには、コマンド行で-yオプションを指定します。

  3. アプリケーションで必要なIPCリソースをOracle Tuxedoシステムで計算する場合は、コマンド行で-cオプションを指定します。
  4. TUXCONFIGは、MASTERマシン上だけにインストールできます。アプリケーションの起動時にtmbootによってほかのマシンに伝播されます。

    構成のオプションとしてSECURITYが指定されている場合、tmloadcfの実行時にアプリケーション・パスワードの入力が求められます。30文字までのパスワードを指定できます。アプリケーションに参加するクライアント・プロセスでは、パスワードを入力する必要があります。

    ロードする前にtmloadcfによってテキスト形式の構成ファイル(UBBCONFIG)が解析されます。構文エラーが検出された場合、ファイルのロードは失敗します。

関連項目

 


STOCKAPPの実行

ここでは、STOCKAPPを起動し、各種のクライアント・プログラムとトランザクションを行ってテストし、終了する手順について順に説明します。

各作業をクリックすると、その作業を行う手順が表示されます。

STOCKAPPのリクエスト

 


ステップ1 :起動する前に行う準備作業

  1. STOCKAPPを起動する前に、アプリケーションをサポートするのに十分なIPCリソースがマシンにあることを確認します。IPCリソースに関するレポートを出力するには、tmbootコマンドに-cオプションを指定します。
  2. リスト5-3 IPCレポート
        Ipc sizing (minimum /T values only)
                        Fixed Minimums Per Processor
    SHMMIN: 1
    SHMALL: 1
    SEMMAP: SEMMNI
                        Variable Minimums Per Processor
                        SEMUME, A SHMMAX
                        SEMMNU, * *
    Node SEMMNS SEMMSL SEMMSL SEMMNI MSGMNI MSGMAP SHMSEG
    ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------
    machine 1 60 1 60 A + 1 10 20 76K
    machine 2 63 5 63 A + 1 11 22 76K
    where 1 <= A <= 8.
  3. プロセッサごとに使用されるクライアント・アプリケーションの数を各MSGMNI値に追加します。MSGMAPMSGMNIの2倍にします。
  4. IPCの最低条件とご使用のマシンに対して設定されたパラメータとを比較します。これらのパラメータを定義する場所は、プラットフォームによって異なります。
    • ほとんどのUNIXシステム・プラットフォームの場合、マシンのパラメータは/etc/conf/cf.d/mtuneに定義されています。
    • Windows 2003プラットフォームの場合、マシンのパラメータはコントロール・パネルで設定したり表示します。

関連項目

 


ステップ2 : STOCKAPPの起動

  1. 環境変数を設定します。
  2. ../STKVAR 
  3. 次のコマンドを入力して、アプリケーションを起動します。
  4.     tmboot

    次のプロンプトが表示されます。

        Boot all admin and server processes? (y/n): y

    プロンプトの後にyと入力すると、次のようなレポートが画面に出力されます。

    Booting all admin and server processes in /usr/me/appdir/tuxconfig
    Booting all admin processes
    exec BBL -A:
    process id=24223 Started.

このレポートは、構成内のすべてのサーバーが起動するまで出力されます。起動したサーバーの合計数が出力された時点でレポートは終了します。

必要であれば、構成の一部のサーバーだけを起動することもできます。たとえば、管理サーバーだけを起動するには、-Aオプションを指定します。オプションが指定されていない場合は、アプリケーション全体が起動します。

tmbootでは、起動したサーバー数がレポートされるほかに、ULOGにメッセージが送信されます。

関連項目

 


ステップ3 : STOCKAPPサービスのテスト

  1. 実行中のシステムにログインする場合は、STOCKAPPに環境変数を設定する必要があります。その場合、次のコマンドを入力します。
  2. ../STKVAR
  3. BUYクライアント・プログラムを実行します。BUYクライアント・プログラムを実行するには、次のコマンドを入力します。
  4. BUY
  5. STOCKAPPをモニターします。STOCKAPPの実行中に、tmadminサブコマンドを実行し、それと一緒に様々なコマンドを試して、作成できるステータス情報の種類を確認します。

関連項目

 


ステップ4 : STOCKAPPの停止

STOCKAPPを終了するには、次のように、引数を指定せずにtmshutdown(1)コマンドをMASTERマシンで入力します。

    tmshutdown

このコマンド(またはtmadminの停止コマンド)を実行すると、次のタスクが行われます。

関連項目


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