マルチファンド会計の資金プール

資金プール・モデルを使用して、入金のマルチファンド会計仕訳を記録できます。

資金プールは、物理的に資金を移動することなく、複数の勘定科目の勘定科目残高を概念的に連結する資金管理システムです。組織は、様々な銀行口座からプール口座に貸方ジションと借方ポジションを組み合せて、組織のビジネスの現在の状態に対する可視性を高め、継続的な意思決定を促進できます。

資金プール会計モデルは、決済済現預金勘定科目区分を持つ現預金勘定科目を表します。「確認済現預金」や「送金済現預金」など、暫定入金ステータスを反映するその他の相殺現預金勘定は、資金プール会計モデルでは使用されません。

マルチファンド会計の資金プールは、組織の資金管理要件とローカル会計規則に応じて、次の2つの方法のいずれかを使用して実装できます。その2つの方法とは次のとおりです。

  • ソース・トランザクション資金配賦を使用した資金プール: ソース・トランザクション配賦に従って現預金勘定エントリの直接分割として入金を表します。消込済トランザクション売掛/未収金勘定の貸借一致セグメントは、通常の入金の現預金勘定分割の基準です。貸借一致セグメントのその他現金配分勘定は、その他入金の現預金勘定分割の基準です。

  • 会社間貸借一致仕訳を使用した資金プール: 会社間貸借一致仕訳を使用して、財務責任者の資本および関連会社に対する債務を相殺して入金を表します。

いずれかの方法を使用してマルチファンド会計の資金プールを設定した後、AR_FEATURES参照タイプの下にAR_CASHPOOLING参照コードを作成する必要があります。

ノート: 資金プールは、マルチファンド会計に使用可能なビジネス・ユニットにのみ適用されます。資金プール会計を構成する前に、該当するビジネス・ユニットでマルチファンド会計の基本設定が完了していることを確認する必要があります。

マルチファンド会計の資金プール方法の例

この例では、マルチファンド会計の資金プールを表す両方の方法の会計仕訳を示します。

請求書XYZには、合計$1600の3つのトランザクション明細が含まれます。この表は、3つの明細金額を示しています。

勘定科目区分

金額

収益

$600

収益

$250

収益

$750

この表は、請求書XYZの会計仕訳を示しています。勘定科目コード組合せの最初のセグメント(B、C、D)は、3つの資金を表す貸借一致セグメントです。

借方/貸方

参照

勘定科目区分

勘定科目

金額

借方

ヘッダー

売掛/未収金

B.000.1200.0

$600

借方

ヘッダー

売掛/未収金

C.000.1200.0

$250

借方

ヘッダー

売掛/未収金

D.000.1200.0

$750

貸方

収益

収益

B.000.4100.0

$600

貸方

収益

収益

C.000.4100.0

$250

貸方

収益

収益

D.000.4100.0

$750

ここでは、売掛/未収金エントリは各収益勘定の資金配賦に従って分割されます。

$1600の入金PQRが請求書XYZに消し込まれます。この表は、入金を表しています。

入金額

$1600

入金ステータス

決済済

消込対象

XYZ

結果の入金会計仕訳は、使用する資金プール方法によって異なります。

ソース・トランザクション資金配賦を使用した資金プールの会計仕訳: この表は、銀行口座で資金プールが有効になっている入金会計仕訳を示しています。

借方/貸方

参照

勘定科目区分

勘定科目

金額

借方

入金

現金

G.000.1110.0

$1600

貸方

請求書

売掛/未収金

B.000.1200.0

$600

貸方

請求書

売掛/未収金

C.000.1200.0

$250

貸方

請求書

売掛/未収金

D.000.1200.0

$750

借方

請求書

現金

B.000.4100.0

$600

借方

請求書

現金

C.000.4100.0

$250

借方

請求書

現金

D.000.4100.0

$750

貸方

入金

現金

G.000.1110.0

$1600

ここでは、入金方法送金銀行口座に定義されている設定に従って、最初に現預金勘定が一般資金に借方記入されます。その後、入金によってクローズされた請求書で使用される資金配賦に従って、逆仕訳され、分割された現預金勘定に借方記入されます。

会社間貸借一致仕訳を使用した資金プールの会計仕訳: この表は、財務責任者の資本および関連会社に対する現預金勘定を会社間貸借一致勘定科目として使用する(銀行口座で資金プールを使用可能にしていない)入金会計仕訳を表しています。借方会社間仕訳は資金プール内の会社間現預金資本を表し、貸方会社間仕訳は関連会社からの会社間現預金を表します。

