DBUAを使用してデータベースをアップグレードするには、次の手順をすべて実行します。いずれかのページでヘルプが必要な場合、またはDBUAの詳細を表示する場合は、「ヘルプ」ボタンをクリックしてオンライン・ヘルプを開きます。
DBUAを使用してデータベースをアップグレードするには、次の手順を実行します。
DBUAを起動します。「DBUAの起動」を参照してください。
DBUAの操作の選択ページで、「Oracleデータベースのアップグレード」を選択します。その後、「次へ」をクリックします。
データベースの選択ページが表示されます。
「データベースの選択」ページの「ソース・データベースのOracleホームの指定」リストから、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)にアップグレードするデータベースを選択します。DBUAによってデータベースの情報が入力されます。DBUAによって、リリースの情報が表示され、選択したOracleホームに関連付けられているOracle Databaseが選択されます。
ソース・データベースにオペレーティング・システム認証がない場合、そのデータベースに対してSYSDBA
権限を持つアカウントのユーザー名とパスワードを入力するようにDBUAから求められます。
一度に1つのデータベースのみを選択できます。アップグレードするデータベースがリストに表示されない場合は、etc
ディレクトリにあるoratab
ファイルにそのデータベース名のエントリが存在することを確認してください。
SYSDBA
権限のないユーザー・アカウントからDBUAを実行する場合は、選択したデータベースに対してSYSDBA
権限を持つアカウントのユーザー名とパスワードを入力します。
「次へ」をクリックします。
選択したデータベースがマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)の場合、DBUAによって「プラガブル・データベース」ページが表示されます。「プラガブル・データベース」ページには、CDBに含まれるプラガブル・データベース(PDB)が一覧で表示されます(このPDBは選択したCDBとともにアップグレードされます)。
「次へ」をクリックします。
DBUAによって、データベースの分析およびアップグレード前のチェックが実行され、必要に応じて警告が表示されます。次に、DBUAによるデータベースのチェックの例を示します。
空のデータベースのごみ箱
無効なオブジェクト
非推奨となったかサポートが終了した初期化パラメータ
タイムゾーン・データファイルのバージョン
DBUAによる分析が終了すると、「前提条件チェック」ページが表示されます。分析完了までには数分かかります。
「前提条件チェック」ページには、検証と結果、重大度、問題がある場合に結果が修正可能かどうかおよび実行可能なアクションが表示されます。検証結果を選択すると、「修正可能」列に、結果が修正可能かどうかが表示されます。「アクション」ドロップダウン・リストには、実行可能なアクションが表示されます。たとえば、DBUAの「固定」を選択すると、スクリプトまたはコマンドが実行され、問題が修正されます。
「検証」列の結果を選択すると、DBUAにより画面の下部に結果の情報が表示されます。
テキスト情報領域の「詳細」リンクをクリックします。詳細情報が含まれた「検証の詳細」ボックスが表示されます。
検証エラーまたは警告があり、これらが修正可能な場合は、実行する「アクション」を選択できます。
「次へ」をクリックします。
「アップグレード・オプション」タブが選択された状態の「アップグレード・オプション」ページが表示されます。
「アップグレード・オプション」タブが選択された状態の「アップグレード・オプション」ページには、次のオプションがあります。
アップグレード並列度の選択
「アップグレード並列度の選択」セクションでは、アップグレード処理の並列度を設定できます。このオプションでは、スクリプトとプロセスの実行を同時に処理できるCPUの数に基づいて、アップグレードの実行に必要な時間が短縮されます。
デフォルトでは、DBUAにより「アップグレード並列度」はCPUの数または2(CPUの数が4台より少ない場合)に設定されます。このデフォルト値は、「アップグレード並列度の選択」リストから新規の値を選択して調整できます。
アップグレード後に無効なオブジェクトを再コンパイルします。
アップグレード完了後に、すべての無効なPL/SQLモジュールをDBUAで再コンパイルする場合は、「アップグレード後に無効なオブジェクトを再コンパイルします。」を選択します。アップグレード後に無効なオブジェクトを再コンパイルする際の並列度を指定します。DBUAにより、推奨される再コンパイル並列度が提供され、使用可能なCPUの数より1つ小さい値に設定されます。並列度を利用することにより、アップグレード時間を大幅に短縮できます。アップグレード後フェーズでDBUAによる無効なオブジェクトの再コンパイルを行わない場合は、データベースをアップグレードした後に無効なオブジェクトを手動で再コンパイルする必要があります。
タイムゾーン・データのアップグレード
DBUAの「タイムゾーン・データのアップグレード」を選択すると、このリリースのタイムゾーン・データファイルが更新されます。このオプションを選択しない場合は、アップグレード後にタイム・ゾーン構成ファイルを手動で更新する必要があります。
