16 JCS - SaaS Extensionを使用した開発用のIDEの構成

統合開発環境(IDE)に組み込まれたデプロイメント機能を含む複数のツールが、JCS - SaaS Extensionサービス・インスタンスを管理するために用意されています。Oracle JDeveloper、Oracle Enterprise Pack for Eclipse (OEPE)およびNetbeansというサポート対象の3つの各IDEを構成するために規定されたメソッドがあります。

これらのIDEは、正しく構成されていれば、非生産的なコンテキスト切替えを使用する必要なく、開発プロセスおよびデプロイメント・プロセスの一環としてJCS - SaaS Extensionインスタンスと対話できます。JCS - SaaS ExtensionとIDEの間のこのような強固な統合により、シームレスでより効率的な開発プロセスおよびデプロイメント・プロセスが可能になるため、開発者の生産性が劇的に向上します。

JCS - SaaS Extensionデプロイメント用のJDeveloperの構成

JCS - SaaS Extensionデプロイメント用のOracle JDeveloperを構成するには、Oracle JDeveloperをダウンロードし、複数のタスクを実行する必要があります。

注意:

Oracle JDeveloper IDEを使用してOracle Cloudで開発するには、Oracle JDeveloper Studio Editionバージョン11.1.1.7.1を使用する必要があります。これより新しいバージョンを含む他のOracle JDeveloperのバージョンの場合、Oracle Cloudの統合機能をサポートしていません。Oracle JDeveloper Studio Edition 11.1.1.7.1をOracle Technology Network (http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/jdev/downloads/jdeveloer111171-2183166.html)からダウンロードしてください。

インストール順序は、標準のJDeveloper 11.1.1.xオファリングと同じです。同様に、全体的なユーザーの操作性も一般的なJDeveloperと違いがありません。JDeveloper 11.1.1.7.1は、JDK 6 (Java 1.6.0.x)に依存しています。これより前または後のバージョンのJavaを使用しないでください。

JDeveloperをインストールした後、JCS - SaaS Extensionデプロイメントに対して2つのタスク・セットを実行する必要があります。

  • 最初に、IDEについては、JCS - SaaS Extensionに固有のアプリケーション・サーバー接続を作成する必要があります。接続の作成は、JCS - SaaS Extensionデプロイメント・ターゲットごとに1回実行するタスクです。

  • 2番目に、アプリケーションおよびプロジェクトについては、JCS - SaaS Extension環境におけるランタイムの依存性を満たすために必要な追加構成があります。これらのタスクは、アプリケーション・デプロイメントごとに1回実行します。

JCS - SaaS Extension接続の作成

Oracle JDeveloperを使用してJCS - SaaS Extension接続を作成する手順:

  1. 「ビュー」メニューからアプリケーション・サーバー・ナビゲータを開き、「アプリケーション・サーバー」を右クリックし、「新規アプリケーション・サーバー」を選択します。
    「アプリケーション・サーバー接続の作成」ウィザードが開きます。
  2. 「使用方法」ページで、「スタンドアロン・サーバー」を選択します。
  3. 「名前とタイプ」ページで、接続の名前を指定し、Oracle Cloudの接続タイプを選択します。
  4. 「認証」ページで、Oracle Java Cloud Serviceにサインアップしたときに受け取った管理者のユーザー名とパスワードを入力します。
  5. 「構成」ページで、データ・センターを選択し、Oracle Java Cloud Serviceインスタンスのアイデンティティ・ドメインおよびサービス名を入力します。

    注意:

    各サービスのサービス名は、マイ・サービスにログインした直後に、Oracle Cloudマイ・サービス・ダッシュボードの「マイ・サービス」ページに表示されます。ページの最上部の近くには、データ・センターも表示されます。
  6. 「テスト」ページで、接続をテストします。接続が正常に機能しない場合は、ウィザードの前のページに戻って構成を修正します。
  7. 「終了」をクリックします。
接続プロパティを後で編集するには、アプリケーション・サーバー・ナビゲータで、JCS - SaaS Extensionインスタンスへの接続を右クリックし、「プロパティ」を選択し、サーバー接続プロパティ・ダイアログ・ボックスを開きます。JDeveloperの使用経験のある開発者は、JCS - SaaS Extensionの接続定義タスクがアプリケーション・サーバー接続の設定と同じであることに気付くはずです。

