統計を有効にすると、データの収集およびアグリゲーションのために、ある程度の CPU コストが発生します。多くの状況では、このオーバーヘッドはシステムパフォーマンスに対して目に見えてわかる影響を及ぼすことはありません。ただし、ベンチマーク負荷などの最大限の負荷がかかるシステムでは、統計収集のわずかなオーバーヘッドが目に見えてわかるようになります。
実行オーバーヘッドに対処するためのいくつかのヒントを次に示します。
動的統計の場合、24 時間、週 7 日の記録を必要とする重要な統計だけをアーカイブします。
統計を一時停止することで、データ収集をやめて収集オーバーヘッドを除去できます。統計を短い間隔で収集すればニーズが十分満たせる場合、この方法が役立つことがあります (パフォーマンスのトラブルシューティングなど)。統計を有効化し、数分間待機したあとで「データセット」ビューのパワーアイコンをクリックして統計を一時停止します。一時停止されたデータセットは、あとで表示するためにデータを保持します。
動的統計を有効化および無効化するときは、静的統計を使用して全体のパフォーマンスに注意します。
ドリルダウンはすべてのイベントに対してオーバーヘッドを生じさせることに注意してください。たとえば、「クライアント deimos の秒あたりの NFSv3 操作数」をトレースしているが、deimos の NFSv3 アクティビティーが現在存在しないという場合があります。この状況は、この統計に実行オーバーヘッドが生じないことを意味するわけではありません。アプライアンスは NFSv3 の各イベントをトレースし、ホストを「deimos」と比較して、データをこのデータセットに記録する必要があるかどうかを確認します。ただし、すでにこの時点で大半の実行コストを費やしています。
一部の統計は、すでに保持されているオペレーティングシステムカウンタから取得し、これらは静的統計と呼ばれることがあります。これらの統計を収集しても、システムのパフォーマンスに及ぼす影響は無視できるほどです。この理由は、システムはすでにこの統計をある程度保持しているためです (これらは通常、オペレーティングシステムの Kstat という機能によって収集されます)。これらの統計の例を次に示します。
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BUI で表示するとき、上記のリストで「別の」というテキストが付いていないものは、「raw 統計として」と記載されていることがあります。
これらの統計は、実行コストは無視できるほど小さく、システム動作を広く全体的に見ることができるため、多くはデフォルトでアーカイブされています。デフォルト統計リストを参照してください。
これらの統計は動的に作成され、通常はシステムによって保持されません (これらは DTrace と呼ばれるオペレーティングシステム機能によって収集されます)。各イベントはトレースされ、このトレースデータは秒単位で統計に集約されます。したがって、この統計のコストはイベントの数に比例します。
アクティビティーが秒あたり 1000 件のときにディスクの詳細をトレースする場合、パフォーマンスに対して目に見えた影響を及ぼす可能性は低いですが、秒あたり 100,000 個のパケットを送出しているネットワークの詳細を測定する場合は、マイナスの影響を及ぼす可能性があります。収集される情報のタイプも 1 つの要因で、ファイル名とクライアント名をトレースすると、パフォーマンスへの影響が増加します。
動的統計の例を次に示します。
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「...」は任意のプロトコルを表します。
これらの統計の影響を判定するもっとも良い方法は、定常的な負荷の実行中に統計を有効および無効にすることです。定常的な負荷を加えるにはベンチマークソフトウェアを使用できます。この方法でパフォーマンスへの影響を計算する手順については、「タスク」を参照してください。