2 HCMデータ・ローダーの概要

この章の内容は次のとおりです。

HCMデータ・ローダー: 概要

HCMデータ・ローダーは、データの一括ロードと保守のための強力なツールです。任意のソースからのデータを使用できます。HCMデータ・ローダーは、データの移行、HCMデータの継続的な保守、およびコアHRデータが定期的にアップロードされる共存シナリオに使用できます。このトピックでは、HCMデータ・ローダーの主要な機能および利点について説明します。

ビジネス・オブジェクトのサポート

ほとんどのOracle Fusion Human Capital Management (HCM)製品のビジネス・オブジェクトをロードできます。このような製品には、Oracle Fusion Absence Management、Compensation、Global Human Resources、Global Payroll、Performance Management、Profile Management、Talent Review and Succession Management、Workforce Managementなどがあります。また、HCMデータ・ローダーを使用すると、ビジネス・オブジェクトをその作成方法に関係なく更新することもできます。

使いやすさ

HCMデータ・ローダーには、データのロード、進行状況のモニターおよびエラーのレビューのための包括的なユーザー・インタフェースが備えられています。これにより、ローダーの処理のすべてのステージについてリアルタイム情報を得ることができます。また、HCMデータ・ローダーのユーザー・インタフェースには、サポートされているビジネス・オブジェクトのコンポーネント階層および属性に関する詳細な情報も含まれています。

デリミタ付きデータ(.dat)ファイルまたはスプレッドシートからデータをロードできます。どちらの方法でも、サポートされているほとんどのビジネス・オブジェクトをロードできます。独自の.datファイルの基礎として使用するビジネス・オブジェクト・テンプレートを生成できます。選択したビジネス・オブジェクト・コンポーネントに関して、テンプレートには、構成済のフレックスフィールド用のものを含む、すべての属性が含められます。スプレッドシートを使用するときは、ビジネス・ニーズにあわせてスプレッドシート・テンプレートを定義し、そのテンプレートからスプレッドシートを生成します。

パフォーマンス

HCMデータ・ローダーはマルチスレッド処理をサポートしているため、パフォーマンスへの重大な影響なく、完全なデータ抽出をアップロードできます。別のスレッドで処理されるオブジェクト間の参照は、自動的に管理されます。処理を環境に最適化させるために、HCMデータ・ローダー構成パラメータを設定できます。

また、部分ロードや増分ロードを実行して既存のオブジェクトを更新し、それにより関連する処理を最小化することもできます。

サポートされているキー・タイプ

HCMデータ・ローダーは、すべてのビジネス・オブジェクトで次のキー・タイプをサポートしています。

  • Oracle Fusion GUID

  • Oracle FusionサロゲートID

  • ソース・キー

  • ユーザー・キー

ユーザー・キーおよびソース・キーがサポートされているため、Oracle Fusion内部IDの知識は必要ありません。

ビジネス・オブジェクト機能

HCMデータ・ローダーは、ビジネス・オブジェクトのほとんどの機能および要件をサポートしています。たとえば、次のものをアップロードできます。

  • 有効日オブジェクトの現行レコードおよび履歴レコード。ロードする履歴の量を決定します。

  • 終了日が設定された、終了した、または非アクティブなレコード。

  • 多言語での翻訳済属性。HCMデータ・ローダーの「ファイル文字セット」構成パラメータでデータ・ファイルの文字セットを指定します。

  • 付加フレックスフィールドおよび拡張可能フレックスフィールド。

  • 組織ツリーや部門ツリーなどの階層ツリー・データ。

  • 添付ファイルおよび写真。

  • 複数のソースからのデータ。アップロードしたデータにソース・システム参照を含めることができます。

自動化

データ・アップロードを自動化できるWebサービス・コールを使用して、HCMデータ・ローダーを開始できます。

HCMデータ・ローダーおよび導入シナリオ: 概要

Oracle HCM Cloudをフル・モードまたは共存モードで実装できます。共存実装では、Oracle Fusion Talent ManagementまたはOracle Fusion Compensationを使用すると同時に、既存のHRアプリケーションを引き続き使用します。フル実装と共存実装の両方において、Oracle HCM Cloudを実装するには、実装プロジェクトに表示されるタスクまたは選択した機能領域に対するタスクを実行します。このトピックでは、HCMデータ・ローダーがこれらの実装タイプをどのようにサポートしているかについて説明します。

フル実装

Oracle HCM Cloudのフル実装を実行している場合は、HCMデータ・ローダーを使用して、実装の適切なステージで既存のHCMデータを一括ロードできます。通常、このタイプの実装に対しては、各タイプのデータを1回のみロードします。アップロードが正常に完了したら、Oracle HCM Cloudでデータを管理します。

