50 JCS - SaaS ExtensionとCPQ Cloudの相互作用のユースケースおよびパターン
このトピックでは、CPQ CloudとJCS - SaaS Extensionの相互作用の概要を示す、このような拡張のユースケースと設計パターンについて説明します。ここに示すユースケースとパターンは完全であることが目的ではなく、ある種の可能性の例です。
JCS - SaaS Extensionを使用したCPQ Cloudの拡張のユースケース
ビジネスの要件やニーズに固有の機能を構築したり、オンプレミスのレガシー・アプリケーションやOracle Cloud以外のアプリケーションとのマッシュアップを実行したり、あるいはOracleパートナとしてベース・アプリケーションに対する垂直型の業界向け拡張機能を構築したりするために、Oracle SaaSアプリケーションの拡張が必要な場合があります。
CPQ CloudなどのOracle SaaSアプリケーションは、アプリケーションのカスタマイズおよび拡張を可能にするREST API、RESTful標準、SOAP Webサービス1.0および2.0を介してオブジェクトを公開します。これらのオブジェクトを使用して、新しいUI要素の追加、検証の追加、 CPQ Cloudデータ・モデルのエンリッチ、外部アプリケーションを使用したインタフェースの作成を行うことができます。また、CPQ Cloudには、アプリケーションの動作を高度に制御するためにCPQ Cloud BigMachines Extensible Language (BML)インタフェースが用意されています。
これらのツールの強力な機能にもかかわらず、これらの拡張機能をCPQ Cloudの外部で構築し、これらをJCS - SaaS ExtensionなどのOracle PaaSオファリングにデプロイした方がよい場合があります。外部アプリケーションとの統合には、能力の強化、柔軟性の向上、および機能の増加などのメリットがありますが、作業量が増えたり複雑さが増したりする可能性があるなどの負の面も生じます。外部アプリケーションのオプションのメリットと欠点の両面を慎重に検討することが必要です。
このアプローチを採用する理由には、次のようなものがあります。
見積りと直接関係ないデータのCPQ Cloudでの表示
たとえば、営業担当が、顧客と商談をまとめる絶好の機会を得ており、見積りをできるだけ早く送信する必要がありますが、顧客は、製品が短納期で納品される場合のみ購入するとも約束しています。そのため、販売の成功率を上げるには、営業担当は、提案された製品の在庫が倉庫にあるかどうかを確認する必要があり、このために在庫の問合せができることが必要です。1つのオプションはWebサービスを使用するというものですが、多くの場合、セキュリティや他の制約が原因で、データはWebサービスとしては使用可能ではなく、ファイルとしての使用が可能です。このような制約を回避するための他のオプションは、(データ表を管理するためのアプリケーションの機能を使用して)データをCPQ Cloudでモデル化する方法です。しかし、このオプションは論理的でない可能性があります。この例では、在庫データは論理的にCPQ Cloudデータ・モデルに属していません。このようなシナリオでは、開発者が在庫データをOracle Database Cloud Serviceにロードし、JCS - SaaS Extensionで構築されたアプリケーションでそのデータを表示して、在庫システムからの結果をCPQ Cloudのカスタム・レイアウトに埋め込むかリンク・アウトすることができます(または、CPQ Cloud内のカスタム・オブジェクトからアクセスできるサービス・エンドポイントを提供します)。
CPQ Cloudツールで対応できないUIへのニーズ
たとえば、CPQ Cloudに用意されているものとは異なるUIウィジェットを使用して、アカウントおよび関連する連絡先をグラフィカル・ビューで表示することが必要な場合があります。場合によっては、別のアプリケーションのUI標準によって代替UIも必要であると要求されることがあります。たとえば、ERPシステムのポータルで、現在の四半期に関して承認された見積り情報を表示することにより、それに応じて生産を事前に計画できるようにする必要がある場合があります。この場合、ERPのUIにより、このUIのルック・アンド・フィールをJCS - SaaS Extension上に構築した後、これをポータル内に埋め込むことが要求されます。
各種アプリケーションにわたって再使用される共通のUIまたはWebサービスへのニーズ
たとえば、顧客に関連する情報を複数のアプリケーションから取得する社内の顧客レコードの包括的なビューなどがあります。このようなUIは、JCS - SaaS Extensionで構築してから、社内の各アプリケーションからリンク先として設定できます。もう1つの例として、モバイル・デバイス管理アプリケーション用として実行されるが、CPQ CloudやOracle Marketing Cloudからリンクされる、個人の検索と照合に必要なUIがあります。同様に、共通タスクを実行するWebサービスをJCS - SaaS Extensionにデプロイしてから、複数の異なるエンタープライズ・アプリケーションから起動することもできます。
CPQ Cloudを拡張するためのパターン
JCS - SaaS Extensionにデプロイされたアプリケーションを使用してCPQ CloudなどのSaaSサービスの機能を拡張する場合、設計パターンに関する次の考慮事項について検討する必要があります。
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新しい機能をどのようにアクセスして表示すべきか
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新しいアプリケーションに組み込むデータのソースは何か
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ユーザーが持つアクセス権は何か
これらの質問に対する回答は、アプリケーションの設計に影響します。
JCS - SaaS Extensionアプリケーションに対するCPQ Cloudのアクセスのパターン
JCS - SaaS Extensionにデプロイされたアプリケーションは、追加のUIを提供するか、データのフェッチおよび更新に使用できるWebサービスを提供することにより、CPQ Cloudに拡張機能を提供できます。それに応じて、CPQ Cloudは、この追加UIへのリンクまたは追加UIの埋込みを行ったり、既存の画面の一部としてデータをフェッチおよび更新するWebサービスを起動したりできます。
CPQ CloudにアクセスするJCS - SaaS Extensionアプリケーションのパターン
場合によっては、CPQ CloudのデータにアクセスするアプリケーションをJCS - SaaS Extensionで作成することが求められます。
たとえば、アクセスが制限されているかCPQ Cloudアカウントを持たないユーザーによって使用される、JCS - SaaS Extensionにデプロイされたアプリケーションにおいて、このユーザーがそのローカル・ユーザー・ロールに基づいて参照を許可されたデータを取得および表示できます。このアプリケーションでは、CPQ Cloud Webサービスを起動し、返されたデータをアプリケーションのユーザー・インタフェースで表示することもできます。