アプリケーションおよびプロジェクト設定の構成

定義されたクラウド接続がJDeveloperに設定されている場合、他のタスクはアプリケーション・レベルで完了します。これらのタスクを実行することにより、アプリケーションをJCS - SaaS Extensionにデプロイできるよう準備します。

デプロイ対象のアプリケーション内のプロジェクトには、3つの追加構成タスクが必要です。
  • weblogic.xmlディスクリプタの作成および適切なコンテンツの追加

  • 各プロジェクトへのOracle Cloudテクノロジ・スコープの組込み

  • 正しいJCS - SaaS Extension SDが使用されていることの確認

アプリケーションおよびプロジェクト設定を構成する手順:

  1. weblogic.xmlデプロイメント・ディスクリプタ・ファイラを作成および移入します。
    1. 「アプリケーション・ナビゲータ」で、ディスクリプタを作成するプロジェクトを選択します。
    2. 新規ギャラリを開くには、「ファイル」「新規」の順に選択します。
    3. 「カテゴリ」ツリーで、「一般を展開し、「デプロイメント・ディスクリプタ」を選択します。「アイテム」リストで、WebLogicプロファイル・タイプを選択します。
    4. 「OK」をクリックします。
      ディスクリプタが作成されてプロジェクトに追加され、「WebLogicデプロイメント・ディスクリプタの作成」ダイアログ・ボックスが開きます。
    5. ダイアログ・ボックスで、weblogic.xmlを選択し、「Next」をクリックします。
    6. バージョン10.3を選択し、「Next」をクリックします。
    7. 「終了」をクリックします。
    これらのタスクにより、weblogic.xmlデプロイメント・ディスクリプタがプロジェクトに追加されます。必要に応じて、デプロイメント・ディスクリプタのデフォルト値を編集します。
  2. プロジェクトにOracle Cloudテクノロジ・スコープを追加します。
    1. 「アプリケーション・ナビゲータ」で、デプロイするコードが含まれるプロジェクトを右クリックし、「プロジェクト・プロパティ」を選択し、「プロジェクト・プロパティ」ダイアログ・ボックスを開きます。
    2. 「テクノロジ・スコープ」を選択し、Oracle Cloudテクノロジ・スコープを「使用可能」から「選択済」に移動してから、「OK」をクリックします。
    Oracle Cloudテクノロジ・スコープの追加は、JDeveloperプロジェクトへの他のテクノロジ・スコープの追加と違いがありません。

JCS - SaaS Extension SDKの更新

Oracle JDeveloperのクラウド専用リリースには、パッケージの一部としてJCS - SaaS Extension SDKのデフォルト・バージョンが含まれます。

Oracle Cloud My Servicesコンソールのバージョン番号は、ダウンロードしたSDKのバージョンと一致する必要があります。JCS - SaaS Extensionが更新されると、SDKの新しいリリースが使用可能になります。サービスのアップグレードについては、コンソールに通知されます。いくつかのステップで、SDKの更新済バージョンを使用するようJDeveloperを構成できます。
  1. JCS - SaaS Extension SDK (ZIPファイル)をダウンロードし、適切な場所に抽出します。
  2. Oracle JDeveloperで、最上位レベルの「ツール」メニューを選択してから、「プリファレンス」を選択して「プリファレンス」ダイアログ・ボックス を開き、「Oracle Cloud」ページに移動します。
  3. 抽出したSDKの最上位レベルのディレクトリにナビゲートし、「OK」をクリックします。

Oracle Enterprise Pack for Eclipseの構成

Oracle JDeveloperの場合と同様、Oracle Enterprise Pack for Eclipse (OEPE)は、JCS - SaaS Extensionにデプロイできるアプリケーションの開発をサポートする一連のプラグインによって強化されています。

OEPEをダウンロードするには、「Oracle Cloudのダウンロード」ページ(http://www.oracle.com/technetwork/topics/cloud/downloads/index.html)に移動します。「Oracle Java Cloud Service」の下にリストされているOracle Enterprise Pack for Eclipseをダウンロードします。サポートされているすべてのオペレーティング・システム・プラットフォームで使用可能なパッケージ以外にも、Oracle Mobile Application Framework (Oracle MAF)開発をサポートするツールを含めるオプションも用意されています。

JCS - SaaS Extensionデプロイメント用のOEPE環境を構成する手順:

