この章では、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3)のOracle Universal Installerについて説明します。
この章の内容は、次のとおりです。
使用するシステムのOracle Universal Installerの実行の確認および準備については、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様についてのドキュメントで、Oracle Universal Installerの要件の確認に関する説明を参照してください。
Oracle Universal Installerは実行されるたびに、システムでの中央インベントリの場所を確認します。中央インベントリの場所が見つからない場合(たとえば、今回初めてOracle製品をシステムにインストールしている場合)、中央インベントリを作成するように求められます(第1.2.1項)。
製品がOracle Universal Installerを使用してインストールされた場合、Oracle中央インベントリには、使用するシステム上のすべてのOracleホームにインストールされているすべてのOracleソフトウェア製品に関する情報が格納されます。
インベントリ情報は、Extensible Markup Language (XML)形式で格納されます。XML形式によって、問題の診断が容易になり、データを短時間でロードできます。保護情報は直接中央インベントリには格納されません。このため、一部の製品の削除中に、検証に必要な資格証明の入力を求められることがあります。
中央インベントリは、そのシステム上のインストールで使用されるシステム固有のインベントリであるため、他のシステムと共有されないローカル・ファイルシステムに配置することをお薦めします。他のシステムのインストールによってインベントリが破損することがないよう、中央インベントリをローカル・ディスクに配置することを強くお薦めします。Oracleホーム、ドメイン・ホームまたはアプリケーション・ホームの場所には中央インベントリを配置しないでください。
同じOracleホームにインストールされたすべてのインストールは、同じOracle中央インベントリに関連付けられている必要があります。
この項では、Oracle中央インベントリの場所を設定する方法について説明します。
Oracle Universal Installerグラフィカル・インタフェースを使用してOracle製品をインストールする際、UNIXオペレーティング・システム上で既存のOracle中央インベントリが検出されないと、インストール・インベントリの設定画面が表示されます。
この画面の手順に従って、Oracle中央インベントリを設定します。製品のインストールを続行するには、まず、これを完了する必要があります。
ここでは次を実行します。
Oracle中央インベントリ・ディレクトリ(デフォルトはUSER_HOME/oraInventory)を作成します。このディレクトリは、インストールを実行するユーザーによって所有されます。
Oracle中央インベントリの場所にcreateCentralInventory.shスクリプト(USER_HOME/oraInventory/createCentralInventory.shなど)を作成します。
このスクリプトをrootとして実行し、Oracle中央インベントリの場所をシステムの標準ファイル(/etc/oraInst.locなど)に登録する必要があります。第1.2.2項を参照してください。
UNIXオペレーティング・システムでサイレント・インストールを行う場合は、システムにOracle中央インベントリを設定してから、インストールを実行する必要があります。これを行うには、/tmp/createCentralInventory.shスクリプトをrootとして実行し、中央インベントリを作成する必要があります。
これを実行すると、スクリプトを実行してシステム上に作成されたすべてのディレクトリは、インストールを実行しているユーザーではなくrootによって所有されるので注意してください。サイレント・インストールによるOracle中央インベントリの作成の詳細は、第2.3.2項を参照してください。
UNIXオペレーティング・システム上のOracle中央インベントリを検出するには、次のディレクトリ(デフォルトの場所)のoraInst.locファイルを検索します。
Linuxの場合: /etc/oraInst.loc
HP-UX、IBM AIX、MAC OS XおよびSolarisの場合: /var/opt/oracle/oraInst.loc
Oracle Fusion Middleware製品のインストール後に、viewInventory.sh (UNIXオペレーティング・システム)またはviewInventory.cmd (Windowsオペレーティング・システム)スクリプトを使用して、Oracleホーム・ディレクトリの内容を表示することができます。次の情報が出力されます。
インストールされているディストリビューションの名前およびバージョン。
インストールされている機能セットの名前およびバージョン。
インストールされているコンポーネントの名前およびバージョン。
インストールされているパッチのパッチIDおよび一意のID。
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注意: ディストリビューションおよび機能セットの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の製品ディストリビューションに関する説明を参照してください。 |
スクリプト出力は、コンソール・ウィンドウ、XMLファイルまたはCSVファイル(スプレッドシートにインポート可能)に送ることができます。
