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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Composerによるビジネス・プロセスの開発
12c (12.1.3)
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7 ビジネス・プロセスの作成および使用

この章では、Oracle Business Process Management (Oracle BPM)でビジネス・プロセスを作成および使用する方法について説明します。ビジネス・プロセスの全般的な概要を紹介するとともに、プロセス・エディタ・ウィンドウと、プロセスを作成して使用する手順について説明します。

Business Process Model and Notation (BPMN) 2.0を使用したビジネス・プロセスの設計については、「BPMNフロー・オブジェクト・リファレンス」を参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

7.1 ビジネス・プロセスの概要

ビジネス・プロセスとは、明確に定義された結果が実行後に発生するような一連のタスクです。ビジネス・プロセスは、Oracle BPM Suiteで作成されたプロセスベースのビジネス・アプリケーションのコア・コンポーネントです。

ビジネス・アプリケーションのすべてのリソースを含む上位レベルのラッパーがプロジェクトであり、アプリケーションの動作はプロジェクト内のプロセスによって決定されます。ビジネス・プロセス内では、BPMNフロー・オブジェクトでフローおよび動作を定義します。

ビジネス・プロセスは一般にプロセス・アナリストによって作成されます。プロセス・アナリストは、対処が必要なビジネス要件を特定して、対応するプロセス・フローを定義します。

表7-1では、プロセスが他のビジネス・プロセスと関連してどのように動作するかがプロセスのタイプによってどのように決まるのかを説明します。

注意:

デフォルトでは、新規ビジネス・プロセスは同期です。新規プロセスを作成した後は、そのプロセスを編集してタイプを変更できます。

表7-1 ビジネス・プロセスのタイプ

プロセス・タイプ 説明

同期サービス

同期サービスは、別のプロセスまたはサービスから同期的に起動されるビジネス・プロセスのタイプです。同期サービスでは、コール側プロセスは、起動されたプロセスが完了するまで待ってから続行します。

非同期サービス

非同期サービスは、別のプロセスまたはサービスから非同期的に起動されるビジネス・プロセスのタイプです。非同期サービスでは、コール側プロセスは、起動されたプロセスが完了するまで待たずに続行します。

手動プロセス

手動プロセスは、ユーザー相互作用を必要とするプロセスです。手動プロセスは、None開始イベントで始まる必要があります。それらはNone終了イベントで終了する必要があります。

再使用可能なプロセス(再使用可能なサブプロセス)

再使用可能なプロセスは、BPMNプロセスがコール可能なプロセスです。BPMN用語では、多くの場合、再使用可能なプロセスは、再使用可能なサブプロセスと呼ばれます。Oracle BPMでサポートされている様々なサブプロセスのタイプの詳細は、Oracle BPMでのサブプロセスの使用を参照してください。

ビジネス・プロセス内で再使用可能なサブプロセスをコールするには、コール・アクティビティを使用します。再使用可能なプロセスのコールの詳細は、コール・アクティビティの概要を参照してください。

7.2 プロジェクト・ツールバーの概要

プロセス・エディタは、BPMプロジェクトのようこそページのタブとして開きます。そのため、プロセス・エディタがナレーティブ・ビューで開いたときもグラフィカル・ビューで開いたときも、プロジェクト・ツールバーは表示されたままです。

プロジェクト・ツールバーに表示される機能は、プロセスの編集時に使用できます。

プロジェクト・ツールバーの各オプションの詳細は、「プロジェクト・ツールバーの概要」を参照してください。

7.3 ナレーティブ・ビューの概要

ナレーティブ・ビューでは、グラフィカル・アイコンをパレットにドラッグするのではなく、テキストを入力することによってビジネス・プロセスを作成できます。これは、BPMNに精通していないプロセス設計者に便利です。

アイテムをテキストとしてプロセスに追加すると、Oracle Business Process Composerによって、基になる適切なBPMNに自動的に変換されます。グラフィカル・ビューの自動レイアウト機能によって、BPMNプロセスのフォーマットが自動的に設定されます。

どちらのビューにも同じ情報が表示されるため、必要に応じて両方のビューで同じプロセスを編集できます。一方のペインでプロセスを編集すると、他方のペインでも自動的に更新されます。

ナレーティブ・ビューは、ビジネス・プロセスを作成および編集する際の代替方法を提供します。ただし、グラフィカル・エディタに代わるものではありません。次のBPMN要素はナレーティブ・ビューに表示されますが、編集することはできません。