  1. サーバーを作成するために、「サーバー」ビューで、右クリックして「新規」「サーバー」の順に選択します。
    または、「プリファレンス」のランタイム環境ペインで、Addをクリックします。サーバー・タイプ・ツリーを展開してから、「Oracle」を展開し、「Oracle Java Cloud Service」を選択します。「Next」をクリックします。
  2. Oracle Cloudターゲットの名前を入力します。次に、Oracle Cloud接続名の横で、「作成」をクリックします。
    Oracle Cloud接続ダイアログ・ボックスが開きます。
  3. ダイアログ・ボックスで、適切なデータ・センターを選択し、アイデンティティ・ドメイン、ユーザー名、パスワードおよび接続名を入力します。Finishをクリックします。

    注意:

    Oracle Cloudにサインアップした後、Oracle Java Cloud Serviceインスタンスへの接続を確立するためにここで入力するデータ・センター、アイデンティティ・ドメインおよびサーバー名に関する情報を受け取ります。
  4. Oracle Cloudアカウントがない場合、「サーバー」ビューで、Open an Oracle Cloud accountをクリックし、クラウド・アカウントを作成します。
  5. Oracle Cloudにサインアップし、JCS - SaaS Extensionインスタンスを作成するために受け取った管理者のユーザー名とパスワードを入力します。
  6. Cloud SDKフィールドで、使用するJCS - SaaS Extension SDKの最上位レベルのディレクトリの場所(ほとんどの場合、これはoracle-javacloud-sdkです)を入力するか、この場所を参照します。このディレクトリは有効な場所である必要があります。
  7. Oracle Cloudへの接続をテストするために、Test Connectionをクリックします。
  8. (オプション)アプリケーションをJCS - SaaS Extensionインスタンスにデプロイする前に、Perform whitelist scan prior to publishチェック・ボックスを選択し、アプリケーションのローカル・テストを可能にします。

    「クラウド・ターゲット」ページが表示されます。


    cloud_target.pngの説明が続きます
    図cloud_target.pngの説明
  9. 「Oracle Cloud」ページで必要な情報をすべて入力したら、Finishをクリックします。

Oracle Cloudの接続情報以外にも、「サーバー」ビューを使用して次の作業を行うこともできます。

  • Oracle Cloudにデプロイされているアプリケーションのステータスを確認します。

  • デプロイするワークスペース内のプロジェクトを選択します。デプロイされているアプリケーションを検出するには、「サーバー」「Oracle Cloud」、インスタンスの公開されたモジュールの順に展開します。

  • JCS - SaaS Extensionインスタンスからプロジェクトをアンデプロイします。

  • 追加のOracle Cloud構成オプションを表示します。オプションを表示するには、「サーバー」を右クリックし、「開く」を選択します。

Oracle Cloud Webプロジェクトの作成

Oracle Cloud Webプロジェクト・ウィザードは、必要なプロジェクト・ファセット、指定されたJCS - SaaS ExtensionインスタンスおよびローカルのOracle WebLogic Server接続を使用して動的Webプロジェクトを作成するための開始点です。プロジェクトを作成した後、別のプロジェクト・ファセットを追加できます。

Oracle Cloud Webプロジェクトを作成する手順:
  1. 新規ギャラリを開くには、メイン・メニューから、「ファイル」「新規」「その他」の順に選択します。
  2. 新規ギャラリで、「Oracle」「Cloud」Oracle Cloud Webプロジェクトの順に選択します。
  3. 「Next」をクリックします。
  4. ウィザードの次のページで、プロジェクトの名前およびワークスペースを指定します。オプションで、コンテンツのインポート元のWARファイルの場所を指定します。
  5. 「クラウド・ターゲット」ページで、既存のクラウド・ターゲットの使用をクリックし、前に作成したターゲットを使用するか、新しいクラウド・ターゲットの定義をクリックし、新しいクラウド・ターゲットを指定します。新しいOracle Cloudターゲットを定義する場合、ステップ6をスキップします。
  6. 「名前」フィールドで、Oracle Cloudターゲットの名前を入力するか、「参照」をクリックして名前を選択します。
  7. 「終了」をクリックします。
    新しいプロジェクトがプロジェクト・エクスプローラで作成されます。

    注意:

