9需要の統計的予測

この章の内容は次のとおりです。

欠落値の処理、外れ値の検出、回帰と予測の検証、疎なデータに対する予測のような、需要予測におけるいくつかの側面を、予測パラメータで制御します。

実際のデータに対する分析と予測結果に基づいて、設定をデフォルト値から改善していくことができます。

次の表に、よく使用される予測パラメータの一覧を示します。

パラメータ 説明

FillMissingMethod

定義されていない履歴値をどのように補間するかを指定します。パラメータ値は0、1、2です。欠落値を埋めない場合は0にします。欠落のない近隣に基づく線形補間を使用する場合は1にします。欠落値を省略する場合は2にします。

GlobalAllocationPeriods

平均需要計算に使用する日数を指定します。

EnableNaiveForecast

ナイーブ・モデリングを使用するかどうかを指定し、使用する場合はそのタイプを指定します。指定できるパラメータ値は、0または正の整数です。ナイーブ・モデリングを使用不可にする場合は0を使用します。Oracle専用のナイーブ・モデリングを使用する場合は1を使用します。単純な移動平均を使用する場合は、2以上の値を指定します。このとき指定する数で、使用される履歴期間の数が決まります。

IntermitCriterion

断続型の予測方法を使用した時系列の評価で使用される、需要履歴に占めるゼロ値の最小比率をパーセントで指定します。

WriteFit

履歴に基づく予測(つまり回帰)について、予測プロセスで保持される数量を指定します。パラメータ値は0または正の整数です。0の場合は将来の予測のみを保持します。最後から数えて特定の履歴期間数で予測を保持する場合は、その期間数を正の整数で指定します。期間の定義は、予測カレンダの定義に応じて決まり、日の場合も、週の場合も、月の場合もあります。

DetectOutlier

エンジンに対し、時系列で外れ値の検出と平滑化を試行するかどうかを指定します。

OutlierSensitivity

外れ値を検出する際の敏感度を指定します。指定する値が大きいほど、検出の敏感度が下がります。通常の検出では、2未満の値を指定します。

RemoveExtremeOutlier

外れ値に対する積極的な平滑化を行うかどうかを、エンジンに対して指定します。極端な値を除外すべき明確な理由がある場合にのみ、この機能を有効化します。

EnableFitValidation

回帰に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。

EnableForecastValidation

予測に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。

FitValidationSensitivity

回帰に対する検証の敏感度を制御します。MAPEを使用した予測方法で、指定した値より大きいものは無効です。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を行う場合は、1から2の間の値を指定します。厳しい検証を行う場合は、0.3から0.5の間の値を指定します。

ForecastValidationSensitivity

予測に対する検証の敏感度を指定します。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を予測に対して行う場合は、5から10の間の値を指定します。

予測パラメータはこの他にもあります。「処理」メニューを選択してから項目の追加を選択することで、そうしたパラメータを追加できます。このとき、使用可能な予測パラメータがすべて表示されます。追加するパラメータを選択し、「追加」ボタンをクリックして、そのパラメータを予測プロファイルに追加します。

予測プロファイルは、需要予測の生成中に使用される定義の集合です。各プロファイルには、予測方法の定義、および需要データを集計するレベルの定義が含まれています。さらに、プロファイルには、需要の変動を説明するために使用される原因ファクタと、分解を目的とした原因ファクタの割当て先グループも含まれています。

事前定義済予測プロファイル

次の表は、事前定義済の予測プロファイルを示しています。

予測プロファイル 作業領域 入力メジャー 出力メジャー 予測表 用途

予測記帳

需要管理

需要および供給プランニング

最終記帳履歴

記帳予測

予測記帳定義

記帳履歴に基づいた予測用

イベント・アクティビティを含む予測記帳

需要管理

需要および供給プランニング

最終記帳履歴

記帳予測

予測記帳定義

イベントの影響を考慮した、記帳履歴に基づいた予測用

予測消込

補充プランニング

最終消費履歴

消費予測

予測消費定義

消費履歴に基づいた予測用

予測出荷

需要管理

需要および供給プランニング

補充プランニング

最終出荷履歴

出荷予測

予測出荷定義

出荷履歴に基づいた予測用

イベント・アクティビティを含む予測出荷

需要管理

需要および供給プランニング

最終出荷履歴

出荷予測

予測出荷定義

イベントの影響を組み込んだ、出荷履歴に基づいた予測用

事前定義済予測プロファイルは編集できません。ただし、使用するために事前定義済予測プロファイルのコピーを変更できます。

予測プロファイルの作成

次の手順に従って、予測プロファイルを作成します。

  1. 「需要管理」、「需要および供給プランニング」または「補充プランニング」作業領域の「タスク」パネル・タブの「構成」で、「予測プロファイルの管理」を選択します。

