オンデマンド・オンボーディング
Oracle Data Cloudプラットフォームのオンデマンド・オンボーディング機能を使用すると、データ・ウェアハウス、CRMデータベースまたはその他の任意のオフライン・ソースに格納されたユーザー・データを、ユーザー・データAPI経由で、いつでも独立してオンボーディングおよびアクティブ化できます。オフライン・ソースでモデルやアナリティクスを実行してユーザーをセグメント化した後、必要に応じていつでもその属性をプラットフォームに直接インポートできます。オフライン・データはアクティブ化のためにプラットフォームに追加されます。
オンデマンド・オンボーディングを使用すると、次のことを実行できます。
- オフライン・ソースのプラットフォームへの接続: IDスワップとユーザー・データAPIのインテグレーションを使用して、オフライン・ソースとプラットフォームを接続します。
- 任意の時点でのユーザーのアクティブ化: 製品SKU、記事、モデルおよびアナリティクスに応じてユーザーをセグメント化した後、その属性をユーザー・データAPI経由でプラットフォームにオンボーディングすることで、即座にアクティブ化します。
- 高速で柔軟なアドホック・ターゲッティング: パフォーマンスが想定を上回るコンテンツやSKUを迅速にオンボーディングします。
オンデマンド・オンボーディングを使用するには、Oracle Data Cloudコア・タグをサイトにデプロイします。サイトにユーザーがログオンするとき、Oracle Data Cloudコア・タグによって、匿名の一意のユーザーID (UUID)がプラットフォームに送信されます。ユーザーのオフライン属性とタクソノミに追加したカテゴリをマッピングするための分類ルールを記述した後、ユーザーのIDとオフライン属性を使用してユーザー・データAPIをコールします。プラットフォームによってユーザーのオフライン属性がそのオンライン・プロファイルに追加され、そのプロファイルは、UUIDに同期されます。これにより、プラットフォームで、オフライン・ユーザー属性を表すカテゴリをターゲットし、複数のメディア実行プラットフォームをまたいで、それを配信できます。
次の図は、オンデマンド・オンボーディング・プロセスを示しています。
Oracle Data Cloudコア・タグのデプロイ
Oracle Data Cloudコア・タグを使用すると、Cookie IDによって匿名的にサイト訪問者を識別できます。Oracle Data Cloudコア・タグには、サイトからUUIDを収集してOracle Data Cloudプラットフォームに送信するためのHTMLとJavaScriptのコードが含まれています。
プラットフォームでは、UUIDを受信すると、それをOracle ID Graph内で互いにリンクされたユーザー・プロファイルのネットワークと同期します。Oracle ID Graphは、すべてのプラットフォームの顧客のIDとユーザー属性を管理するために使用します。UUIDがID Graphと同期された後、ユーザー・データAPIを使用して、ユーザーのオフライン属性をプラットフォームに送信できます。
Oracle Data Cloudコア・タグをサイトにすでにデプロイしている場合は、bk_addPageCtx
関数を使用してUUIDをプラットフォームに渡すために、phintを追加できます。
Oracle Data Cloudコア・タグを作成してサイトにデプロイするには:
- コンテナを作成して、サイトとOracle Data Cloudプラットフォームを関連付ける一意のサイトIDを生成します。Oracle Data Cloudコア・タグが発火されると、サイトIDによって、UUIDが自分のものであることがプラットフォームで認識されるようにできます。
Setting 値 Name "ID Swap Container for On-Demand Onboard"など、コンテナの機能を識別しやすい名前を入力します。 List Type 「Country List」で選択されている国にIPアドレスをマッピングして、ユーザーのデータ収集と配信をホワイトリスト登録(有効)またはブラックリスト登録(無効)します。
ホワイトリスト登録を使用して、小さな国セットのデータ収集/配信を有効にします(選択されていない国はいずれも無効になります)。ブラックリスト登録を使用して、小さな国セットを無効にします。デフォルトでは、オランダはブラックリストに登録されています。
EUデータをオンボーディングするデータ・プロバイダ。所在地が欧州連合(EU)であるユーザー・プロファイルのデータをオンボーディングするには、オラクル社の一般データ保護規則(GDPR)への利用許諾書に署名する必要があります。契約に署名しておらず、コンテナまたはEUの1か国以上を構成する場合は、EU以外の国に対してのみアクセスできるコンテナが作成されます。この契約を取得して署名するには、オラクル社のアカウント担当者にお問い合せください。
Country List 選択した「List Type」に基づいてホワイトリスト登録またはブラックリスト登録する国または地域を1つ以上選択します。EU地域を選択することにより、EU内のすべての国を選択できます。
