2顧客情報の管理
この章の内容は次のとおりです。
Customer Data Management Cloud: 概要
Oracle Customer Data Management Cloudには、顧客データとその品質を管理し、信頼できるマスター顧客プロファイルを作成できるように次の機能およびコンポーネントが備わっています。
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顧客情報を管理するための作業領域
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データ品質構成
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インポート・プロセス中のデータ品質管理機能
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重複識別、重複解決および住所クレンジング用の個別の作業領域
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階層管理用の作業領域
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データ・エンリッチメント機能
顧客情報管理
プロファイル、使用目的割当て、関係、分類、ソース・システム参照、階層メンバーシップ、リンクされたレコード、アカウント、担当者などの顧客情報を「組織」、「個人」および「グループ」作業領域で管理できます。それらの作業領域を使用して、顧客を作成することもできます。
データ品質構成
データ品質構成は、データ品質照合やクレンジングなどのデータ品質サービスが、リアルタイムおよびバッチ実行中にどのように実行されるかを定義します。データ品質サービスでは、これらの構成を使用し、埋込みデータ品質エンジンの適切なサービスを呼び出して、顧客データを統合、クレンジングおよびエンリッチします。
インポート・プロセス中のデータ品質管理
インポート・プロセスを構成すると、次のことが可能です。
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ロードされるデータ内の重複除去を定義します。
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ロードされるデータとレジストリに存在するレコードとを比較した重複除去を定義します。
重複を識別するための照合構成を選択し、インポート・プロセス中に重複レコードに対して実行する処理を指定することもできます。
重複識別、重複解決および住所クレンジング
重複識別では、データ入力中の重複、データ統合時の重複またはアプリケーション内にすでに存在するレコード間の重複の可能性を識別できます。
重複解決では、重複を直接マージするか、またはマージやリンクなどの重複解決要求を作成して、重複を解決できます。重複解決要求は、検証、承認または拒否することや、後で処理することが可能です。
住所クレンジングを使用すると、レジストリに存在する住所データをクレンジングでき、時間が経過してもデータの正確性が確保されます。リアルタイムの住所クレンジングによって、ソース・システムからの入力データがターゲット・システムと同じ規則に従うことが確実になり、情報の一貫性が維持されます。
階層管理
顧客の階層を多数のビジネス・プロセスで活用できます。たとえば、この階層管理機能を使用して、顧客の法人階層を取得し、本店、支店、子会社などの関連を示すことができます。ある顧客からの支払処理に法人階層情報を使用し、それを同じ階層内の別の顧客に適用できます。
データ・エンリッチメント
この機能を使用して、アカウント・データおよび担当者データをエンリッチし、包括的なものにできます。データ・エンリッチメントによって、既存のアカウント・データまたは担当者データ、住所情報が追加情報でそのデータがエンリッチされるだけでなく、それらの品質が向上します。
組織情報の管理: 説明
Oracle Customer Data Management Cloudでは、企業組織や専門機関などの様々なタイプの法人顧客の情報を管理するための組織エンティティが提供されています。
組織は、その組織と別のエンティティとのビジネス上の関係とは独立して存在します。たとえば、1つの組織が様々なビジネス上の関係を持つことができ(購買や販売など)、アプリケーション全体での各種ビジネス・フローで別のものとして参照されることがあります(顧客やサプライヤなど)。一部のOracle Cloudアプリケーションでは、組織はアカウントとして参照されます。
「組織」作業領域を使用して、組織の検索、様々なシステムからの組織データの取得、データのレビューおよびデータの編集を行うことができます。「組織」作業領域では、プロファイル、使用目的割当て、関係、分類、ソース・システム参照、階層メンバーシップ、リンクされたレコードなどの、様々なタイプの組織情報を管理するための個別のタブも提供されています。
組織の作成
組織を作成するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「組織」を選択して、「組織」作業領域に移動します。
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「作成」処理メニュー・オプションまたはボタンをクリックします。
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必須フィールドに入力します。次のサンプル・データを入力します。
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使用目的: 関係者。
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名前: Green Corp。
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登録ID: この値は自動的に入力されます。ただし、任意の一意の識別子で上書きできます。
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必要に応じて「保存してクローズ」または「保存して編集」をクリックします。
組織の編集
組織を編集するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「組織」を選択して、「組織」作業領域に移動します。
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編集する組織を検索して選択します。組織の名前や登録IDなどの基準を入力することによって検索できます。保存済検索を使用することもできます。
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編集する組織を「検索結果」領域から選択し、その名前や登録IDをクリックすると、「組織の編集」ページに移動します。