アップグレード前の統計の収集
「アップグレード前の統計の収集」を選択すると、アップグレード前に統計を収集することにより、アップグレード処理の総所要時間が短縮されます。
アップグレード中にユーザーの表領域を読取り専用に設定
表領域をトランスポートする必要があるデータベースをアップグレードする場合は、「アップグレード中にユーザーの表領域を読取り専用に設定」を無効化します。トランスポータブル表領域のファイル・ヘッダーは、書込み可能である必要があります。
診断先
「診断先」フィールドでは、DBUAによって作成される診断結果の出力の保存先を指定します。デフォルトをそのまま使用するか、フィールドにフル・パスを入力するか、「参照」をクリックして場所を指定できます。
監査ファイル保存先
「監査ファイル保存先」フィールドでは、DBUAの監査ファイルの保存先を指定します。デフォルトをそのまま使用するか、フィールドにフル・パスを入力するか、「参照」をクリックして場所を指定します。
オプションで、「カスタム・スクリプト」タブをクリックして、アップグレードの前後に実行するカスタムSQLスクリプトを指定します。
「カスタム・スクリプト」タブが選択された状態の「アップグレード・オプション」ページが表示されます。
「カスタム・スクリプト」オプションを使用せずに、「次へ」をクリックすることもできます。
「アップグレード・オプション」ページの「カスタム・スクリプト」タブでは、オプションでカスタムSQLスクリプトを実行できます。アップグレードの前にスクリプトを実行する場合は、「アップグレード前」フィールドの「参照」をクリックして、アップグレードの前に実行するカスタムSQLスクリプトの場所を参照します。アップグレードの後にスクリプトを実行する場合は、「アップグレード後」フィールドの「参照」をクリックして、アップグレードの後に実行するカスタムSQLスクリプトの場所を参照します。
いずれか1つまたは両方を指定するか、フィールドを空白にしてこのタブをスキップすることができます。
「次へ」をクリックします。
管理オプション・ページが表示されます。
「管理オプション」ページで、オプションを1つ選択します。
Enterprise Manager (EM) Database Expressの構成
EM Expressのポート番号(たとえば、5500)を入力できます。
Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlへの登録では、データベースおよび関連するリスナー、Oracle ASMディスク・グループおよびOracle Clusterwareなどのエンティティを管理対象ターゲットとして追加します。
このオプションを選択した場合は、次の各フィールドに情報を入力する必要があります。
OMSホスト
OMSポート
EM管理ユーザー名
EM管理パスワード
DBSNMPパスワード
「次へ」をクリックします。
単一インスタンスのデータベース(このマニュアルの対象読者を想定)またはOracle Express Edition (XE)をアップグレードする場合は、データベース・ファイルの移動ページが表示されます。
「データベース・ファイルの移動」ページで、次のいずれかのオプションを選択します。
アップグレードの一部としてデータベース・ファイルを移動
高速リカバリ領域をアップグレードの一部として移動
注意:
高速リカバリ領域は、バックアップおよびリカバリに関連するファイルを格納するためのディスクの場所で、Oracleによって管理されます。高速リカバリ領域を使用すると、データベース・リカバリ・プロセスのスピード、信頼性および管理性が大幅に向上するため、高速リカバリ領域を構成することを強くお薦めします。「管理オプション」画面でローカル管理を有効にした場合、高速リカバリ領域の場所はOracle Enterprise Managerでも使用されます。
Oracle Express Editionデータベースをアップグレードする場合、「データベース・ファイルの移動」ページには、「グローバル・データベース名」フィールドおよび「SID」フィールドがある「データベース名の変更」セクションも表示されます。これらのフィールドに値を入力する必要があります。「データベース・ファイルの移動」ページの残りのオプションは、Oracle Databaseと同じです。
「アップグレードの一部としてデータベース・ファイルを移動」を選択した場合は、データベース・ファイルの記憶域のタイプも構成する必要があります。
「記憶域のタイプ」リストで、「ファイル・システム」または「Oracle ASM」を選択します。
「ファイル・システム」を選択すると、データベース・ファイルはホスト・ファイルシステムに移動されます。
「Oracle Automatic Storage Management (ASM)」を選択すると、データベース・ファイルはOracle ASM記憶域(現在システムに存在している必要がある)に移動されます。Oracle ASMインスタンスがない場合は、Oracle Grid InfrastructureホームからAutomatic Storage Management Configuration Assistant(ASMCA)を使用してインスタンスを作成し、DBUAを再起動できます。