Default Auction Limit サードパーティ・ピクセルを発火するためにサイトに割り当てられるスロットの数として、0を入力します。これは、プラットフォームとのIDスワップ実行時の標準的な制限です。 Campaign Access デフォルト(「Only Me」)にしてください。 - 「Save and Generate Code」をクリックします。
- 「Generate Code」ダイアログで、Oracle Data Cloudコア・タグ・コードを生成します。コンテナAPIを使用してコンテナを作成した場合は、次に示すOracle Data Cloudコア・タグ・サンプルをコピーして構成できます。
- Oracle Data Cloudコア・タグには、次の設定を使用します。
設定 値 Tag Type デフォルトの「Synchronous」タグ・タイプにしてください。 Site ID タグがデプロイされるページのHTTPプロトコル(HTTPまたはHTTPS)を選択します。SSLを使用するWebページに対しては、常にセキュアIDスワップ・タグ(HTTPS)を使用します。 Protocol デフォルトの「Only Me」にしてください。 Add Phints 「Add a Phint」をクリックした後、キーのボックスに id
(またはOracle Data CloudプラットフォームでUUIDを識別するための別のキー)を入力します。重要: キーでは英数字とアンダースコアのみがサポートされます。ピリオド、ダッシュなどのその他の文字は一切含めないでください。
- 「Copy」をクリックした後、サイトの終了</body>タグの前に、Oracle Data Cloudコア・タグのコードを貼り付けます。次の例は、サイトに追加するOracle Data Cloudコア・タグを示しています。
<!-- Begin Oracle Data Cloud core tag -->
<iframe name="__bkframe" height="0" width="0" frameborder="0" style="display:none;position:absolute;clip:rect(0px 0px 0px 0px)" src="about:blank"></iframe>
<script type="text/javascript" src="http://tags.bkrtx.com/js/bk-coretag.js"></script>
<script type="text/javascript">bk_addPageCtx('id', {UUID});bk_doJSTag(YOUR_SITE_ID, 1);</script>
<!-- End Oracle Data Cloud core tag --> - UUIDを
bk_addPageCtx
関数に渡すためのコードを追加します。 id
以外のUUIDキーを使用する場合は、サイトIDとUUIDキー・タイプを添えてMy Oracle Support (MOS)にお問い合せください。
オフライン・データの分類
Oracle Data Cloudプラットフォームにオフライン・ユーザー属性をインポートするには:
- プラットフォームに渡すキーと値の概要を示すデータ・マップを作成します。
- オフライン・ファイルのユーザー属性をプラットフォームのタクソノミにマッピングするカテゴリおよび分類ルールを作成します。
データ・マップの作成
収集するオフライン・ユーザー属性を編成して分類プロセスの促進に役立てるには、データ・マップを作成します。データ・マップによって、タクソノミにおけるオフライン・ユーザー属性の編成方法の概要が示されます。またこれは、オフライン・データを収集するために必要なすべてのカテゴリおよび分類ルールを作成したことを確認するために使用できるチェックリストとしても機能します。
データ・マップによって、次のことが行われます。
- オフライン・ファイルで使用する属性キーのセットを定義します。
- 必要に応じて、各属性キーに使用される一連の値を定義し、それを判読可能なカテゴリ名に関連付けます。
- 一連の属性キーの間に階層関係(ある場合)を定義します。
重要: キーでは英数字とアンダースコアのみがサポートされます。ピリオド、ダッシュなどのその他の文字は一切含めないでください。
たとえば、ユーザーが購入の意思を示した自動車のメーカーおよびモデルを収集する、自動車購入サイトを考えます。Makeノードのキーと値のペアの構文は、MA100=[VALUE]となります。このノードのキーと値のペアの例を次に示します。
- MA100=Honda
- MA100=Acura
- MA100=Toyota
Modelノードのキーと値のペアの構文は、MA110=[VALUE]となります。前述の例のMakeノードに基づき、Modelノードのキーと値のペアの例は次のようになります。
- MA110=Accord
- MA110=Civic
- MA110=TL
- MA110=TSX
- MA110=Corolla
- MA110=Camry
ブランドの値がエンコードされている(たとえば、Honda、AcuraおよびToyotaではなく23098、21409、57983を渡す)場合、プラットフォームではこれらのエンコードされた値に対する、判読可能なカテゴリ名を必要とします。たとえば、次の変換を使用できます。