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「組織の編集」ページで、使用目的割当て、関係、ソース・システム参照、分類、リンクされたレコードなど、その組織の詳細を編集できます。
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「保存してクローズ」をクリックします。
個人情報の管理: 説明
Oracle Customer Data Management Cloudには、様々なタイプの個別の顧客およびビジネス担当者を管理できるように個人エンティティが備わっています。
個人は、その個人と別のエンティティとのビジネス上の関係とは独立して存在します。たとえば、1つの個人が様々なビジネス上の関係を持つことができ(購買や販売など)、アプリケーション全体での各種ビジネス・フローで別のものとして参照されることがあります(顧客やサプライヤなど)。一部のOracle Cloudアプリケーションでは、個人はアカウントとして参照されます。
「個人」作業領域を使用して、個人の検索、様々なシステムからの個人データの取得、データのレビューおよびデータの編集を行うことができます。「個人」作業領域では、プロファイル、使用目的割当て、関係、分類、ソース・システム参照、階層メンバーシップ、リンクされたレコードなどの、様々なタイプの個人情報を管理するための個別のタブも提供されています。
個人の作成
個人を作成するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「個人」を選択して、「個人」作業領域に移動します。
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「作成」処理メニュー・オプションまたはボタンをクリックします。
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必須フィールドに入力します。次のサンプル・データを入力します。
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使用目的: 担当者
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名: Andrew
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姓: Flintoff
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必要に応じて「保存してクローズ」または「保存して編集」をクリックします。
個人の編集
個人を編集するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「個人」を選択して、「個人」作業領域に移動します。
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編集する個人を検索して選択します。個人の名前や登録IDなどの基準を入力することによって検索できます。保存済検索を使用することもできます。
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編集する個人を「検索結果」領域から選択し、その名前や登録IDをクリックすると、「個人の編集」ページに移動します。
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「個人の編集」ページで、使用目的割当て、関係、ソース・システム参照、分類、リンクされたレコードなど、その個人の詳細を編集できます。
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「保存してクローズ」をクリックします。
グループ情報の管理: 説明
Oracle Customer Data Management Cloudには、個人および組織の集合で構成される顧客レコードを作成し、他のエンティティとビジネス上の関係を持つことができるようにするグループ・エンティティが備わっています。グループは商談およびリードに割り当てることができます。
グループには、基本情報(名前、タイプ、認証レベルなど)および子エンティティ(グループ・メンバー、関係、分類、連絡方法など)が含まれています。「夫婦」、「世帯」、「共同所有権」などのグループ・タイプにより、その目的に基づいてグループが分類されます。「グループ」作業領域では、プロファイル、使用目的割当て、関係、ソース・システム参照、リンクされたパーティなどの、様々なタイプのグループ情報を管理するための個別のタブが提供されています。
グループ・メンバー
グループ・メンバーは、個人または組織であり、それらのメンバー・タイプ属性によりメンバーとグループとの関係が定義されます。たとえば、「グループ担当者」タイプのメンバーは、グループの担当者です。「グループ」作業領域の「プロファイル」タブから、グループのメンバーを管理できます。
グループの作成
グループを作成するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「グループ」を選択して、「グループ」作業領域に移動します。
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「作成」処理メニュー・オプションまたはボタンをクリックします。
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必須フィールドに入力します。次のサンプル・データを入力します。
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名前: John and Family
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使用目的: 関係者
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タイプ: 世帯
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必要に応じて「保存してクローズ」または「保存して編集」をクリックします。
グループの編集
グループを編集するには、次の手順に従います。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」→「グループ」を選択して、「グループ」作業領域に移動します。
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編集するグループを検索して選択します。グループの名前、登録ID、タイプなどの基準を入力することによって検索できます。保存済検索を使用することもできます。
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編集するグループを「検索結果」領域から選択し、その識別子をクリックすると、「グループの編集」ページに移動します。