共存実装

共存実装では、Oracle Fusion Talent ManagementまたはOracle Fusion Compensationを使用しますが、既存のHRアプリケーションを保守します。このタイプの実装では、次のようにします。

  • タレント・データをOracle HCM Cloudに永続的に移動します。これがタレント・データのレコードのアプリケーションになります。

  • 個人レコードなど他のタイプのデータをOracle HCM Cloudに定期的にアップロードします。ソース・システムが、引き続き、このデータのレコードのアプリケーションになります。

HCM共存シナリオを実装するには、どのソース・システムでも、HCMデータ・ローダーを使用してデータをアップロードできます。HCMデータ・ローダーで使用する一般的な手順に従ってください。オラクル社では、ソース・システムからデータを抽出するためのツールを提供していません。実装パートナと共同で作業するか、ソース・データを抽出するための独自のプロセスを開発します。

HCMデータ・ローダーには、報酬変更抽出が用意されています。Oracle Fusion Compensationを共存シナリオで使用している場合は、指定した報酬実行について、アサイメント、賞与および給与の変更を抽出できます。

HCMの共存機能

HCMの共存機能(新しい共存実装では使用不可)を利用すると、特定のソース環境でのみ共存実装が可能になります。HCMの共存機能でサポートされているソース環境は、Oracle PeopleSoft Enterprise人事管理およびOracle E-Business Suite人事管理です。HCMの共存機能の詳細は、Oracle Help Center (http://docs.oracle.com/)でリリース11の『Oracle HCM Cloudとの統合』ガイドを参照してください。

HCMデータ・ローダー・プロセス: 説明

このトピックでは、HCMデータ・ローダーを使用して、.datファイルからデータを一括してロードするプロセスについて説明します。任意のソースからのデータを使用できます。

次の図は、プロセスの概要を示しています。

この図は、ユーザーからOracle WebCenter Contentサーバー、
さらにそこからHCMデータ・ローダーへのフローを示しています。
インポート・ステージで検出されたエラーがユーザーにレポートされ、
ユーザーがこれらのエラーを修正して別のファイルをアップロードできることが示されています。正常にインポート・ステージを
完了したオブジェクトは、アプリケーション表に
ロードされます。ロード・ステージで検出されたエラーもユーザーにレポートされ、
ユーザーはこれらのエラーを修正して別のファイルをアップロードできます。

このプロセスの手順は次のとおりです。

  1. .datファイルが含まれている.zipファイルをOracle WebCenter Contentサーバーに配置します。

  2. .zipファイルをインポートおよびロードするための要求をHCMデータ・ローダーに送信します。このステップでは、HCMデータ・ローダー・インタフェースまたはHcmCommonDataLoader Webサービスのいずれかを使用できます。

  3. HCMデータ・ローダーが、.zipファイルを解凍し、そのステージ表に個別のデータ行をインポートします。ステージ表では、関連するデータ行がグループ化されてビジネス・オブジェクトを形成します。

    インポート・フェーズでエラーが発生した場合には、HCMデータ・ローダー・インタフェースにレポートされます。

  4. HCMデータ・ローダーが、関連する論理オブジェクト・インタフェース・メソッド(製品サービスで提供)をコールして、有効なオブジェクトをアプリケーション表にロードします。

    ロード・フェーズでエラーが発生した場合には、HCMデータ・ローダー・インタフェースにレポートされます。

  5. インポート・フェーズおよびロード・フェーズでエラーがあればレビューします。このステップは、HCMデータ・ローダー・インタフェースまたは「HCMデータ・ローダー・データ・セット要約」抽出を使用して実行できます。

  6. ソース・データにインポート・フェーズおよびロード・フェーズでのエラーがある場合は、修正します。

  7. 修正したデータが含まれている新規.zipファイルをWebCenter Contentサーバーにロードします。

すべてのデータが正常にロードされるまで、ステップ2からこのプロセスを繰り返します。

ヒント: HCMデータ・ローダー・インタフェースで、ロード・エラーを対話形式で修正し、そこから任意の修正したデータを再送信することもできます。

サポートされているキー・タイプ: 説明

複数システム間でデータを統合する予定がある場合は、レコードを一意に識別するためのキー・タイプを選択する必要があります。このトピックでは、HCMデータ・ローダーがサポートしているキー・タイプについて説明します。