関連項目:
データベース・ファイルの移動の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
Oracle ASMのインストールおよび構成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。
ASMCAを使用したOracle ASMインスタンスの管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。
「すべてのデータベース・ファイルに対して共通の位置を使用」または「マッピング・ファイルを使用してデータベース・ファイルの位置を指定」のいずれかを選択できます。「ファイルの場所」フィールドで場所を指定するか、場所を参照します。
「Oracle Managed Files」を選択する場合は、「REDOログおよび制御ファイルを多重化」をクリックします。「場所」フィールドがある「REDOログおよび制御ファイルの多重化」ダイアログ・ボックスが表示されます。書込み先のオンラインREDOログおよび制御ファイルの場所を入力します。フォルト・トレランスを高めるために、異なるディスクにまたがって分散した複数の場所を使用します。
「アップグレードの一部として高速リカバリ領域を移動」を選択した場合は、記憶域タイプおよび高速リカバリ領域の場所を構成し、この手順の説明に従って、割り当てられるサイズも指定する必要があります。
データベース・ファイルの移動および高速リカバリ領域の移動オプションは、互いに独立しています。たとえば、Oracle ASMへのデータベース・ファイルの移動を選択して、ファイル・システム上の高速リカバリ領域のままにすることができます。
高速リカバリ領域に移動することを選択した場合、DBUAは、既存のアーカイブ済REDOログを新しい場所に物理的に移動しません。かわりに、DBUAは、データベースが新しいOracleホームから起動されたときに、DB_RECOVERY_FILE_DEST
およびDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
初期化パラメータに新しい場所および新しいサイズを設定します。
Oracle Express EditionデータベースをOracle Enterprise Editionにアップグレードする場合は、高速リカバリ領域を構成する必要があります。高速リカバリ領域が現在構成されている場合は現在の設定が保持されますが、この値を上書きできるページが表示されます。
高速リカバリ領域の記憶域のタイプ
「記憶域のタイプ」リストで、「ファイル・システム」または「ASM」を選択します。
「ファイル・システム」を選択すると、高速リカバリ領域はホスト・ファイルシステム上に存在します。
「Oracle Automatic Storage Management (ASM)」を選択すると、高速リカバリ領域はOracle ASM記憶域(現在システムに存在している必要がある)上に存在します。Oracle ASMインスタンスがない場合は、Oracle Grid InfrastructureホームからAutomatic Storage Management Configuration Assistant(ASMCA)を使用してインスタンスを作成し、DBUAを再起動できます。
高速リカバリ領域の場所
ホスト・ファイル・システム上またはOracle ASM記憶域上の場所を参照します。
高速リカバリ領域のサイズ
高速リカバリ領域に割り当てるサイズを指定します。デフォルトは1024MBです。
「次へ」をクリックします。「ネットワーク構成」ページに「リスナーの選択」タブが表示されます。
「ネットワーク構成」ページの「リスナーの選択」タブには、「名前」、「ポート」、「Oracleホーム」、「ステータス」および「移行」の各列からなる表が表示されます。リスナー名の左側にリスナーを選択するボックスがあります。
ソースOracleホームから新しくアップグレードされたOracleホームに移行する1つ以上のリスナーを選択します。
DBUAによって、ターゲットOracleホームのlistener.ora
.に選択したリスナーが追加され、起動されます。
DBUAによって、古い(ソース)listener.ora
ファイルからアップグレードされたデータベースのエントリが削除されます。
DBUAによって、ソースとターゲット両方のOracle Database環境で、listener.ora
ファイルが再ロードされます。
注意:
他のデータベースが同じリスナーに登録されている場合、リスナーの移行中に、それらの新しいクライアント接続リクエストが影響を受ける可能性があります。
「新規リスナーの作成」を選択して、新規リスナーを作成します。名前およびポート番号を指定します。
「次へ」をクリックします。
DBUAによって、「リカバリ・オプション」ページが表示されます。アップグレード前の手順中に、DBUAによってリスナーの移行が実行されます。
リカバリ・オプションの構成ページで、アップグレード処理で問題が発生した場合に使用するリカバリ・メソッドを選択します。
次のリカバリ・オプションおよび構成が使用できます。
RMANバックアップの使用