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「グループの編集」ページで、新しいグループ・メンバーを追加したり、使用目的割当て、関係、ソース・システム参照、分類、リンクされたレコードなど、そのグループの詳細を編集できます。
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「保存してクローズ」をクリックします。
プロファイル: 説明
顧客エンティティ(グループ、個人または組織)のプロファイルには、顧客の詳細、追加名、追加識別子、住所、連絡先などの情報が含まれています。
組織の財務詳細や銀行詳細などの一部のプロファイル属性を除いて、ほとんどの顧客プロファイル情報をレコードの作成時に追加できます。エンティティのそれらのプロファイル属性は、そのエンティティの編集ページ(「グループの編集」、「個人の編集」、「組織の編集」など)から編集できます。エンティティの編集ページでは、そのエンティティのプライマリ連絡先または住所を設定できます。
Oracle Applications Cloudでは、顧客プロファイルに対する変更の履歴が保持されていて、それを「プロファイル履歴」ページで参照できます。
一部のプロファイル属性(認証やプライマリ担当者の詳細など)は、すべてのエンティティ・タイプおよび使用目的に共通です。ただし、その他の一部の属性は顧客タイプに固有です。これらは次のとおりです。
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組織: 名前、組織情報、認証情報、法的情報および担当者詳細が含まれます。
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個人: 名前、住所、担当者情報などの個人詳細が含まれます。
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グループ: 名前、グループ情報およびグループ・メンバーが含まれます。
プロファイル履歴の追跡: 説明
顧客エンティティ(グループ、個人または組織)のプロファイルおよびプロファイル属性は、複数の様々なソース・システムからのデータの統合を目的とした重複識別と解決のアクティビティの結果、時間の経過に伴って発展する場合があります。Oracle Cloudアプリケーションでは、顧客エンティティのプロファイルに対する変更の履歴が保持されていて、そのエンティティの編集ページの「プロファイル履歴」タブでその履歴を参照できます。
プロファイル履歴の追跡の有効化
プロファイル・オプション: ZCH_ENABLE_SURVIVORSHIPを「はい」に設定して、プロファイル履歴の追跡を有効にします。
プロファイル履歴情報の表示
顧客エンティティのプロファイル履歴情報を参照するには、次のように、特定のエンティティ・レコードに移動します。
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「データ・スチュワード」や「データ・スチュワード・マネージャ」など、Customer Data Management Cloudユーザーとしてサイン・インします。
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「ナビゲータ」→「顧客データ管理」で「グループ」、「個人」または「組織」などの、該当する作業領域に移動します。
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レコードを検索します。名前、登録ID、タイプなどの基準を入力することによって検索できます。保存済検索を使用することもできます。
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レコードを「検索結果」領域から選択し、その名前または識別子をクリックすると、該当する「編集」ページに移動します。「組織の編集」(アカウント)、「個人の編集」(担当者)または「グループの編集」(世帯)ページが表示されます。
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「プロファイル履歴」タブをクリックします。
「プロファイル履歴」タブで、「日付: 自」および「日付: 至」のフィルタを使用すると、日付範囲内のプロファイル履歴を表示できます。現在、過去および将来の日付のレコードは、日付の降順でソートされることに注意してください。1日のうちに複数の変更が加えられた場合は、指定日の変更順序と有効日を使用して、最新のレコードを判断します。プロファイル履歴情報には、名前、法的ステータス、サイズなど、変更済の属性も含まれます。
変更詳細
変更詳細には、1日のうちに行われた複数の変更が含まれ、また、トランザクションで使用可能なレコードを示します。名前、法的ステータス、サイズなど、様々な属性の以前の値と新規の値も表示されます。
プロファイル履歴情報と変更詳細の両方をスプレッドシートにエクスポートできます。
使用目的割当て: 説明
「使用目的割当」では、アプリケーション全体でエンティティをどのように使用できるか、およびビジネス・フローでどのように使用できるかを説明します。エンティティは複数の使用目的割当て(「パートナ」、「顧客」など)を持つことができます。エンティティの使用目的割当ては、選択したエンティティの編集ページ(「グループの編集」、「個人の編集」、「組織の編集」など)から管理できます。「グループ」、「個人」または「組織」の作業領域で、必要なレコードを検索することによって、その編集ページに移動できます。
使用目的割当てには2つのタイプがあります。
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条件付きの使用目的割当て
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無条件の使用目的割当て
条件付きの使用目的割当て
条件付きの使用目的割当てでは、ビジネス・イベントが発生することが必要です。たとえば、個人をグループの担当者として追加すると、その個人に対して担当者使用目的が作成されます。
条件付きの使用目的割当てにルールを割り当てて、ビジネス・イベントを定義できます。次の4つのタイプのルールがあります。
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割当ルール: 使用目的をどのように割り当てることができて、どのように割り当てることができないかを定義します。
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排他ルール: 指定した日付範囲の間、割当てが許可される使用目的が、その使用目的のみとなるように使用目的割当てを制限します。