キーで識別する対象

HCMデータ・ローダーでは、一意キーを使用して、次のものを識別します。

  • 作成または更新しているレコード。

  • 作成または更新しているレコードの親。

    親レコードは、同じデータ・ファイル内にある場合もあれば、Oracle HCM Cloudにすでに存在する場合もあります。

  • 作成または更新しているレコードによって参照されるすべてのオブジェクト。

サポートされているキー・タイプ

HCMデータ・ローダーは、すべてのタイプのオブジェクト参照に使用できる次のキー・タイプをサポートしています。オブジェクトに複数のキー値が存在する場合は、次の順序でキー参照が解決されます。

  1. Oracle Fusionグローバル一意識別子(GUID)

  2. ソース・キー

  3. Oracle FusionサロゲートID

  4. ユーザー・キー

複数のキー値を指定した場合、相互検証は発生しません。たとえば、GUIDとソース・キーの両方を指定した場合には、GUIDが使用され、ソース・キーは無視されます。ソース・キーがGUIDとは異なるレコードを識別する場合でも、エラーは発生しません。

ヒント: ビジネス・オブジェクトを作成するときも、更新するときも、可能な場合は、常にソース・キーを使用してください。

キー・タイプ機能

次の表では、使用可能なキー・タイプの主な機能を示しています。作成列と更新列は、オブジェクトを作成および更新するときに、キー・タイプを使用できるかどうかを示します。

キー・タイプ 作成 更新 オブジェクトに保持 タイプ 自動的に生成

GUID

不可

不可

16進数

サロゲートID

不可

可(「注意」を参照)

数値

ソース・キー

不可

英数字

条件付き(「注意」を参照)

ユーザー・キー

可(「注意」を参照)

英数字

不可

注意: オブジェクトを更新するときにサロゲートIDを使用できますが、このIDはOracle HCM Cloudのユーザーがすぐに使用できるようになっているとはかぎりません。デフォルトのソース・キーは、オブジェクトを作成したときにソース・キーを指定しなかった場合にのみ生成されます。ユーザー・キーの値は変更される可能性があるため、これらのみを使用してオブジェクトを更新することはできません。

オブジェクトに保持されないキーは、統合キー・マップ表に存在します。

外部オブジェクト参照

Oracle Fusion GUIDおよびサロゲートIDは、関連付けられたレコードがOracle HCM Cloudに正常に作成されている場合にのみ生成されます。関連付けられたレコードがOracle HCM Cloudに存在するまで、ソース・キーはOracle HCM Cloudで認識されません。このため、外部オブジェクトを参照するデータをロードする前に、それらの外部オブジェクトがOracle HCM Cloudに存在することを確認する必要があります。新規実装の場合は、各ビジネス・オブジェクトを個別にロードし、1つが正常にロードされたことを確認してから次のものをインポートすることをお薦めします。すべてのビジネス・オブジェクトを同じ.zipファイルで提供した場合、HCMデータ・ローダーはそれらを依存性の順にロードします。この場合、外部オブジェクトへの参照は参照オブジェクトのロードに失敗した場合にのみ失敗します。

ソース・キー: 説明

ソース・キーは、そのソース・システム内のビジネス・オブジェクトを識別するIDです。ソース・キーは、統合有効ビジネス・オブジェクトに対してのみサポートされています。ビジネス・オブジェクトを作成または更新するときに、ソース・キーを使用できます。ソース・キーを使用することはすべての実装についてお薦めしまが、データがソース・システムで保守される継続的な統合においては、特に、このことが該当します。

ソース・キー構造

ソース・キーには、次の表に示す2つのコンポーネントが含まれます。

コンポーネント 説明

ソース・システム所有者

データの発生元を識別します。

ソース・システムID

ソース・システムに使用されているID。IDは、ビジネス・オブジェクト・コンポーネントおよびソース・システム所有者で一意である必要があります。

キーにソース・システム所有者コンポーネントを持つと、複数のソース・システムから同じビジネス・オブジェクトのデータをアップロードできます。たとえば、米国と英国の両方のデータベースにある個人データを1つのOracle HCM Cloudシステムに結合できます。ソース・システムIDは、両方のソース・システムをまたいで一意である必要はありません。ビジネス・オブジェクト・コンポーネントおよびソース・システム所有者に対してのみ一意である必要があります。

レコードに対して明白なソース・システムIDを持っていない場合には生成または導出できます。たとえば、個人番号を住所タイプと連結して、個人住所のソース・システムIDを導出できます。

