この章では、AIA開発用のSOAコア拡張機能テクノロジの使用方法と機能の概要を説明します。
この章では、次の項目について説明します。
SOAコア拡張機能(SCE)はSOA 12cとともに提供されている機能であり、Oracle Application Integration Architecture (AIA)ベースの統合プロジェクトがSOA 12cへのアップグレード後に継続して動作するために必要な機能を提供します。
AIAスタイル統合を11gで実行している顧客は、ドメイン構成時/SOA 12cへのアップグレードの拡張部分でSOAコア拡張機能の機能を選択します。この機能を選択すると、任意のAIAスタイル統合のデプロイに必要なフレームワークと機能が、必要に応じて提供されます。
SOAコア拡張機能では、次の機能が提供されます。
AIAコンポジット・アプリケーション検証システム(CAVS) - CAVSは、Oracle Application Integration Architecture (Oracle AIA)サービスの統合をテストするための構造化された方式を提供するフレームワークです。CAVS機能には、Webサービスの呼出しをテストするテスト・イニシエータ、およびサービスのエンドポイントをシュミレートするシミュレータがあります。
AIAエラー処理フレームワーク(AIA-EH) - Oracle AIAエラー処理フレームワークでは、Oracle Application Integration Architecture (AIA)エコシステムで動作する統合サービスのニーズをサポートするためのエラー処理およびロギング・コンポーネントが提供されます。
AIAエラー再発行ユーティリティ - AIAメッセージ再発行ユーティリティを使用すると、ユーザーは、キュー、トピック、リシーケンサまたはAQの統合マイルストンに基づいてエラー・メッセージを再発行できます。
AIA管理コンソール - 管理者がCAVSなどの機能を使用するためのWebベースのアプリケーション。
Oracle Application Integration Architecture (AIA)は、エンタープライズ・アプリケーション全体にわたるユーザー中心の機動的なビジネス・プロセスを編成するための、事前作成済のコンテンツ、テンプレートおよび手法で構成されるフレームワークです。オラクル社は、コストを削減し、ビジネスの柔軟性を高めるために、業界のベスト・プラクティスおよびオープン・スタンダードを利用して、最も優れたアプリケーション(Oracleおよび非Oracle)の連携を可能にします。
Oracle Application Integration Architecture Foundation Packでは、構成を処理するためのより迅速で構造化された反復可能な方法が提供されます。AIA Foundation Packでは、Oracleの事前作成済の統合に対するフレームワークが提供されます。Oracle Application Integration Architecture Foundation Pack 11gでは、共通オブジェクトおよび共有サービス・ライブラリを提供するとともに、SOAプログラミング・モデルおよびベスト・プラクティスの実装方法もサポートしていました。Oracle AIA Foundation Packを使用すると、Oracleの顧客およびパートナは、そのアプリケーションを最新化し、システムを連結して、Oracleアプリケーション、およびOracleで使用されている同じ規則に従う非Oracleアプリケーション全体で、事前作成済の統合を提供するようにビジネス・プロセスを改善および拡張できます。
Oracle Application Integration Architecture (AIA)では、直接統合またはプロセス統合パックのいずれかで、事前作成済の統合が提供されます。
直接統合(DI) - アプリケーション間のデータ・フローおよびデータ同期化を管理する事前作成済の統合。
プロセス統合パック(PIP) - 事前作成済の統合のアクセラレータでは、データ中心の統合、Webサービス、参照データ問合せまたはプロセス中心の統合(あるいはこれらの組合せ)など、1つ以上の統合スタイルが結合されます。これらでは、Oracle AIA Foundation Pack内で定義されている設計パターン、手法および共通オブジェクトとサービスが利用されます。
AIAでは、2つのタイプの統合が処理されます。
機能統合
機能統合では、サービスとして公開される異なる参加アプリケーションの様々な機能が、エンタープライズ内の複数のアプリケーションにまたがるタスクを実行するプロセスとして組み込まれます。
データ統合
データ統合では、アプリケーションがデータ・レベルで連結され、同じデータを複数のアプリケーションで使用できるようにします。このタイプの統合はデータベース・テクノロジに依存し、アプリケーション全体で最小限のビジネス・ロジックが再使用され、大量のデータ・トランザクションが含まれる場合に最適です。このタイプの統合は、バッチ・データのアップロードまたはバルク・データの同期要件に適しています。
AIAでは、様々な状況に対する参照アーキテクチャが提供されます。統合プロジェクトの規模と複雑さに応じて、統合フローの実装のために採用される統合スタイルはそれぞれ異なります。統合フローにおける参加アプリケーションの数とその役割が、採用する統合スタイルを決定する一因となります。
図1-1に示した統合フローは、ビジネス・イベント・トリガー・ソースから1つ以上のターゲット・マイルストンまでの、考えられる中間マイルストンを通過した後のメッセージの推移を表しています。各マイルストンで、メッセージは様々な状態で保存されます。
図1-1 統合フローの図
統合フローは、メッセージのランタイム・パスを表します。これは設計時のアーティファクトではありません。
AIAでは、次の統合スタイルが処理されます。
Oracle Applicationsのテクノロジ・インフラストラクチャを使用したネイティブ・アプリケーション・インタフェースを介した統合。
統合フレームワークを備えた統合スタイル。
Oracle SOA Suiteを使用した、アプリケーションWebサービスを介した直接統合。
Oracle SOAコア拡張機能を使用した、パッケージ化された正規および標準化インタフェースを介した統合。
バルク・データ処理に対する統合スタイル。
リアルタイム・データの統合フロー。
バッチ・データの統合フロー。
販売プロセスでは、AIA提供の値に関する詳細情報が提供されます。提示される値は、ソリューションが要求されているビジネス問題のコンテキストで認識されます。
ビジネス問題の詳細分析、および関連ビジネス要件のドキュメント化によって、機能設計ドキュメントが作成され、次のことが提供されます。
ビジネス・ケースの詳細な説明
多数の異なるアクターによる想定アクションを含む例外ケースなど、様々な使用シナリオを詳細に説明する各種ユースケース
すべての参加アプリケーションに関する詳細 - 商用、バージョン付き既製品および自社作成
トリガー・ビジネス・イベントに関する詳細
機能フローに関する詳細
使用するビジネス・オブジェクトに関する詳細
様々なビジネス・オブジェクトに対して実行するアクション
パフォーマンスおよびスケーラビリティ要件に関する詳細
この開発者ガイドでは、次のことを想定しています。
機能設計ドキュメントが使用可能であること。
AIAソフトウェアにアクセスできること。
すべてのAIA提供ドキュメントにアクセスできること。
Oracle Fusion Middleware Oracle Application Integration Architecture Foundation Packコンセプトおよびテクノロジ・ガイド 11g リリース1 (11.1.1.9.0)を参照済であること。
この開発者ガイドの内容は次のとおりです。
AIA統合フローの作成に必要なすべてのタスクの概要。
様々なAIAアーティファクトの開発方法に関する詳細。
AIAアーティファクトと外部アーティファクト間の相互作用の説明。
様々な設計パターン、ベスト・プラクティス、およびランタイム・パフォーマンスのチューニングの説明。
「AIA統合フローの作成」から開始し、必要に応じてこの開発者ガイドの関連する章に進んでください。