  • スクリプト・タスク

  • ビジネス・ルール・タスク

次の要素はナレーティブ・ビューには表示されません。

  • ノート

  • 測定

7.4 ナレーティブ・ビューの使用

ナレーティブ・ビューを使用して、プロセスでアクティビティ、ロールおよびドキュメントを管理します。

図7-1に示すように、プロセス・エディタの下部にある「ナレーティブ」タブをクリックして、ビジネス・プロセスのナレーティブ・ビューにアクセスします。

図7-1 プロセス・エディタ - ナレーティブ・ビュー

図7-1の説明が続きます
「図7-1 プロセス・エディタ - ナレーティブ・ビュー」の説明

ナレーティブ・ビューを使用して、次のタスクを実行できます。

  • 新しいアクティビティを追加する場所のすぐ上にあるアクティビティ内の「追加」 (+)アイコンをクリックして、プロセスにアクティビティを追加。必要に応じて、アクティビティに関するドキュメントを追加できます。

  • 「削除」アイコンをクリックして削除を確認することで、選択したアクティビティを削除します。

  • プロセス・フロー内の別の位置へのアクティビティの移動

  • 「ロールの変更」ドロップ・ダウンをクリックして、新しいロールを追加するか現在のロールを別のロールに変更することで、選択したアクティビティにロールを割当て。

  • ドキュメントの表示および編集

7.4.1 アクティビティの移動

アクティビティを移動するには:

  1. 移動するアクティビティを選択します。
  2. 「移動」(「移動」アイコン)アイコンをクリックします。

    アクティビティの左側に「アクティビティをドロップ」(「アクティビティをドロップ」アイコン)が表示されます。

  3. 元のアクティビティを移動する場所にある「アクティビティをドロップ」アイコンをクリックします。

7.4.2 ナレーティブ・ビュー・オプション

ナレーティブ・ビューの表示方法をカスタマイズできます。

図7-2に示すように、ビューの右上隅にある「すべてのドキュメントの拡張」チェック・ボックスを選択して、すべてのドキュメントを表示します。

図7-2に示すように、ビューの右上隅にある「アイコンの表示」チェック・ボックスを選択して、アクティビティをアイコンで表示します。

図7-2 プロセス・エディタ: ナレーティブ・ビュー - オプション

図7-2の説明が続きます
「図7-2 プロセス・エディタ: ナレーティブ・ビュー - オプション」の説明

7.5 プロセス・エディタのグラフィカル・ビューの概要

プロセス・エディタを使用すると、BPMNプロセスをすばやく作成および編集できます。

図7-3に示すように、プロセス・エディタはBusiness Process Composerアプリケーションにタブ付きペインとして表示され、4つの領域に分かれています。

図7-3 プロセス・エディタ - グラフィカル・ビュー

図7-3の説明が続きます
「図7-3 プロセス・エディタ - グラフィカル・ビュー」の説明
  • プロセス・エディタ・ツールバー: プロセスの設計に関連するメニュー・アイテムにすばやくアクセスできます。

    詳細は、プロセス・エディタ・ツールバーの概要を参照してください。

  • プロセス・エディタ・キャンバス: プロセス・フローを作成するための作業領域を提供します。

    詳細は、「プロセス・エディタ・キャンバスの概要」を参照してください。

  • BPMNコンポーネント・パレット: BPMNプロセスを構成するフロー・オブジェクト、シーケンス・フローおよびその他の要素にすばやくアクセスできます。

    これらの要素は、BPMNコンポーネント・パレットからプロセス・エディタ・キャンバスにドラッグ・アンド・ドロップできます。詳細は、BPMNコンポーネント・パレットの概要を参照してください。

  • ビジネス・カタログ・パレット: BPMプロジェクト内で使用可能なビジネス・カタログ要素のリストを提供します。

    詳細は、ビジネス・カタログの概要を参照してください。

Business Process Composerで同じプロジェクト内にある複数のプロセスを同時に開くことができます。各プロセスはエディタ・ウィンドウ内の専用タブで開きます。

7.5.1 プロセス・エディタ・ツールバーの概要

プロセス・エディタ・ウィンドウにはツールバーがあり、このツールバーを使用してBusiness Process Composerの機能(表7-2を参照)にアクセスできます。