ソース・キーは、作成したレコードに対して保持されるのではありません。統合キー・マップ表に存在します。

有効日ビジネス・オブジェクトのソース・キー

オブジェクトの有効日履歴を提供している場合は、ファイル内のすべての有効日レコードについてソース・システムIDを提供する必要があります。値は、有効日履歴の行ごとに同じである必要があります。

デフォルトのソース・キー

オブジェクトの作成時にソース・キーを提供しないと、ソース・キーは自動的に作成されます。デフォルトのソース・システム所有者はFUSIONで、デフォルトのソース・システムIDはサロゲートIDです。ソース・キーは、ソース・キー・ビジネス・オブジェクトを使用して後で更新できます。ソース・キー・ビジネス・オブジェクトでは、新規ソース・キーおよび更新対象のオブジェクトへの参照を提供します。

ソース・システム所有者値

ソース・システム所有者値は、HRC_SOURCE_SYSTEM_OWNER参照に対して検証されます。ソース・システム参照を使用してデータをロードする前に、この参照にソース・システム名を追加する必要があります。HRC_SOURCE_SYSTEM_OWNERを更新するには、「設定および保守」作業領域で「共通参照の管理」タスクを使用します。

ユーザー・キー: 説明

ほとんどのOracle HCM Cloudビジネス・オブジェクトは、統合に有効かどうかに関係なく、ユーザー・キーを構成する1つ以上の属性を保持しています。ユーザー・キーは、自然キーとも呼ばれ、ユーザー・インタフェースに常に表示されます。

次に例を示します。

  • 組織のユーザー・キーは組織名です。

  • 職責範囲のユーザー・キーは、職責名に個人番号を加えたものです。

どのようなときにユーザー・キーを使用するか

ユーザー・キーは、ビジネス・オブジェクト定義の一部です。その作成方法に関係なく、論理オブジェクトを作成するときには常に必要です。

また、論理オブジェクトを更新するときにユーザー・キーを使用することもできます。ただし、ユーザー・キーの値は変更可能で、一部のユーザー・キー属性は翻訳可能です。このため、ビジネス・オブジェクトを参照するユーザー・キーのみを提供している場合、そのビジネス・オブジェクトは更新できません。したがって、オブジェクトを更新するとき、可能な場合は、常にソース・キーを使用することをお薦めします。

ユーザー・キーは、次の場合にお薦めします。

  • ソース・キーとともに作成されなかったオブジェクトを参照または保守する場合。

  • ソース・キー値が不明な場合。

子オブジェクトのユーザー・キー

ビジネス・オブジェクトが別のビジネス・オブジェクトに拘束されている場合、ユーザー・キーにはその親のユーザー・キーを含める必要があります。次に例を示します。

  • ジョブは常にセットの一部です。このため、ジョブ・コードのみではジョブを一意に識別できません。かわりに、セット・コードをジョブのユーザー・キーの一部にする必要があります。

  • ジョブ等級は、特定のジョブに適用されます。このため、ジョブ等級のユーザー・キーには、等級のユーザー・キーと親ジョブのユーザー・キーの両方を含める必要があります。したがって、ジョブ等級のユーザー・キーは、等級コード、ジョブ・コードおよびセット・コードで構成されています。

Oracle Fusion GUIDおよびサロゲートID: 説明

Oracle Fusionグローバル一意識別子(GUID)およびサロゲートIDは、HCMデータ・ローダーがサポートしている4つのタイプのキーのうちの2つです。このトピックでは、どのような場合にGUIDおよびサロゲートIDを使用してビジネス・オブジェクトを一意に識別できるかについて説明します。

Oracle Fusion GUID

Oracle HCM Cloudに統合有効ビジネス・オブジェクトを作成すると、そのオブジェクトのGUIDが自動的に生成されます。ビジネス・オブジェクトを作成するときにGUIDが生成されるため、GUIDはすでに存在するビジネス・オブジェクトを識別する場合にのみ適しています。ビジネス・オブジェクトを作成するときに、GUIDを指定することはできません。GUIDは16進数値で、作成したオブジェクトには保持されませんが、統合キー・マップ表に存在します。

GUIDは、第三者給与プロバイダなど、ダウンストリームのアプリケーションと変更を共有するときに有用です。第三者給与の変更を抽出し、GUIDを一意キーとして就業者に提供します。Oracle HCM Cloudへの更新をレポートするときには、GUIDを使用して、更新するレコードを識別できます。