アップグレードの前に「RMANバックアップの作成」を選択した場合は、「バックアップの場所」フィールドにバックアップ用の場所のフルパスを入力します。
「最新の使用可能なRMANバックアップの使用」を選択し、アップグレードの前にRMANバックアップの作成を選択しなかった場合は、DBUAによって、存在する最新のRMANバックアップのタイム・スタンプが表示されます。このバックアップのリストアに既存のスクリプトの実行を選択するには、タイム・スタンプの隣の「スクリプトのリストア」を選択できます。
フラッシュバックおよび保証付きリストア・ポイントの使用
「新規保証付きリストア・ポイントの作成」を選択すると、DBUAがアップグレード処理に入る前にDBUAによってリストア・ポイントが作成されます。
「データベースをフラッシュバック」を以前に有効化し、フラッシュバック保存ターゲットを使用して高速リカバリ領域を構成した場合は、「使用可能な保証付きリストア・ポイントの使用」を選択して、ドロップダウン・リストから名前付きSCNを選択します。現在のリストア・ポイントの設定は保持されます。必要に応じて、DBUAによって、これらの値を上書きできるページが表示されます。
独自のバックアップおよびリストア計画
独自のバックアップ・プロシージャを使用してデータベースをバックアップした場合のみ、このオプションをクリックします。この場合、「リストア」で元のデータベースの設定のみがリストアされます。データベース自体をリストアするには、独自のバックアップ・ユーティリティを使用して作成したバックアップをリストアする必要があります。
注意:
フラッシュバックおよび保証付きリストア・ポイントを利用するには、アップグレードしているデータベースがリリース11.1.0.7以上である必要があり、ソース・データベースで有効化される必要があります。
関連項目:
フラッシュバック・データベースおよび保証付きリストア・ポイントの使用の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
「次へ」をクリックします。
「サマリー」ページが表示されます。
アップグレードを開始する前に、アップグレードに関する次の情報が「サマリー」ページに表示されます。
ソース・データベース
ターゲット・データベース
プラガブル・データベース
アップグレード前のチェック
初期化パラメータの変更
タイムゾーンのアップグレード
関連項目:
アップグレード後のCOMPATIBLE
初期化パラメータの設定については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
すべての詳細を確認します。次のとおり、「戻る」または「終了」をクリックします。
設定内容が間違っている場合は、その設定を修正できるページが表示されるまで「戻る」をクリックします。
すべて正しい場合は、「終了」をクリックします。
進行状況ページが表示され、DBUAでアップグレードが開始されます。
「進行状況」ページには、アップグレードの進行に伴って、実行されている手順、継続時間およびステータスが示される表が表示されます。DBUAでは、この時点でアップグレードを取り消す必要がある場合に備えて、「停止」ボタンが提供されています。
進行状況がアップグレードの終了に至ると、「進行状況」ページには「終了」ステータスが表示されます。「アクティビティ・ログ」、「アラート・ログ」および「アップグレード結果」をクリックすると、詳細を表示できます。
アップグレードが完了したら、アップグレード結果ページが表示されます。
アップグレード結果ページには、元のデータベースの説明およびアップグレードされたデータベースが表示され、初期化パラメータに加えられた変更が示されます。このページには、アップグレード後に様々なログ・ファイルが格納されるディレクトリと、(PDBが含まれるCDBをアップグレードした場合は) PDBも表示されます。スクロール・ダウンすると、アップグレード前のチェックの詳細が表示されます。
オプションで、ログ・ファイルを調べて、アップグレード・プロセスの詳細を確認できます。DBUAログ・ファイルは、/oracle_base/cfgtoollogs/dbua/logs
ディレクトリに配置されます。
注意:
アップグレード結果のHTMLバージョンもログ・ファイル・ディレクトリに保存されています。このHTMLページにあるリンクをクリックすると、Webブラウザでログ・ページを表示できます。
アップグレード結果に問題がない場合は、「閉じる」をクリックしてDBUAを終了し、新しくアップグレードしたデータベースを使用します。
関連項目:
データベースのアップグレード後に完了する必要がある追加のタスクの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
注意:
データベースの不正な使用を防止するために、データベースをアップグレードした直後にすべてのユーザー・パスワードを変更することをお薦めします。
Oracle Database 12cのデフォルトのセキュリティ設定が適用されている場合、パスワードは8文字以上にする必要があり、welcome
やoracle
などのパスワードは使用できません。認証構成の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。