表7-2 プロセス・エディタのメニュー

メニュー・アイテム 説明

元に戻す

プロセスに対して実行した直前の変更を元に戻します。

再実行

直前に実行した元に戻すアクションを再実行します。

切取り

選択したアイテムを切り取り、クリップボードにコピーします。

コピー

選択したアイテムをクリップボードにコピーします。

貼付け

現在クリップボードにあるアイテムを貼り付けます。

削除

選択した要素をプロセスから削除します。

自動レイアウト

プロセスのレイアウトを自動的に調整します。

グリッド表示の切替え

プロセス・エディタ・ウィンドウのグリッドを表示または非表示にします。

グリッドにスナップ

プロセス内のフロー・オブジェクトを最も近いグリッド軸に基づいて中央に配置します。既存のフロー・オブジェクトは、自動的に中央に配置されます。新しいフロー・オブジェクトは、追加されるときに自動的に中央に配置されます。

このメニュー・アイテムは、グリッド表示の切替えが有効になっている場合にのみアクティブになります。

印刷

ブラウザのプリンタの設定を使用してプロセスを印刷します。

会話の編集

会話エディタを開きます。このエディタを使用して、入力および出力データ・オブジェクトを決定するインタフェースを定義します。

プロセス使用方法の検索

現在のプロセスが、現在のプロジェクト内の他のどのプロセスによって呼び出されるかを確認します。

コラボレーションの表示

プロセス・エディタをコラボレーション・ビューに切り替えます。

データ・オブジェクト

データ・オブジェクト・エディタを開きます。詳細は、データ・オブジェクトの使用を参照してください。

ビジネス・インジケータ

ビジネス・インジケータ・エディタを開きます。

プレーヤ

プロセス・プレーヤを起動します。詳細は、プロセス・プレーヤの使用を参照してください。

ズーム・スライダ

プロセスにズーム・インおよびプロセスからズーム・アウトします。

7.5.2 プロセス・エディタ・キャンバスの概要

プロセス・エディタ・キャンバスは、プロセス・エディタ・ウィンドウの中央の領域です。プロセス・エディタ・キャンバスを使用して、BPMNコンポーネント・パレットで使用可能な要素を使用してプロセスのグラフィカル表現を作成します。プロセス・エディタ・キャンバスにはプロセス・フロー以外にスイムレーンも表示されます。

スイムレーンの詳細は、「スイムレーンを使用したプロセスの整理」を参照してください。

7.5.3 BPMNコンポーネント・パレットの概要

BPMNコンポーネント・パレットを使用して、プロセスにフロー・オブジェクト、シーケンス・フローおよびビジネス・カタログの要素を追加します。図7-4は、コンポーネント・パレットを示しています。

図7-4 BPMプロセス・エディタ - コンポーネント・パレット

図7-4の説明が続きます
「図7-4 BPMプロセス・エディタ - コンポーネント・パレット」の説明

コンポーネント・パレットを使用して、アーティファクトをプロセス・エディタ・ウィンドウにドラッグ・アンド・ドロップします。

注意:

コンポーネント・パレットは、プロジェクト編集モードに切り替えるまでグレー表示されています。

コンポーネント・パレットを使用すると、BPMN要素を次のグループに分類できます:

  • アクティビティ

  • 対話型

  • ゲートウェイ

  • 捕捉イベント

  • スロー・イベント

  • ノート

  • 測定

Business Process Composerには、フロー・オブジェクトをプロセスに追加するために、次の2つのモードが用意されています:

  • 単一オブジェクト・モード: フロー・オブジェクトを一度に1つずつ追加できます。

    このモードでは、図7-5に示すように、青い円内に「1」と表示されます。

    図7-5 単一オブジェクト入力モード

    図7-5の説明が続きます
    「図7-5 単一オブジェクト入力モード」の説明
  • 複数オブジェクト・モード: 同じタイプの複数のフロー・オブジェクトをすばやく追加できます。

    このモードでは、青い円内に「N」と表示されます。

図7-5に表示されている青い円をクリックすると、2つの入力モードを切り替えることができます。

7.5.4 ビジネス・カタログの概要

このパネルを使用して、再使用可能なサービスをビジネス・カタログから選択します。図7-6は、ビジネス・カタログを示しています。

図7-6 BPMプロセス・エディタ - ビジネス・カタログ

図7-6の説明が続きます
「図7-6 BPMプロセス・エディタ - ビジネス・カタログ」の説明

これらのサービスは、次のようにグループ化されます。

  • サービス

  • 外部参照

  • ヒューマン・タスク

  • ビジネス・ルール

注意:

Oracle Business Process Composerを使用して外部参照を作成することはできません。外部参照を作成するには、Oracle BPM Studioを使用します。

参照を含むプロジェクトは、Oracle BPMリポジトリを使用して共有するか、プロジェクト・テンプレートの一部として含めます。

Oracle Business Process Composerを使用して、Webサービスに基づくサービスを作成できます。ただし、アダプタに基づくその他のサービスやその他のサービス指向アーキテクチャ(SOA)コンポーネントはOracle BPM Studioで作成する必要があります。