Oracle FusionサロゲートID

サロゲートIDは数値で、ビジネス・オブジェクトの作成時に生成される内部システム識別子です。統合有効でないものも含め、すべてのオブジェクトにサロゲートIDがあります。サロゲートIDは、オブジェクトに保持されます。IDは、GUIDとソース・キー値とのマッピングを実現するために統合キー・マップ表でも使用されます。サロゲートIDはオブジェクトが作成されるまで生成されないため、オブジェクトの作成時にこの値を使用することはできません。サロゲートIDへのアクセスが制限される場合もあります。一般的に、Oracle HCM Cloudのカスタマよりも、オンプレミスのカスタマの方が、サロゲートIDへのアクセス権を持つ可能性が高くなります。

ビジネス・オブジェクト構造: 説明

各Oracle HCM Cloudビジネス・オブジェクトが、ビジネス・オブジェクト・コンポーネントの階層になります。階層の最上部に親コンポーネントがあり、その下に子や孫コンポーネントなどが配置されます。各ビジネス・オブジェクト・コンポーネントには、複数の属性があります。

この図は、汎用的なビジネス・オブジェクト構造を示しています。

この図は、一般的なOracle HCM Cloudビジネス・オブジェクト
構造を示しています。親コンポーネントに独自の属性が含まれ、複数の子コンポーネントも
継承されることが示されています。各子コンポーネントには
独自の属性が含まれます。

たとえば、評点モデル・ビジネス・オブジェクトには、評点モデル、評点レベルおよび評点カテゴリのコンポーネントが含まれます。評点モデル・コンポーネントは、他の2つのコンポーネントの親です。各コンポーネントには、RatingNameRatingModelCodeRatingLevelCodeなどの属性が含まれます。

HCMデータ・ローダーでサポートされている最も複雑なビジネス・オブジェクトは就業者オブジェクトで、そのオブジェクト階層には5つのレベルが存在します。これらの範囲は、最上部にある就業者コンポーネントから、アサイメント勤務メジャー、アサイメント・マネージャ、アサイメント等級ステップ、さらに最下部にあるアサイメントその他情報に至るものとなります。一方、Personタイプ・オブジェクトにはPersonタイプ・コンポーネントのみが含まれます。

用語

次の表では、HCMデータ・ローダーがビジネス・オブジェクトを参照する場合に使用される用語を定義しています。

用語 意味

オブジェクトまたはビジネス・オブジェクト

完全なオブジェクト、つまり、親コンポーネントとすべての子コンポーネントを指します。たとえば、等級および就業者はビジネス・オブジェクトです。

コンポーネントまたはビジネス・オブジェクト・コンポーネント

ビジネス・オブジェクトのコンポーネントを指します。たとえば、個人名および雇用関係は就業者オブジェクトのコンポーネントです。

論理オブジェクト

ビジネス・オブジェクトの1つのオカレンスを形成する関連コンポーネントのグループを指します。たとえば、等級IC1は論理オブジェクトです。

論理オブジェクトのロード

同じビジネス・オブジェクトの複数のコンポーネントをまとめて提供すると、HCMデータ・ローダーによって、それらがグループ化され、完全な論理オブジェクトがロードされます。コンポーネントが個別に処理されることはありません。論理オブジェクトのいずれかのコンポーネントが検証に失敗した場合は、論理オブジェクト全体が否認されます。HCMデータ・ローダーは完全な論理オブジェクトのみをロードするため、どのデータがロードされているかを正確に把握できます。たとえば、ジョブをロードした場合、どのジョブが正常にロードされ、どのジョブがロードに失敗したかがわかります。

統合有効オブジェクト

HCMデータ・ローダーは、統合有効ビジネス・オブジェクトをロードできます。統合有効ビジネス・オブジェクトは、次の4つのキー・タイプをサポートしています。

  • Oracle Fusion GUID

  • Oracle FusionサロゲートID

  • ソース・キー

  • ユーザー・キー

統合有効オブジェクトは、統合キー・マップ表にエントリがあり、そこにそのGUIDとソース・キーが存在します。

HCMデータ・ローダーは、部門ツリーなど統合有効でない少数のオブジェクトもロードできます。Oracle HCM Cloudでは、通常、このようなオブジェクトを所有することはなく、ソース・キーもGUIDもサポートしていません。

ヒント: 「データ・ロードの開始」ページでは、ビジネス・オブジェクト詳細をレビューできます。選択したコンポーネントの「コンポーネント詳細」タブの「統合キーをサポート」フィールドは、コンポーネントが統合有効であるかどうかを示しています。

HCMデータ・ローダーの導入に関するFAQ

HCMデータ・ローダーにアクセスできないのはなぜですか。

適切な権限がない可能性があります。HCMデータ・ローダーにアクセスするには、「人材管理統合スペシャリスト」ジョブ・ロールまたは権限が必要です。