- MA110=23098 ->Honda
- MA110=21409 ->Acura
- MA110=57983 ->Toyota
このサイトには、次のデータ・マップを作成できます。
キー | キーの解釈 | 値 | 値の変換(カテゴリ名) |
---|---|---|---|
MA100 |
Make |
Honda |
Honda |
MA100 |
Make |
21409 |
Acura |
MA100 |
Make |
57983 |
Toyota |
MA110 |
Make>Model |
Accord |
Honda>Accord |
MA110 |
Make>Model |
89065 |
Honda>Civic |
MA110 |
Make>Model |
TL |
Acura>TL |
MA110 |
Make>Model |
TSX |
Acura>TSX |
MA110 |
Make>Model |
Corolla |
Toyota>Corolla |
MA110 |
Make>Model |
Camry |
Toyota>Camry |
カテゴリと分類ルールの作成
カテゴリは、同じ属性(スマートフォン購入者など)を持つユーザーのコレクションです。分類ルールによって、オフライン・ファイルから抽出されたユーザー属性が、プラットフォーム・タクソノミのカテゴリにマッピングされます。
ユーザーが実店舗でスマートフォンを購入したとします。オフライン・ファイルには、このユーザーに対してpurchase=smartphoneという属性が含まれます。このオフライン属性は、Oracle Data Cloudプラットフォームにインポートされたとき、purchase is smartphoneの場合、ユーザーをSmartphoneカテゴリに追加する、という分類ルールを介して、タクソノミのPast Purchases > Smartphoneカテゴリにマッピングできます。
Oracle Data CloudプラットフォームのUIには、カテゴリとルールを作成するためのTaxonomy Managerが含まれています。また、カテゴリAPIとルールAPIを使用して、これらをプログラマティックに作成することもできます。
コンサルティング・サービスをご購入の場合は、Oracle Data Cloudの分類およびタクソノミ・チームによるタクソノミ構築支援を受けることができます。
ユーザー・データAPIのコール
ユーザー・データAPIは、Oracle Data Cloudプラットフォームにユーザー・データをプログラマティックに転送するために使用できるサーバーサイドAPIです。ユーザーをIDスワップし、そのオフライン属性を分類した後、ユーザー・データAPIをコールします。このとき、サイトID、自分のUUID、それらとともにOracle Data Cloudコア・タグ(id
など)に含めて受け渡したキー、およびユーザーにそのオフライン属性でタグ付けするキーと値のペア(phint)を指定します。
ユーザーIDは、Oracle Data Cloudコア・タグで渡したものと照合され、記述した分類ルールによって、ユーザーのオフライン属性が、タクソノミに追加したカテゴリに自動的にマッピングされます。これにより、オフライン・データについて、Oracle Data Cloudプラットフォームでのターゲッティング、最適化、モデリングおよび分析の準備が整います。
たとえば、次のユーザー・データAPIコールでは、IDスワップに使用されるサイトID ("15433")が含まれ、puserid
フィールドでUUID ("12345")、pfield
でキー(id
)が渡され、ユーザーは属性("purchase = smartphone")でタグ付けされます。
http://api.tags.bluekai.com/getdata/15433/v1.2?puserid=12345&pfield=id&bkuid=a3c18b227976ad07da5d679c7259f726631d39cf49252926407dc05c3e8be643&bksig=uBtWOAzM6cduAbEeaQoU6%2BkNUL87%2Brxudio2DC00Y5c%3D&phint=purchase=smartphone
重要: ユーザー・データAPIでは、ユーザーごとに1コール、1秒当たり約1000コールがサポートされます。ユーザー・データAPIにはバッチ機能は含まれていません。属性の収集対象となるユーザーごとに、個別のAPIコールを実行する必要があります。たとえば、Oracle Data Cloudプラットフォームに100万ユーザーの属性をインポートする場合は、ユーザー・データAPIへのコールを100万回実行する必要があります。詳細は、ユーザー・データAPIを参照してください。
オフライン・データをオンボーディングするためのユーザー・データAPIをコールした後、オフライン・ユーザー属性を表すカテゴリをターゲット・オーディエンスに追加し、複数のメディア実行プラットフォームをまたいで、そのオーディエンスを配信できます。
Webアナリティクスのオンデマンド・オンボーディング