Oracle Business Process Composerを使用して、ビジネス・カタログから対応するフロー・オブジェクトに再利用可能なサービスを割り当てることができます。

詳細は、ビジネス・カタログを参照してください。

7.6 ビジネス・プロセスの使用

Oracle BPMプロジェクト内にビジネス・プロセスを作成します。1つ以上のプロセスをプロジェクトに追加できます。

次の各項では、ビジネス・プロセスを作成したり削除する方法、および開く方法について説明します。

7.6.1 新しいビジネス・プロセスの作成方法

新しいビジネス・プロセスを作成するには

  1. プロジェクトのようこそページに移動します。
  2. 共有プロジェクトを編集する場合は、現在そのプロジェクトを編集中であることを確認します。
  3. 「プロセス」をクリックし、次に「新規プロセス」をクリックします。
  4. プロセスの名前を入力し、「作成」をクリックします。

新規プロセスがプロセスのリストに表示されます。

新しいビジネス・プロセスを作成すると、そのプロセスには、デフォルト・シーケンス・フローで接続された開始イベントと終了イベントが含まれます。デフォルトでは、開始イベントと終了イベントはいずれもNoneイベントです。ビジネス・プロセスの要件にあわせてタイプを変更できます。

詳細は、プロセスの開始点および終了点の定義を参照してください。

7.6.2 ビジネス・プロセスを開く方法

Oracle BPMプロジェクトを開いた後、このプロジェクトに含まれる任意のプロセスを開くことができます。

ビジネス・プロセスを開くには

  1. プロジェクトのようこそページに移動します。
  2. 「プロセス」をクリックします。
  3. 開くプロセスの名前をクリックします。

プロセス・エディタ・ウィンドウでプロセスが開きます。プロセスを編集する前に、編集モードであることを確認する必要があります。

7.6.3 ビジネス・プロセスの削除方法

プロジェクトからプロセスを削除できます。

プロジェクトのビジネス・プロセスを削除するには:

  1. プロジェクトを開きます。
  2. プロジェクトのようこそページに移動します。
  3. 「プロセス」をクリックします。
  4. 削除するプロセスの名前にカーソルを移動します。
  5. 「削除」アイコンをクリックし、「OK」をクリックします。

7.6.3.1 ビジネス・プロセスの削除に関する必知事項

プロセスを削除するときは、削除するプロセスへの参照がプロジェクト内の他の部分に残っていないことを確認してください。たとえば、削除するプロセスが別のプロセスからメッセージ・スロー・イベントを通じて起動されていた場合は、削除するプロセスを参照しないように呼び出し側プロセスを再構成したことを確認する必要があります。削除するプロセスへの参照が残っている場合は、検証時にエラーが表示されます。

7.7 スイムレーンを使用したプロセスの整理

プロセスの整理にはスイムレーンが役立ちます。これはプロセス・エディタに水平方向に描かれた線です。すべてのフロー・オブジェクトは、スイムレーン内に配置する必要があります。

ロールはスイムレーンに割り当てられ、ロールによって、プロセスベースのアプリケーションの作業を実行するビジネス組織のメンバーが決まります。

7.7.1 ロールの概要

ビジネス・プロセスの設計においては、ユーザー相互作用を必要とする各タスクを完了させる責任を負うユーザーおよびロールを決定することが重要となります。プロセスにおいて、ロールは、ビジネス・プロセス内で実行される作業の実行責任者を決定するために使用されます。ロールを使用すると、組織内の職務や責任を表す機能上のカテゴリを定義できます。

また、プロセスに定義されたロールは、論理ロールとも呼ばれます。Oracle BPMプロジェクトがランタイム環境にデプロイされると、これらのロールは、実際の組織におけるユーザーに対応するLDAPロールにマップされます。

ロールは水平のスイムレーンに割り当てられます。スイムレーンには、プロセス内のアクティビティおよびタスクを完了する責任を負うロールが表示されます。Oracle Business Process Composerを使用すると、プロセス内で必要なロールを作成および編集して、それらをスイムレーンに割り当てることができます。

Oracle BPM StudioまたはOracle BPM Workspaceでは、LDAPを使用して特定のユーザーにロールをマップすることもできます。また、Oracle BPM Studioでは、組織単位、カレンダおよび休日を使用して、より堅牢な組織モデルを作成できます。