    「予測プロファイルの管理」ページが開きます。

  2. 「処理」「作成」をクリックします。

    「予測プロファイルの管理」ページが開きます。

  3. 予測プロファイルの名前と説明を入力します。

  4. 作業領域で使用可能」で、予測プロファイルを使用可能にする作業領域のチェック・ボックスを選択します。

    予測プロファイルを作成すると、これらの作業領域のみの「予測プロファイルの管理」ページにその予測プロファイルが表示されるようになります。さらに、「プラン・オプション」ページの「需要」タブの「予測プロファイル」セクションで、需要プラン、需要および供給プラン、または補充プランの作成時には、作業領域で使用可能な予測プロファイルのみを選択できます。

  5. 予測表」で、予測プロファイルの予測表を選択します。

    予測表では、予測で使用されるデータ集計レベルを定義します。

    リストには、選択した作業領域で使用可能な表のみが表示されます。

  6. 入力メジャー」で、予測プロファイルの入力メジャーを選択します。

    このメジャーのデータは、予測における履歴需要の基礎として使用されます。

    選択可能なメジャーは、選択した予測表にあり、時間によってディメンション化されています。

  7. 出力メジャー」で、予測プロファイルの出力メジャーを選択します。

    このメジャーは、プランの実行後に予測を格納します。

    選択可能なメジャーは、選択した予測表にあり、時間によってディメンション化されています。さらに、使用可能なメジャーは、プラン間で共有できず、現在のデータでリフレッシュされます。

  8. メジャー・カタログ」で、予測プロファイルのメジャー・カタログを選択します。

    予測プロファイルを使用するプランに必要な予測対象のメジャー・カタログをすべて選択します。事前定義済のメジャー・カタログは選択に使用できません。

  9. 「予測方法」タブを使用して、予測プロファイルの予測方法および方法パラメータを構成します。

    手順については、この章の予測方法に関するトピックを参照してください。

  10. 「分解グループ」タブを使用して、予測プロファイルの分解グループを選択して構成します。

    詳細は、この章の分解グループに関するトピックを参照してください。

  11. 「予測パラメータ」タブを使用して、予測プロファイルの予測パラメータを選択して構成します。

    手順は、この章の予測パラメータに関するトピックを参照してください。

  12. 「保存してクローズ」をクリックします。

Oracle Demand Management Cloudには、15の予測方法があります。予測プロファイルを構成する際は、そのうち1つを使用することも、複数を組み合わせて使用することも可能です。「予測プロファイルの管理」ページにある予測プロファイルを使用して、予測方法を制御できます。

予測の組合せをレビューする際に、予測プロファイルを最後に実行したときに用いられた方法が、予測方法のメジャーに表示されます。

次の表に、15の予測方法と、それぞれに対応する文字を示します。

予測方法 対応する文字

自動回帰外部入力

X

自動回帰統合入力

V

自動回帰ロジスティック

A

原因Winters

B

結合変換

E

クロストン法による断続的需要予測

F

双対群乗法

D

ホルト

H

ロジスティック

G

改良されたリッジ回帰

M

乗法モンテカルロ断続

K

乗法モンテカルロ回帰

C

回帰

R

回帰分析による断続的需要予測

J

変換回帰

L

プロファイルで予測方法を使用すると、予測方法に対応する文字が、予測の出力の中に書き込まれます。たとえば、予測プロファイルとして「予測出荷」を使用すると、予測方法の文字が「出荷予測方法」メジャーに書き込まれます。

分解グループは、原因ファクタとして使用するメジャーのコンテナです。原因ファクタの使用によって、複数の予測方法を用いて需要履歴の変動を理解し、正確で適応性のある予測を生成することが可能になります。分解グループの使用によって、予測に対して同じような影響と効果を与えるメジャーをまとめることができます。また、予測分解実行プラン・オプションを選択した場合、こうした定義は、予測の原因ファクタへの分解にも使用されます。

予測プロファイルに対して、分解グループの追加、編集および削除を行うことができます。また、各グループのチェック・ボックスを使用して、グループをアクティブ化したり非アクティブ化したりすることも可能です。グループを選択すると、そのグループに関係付けられたすべての原因ファクタが有効になります。

分解グループを作成するには:

  1. 目的とする予測プロファイルの「分解グループ」タブで、「処理」を、続いて「新規」をクリックします。

  2. 「分解グループの作成」ダイアログ・ボックスで次のようにします。

    • 名前および説明を入力します。

    • 必要なメジャーを、「使用可能なメジャー」リストから、「選択したメジャー」リストに移動します。

  3. 「OK」をクリックします。

分解グループの原因ファクタを構成するには:

  1. 目的とする予測プロファイルの「分解グループ」タブで、分解グループを展開します。

    使用可能な原因ファクタの詳細が展開されたリストに表示されます。

  2. 次のチェック・ボックスを選択できます。

    • 短期: 限られたセットの原因ファクタが使用される方法では、これを選択します。そうした方法には、回帰および原因Wintersがあります。

    • 長期: 広範なセットの原因ファクタが使用される方法では、これを選択します。そうした方法には、モンテカルロ回帰があります。

    • 乗法: 「双対群乗法」予測方法では、これを選択します。

    • 非シーズン性: 季節性および反復性のパターンを自動的に検出する自動回帰モデルで使用する原因ファクタを割り当てます。

    • 欠落値の入力: 0の原因ファクタを他の値で置き換えるかどうかを設定します。常に値が割り当てられる原因ファクタでは、この設定を有効にします。たとえば、価格などが該当します。

欠落値の処理、外れ値の検出、回帰と予測の検証、疎なデータに対する予測のような、需要予測におけるいくつかの側面を、予測パラメータで制御します。

実際のデータに対する分析と予測結果に基づいて、設定をデフォルト値から改善していくことができます。

次の表に、よく使用される予測パラメータの一覧を示します。

パラメータ 説明

FillMissingMethod

定義されていない履歴値をどのように補間するかを指定します。パラメータ値は0、1、2です。欠落値を埋めない場合は0にします。欠落のない近隣に基づく線形補間を使用する場合は1にします。欠落値を省略する場合は2にします。

GlobalAllocationPeriods

平均需要計算に使用する日数を指定します。

EnableNaiveForecast

ナイーブ・モデリングを使用するかどうかを指定し、使用する場合はそのタイプを指定します。指定できるパラメータ値は、0または正の整数です。ナイーブ・モデリングを使用不可にする場合は0を使用します。Oracle専用のナイーブ・モデリングを使用する場合は1を使用します。単純な移動平均を使用する場合は、2以上の値を指定します。このとき指定する数で、使用される履歴期間の数が決まります。

IntermitCriterion

断続型の予測方法を使用した時系列の評価で使用される、需要履歴に占めるゼロ値の最小比率をパーセントで指定します。

WriteFit

履歴に基づく予測(つまり回帰)について、予測プロセスで保持される数量を指定します。パラメータ値は0または正の整数です。0の場合は将来の予測のみを保持します。最後から数えて特定の履歴期間数で予測を保持する場合は、その期間数を正の整数で指定します。期間の定義は、予測カレンダの定義に応じて決まり、日の場合も、週の場合も、月の場合もあります。

DetectOutlier

エンジンに対し、時系列で外れ値の検出と平滑化を試行するかどうかを指定します。

OutlierSensitivity

外れ値を検出する際の敏感度を指定します。指定する値が大きいほど、検出の敏感度が下がります。通常の検出では、2未満の値を指定します。

RemoveExtremeOutlier

外れ値に対する積極的な平滑化を行うかどうかを、エンジンに対して指定します。極端な値を除外すべき明確な理由がある場合にのみ、この機能を有効化します。

EnableFitValidation

回帰に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。

EnableForecastValidation

予測に対して統計的な検証を行うかどうかを指定します。検証を有効にするには、「はい」を指定します。検証を無効にするには、「なし」を指定します。

FitValidationSensitivity

回帰に対する検証の敏感度を制御します。MAPEを使用した予測方法で、指定した値より大きいものは無効です。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を行う場合は、1から2の間の値を指定します。厳しい検証を行う場合は、0.3から0.5の間の値を指定します。

ForecastValidationSensitivity

予測に対する検証の敏感度を指定します。指定した値が小さいほど、検証は厳しく行われます。それほど厳しくない検証を予測に対して行う場合は、5から10の間の値を指定します。

予測パラメータはこの他にもあります。「処理」メニューを選択してから項目の追加を選択することで、そうしたパラメータを追加できます。このとき、使用可能な予測パラメータがすべて表示されます。追加するパラメータを選択し、「追加」ボタンをクリックして、そのパラメータを予測プロファイルに追加します。