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Oracle® Fusion Middleware Oracle Enterprise Schedulerの管理
12c (12.1.3)
E59386-02
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A.2 Oracle Enterprise Schedulerの概念

Oracle Enterprise Schedulerのアーキテクチャやそのコンポーネントおよびライフ・サイクルなどの概念を理解しておくと、Oracle Enterprise Scheduler環境を構成するときの参考になります。

この項には次のトピックが含まれます:

A.2.1 Oracle Enterprise Schedulerのアーキテクチャ

Oracle Enterprise SchedulerはOracle WebLogic Serverインスタンスにインストールされ、そこで実行されます。Oracle Enterprise Schedulerのサービス・コンポーネントはOracle JRFの上に配置され、Oracle Web Services Managerによって保護されます。Oracle Enterprise Schedulerはスケジュール済ジョブの送信とジョブ定義を管理します。

図A-1に、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのコンテキストにおける、Oracle Enterprise Schedulerのランタイム・アーキテクチャを示します。

図A-1 Oracle Enterprise Schedulerのランタイム・アーキテクチャ

「図A-1 Oracle Enterprise Schedulerのランタイム・アーキテクチャ」の説明が続きます
「図A-1 Oracle Enterprise Schedulerのランタイム・アーキテクチャ」の説明

次に、Oracle Enterprise Schedulerランタイム・アーキテクチャのコンポーネントを示します。

  • Oracle Enterprise Schedulerクライアント・アプリケーション: 様々なアプリケーションがスケジュール済ジョブの実行をリクエストできます。Oracle Fusionアプリケーション、SOAやOracle ADFビジネス・コンポーネントなどのWebサービス・クライアント、およびPL/SQLアプリケーションなどのアプリケーションが含まれます。

  • Oracle Enterprise Scheduler: Fusion Middleware Controlを使用してOracle Enterprise Schedulerクラスタ、サービスおよびジョブを管理できます。Oracle Enterprise SchedulerはMDSを使用してメタデータにアクセスします。スケジュール済ジョブの出力は、Oracle WebCenter Contentに保存されます。Oracle Enterprise Schedulerに含まれているインタフェースとAPIによって、アプリケーションおよび外部コンポーネントとの対話が可能になります。たとえば、PL/SQLクライアントはOracle Enterprise SchedulerのPL/SQL APIを使用してスケジュール済ジョブをリクエストします。

  • Oracle Enterprise Schedulerによってアクセスされるコンポーネント: Oracle Enterprise Schedulerでは、SOAコンポーネント、Oracle ADFビジネス・コンポーネント・サービスおよびOracle Business Intelligence PublisherにアクセスするJavaジョブの作成がサポートされています(各コンポーネント専用のジョブは直接的にはサポートされません)。

EJBにアクセスするクライアント・アプリケーションはRMI経由でOracle Enterprise Schedulerにアクセスし、Oracle Enterprise Scheduler Webサービスを使用するクライアント・アプリケーションはHTTPを使用します。クライアント・アプリケーションからサーバーへの接続は、永続的で存続時間の短い非同期対話であり、コールバック機能が使用されることもあります。

A.2.2 Oracle Enterprise Schedulerコンポーネント

次に、Oracle Enterprise Schedulerコンポーネントを示します。

  • Oracle ADFサーバー(Oracle Enterprise Schedulerクライアント): RuntimeServiceEJBMetadataServiceEJBが共有ライブラリとしてデプロイされます。これらのライブラリはADFクライアント・アプリケーション(ears)にインポートされます。

  • Oracle Enterprise Schedulerサーバー(Oracle Enterprise Schedulerランタイム): Oracle Enterprise Schedulerサービス・コンポーネントはすべてのスケジュール済ジョブを管理します。

  • コア・ランタイム: JCAリソース・アダプタ、複数のEJBコンポーネントおよびJRF Webサービス・モジュール(WARファイル)が含まれているOracle Enterprise SchedulerアプリケーションのEARファイルです。

  • ホスティング・アプリケーション: ホスティング・アプリケーションは、ESSEndpointMDBRuntimeServiceEJBおよびMetadataServiceEJB共有ライブラリをインポートするEARファイルです。Oracle Enterprise Schedulerのホスティング・アプリケーションは、Oracle Enterprise Schedulerライブラリまたは統合ジョブ・リクエスト送信インタフェースを使用してジョブ・リクエストを送信します。

  • Oracle Database Scheduler: Oracle Enterprise SchedulerのPL/SQLジョブは、標準のOracle Database Schedulerを使用して実行されます。