    次のステップが適用されるのは、ステップ5で新しいクラウド・ターゲットの定義オプションを選択した場合のみです。

  8. 「名前」フィールドにOracle Cloudターゲットの名前を入力するか、「参照」をクリックして名前を選択します。Oracle Cloudにサインアップした後、JCS - SaaS Extensionインスタンスへの接続を確立するためにここで入力するデータ・センター、アイデンティティ・ドメインおよびサーバー名に関する情報を受け取ります。Oracle Cloudアカウントがない場合、「Oracle Cloudアカウントを開く」を選択し、Oracle Cloudアカウントを開きます。
  9. Oracle Cloudにサインアップしたときに受け取った管理者のユーザー名とパスワードを入力します。
  10. Cloud SDKフィールドで、使用するJCS - SaaS Extension SDKの最上位レベルのディレクトリであるoracle-javacloud-sdkの場所を入力するか、この場所を参照します。このディレクトリは有効な場所である必要があります。
  11. Oracle Cloudへの接続をテストするために、「接続のテスト」をクリックします。
  12. (オプション)「公開前にホワイトリストのスキャンを実行」チェック・ボックスを選択し、アプリケーションがOracle Cloudに正常にデプロイされるかどうかをローカルでテストします。
    「クラウド・ターゲット」ページで必要な情報を入力したら、「Next」をクリックします。
  13. このページで、Oracle Cloudターゲット・サーバーの名前を入力してから、「Next」をクリックします。
  14. 追加および削除ページで、サーバー上で構成するリソースを指定し、「終了」をクリックします。

IDEで使用可能な他のJCS - SaaS Extension機能

JCS - SaaS Extensionとの他の相互作用は、Oracle JDeveloperおよびOEPE内から開始できます。

  • どちらのIDEでも、コンテキストを切り替えずに、アプリケーションをJCS - SaaS Extensionインスタンスにデプロイ、アンデプロイおよび再デプロイできます。

  • デプロイメント操作中、どちらのIDEでも、デプロイメント・ログが公開されるため、任意のエラーまたは欠落を素早く解決できます。

  • Oracle JDeveloperの場合、ホワイトリストの確認はデプロイメント操作の一環として参照できます。OEPEの場合、デプロイメント時のホワイトリストの確認以外にも、反復設計プロセス中の任意の時点でホワイトリストの確認を開始できます。

  • OEPEの場合、デプロイされたアプリケーションのランタイム・サービスのログを参照できます。この機能は、Oracle JDeveloperではまだサポートされていません。

JCS - SaaS Extension用のNetbeansの構成

Netbeans IDEを使用して、アプリケーションを開発してOracle Java Cloud Service - SaaS Extensionにデプロイできます。

JCS - SaaS Extension用にNetbeansを構成するには、NetbeansにOracle Cloudプラグインをインストールし、OTNからJCS - SaaS Extension SDKをダウンロードします。詳細は、「JCS - SaaS Extension SDK」を参照してください。

NetbeansにOracle Cloudプラグインをインストールする手順:

  1. Netbeansで、「ツール」「プラグイン」を選択し、プラグイン・マネージャ・ウィンドウを開きます。
  2. 「使用可能なプラグイン」タブをクリックしてから、検索フィールドで「Oracle Cloud」を検索します。
  3. チェック・ボックスを選択してから、「インストール」をクリックします。
これで、「ツール」メニューの「クラウド・プロバイダ」サブメニューにあるサポート対象のクラウド・プロバイダのリストの下に「Oracle Cloud」が表示されます。

NetbeansでのOracle Cloudの資格証明の登録

NetbeansでOracle Cloudプラグインの使用を開始する前に、Oracle Cloudの資格証明をIDEに登録する必要があります。

NetbeansにOracle Cloudの資格証明を登録する手順:
  1. Netbeansで、「ウィンドウ」「サービス」の順に選択し、サービス・ウィンドウを開きます。
  2. 「クラウド」ノードを右クリックしてから、「クラウドの追加」をクリックします。
  3. 「クラウドを選択」画面で、「Oracle Cloud」を選択し、「次」をクリックします。
  4. すべてのフィールドに入力します。「SDK」フィールドに入力するには、「構成」をクリックしてから、Oracle Java Cloud Service - SaaS Extension SDK JARファイルが含まれるフォルダを探します。
  5. ウィザードが終了するまで「次」をクリックします。
これで、Oracle Cloudプロバイダが「サービス」ウィンドウ内の「クラウド」ノードの下にリストされます。

注意:

「サービス」ウィンドウ内の「サーバー」の下にOracle Cloudリモート・サーバー・ノードのインスタンスもリストされます。このノードを展開すると、リモート・サーバー・インスタンスにデプロイされているアプリケーションのリストを表示できます。NetbeansでのOracle Cloudの構成の詳細は、公式のNetbeansのWebサイトにある「Oracle CloudでのWebアプリケーションの実行」を参照してください。