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非互換ルール: 1つの日付範囲の間に同時に割り当てることができない使用目的を指定します。
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遷移ルール: 作成または編集中の使用目的に、どの使用目的から遷移できるかを定義します。
無条件の使用目的割当て
無条件の使用目的割当ての更新には、ビジネス・イベントは必要ありません。たとえば、組織の使用目的を関係者から顧客に更新できます。
関係の管理: 説明
従業員、雇用主、担当者、組織などの様々なエンティティ間の複雑な実際の関係を、選択したエンティティの編集ページ(「グループの編集」、「個人の編集」、「組織の編集」など)で管理できます。「グループ」、「個人」または「組織」の作業領域で、必要なレコードを検索することによって、その編集ページに移動できます。Oracle Applications Cloudでは、関係とは、別のエンティティのコンテキストにおけるそのエンティティのロールです。
各関係について、次のことを定義する必要があります。
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関連タイプ(雇用や子会社など)。
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関係ロールのペア(従業員と雇用主など)。
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関係フレーズのペア(従業員と雇用主など)
エンティティの編集ページで、次のことができます。
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コンテキスト内のエンティティのすべての関係を表示します。
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各関係の関係ロール、関連パーティ名、および関係の開始日と終了日を指定することによって、エンティティの関係を作成します。
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関係の付加フレックスフィールドを使用して取得された終了日情報および追加情報を変更します。
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関係を削除して非アクティブにします。
ソース・システム参照の管理: 説明
ソース・システムは、エンティティ・レコードおよびその他の関連データのインポート元となるあらゆるデータ・ソースです。ソース・システム参照は、レコードのソース・システムの一意の識別子と、Oracle Applications Cloudでのそのレコードの一意の識別子との間の相互参照です。
Oracle Applications Cloudでのソース・システム参照
組織では、複数のソフトウェア・アプリケーションを使用して、ビジネスを運営します。これらのアプリケーションは、様々なベンダーによって提供され、様々なデータベースで実行されるため、次の問題が発生する可能性があります。
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システム間でレコードやデータが重複します。
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レコードの論理的表現または構造が異なる場合があります。
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論理的表現の違いにより、異なるシステムのデータの同期化を維持し、連結ビューを生成し、システム間でデータを共有することが非常に複雑になります。
これらの問題は、Oracle Applications Cloudで次のように解決できます。
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複数の外部ソース・システムをソース・システムとして定義します。ソース・システムを定義するとき、ソース・システムのタイプを指定できます。ソース・システムは、レガシー・システムなどのスポーク・システム、またはサード・パーティ・プロバイダからのデータなどの購入済システムとなります。特定のソース・システムからインポートできるオブジェクト(パーティのみ、パーティと担当者など)を指定することもできます
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次のことを実行して、Oracle Applications Cloudデータベースで1つまたは複数のソース・システムからレコードを作成します。
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マスター・レコードを作成します。複数のソース・システム参照では、複数のソース・システムからインポートされた複数の重複レコードをマージまたはリンクして、1つのマスター・レコードを作成できます。
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各ソース・システム・レコード用のレコードを作成します。複数のソース・システム参照を許可しない場合は、ソース・システム・レコードごとに1つのレコードが作成されます。つまり、データベース内に重複レコードが作成される可能性があります。
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相互参照とも呼ばれるソース・システム参照を使用して、連結ビューを提供します。グローバル・アイデンティティの中央登録、ソース・システムのマスター・データへのリンク、変換ルールのリスト、および照合の支援に必要となる情報のマイナー・サブセットを管理できます。実行時に、ソース・システムのマスター・データにアクセスし、ある時点での連結ビューを組み立てることができます。
ソース・システムの管理
Oracle Applications Cloudでは、次のことを実行できます。
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コンテキストのパーティに関与しているソース・システムを「参照ソース・システム」表で表示します。
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「参照ソース・システム」表から選択したソースのパーティの子エンティティに関するソース・システム識別子情報を表示します。
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ソース・システム識別子を削除して、そのソース・システム参照のステータスを非アクティブに変更します。
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ソース・システム識別子を追加して、新しいソース・システム参照を含めます。