リスト・ビルダー

リスト・ビルダーは、ワークフロー・タスクのルーティングに使用する方法です。たとえば、監督階層への移動や、承認グループへの送信などです。ルールの条件が満たされると、ルールのThenセクションの処理に基づいてタスクが割り当てられます。処理を定義するには、リスト・ビルダーを選択し、そのリスト・ビルダーに設定を提供して、タスクの割当先を決定します。

使用可能なリスト・ビルダーは次のとおりです。

  • 承認グループ

  • ジョブ・レベル

  • 管理チェーン

  • ポジション

  • リソース

  • 監督

より広く使用されているリスト・ビルダーを詳しく見ていきましょう。

承認グループ

承認グループは、タスクを処理できる特定のユーザー・セットです。参加者タイプに応じて、タスクは承認グループにシリアルまたはパラレルにルーティングされます。

  • パラレル: 承認グループの誰かがタスクを要求して処理できます。タスクが要求されると、グループ内の他のユーザーはタスクを処理できません。ただし、タスクを要求した個人がタスクをリリースした場合、グループの他のユーザーがそのタスクを要求できます。

  • シリアル: タスクは承認グループの各メンバーに順番にルーティングされるため、全員が処理する必要があります。

リスト・ビルダーとして「承認グループ」を選択した後、ルールの条件が満たされたときにタスクを割り当てる承認グループを選択します。「空のグループを許可」リストで「True」を選択した場合、ルールの評価時に選択したグループにメンバーがいなくても、エラーは発生しません。ほとんどの場合、タスクは否認されるか、前の割当先に戻され、その割当先にタスクが最初にルーティングされたときと同じステータスになります。

ジョブ・レベル

このルーティングは、Oracle HCM Cloudの上長階層に基づいています。従業員は、ジョブ・レベルおよび上長とともにHCMで設定する必要があります。承認チェーンは階層を上に移動し、定義した内容に基づいて割当先が含まれます。レベルの数として、「最大」フィールドまたは「最小」フィールド(あるいはその両方)に正の数を入力します。さらに、「相対」リストから値を選択します。

ジョブ・レベル・リスト・ビルダーのレベル数の設定
  • 最小: 対応するジョブ・レベルをX1と呼びます。

    • ジョブ・レベルがX1未満の場合、階層内のユーザーが割当先のリストに含まれます。ジョブ・レベルがX1以上のユーザーに到達するとすぐに、割当先のリストにそのユーザーが含まれますが、それ以上は進みません。

    • 最小条件が優先されるため、最小条件が最初に満たされた後は、最小条件が中断されたところから最大条件が適用されます。

  • 最大: 対応するジョブ・レベルをX2と呼びます。

    • 最小条件の最後の割当先から開始します。マネージャのジョブ・レベルがX2以下の場合、そのマネージャが割当先リストに追加され、最後の割当先になります。次に、この新しい最後の割当先のマネージャが同じ方法で評価され、階層の上位に続きます。

    • X2を超えるジョブ・レベルに到達すると、割当先のリストが終了し、そのユーザーは含まれません。

X1およびX2が表すジョブ・レベルは、「相対」リストから選択した内容によって異なります。次に、「最大」フィールドおよび「最小」フィールドに3と入力した場合のX1とX2の例を示します。

相対

意味

X1およびX2の内容

絶対

最初のジョブ・レベル(ジョブ・レベル1)

ジョブ・レベル3

作成者

ワークフロー・タスクを作成するために作業したユーザー

ジョブ・レベル5 (ジョブ・レベル2のユーザーがタスクを作成した場合)

開始ポイント

「開始参加者」フィールドで定義したもの

ジョブ・レベル6 (開始参加者がジョブ・レベル3のユーザーに対応している場合)

また、ジョブ・レベル・リスト・ビルダーに使用できるオプション設定がいくつかあります。

  • 使用される参加者: 割当先リスト全体またはその一部のみが含まれます。

    • すべての承認者: リスト内の全員。

    • 最終承認者のみ: リストの最後の割当先のみ。

    • マネージャおよび最終承認者: リストの最初の割当先と最後の割当先。

  • 最後のレベルの全マネージャを含む: 承認に必要な最後のレベルと同じジョブ・レベルのすべてのユーザーが含まれます。

このレポート階層からの割当先リストの例を次に示します。

  • 事務員(ジョブ・レベル1)

  • マネージャ(ジョブ・レベル2)

  • 部長(ジョブ・レベル3)

  • 副社長(ジョブ・レベル5)

  • 上級副社長(ジョブ・レベル6)

  • 最高経営責任者(ジョブ・レベル6)

