ビジネス・ユニットと参照データ・セットの連携の仕組み
参照データ共有を使用すると、セット対応参照データ(ジョブや等級など)をグループ化して、組織の様々な部分でデータを共有できます。
また、セットによって参照データをトランザクション・レベルでフィルタ処理できるため、特定のセットに割り当てられたデータのみを選択可能にできます。Oracle Fusion Human Capital Management (HCM)アプリケーションは参照データをフィルタ処理するために、トランザクションでビジネス・ユニットを使用します。Oracle Fusion HCMで参照データ共有を設定するには、ビジネス・ユニットおよびセットを作成し、そのセットをビジネス・ユニットに割り当てます。
共通セットと特定セット
組織内の一部の参照データがグローバルと見なされる場合、そのデータを企業全体で使用できるようにする必要があります。このタイプのデータは、事前定義済セットである共通セットに割り当てることができます。トランザクションでどのようなビジネス・ユニットが使用されるかに関係なく、トランザクションで使用されるビジネス・ユニットに対応するセットに割り当てられた参照データに加えて、共通セットに割り当てられた参照データも常に使用可能です。
それ以外のタイプの参照データは特定のビジネス・ユニットに固有のものである場合が多いため、データの使用をそれらのビジネス・ユニットに限定できます。この場合は、そのタイプのデータ専用のセットを作成し、そのセットをビジネス・ユニットに割り当てます。
ビジネス・ユニットへのセットの割当
参照データ・セットをビジネス・ユニットに割り当てる際には、すべての参照データ・タイプで使用されるデフォルト参照データ・セットをビジネス・ユニットに割り当てます。1つ以上のデータ・タイプについてセットの割当を上書きできます。
例: ビジネス・ユニットへのセットの割当
InFusion Corporationには、LightingとSecurityという2つのディビジョンがあり、各ディビジョンにはそれぞれ2つの事業所があります。各事業所には1つ以上のビジネス機能があります。
InFusion社はビジネス・ユニットの作成方法を選択する際に、「国およびビジネス機能」レベルで作成することに決定しました。したがって、次のビジネス・ユニットを作成しました。
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Sales_Japan
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Marketing_Japan
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Sales_US
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Sales_UK
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Marketing_India
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Sales_India
事業所、部門および等級は各ビジネス・ユニットに固有なので、InFusion社はこれらのタイプの参照データをビジネス・ユニット間で共有することは望みません。したがって、これらのタイプのデータを個別に設定できるように、各ビジネス・ユニットに対応する参照データ・セットを作成します。営業ビジネス機能内のジョブは複数の事業所で同じであるため、InFusionは「Jobs」という1つの追加セットを作成することにします。そして、Jobs参照データ・グループのセット割当を上書きし、それをJobsセットに割り当てます。これらの要件に基づいて、次のセットが作成されます。
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Sales_Japan_Set
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Mktg_Japan_Set
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Sales_US_Set
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Sales_UK_Set
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Mktg_India_Set
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Sales_India_Set
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Grades_Set
次の表に、InFusionの各ビジネス・ユニットに対するデフォルトのセット割当およびセット割当の上書きを示します。
ビジネス・ユニット |
デフォルトのセット割当 |
セット割当の上書き |
---|---|---|
Sales_Japan |
Sales_Japan_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Marketing_Japan |
Mktg_Japan_Set(等級、部門および事業所用) |
なし |
Sales_US |
Sales_US_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Sales_UK |
Sales_UK_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
Marketing_India |
Mktg_India_Set(等級、部門および事業所用) |
なし |
Sales_India |
Sales_India_Set(等級、部門および事業所用) |
Jobsセット(ジョブ用) |
InFusionは、ビジネス・ユニットの等級、部門および事業所を設定する際に、データを各ビジネス・ユニットのデフォルト・セットに割り当てます。ジョブを設定する際には、Jobsセットを割り当てて、組織全体で使用される可能性があるジョブには共通セットを割り当てます。
等級、部門および事業所をトランザクション・レベルで使用する場合、ユーザーは、トランザクションに入力したビジネス・ユニットに対応するセットからのデータに加え、共通セットに割り当てられたデータを選択できます。たとえば、Marketing_Japanビジネス・ユニットに関するトランザクションの場合は、Mktg_Japan_Setと共通セットから等級、事業所および部門を選択できます。
ジョブをトランザクション・レベルで使用する場合、ユーザーは、Salesビジネス・ユニットをトランザクションに入力するときにJobsセットと共通セットからジョブを選択できます。たとえば、マネージャがSales_Indiaビジネス・ユニットの従業員を雇用する場合は、Jobsセットと共通セットからのジョブが表示されるようにジョブ・リストがフィルタ処理されます。