7.7.1.1 コンテキスト内のロール

プロセス・アナリストは、ビジネス・プロセスを設計するときにどのようなロールが必要となるかを決定します。

図7-7に示されているLoanProcessの例では、次のロールが定義されます。

図7-7 BPMプロセス・エディタ - スイムレーン

図7-7の説明が続きます
「図7-7 BPMプロセス・エディタ - スイムレーン」の説明
  • ローン担当者: ローン担当者は、ローン申請を作成してローン・プロセッサに転送します。

  • ローン・プロセッサ: ローン・プロセッサは、ローン申請を検討し、ローン申請の信用履歴を確認してから、承認のために引受者に申請を転送します。

  • 引受者: このロールは、ローン申請を検討して承認するユーザーを表します。

    さらに、ローンが承認された場合、そのローンの金額を支出します。

7.7.2 スイムレーンの概要

スイムレーンは、プロセス・エディタに水平方向に描かれた線です。すべてのフロー・オブジェクトは、スイムレーン内に配置する必要があります。

スイムレーンは、プロセス内に定義されたロールに基づいてフロー・オブジェクトをグループ化するためにも使用します。ユーザー・タスクを含むスイムレーンには、ロールが割り当てられている必要があります。スイムレーンには、プロセス内の各フロー・オブジェクトの実行を担当するロールが視覚的に表示されます。さらに、同じロールに複数のスイムレーンを割り当てることもできます。

同じプロセスの様々な部分で同一のロールを使用する必要がある場合は、スイムレーンを使用するとプロセスがわかりやすくなります。

新しいプロセスを作成すると、Oracle BPM StudioおよびOracle Business Process Composerによってデフォルトのスイムレーンが作成されます。必要に応じて、プロセスに追加のスイムレーンを追加できます。プロセスに対話型アクティビティや手動アクティビティを追加する場合は、スイムレーンにロールを割り当てる必要があります。

注意:

プロセスの開始イベントまたは終了イベントのみを含むスイムレーンは削除できません。

7.7.2.1 コンテキスト内のスイムレーン

図7-8は、複数のスイムレーンにスプリットされた単純なプロセスを示しています。この例では、営業担当者ロールが最初のスイムレーンに割り当てられています。このスイムレーン内には見積入力ユーザー・タスクが表示されているため、営業担当者ロールに割り当てられているプロセス参加者は、このタスクの実行を担当します。

図7-8 2つのスイムレーンにスプリットされた、単純なビジネス・プロセス

図7-8の説明が続きます
「図7-8 2つのスイムレーンにスプリットされた、単純なビジネス・プロセス」の説明

実際のビジネス・プロセスでは、スイムレーンの組合せ、およびスイムレーン内のフロー・オブジェクトが複雑になる場合があります。

7.7.3 プロセスへのスイムレーンの追加

BPMNプロセスにスイムレーンを追加できます。

プロセスに新しいスイムレーンを追加するには:

  1. プロセス・エディタ・キャンバスの白い領域を右クリックします。
  2. 「レーンの追加」を選択します。

新しいスイムレーンが作成されます。デフォルトでは、スイムレーンにロールは割り当てられていません。ロールを追加するには、スイムレーンのプロパティを編集します。

7.7.4 プロセスへのスイムレーンおよびフロー・オブジェクトの追加

BPMNプロセスに新しいスイムレーンおよびフロー・オブジェクトを追加できます。

新しいフロー・オブジェクトを追加してプロセスに新しいスイムレーンを追加するには:

  1. スイムレーンを追加するプロセスを開きます。
  2. コンポーネント・パレットからフロー・オブジェクトを選択し、それを既存のスイムレーンの下のプロセス・キャンバスにドラッグ・アンド・ドロップします。

新しいスイムレーンが作成されます。デフォルトでは、スイムレーンにロールは割り当てられていません。ロールを追加するには、スイムレーンのプロパティを編集します。

7.7.5 スイムレーンのプロパティを編集する方法

スイムレーンのプロパティはプロセス・エディタで編集できます。

スイムレーンのプロパティを編集するには:

  1. スイムレーンのロール名にカーソルを移動します。

  2. 「編集」アイコンをクリックします。

  3. 既存のロールを使用するか、または新しいロールを作成するかを決定します:

    既存のロールをスイムレーンに割り当てるには:

    1. 「使用」ボタンをクリックします。

    2. ドロップダウン・リストからロールを選択します。

    新しいロールをスイムレーンに割り当てるには:

    1. 作成」ボタンをクリックします。

    2. テキスト・フィールドに新しいロールの名前を入力します。

  4. (オプション)カスタム・アイコンをスイムレーンに追加するには、「変更」をクリックし、使用するアイコンを選択します。

  5. (オプション)スイムレーンの背景色を変更するには:

    1. 「実装」をクリックします。

    2. 実装プロパティ・エディタで、色のRGB値を入力するか、カラー・パレットから色を選択します。

    3. 「変更の適用」をクリックします。

7.7.6 Business Process ComposerとBPM Studioとの間でのロールの共有

Oracle BPM Studioでは、組織単位、カレンダおよび休日に基づいて、複雑な組織モデル内にロールを統合できます。

Oracle Business Process Composerでプロジェクトを編集する際には、そのプロジェクト内に定義されたロールにアクセスできます。ただし、プロジェクト内に定義された組織情報は表示または編集できません。

また、Oracle Business Process Composerを使用して新しいロールを作成することもできます。これらのロールは、プロジェクトの全体的な組織情報の一部として統合されます。

7.8 フロー要素の使用

この項では、プロセス・エディタを使用してプロセスにフロー要素を追加する方法の基本メカニズムについて説明します。

BPMN 2.0を使用したビジネス・プロセス設計の詳細は、BPMNフロー・オブジェクト・リファレンスを参照してください。

7.8.1 コンポーネント・パレットからフロー・オブジェクトを追加する方法

プロセスにフロー・オブジェクトを追加するには、コンポーネント・パレットからプロセス・エディタ・キャンバスにフロー・オブジェクトをドラッグします。

コンポーネント・パレットからフロー要素を追加するには:

  1. フロー要素を追加するプロセスを開きます。
  2. 編集モードであることを確認します。
  3. コンポーネント・パレットで、追加するフロー・オブジェクトのタイプをダブルクリックします。
  4. 使用するオブジェクト入力モードを選択します。

    単一のフロー・オブジェクトを入力するか、または同じタイプの複数のフロー・オブジェクトを入力するかを選択できます。詳細は、BPMNコンポーネント・パレットの概要を参照してください。

  5. 追加するフロー・オブジェクトをクリックし、このフロー・オブジェクトを配置するプロセス・エディタ・キャンバス内の領域にドラッグします。

    カーソルに、フロー・オブジェクトのタイプに関連付けられているアイコンが表示されます。

  6. フロー・オブジェクトを追加するプロセス内のポイントにカーソルを置いてから、マウスをクリックします。

    複数オブジェクト・モードで作業している場合は、引き続きプロセス・エディタ・キャンバス内をクリックして、同じタイプのフロー・オブジェクトを追加できます。

    注意:

    シーケンス・フローにカーソルを置くと、Oracle Business Process Composerによって、新しいフロー・オブジェクトの受信シーケンス・フローと送信シーケンス・フローが自動的に作成されます。

7.8.2 フロー・オブジェクトの切取り、コピーまたは削除を行う方法

プロセス・エディタ・ウィンドウ内で、フロー・オブジェクトの切取り、コピーまたは削除を行うことができます。

フロー・オブジェクトの切取り、コピーまたは削除を行うには:

  1. 切取り、コピーまたは削除を行うフロー・オブジェクトまたはシーケンス・フローを選択します。
  2. プロセス・エディタ・ツールバーから「切取り」「コピー」または「削除」を選択します。

    注意:

    受信シーケンス・フローおよび送信シーケンス・フローを含むフロー・オブジェクトの切取りまたは削除を行うと、Oracle Business Process Composerによって、そのフロー・オブジェクトが送信シーケンス・フローに自動的に接続されます。ただし、周囲のフロー・オブジェクトを手動で再構成する必要が生じる場合があります。

7.8.3 プロセスにフロー・オブジェクトを貼り付ける方法

事前に切取りまたはコピーしたフロー・オブジェクトを貼り付けることができます。

プロセスにフロー・オブジェクトを貼り付けるには:

  1. フロー・オブジェクトを貼り付けるプロセス・エディタ・キャンバスの領域で右クリックします。
  2. 「貼付け」を選択します。

7.8.4 プロセスにシーケンス・フローを追加する方法

シーケンス・フローは、プロセス内で処理が実行される順序(シーケンス)を定義します。詳細は、シーケンス・フローを使用したプロセスの制御を参照してください。

プロセスにシーケンス・フローを追加するには:

  1. プロセスを開きます。
  2. 送信シーケンス・フローを作成するフロー・オブジェクトにカーソルを移動します。
  3. 「シーケンス・フローの追加」ボタンをクリックします。