すべての例で、ジョブ・レベル1の事務員がタスクを作成し、ルールに次の設定があります。

  • 相対: 絶対

  • 開始参加者: ジョブ・レベル2のマネージャ

  • 最上位の参加者: ジョブ・レベル6

  • 使用される参加者: すべての承認者

最小(X1)

最大(X2)

最後のレベルの全マネージャを含む

割当先

3

3

いいえ

割当先は、マネージャ(ジョブ・レベル2)および部長(ジョブ・レベル3)です。

  • 開始参加者: ジョブ・レベル2のマネージャが関係なく含まれます。

  • 最小条件: ジョブ・レベル3の部長。X1以上の最初のジョブ・レベルを持つため、この条件の最後で唯一の割当先です。

  • 最大条件: 部長のマネージャ(副社長)がX2より大きいジョブ・レベル(5)を持つため、一致しません。

2

5

いいえ

割当先は、マネージャ(ジョブ・レベル2)、部長(ジョブ・レベル3)および副社長(ジョブ・レベル5)です。

  • 開始参加者: ジョブ・レベル2のマネージャが関係なく含まれます。

  • 最小条件: ジョブ・レベル3の部長。X1以上の最初のジョブ・レベルを持つため、この条件の最後で唯一の割当先です。

  • 最大条件: レベル5の副社長。部長のマネージャであり、X2と同じジョブ・レベルを持つためです。ただし、上級副社長のジョブ・レベル(6)がX2より大きいため、自身のマネージャは含まれません。

4

6

いいえ

割当先は、マネージャ(ジョブ・レベル2)、部長(ジョブ・レベル3)、副社長(ジョブ・レベル5)および上級副社長(ジョブ・レベル6)です。

  • 開始参加者: ジョブ・レベル2のマネージャが関係なく含まれます。

  • 最小条件: ジョブ・レベル(3)がX1未満の部長、およびジョブ・レベル(5)がX1以上の最初の割当先であるため、この条件の最後の割当先である副社長。

  • 最大条件: レベル6の上級副社長。副社長のマネージャであり、X2と同じジョブ・レベルを持つためです。

4

6

はい

割当先は、マネージャ(ジョブ・レベル2)、部長(ジョブ・レベル3)、副社長(ジョブ・レベル5)、上級副社長(ジョブ・レベル6)および最高経営責任者(ジョブ・レベル6)です。

この例は前の例と同じですが、「最後のレベルの全マネージャを含む」チェック・ボックスが選択されている点が異なります。そのため、この場合、CEOはルールに定義された内容に基づいた最後の割当先である上級副社長と同じジョブ・レベルを持つため、CEOも割当先です。

1

1

いいえ

唯一の割当先はマネージャ(ジョブ・レベル2)です。

  • 開始参加者: ジョブ・レベル2のマネージャが関係なく含まれます。

  • 最小条件: マネージャはすでにX1以上のジョブ・レベルを持つ最初の割当先であるため、条件はすでに満たされています。

  • 最大条件: マネージャのマネージャである部長はX2より大きいジョブ・レベル(3)を持つため、一致しません。

リソース

タスクを特定のユーザーまたはアプリケーション・ロールに割り当てることができます。(LDAPグループも可能ですが、使用しないことをお薦めします。)「ユーザー」フィールドまたは「アプリケーション・ロール」フィールドで割当先を選択し、参加者の他のフィールドはnullのままにします。

監督

このルーティングは、Oracle HCM Cloudの監督階層に基づいています。従業員は、ジョブおよび上長とともにHCMで設定する必要があります。たとえば、事務員はマネージャの部下であり、マネージャは部長の部下であり、部長は副社長の部下です。割当先のリストは、ルールの開始参加者から始まり、次に監督階層を上に移動します。リストは、指定されたレベル数を通過したとき、または最上位の参加者(いずれか早い方)に到達したときに終了します。

監督リスト・ビルダーに基づくルールのThenセクションの処理の例を次に示します。

フィールド

値の例

意味

レベル数

3

3つの承認が必要です

開始参加者

HierarchyBuilder.getPrincipal(Task.Workflow Submitter,-1,"","")

タスクを作成したユーザー

最上位の参加者

HierarchyBuilder.getPrincipal("KLEE",-1,"","")

ユーザーIDがKLEEの個人(この場合は副社長)

したがって、事務員から副社長へのレポート体系では、事務員がワークフロー・タスクを作成するトランザクションを送信するとします。開始参加者は事務員であるため、タスクは最初に事務員、マネージャ、次に部長に移動します。必要な承認レベルは3つのみであるため、必要なレベルの数に関係なく最後の割当先である副社長まで移動せずに、タスクは完全に承認されます。