借方/貸方

参照

勘定科目区分

勘定科目

金額

借方

入金

現金

T.000.1110.0

$1600

貸方

請求書

売掛/未収金

B.000.1200.0

$600

貸方

請求書

売掛/未収金

C.000.1200.0

$250

貸方

請求書

売掛/未収金

D.000.1200.0

$750

借方

請求書

会社間

B.000.1750.T

$600

借方

請求書

会社間

C.000.1750.T

$250

借方

請求書

会社間

D.000.1750.T

$750

貸方

入金

会社間

T.000.2125.B

$600

貸方

入金

会社間

T.000.2125.C

$250

貸方

入金

会社間

T.000.2125.D

$750

ここでは、現預金勘定全体が最初に財務責任者のプールに借方記入されます。次に、これが各資金/関連会社が貸方会社間仕訳として寄与する現金を表す様々な勘定科目に分割され、対応する借方会社間仕訳が各資金のプール内資本を表します。

ソース・トランザクション資金配賦を使用した資金プール

該当する銀行口座の「プール口座」オプションを使用して、会社間仕訳ではなくデフォルトの資金プール仕訳を有効にします。このオプションを有効にしない場合、貸借一致仕訳は、会社間貸借一致ルールの追加設定に従って資金プールの管理に使用されます。

このオプションは、マルチファンド会計に対して有効になっているビジネス・ユニットでデフォルトで使用可能です。

ノート: 「プール口座」オプションは通常、必要な資金表示を促進するために買掛/未払金および売掛/未収金で使用されます。指定された銀行口座を介して受け取った資金または支出した資金に使用するプール方法を決定する前に、買掛/未払金活動と売掛/未収金活動の両方に対する影響を分析する必要があります。

銀行口座で資金プールを有効にした後、AR_FEATURES参照タイプでAR_CASHPOOLING参照コードを設定します。

ソース・トランザクション資金配賦を使用してマルチファンド会計の資金プールを使用可能にするには、次のステップを実行します。

  1. 「銀行口座の管理」ページにナビゲートします。

  2. 目的の銀行口座を検索して選択します。

  3. 「銀行口座」ページで、「管理」タブ・リージョンにナビゲートします。

  4. 「買掛/未払金および売掛/未収金統制」セクションで、「プール口座」オプションを有効にします。

    このオプションを有効にすると、この銀行口座が資金プールを表すためのデフォルト・モデルとして使用される銀行口座として指定されます。

  5. 必要に応じて、他のフィールドに入力します。

  6. 作業内容を保存します。

  7. 「標準参照の管理」ページにナビゲートします。

  8. 参照タイプAR_FEATURESを検索して選択します。

  9. AR_FEATURES参照コード・セクションで、プラス(+)アイコンをクリックします。

  10. 「参照コード」フィールドに、AR_CASHPOOLINGと入力します。

  11. この参照コードの開始日、内容および摘要を入力します。

  12. 「使用可能」オプションを選択して、参照コードをアクティブ化します。

  13. 作業内容を保存します。

会社間貸借一致仕訳を使用した資金プール

会社間貸借一致ルールを使用して資本プール(売掛/未収金)および財務管理者の資本(買掛/未払金)勘定をマップすることで、マルチファンド会計資金プールを表します。

会社間貸借一致ルールを構成した後、AR_FEATURES参照タイプの下にAR_CASHPOOLING参照コードを設定します。

ノート: 会社間貸借一致ルールを使用して資金プールを設定する場合は、銀行口座でプール済現預金オプションを有効にしないでください。

会社間貸借一致仕訳を使用してマルチファンド会計の資金プールを使用可能にするには、次のステップを実行します。

  1. 「会社間貸借一致ルールの管理」ページに移動します。

  2. 「勘定体系ルール」タブ・リージョンにナビゲートします。

  3. プラス(+)アイコンをクリックして「勘定体系貸借一致ルールの作成」ページを開きます。

  4. 「ソース」フィールドで、「売掛/未収金」を選択します。

  5. 「カテゴリ」フィールドで、「入金」を選択します。

  6. 「勘定体系」フィールドで、勘定体系を選択します。

  7. 「売掛/未収金勘定」フィールドに、資本プール勘定科目の勘定科目セグメントを入力します。

  8. 「買掛/未払金勘定」フィールドに、財務責任者の資本勘定科目の勘定科目セグメントを入力します。

  9. 「開始日」フィールドに、この勘定体系ルールが有効になる日付を入力します。

  10. 作業内容を保存します。

    この勘定体系ルールは、この勘定体系を使用するすべての元帳に適用されます。

    ノート: 複数の貸借一致セグメントを使用する場合は、「追加の会社間貸借一致および精算オプション」ページを使用して、第2貸借一致セグメントと第3貸借一致セグメントの貸借一致オプションを構成します。これらのオプションは、トランザクションがプライマリ貸借一致セグメントによって貸借一致されているが、第2または第3貸借一致セグメントによって貸借不一致のままである場合に使用されます。
  11. 「標準参照の管理」ページにナビゲートします。

  12. 参照タイプAR_FEATURESを検索して選択します。

  13. AR_FEATURES参照コード・セクションで、プラス(+)アイコンをクリックします。

  14. 「参照コード」フィールドに、AR_CASHPOOLINGと入力します。

  15. この参照コードの開始日、内容および摘要を入力します。

  16. 「使用可能」オプションを選択して、参照コードをアクティブ化します。

  17. 作業内容を保存します。