このスクリプトは、ORACLE_HOME/oui/binディレクトリにあります。
UNIXオペレーティング・システムでスクリプトを実行するには、次の構文を使用します。
./viewInventory.sh [-jreLoc jre_location] [-oracle_home oracle_home_location] [-output_format [report|xml|csv]] [-output_file output_file_location_and_name]
Windowsオペレーティング・システムでスクリプトを実行するには、次の構文を使用します。
viewInventory.cmd [-jreLoc jre_location] [-oracle_home oracle_home_location] [-output_format [report|xml|csv]] [-output_file output_file_location_and_name]
このコマンドのオプションはすべて省略可能であり、表1-1にまとめられています。
表1-1 viewInventoryスクリプトのオプション
| オプション | 説明 |
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インベントリ情報を表示するOracleホーム。Oracleホームを指定しない場合、デフォルトはスクリプトが実行されるOracleホームです。 |
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出力の記録形式。有効な値は次のとおりです。
出力形式を指定しない場合、デフォルトは |
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出力ファイルの名前と形式。このオプションは、出力をXMLまたはCSV形式に保存する場合にのみ必要です(出力ファイルを指定しない場合、スクリプトはデフォルトでコンソール・ウィンドウに出力します)。 |
Oracle Fusion Middleware製品のインストール後に、compareInventory.sh (UNIXオペレーティング・システム)またはcompareInventory.cmd (Windowsオペレーティング・システム)スクリプトを使用して、2つのOracleホームの場所の内容を比較することができます。相違点が見つかると、次の情報が出力されます。
Oracleホームの場所。
ディストリビューションの名前およびバージョン。
機能セットの名前およびバージョン。
コンポーネントの名前およびバージョン。
パッチのパッチIDおよび一意のID。
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注意: ディストリビューションおよび機能セットの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の製品ディストリビューションに関する説明を参照してください。 |
スクリプト出力は、コンソール・ウィンドウ、XMLファイルまたはCSVファイル(スプレッドシートにインポート可能)に送ることができます。
このスクリプトは、ORACLE_HOME/oui/binディレクトリにあります。
UNIXオペレーティング・システムでスクリプトを実行するには、次の構文を使用します。
./compareInventory.sh -oracle_home1 oracle_home1_location -oracle_home2 oracle_home2_location [-jreLoc jre_location] [-input_type1 [dir|xml]] [-input_type2 [dir|xml]] [-output_file output_file_location_and_name]
Windowsオペレーティング・システムでスクリプトを実行するには、次の構文を使用します。
compareInventory.cmd -oracle_home1 oracle_home1_location -oracle_home2 oracle_home2_location [-jreLoc jre_location] [-input_type1 [dir|xml]] [-input_type2 [dir|xml]] [-output_file output_file_location_and_name]
-oracle_home1オプションと-oracle_home2オプションのみが必要です。このコマンドのオプションはすべて省略可能であり、表1-2にまとめられています。
表1-2 compareInventoryスクリプトのオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
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比較する2つのOracleホームの場所のいずれかへのフルパス。 |
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比較する2つ目のOracleホームの場所へのフルパス。 |
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値を指定しない場合、スクリプトは自動的にソースの形式を検出します。 |
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値を指定しない場合、スクリプトは自動的にソースの形式を検出します。 |