  • Oracle Enterprise SchedulerはJavaプロセスAPIを使用して、ネイティブ・バイナリ・ジョブを生成します。

Oracle Enterprise Schedulerは次のデータ・ソースに依存しています。

  • Oracle Enterprise Schedulerランタイム(XAエミュレーション)

  • Oracle Enterprise Schedulerランタイム(非XA)

  • Oracle Enterprise Schedulerメタデータ・ストア(非XA)

XAトランザクションは、一般的には複数のリソースを生成するグローバル・トランザクションを指します。非XAトランザクションは常に1つのリソースに関与し、通常グローバル・トランザクションには参加できません。

ジョブの実装に含まれるコンポーネントによって異なりますが、外部依存性には、ランタイム・データベース、MDSリポジトリ、Oracle SOA Suite、Oracle ADFビジネス・コンポーネント、Oracle BIプレゼンテーション・サービス、Oracle WebCenter Contentなどが含まれます。

A.2.3 Oracle Enterprise Schedulerのライフ・サイクル

Oracle Enterprise Schedulerのエンジンは、Oracle WebLogic Serverによって初期化される標準J2EEアプリケーションの一部として起動されます。Oracle Enterprise Scheduler JCAアダプタはランタイム・スキーマに接続し、スケジュール済作業項目のポーリングを行います。

次に、クライアント・リクエストがOracle Enterprise Schedulerで実行されるときの過程を示します。

  1. クライアント・アプリケーションがジョブ・リクエストを送信します。
  2. Oracle Enterprise Schedulerがジョブ・リクエストのメタデータを読み取ります。
  3. Oracle Enterprise Schedulerが、ジョブ・リクエストおよびジョブ・メタデータをOracle Enterprise Schedulerランタイム・データ・ストア内のキューに置きます。
  4. スケジュールとリクエスト・プロセッサの使用可能状況に基づいて、Oracle Enterprise Schedulerがメッセージをホスト・アプリケーションに送信します。このメッセージには、ジョブの送信時に捕捉したすべてのジョブ・リクエスト・パラメータとメタデータが含まれています。
  5. ホスティング・アプリケーションがジョブを実行し、ステータスを返します。ジョブ出力およびログがOracle WebCenter Contentに書き込まれます。
  6. Oracle Enterprise Schedulerによって、ジョブ・リクエストのステータスで履歴が更新されます。

図A-2に、実行されたジョブ・リクエストがそのライフ・サイクルを終えるまでにたどる状態変化を示します。

図A-2 ジョブ・リクエストの実行時の状態変化

「図A-2 ジョブ・リクエストの実行時の状態変化」の説明が続きます
「図A-2 ジョブ・リクエストの実行時の状態変化」の説明

図A-3は、実行ユーザーがリクエストを取り消したときに、実行可能ジョブ・リクエストに起こる状態変化を示しています。

図A-3 取消し操作後のジョブ状態の変化

「図A-3 取消し操作後のジョブ状態の変化」の説明が続きます
「図A-3 取消し操作後のジョブ状態の変化」の説明

図A-4に、スケジュール付きのジョブ・リクエストが送信されたときの状態遷移を示します。

図A-4 スケジュール付きで送信されたジョブ・リクエストの状態遷移

「図A-4 スケジュール付きで送信されたジョブ・リクエストの状態遷移」の説明が続きます
「図A-4 スケジュール付きで送信されたジョブ・リクエストの状態遷移」の説明

A.2.4 Oracle Enterprise Schedulerのライフ・サイクル・ツール

Oracle Enterprise SchedulerはOracle WebLogic Serverインスタンス上で実行されるため、Oracle Enterprise SchedulerはOracle Fusion MiddlewareのSOA用ノード・マネージャを使用して管理できます。

Oracle Enterprise Schedulerジョブは同じOracle WebLogic Serverインスタンス(またはリモートOracle WebLogic Serverインスタンス)、データベースおよびバイナリ・プロセスにホストできます。Oracle Enterprise SchedulerはOracle Enterprise Schedulerジョブのライフ・サイクルを管理します。Oracle Enterprise Managerを使用して、Oracle Enterprise Schedulerジョブを監視および管理します。Oracle Enterprise Schedulerジョブの管理の詳細は、「Oracle Enterprise Schedulerリクエストの管理」を参照してください。

Oracle Fusion Middlewareノード・マネージャの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』の「ノード・マネージャの使用」の章を参照してください。