オンデマンド・オンボーディングを使用して、Webアナリティクスのデータをプラットフォームに収集できます。Webアナリティクスのオンデマンド・オンボーディングを使用すると、イベント(インプレッション、クリックおよびコンバージョン)、ページ・ビューの期間、訪問者のリーセンシ、訪問者の頻度などのWebデータに基づいてユーザーをセグメント化した後、これらの属性をプラットフォーム・タクソノミのカテゴリにインポートできます。その後、新しいWebアナリティクスベースのカテゴリを、ターゲッティング、最適化、モデリングおよび分析に使用できます。
オンデマンド・オンボーディングを使用してWebデータを収集するプロセスは、オフライン・データを収集するプロセスと似ていますが、タグ管理ツールを使用して、ユーザーの匿名の暗号化された一意のユーザーID (BKUUID)をWebアナリティクス・プラットフォームに送信する、IDスワップ・タグ(ピクセル)をデプロイすることが異なります。Webアナリティクス・プラットフォームから、ユーザーのBKUUIDとWebデータが含まれたファイルをエクスポートした後、そのBKUUIDをユーザー・データAPIのコールで渡します。
Webアナリティクスのオンデマンド・オンボーディングでは、カスタム外部ユーザー ID (Adobe Site Catalystなど)を受信できるすべての主要なWebアナリティクス・プロパティがサポートされます。Webアナリティクス・プラットフォームでBKUUIDの送信先にするドメインを確認してください。
Webアナリティクスのオンデマンド・オンボーディングを使用するには:
- コンテナを作成して、サイトとOracle Data Cloudプラットフォームを関連付ける一意のサイトIDを生成します。
- 「Manage」→「Tags」を選択します。
- 「Create New」をクリックして、新しいタグを作成します。
- 「Name」ボックスで、タグ・スケジュールのわかりやすい名前(たとえば、"ID Swap Schedule - On-Demand Onboard for Web Analytics")を入力します。
- 「HTML」ボックスに、次の構文でIDスワップ・ピクセルを入力します。
<img src="YOUR_WEB_ANALYTICS_PLATFORM?bk_uuid=$_BK_UUID" height = "1" width="1">
$_BK_UUID
マクロによってユーザーのBKUUID (16文字の、特殊文字が含まれる可能性がある英数字のID)が取得され、これが、Webアナリティクス・プラットフォームに対するコールで渡されます。 - 「Save」をクリックします。
- 「Manage」→「Schedules」を選択します。
- 「Create New」→「create a new schedule」をクリックし、10日ごとにユーザーに対するIDスワップ・タグが発火されるようにします。
- 「Tag Selection」で、IDスワップ・タグを選択します。
-
「Schedule Settings」の「General」設定で、次の値を入力します。
設定 値 Status Active Priority 100 Start Date IDスワップ・タグの発火を開始する日付を入力します End Date 空白のまま -
「Advanced」設定に、次の値を入力します。
詳細設定 値 Inside iFrame Enabled Override: Tag Avg. Latency Limit (ms) 5000 Override: Max Tag Execution Time (ms) 1000 Frequency 10日ごとに1回 - 「Save」をクリックします。
- IDスワップ・タグをモニタリングして、適切なタイミングで発火されることを確認します。
- 特定の期間にタグによって生成されるヒットの合計数を確認するために、タグ・レポートを生成します。
- Webアナリティクス・データを分類します。
- Webアナリティクス・プラットフォームで、対象とするセグメントのBKUUIDを持つユーザーの問合せを実行し、それらのファイルが含まれたファイルをエクスポートします。次に、プログラマティックにBKUUIDとWebアナリティクス・ベースのユーザー属性をユーザー・データAPIへのコールにフィードします。
- ユーザー・データAPIをコールします。Webアナリティクス・データを収集するときにユーザー・データAPIをコールする場合は、わずかに異なる構文を使用します。これは、自分自身のUUIDと
id
キーではなく、BKUUIDを渡すためです。たとえば、次のユーザー・データAPIコールでは、IDスワップに使用されるサイトID (15433
)が含まれ、userid
フィールドでユーザーの暗号化されたBKUUID (IVwOKp9c99OlDDhD
)が渡され、ユーザーは属性(purchase = smartphone
)でタグ付けされます。http://api.tags.bluekai.com/getdata/15433/v1.2?userid=IVwOKp9c99OlDDhD&bkuid=a3c18b227976ad07da5d679c7259f726631d39cf49252926407dc05c3e8be643&bksig=uBtWOAzM6cduAbEeaQoU6%2BkNUL87%2Brxudio2DC00Y5c%3D&phint=purchase=smartphone