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出力ファイルの名前と形式。このオプションは、出力をXMLまたはCSV形式に保存する場合にのみ必要です(出力ファイルを指定しない場合、スクリプトはデフォルトでコンソール・ウィンドウに出力します)。 |
Oracle Universal Installerは、次のモードで実行できます。
グラフィカル・モード
グラフィカル・モードのインストールは、対話型のGUIベースのソフトウェア・インストール方法です。WindowsとUNIXシステムの両方で実行できます。
UNIXオペレーティング・システムでグラフィカル・モードでインストール・プログラムを実行するには、ソフトウェアのインストール先のマシンに接続されているコンソールで、JavaベースのGUIがサポートされている必要があります。JavaベースのGUIは、Windowsシステムではすべてのコンソールでサポートされていますが、UNIXシステムでは一部のコンソールでサポートされていません。
またUNIXオペレーティング・システムでは、DISPLAY環境変数を、インストーラGUIを表示するモニターに設定する必要があり、インストールを実行するユーザーはDISPLAYに設定されたマシンへのアクセス権を持つ必要があります。手順はオペレーティング・システムに応じて異なるため、これを行う具体的な手順については、使用するオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。
サイレント・モード
サイレント・モード・インストールは、非対話型のソフトウェア・インストール方法です。インストール・オプションの指定にはプロパティ・ファイル(レスポンス・ファイルと呼ばれる)を使用します。サイレント・モード・インストールは、スクリプトまたはコマンドラインから実行できます。サイレント・モード・インストールでは、インストール構成を一度定義するだけで、この構成を使用して多くのマシンにインストールを繰り返すことができます。
サイレント・モード・インストールの詳細、およびレスポンス・ファイルの作成方法については、第2章を参照してください。サンプル・レスポンス・ファイルについては、付録Cを参照してください。
Oracle Universal Installerは、製品ディストリビューションのパッケージ方法に応じて、様々な方法で起動できます。
.jarディストリビューションでパッケージ化されているOracle Universal Installerを起動するには、動作保証されたJDKがすでにシステムにインストールされていることを確認してください。Oracle Fusion Middlewareでサポートされるシステム構成に関するページで、12c (12.1.3)の適切な動作保証のドキュメントを参照してください。
環境変数を設定せずにインストーラを起動するには、次の手順を実行します。
製品ディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
JDKホーム内にあるjava -jarコマンドを呼び出します。次に例を示します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
/home/Oracle/jdk7_15/jdk1.7.0_15/bin/java -jar distribution_name.jar
Windowsオペレーティング・システムの場合:
C:\Program Files\Java\jdk7_15\bin\java -jar distribution_name.jar
JAVA_HOMEおよびPATH環境変数を設定してインストーラを実行することもできます。
システムのJAVA_HOME環境変数に、JDKディレクトリを設定します。次に例を示します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
JAVA_HOME=/home/Oracle/jdk7_15/jdk1.7.0_15; export JAVA_HOME
Windowsオペレーティング・システムの場合:
set JAVA_HOME=C:\Program Files\Java\jdk1.7.0_15
適切なJDKのディレクトリを、ターゲット・システムのPATH変数の定義に追加します。次に例を示します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH; export PATH
Windowsオペレーティング・システムの場合:
set PATH=%JAVA_HOME%\bin:%PATH%
インストール・プログラムをダウンロードしたディレクトリに移動します。
次のコマンドを入力して、インストール・プログラムを起動します。
java -jar distribution_name.jar
Oracle HTTP Serverなど、一部の製品では製品固有のディストリビューションを入手できます。そのディストリビューションは、UNIXオペレーティング・システムでは.binファイルとして、Windowsオペレーティング・システムでは.exeファイルとして入手できます。
.binディストリビューションでOracle Universal Installerを起動するには、次の手順を実行します。
.binファイルの権限を変更します。
chmod a+x distribution_name.bin
.binファイルを実行します。
./distribution_name.bin
.exeディストリビューションでOracle Universal Installerを起動するには、Windows Explorerを使用してディストリビューションを含むディレクトリにナビゲートし、distribution_name.exeファイルをダブルクリックします。