    このボタンは、フロー・オブジェクトに送信シーケンス・フローが含まれていない場合のみ表示されます。

  4. 接続するフロー・オブジェクトにカーソルを移動してクリックします。

7.8.5 シーケンス・フローを削除する方法

BPMNプロセスからシーケンス・フローを削除できます。

プロセスからシーケンス・フローを削除するには:

  1. プロセス・エディタ・キャンバスで、削除するシーケンス・フローを右クリックします。
  2. 「削除」を選択します。

7.8.5.1 シーケンス・フローの削除に関する必知事項

プロセスからシーケンス・フローを削除すると、そのシーケンス・フローに対して構成した実装の詳細はすべて失われます。

7.8.6 フロー・オブジェクトのプロパティを編集する方法

シーケンス・フローの基本プロパティを編集できます。

フロー・オブジェクトのプロパティを編集するには:

  1. フロー・オブジェクトを右クリックします。
  2. 「プロパティ」を選択します。
  3. フロー・オブジェクトのプロパティを編集します。
  4. プロパティの編集が終了したら、「プロパティ」ペインの右上隅にある下向き矢印をクリックします。

7.8.7 カスタム・アイコンをフロー・オブジェクトに割り当てる方法

Oracle Business Process Composerを使用して、フロー・オブジェクトのデフォルトのBPMNアイコンと置き換えるカスタム・アイコンを選択します。Oracle BPMで提供されているカスタム・アイコンのリストから選択できます。

カスタム・アイコンをフロー・オブジェクトに割り当てるには:

  1. フロー・オブジェクトを右クリックして、「プロパティ」を選択します。
  2. 「変更」をクリックし、使用するアイコンを選択します。
  3. 「プロパティ」ウィンドウの外側をクリックすると、変更内容が適用されます。

7.9 ビジネス・カタログのコンポーネントの使用

次の各項では、Oracle Business Process Composerでのビジネス・カタログの使用方法について説明します。

ビジネス・カタログの詳細は、ビジネス・カタログを参照してください。

7.9.1 ビジネス・カタログ・コンポーネントをフロー・オブジェクトに割り当てる方法

Oracle Business Process Composerを使用して、ビジネス・カタログのコンポーネントをフロー・オブジェクトに割り当てることにより、フロー・オブジェクトの実装の詳細を構成します。

ビジネス・カタログのコンポーネントは、次のフロー・オブジェクトに割り当てることができます。

  • ビジネス・ルール・タスク

  • サービス・タスク

  • ユーザー・タスク

  • メッセージ・イベントと受信タスク

ビジネス・カタログのコンポーネントをフロー・オブジェクトに割り当てるには:

  1. プロセスを開きます。
  2. ビジネス・カタログのコンポーネントを追加するフロー・オブジェクトを右クリックします。
  3. 「実装」を選択します。
  4. 「参照」を選択し、リストからビジネス・カタログのコンポーネントを選択します。
  5. 「OK」をクリックします。
  6. 「変更の適用」をクリックします。

    注意:

    フロー・オブジェクトの実装に対する変更内容を保存するには、「変更の適用」をクリックする必要があります。プロジェクトを保存しても、「変更の適用」をクリックしないと実装の変更内容は保存されません。

7.9.2 ビジネス・カタログで新しいヒューマン・タスクを作成する方法

ビジネス・カタログ内に新しいヒューマン・タスクを作成できます。詳細は、ヒューマン・タスクの使用を参照してください。

ヒューマン・タスクを作成した後は、そのヒューマン・タスクをプロセス内のユーザー・タスクに割り当てることができます。BPMNプロセス内のヒューマン・タスクの使用方法については、プロセスへのユーザー相互作用の追加を参照してください。

7.10 ドラフト・プロセスの使用

Oracle BPMを使用して、ドラフト・プロセスを作成およびデプロイできます。ドラフト・プロセスには、実装が定義されていないフロー・オブジェクトが1つ以上あります。ドラフト・プロセスをデプロイすると、プロセス内で完了している部分をテストできるため、すべてのフロー・オブジェクトが実装されるのを待機する必要がありません。

ドラフト・プロセスを作成するには、プロセス内の1つ以上のフロー・オブジェクトをドラフトとしてマークします。ただし、ドラフト・プロセスをデプロイするには、それらが有効である必要があります。

フロー・オブジェクトをドラフトとしてマークした場合、そのフロー・オブジェクトのデータ・アソシエーションは構成できません。すでにデータ・アソシエーションを構成済のフロー・オブジェクトをドラフトとしてマークすると、データ・アソシエーションは失われます。

ドラフト・フロー・オブジェクトの実装の詳細を定義できます。ただし、これは必須ではありません。ドラフトのフロー・オブジェクトに実装が定義されていなくても、プロジェクトの検証時にエラーは発生しません。

ドラフトのフロー・オブジェクトが含まれるプロジェクトをデプロイする場合、それらのフロー・オブジェクトの実装の詳細は無視されます。たとえば、ドラフトとしてマークされたユーザー・タスクがプロセスに含まれている場合、ランタイム・エンジンは関連付けられたヒューマン・タスクのインスタンスを作成しません。

7.10.1 フロー・オブジェクトをドラフトとしてマークする方法

フロー・オブジェクトをドラフトとしてマークするには、図7-9に示すように、実装プロパティを編集します。

図7-9 アクティビティのプロパティ - 「実装」

図7-9の説明が続きます
「図7-9 アクティビティのプロパティ - 「実装」」の説明

フロー・オブジェクトをドラフトとしてマークするには:

  1. プロセスを開きます。
  2. フロー・オブジェクトを右クリックし、「実装」を選択します。
  3. 「ドラフト」の横のチェック・ボックスを選択します。
  4. 「変更の適用」をクリックします。

7.11 プロセスのドキュメント化

ドキュメント・エディタを使用して、プロセスのドキュメントを作成できます。プロセス全体のドキュメント、およびプロセス内の個々のフロー・オブジェクトのドキュメントを追加できます。

Oracle BPMを使用して、2つの異なるタイプのドキュメントを作成できます。

  • エンド・ユーザー: プロセス・ワークスペースを使用したプロセスベースのアプリケーションのエンド・ユーザーが表示可能なドキュメント。

  • 内部(ユースケース): ビジネス・プロセスをコラボレーションしていたり、後で改訂を行う可能性があるプロセス・アナリストおよび開発者向けのドキュメント。

    プロセス内のアクティビティ、イベントおよびゲートウェイごとにユースケース・ドキュメントを定義できます。

    注意:

    シーケンス・フローまたは測定マークのドキュメントは作成できません。

プロセスのドキュメント化の詳細は、「プロセス・レベルのドキュメントの理解」および「アクティビティ・レベルのドキュメントの理解」を参照してください。

7.12 プロセス・モデルのインポートおよびエクスポート

Oracle Business Process Composerを使用して、他のプログラムで作成された外部プロセス・モデルをインポートおよびエクスポートします。

BPMプロセス・モデル・コンバータ・ウィザードを使用して外部プロセス・モデルをインポートし、BPMNに変換します。

7.12.1 プロセス・モデルのOracle BPMへのインポート

BPMプロセス・モデル・コンバータ・ウィザードを使用して外部プロセス・モデルをインポートし、BPMNに変換します。図7-10に示すように、Oracle BPMでは、次のフォーマットのプロセス・モデルのインポートおよび変換がサポートされています。

  • Oracle Tutor (docx)

  • Visio (vdx)

  • Oracle Workflow (wft)

  • BPMN 2.0 (bpmn)

  • XPDL (xpdl)

図7-10 BPMプロセス・モデル・コンバータ・ウィザード

図7-10の説明が続きます
「図7-10 BPMプロセス・モデル・コンバータ・ウィザード」の説明

VisioおよびXPDLのプロセスを正確に変換するには、変換前にこれらのプロセスの変更が必要な場合があります。詳細は、「Oracle BPMにインポートするためのプロセスの準備」を参照してください。

注意:

元のファイルにBPMNでサポートされていないプロパティおよびアーティファクトが含まれている場合は、サポートされていない要素は変換されず、BPMNの最終プロセスから省略されます。

たとえば、元のファイルの標準アクティビティにループ特性が含まれている場合、これはOracle BPMではサポートされていないため、変換後のBPMNプロセスにはループ特性が含まれません。

プロセス・モデルをインポートするには:

  1. メイン・メニューから、「インポート」「モデルのインポート」の順に選択して、BPMプロセス・モデル・コンバータ・ウィザードを開きます。

    ウィザードのようこそページが表示されます。「次へ」をクリックします。

  2. ローカル・ファイル・システムで、ファイルのフォーマット・タイプを強調表示し、インポートするファイルを参照します。「次へ」をクリックします。
  3. VisioファイルまたはXPDLファイルをインポートする場合は、次のいずれかを選択します。
    • 各プールから個別のモデルを作成

    • プールを1つのモデルにマージ

    このダイアログは、元のファイルに複数のプールが含まれていない場合でも表示されます。

  4. 「終了」をクリックします。

新しく作成されたBPMNプロセスは、プロジェクトのようこそページから表示できます。