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Oracle® Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド
12c リリース1 (12.1)
B71297-08
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3 Recovery Managerのアーキテクチャ

この章では、Recovery Manager (RMAN)のインタフェースおよびRMAN環境の基本的な構成要素について説明します。この章の内容は次のとおりです。

RMAN環境

Recovery Manager環境は、バックアップおよびリカバリ計画で使用される様々なアプリケーションおよびデータベースから構成されます。

表3-1に、通常のRMAN環境の構成要素の一部を示します。

表3-1 RMAN環境の構成要素

構成要素 説明

RMANクライアント

ターゲット・データベースに対するバックアップおよびリカバリ操作を管理するクライアント・アプリケーション。RMANクライアントは、Oracle Netを使用してターゲット・データベースに接続できるため、Oracle Netを介してターゲット・ホストに接続された任意のホスト上に配置できます。

ターゲット・データベース

RMANによってバックアップまたはリストアされる制御ファイル、データファイルおよびオプションのアーカイブREDOログが含まれているデータベース。RMANは、ターゲット・データベースの制御ファイルを使用して、ターゲット・データベースに関するメタデータを収集します。また、RMANの操作に関する情報は、制御ファイルに格納されます。バックアップおよびリカバリ操作は、ターゲット・データベース上で動作するサーバー・セッションによって実行されます。

リカバリ・カタログ・データベース

リカバリ・カタログが含まれているデータベース。バックアップおよびリカバリを実行するためにRMANで使用されるメタデータが含まれています。複数のターゲット・データベースのRMANメタデータが含まれている1つのリカバリ・カタログを作成することができます。RMANをフィジカル・スタンバイ・データベースで使用しないかぎり、RMAN使用時のリカバリ・カタログはオプションです。RMANでは、メタデータが各ターゲット・データベースの制御ファイルに格納されるためです。

リカバリ・カタログ・スキーマ

リカバリ・カタログ・データベース内のユーザー。RMANによってメンテナンスされるメタデータ表を所有します。RMANは、定期的に、ターゲット・データベースの制御ファイルからリカバリ・カタログにメタデータを伝播します。

フィジカル・スタンバイ・データベース

プライマリ・データベースによって生成されたREDOを使用して更新されるプライマリ・データベースのコピー。プライマリ・データベースにアクセスできなくなった場合、スタンバイ・データベースにフェイルオーバーできます。

スタンバイ・データベースは、Recovery Managerを使用して作成、バックアップまたはリカバリできます。フィジカル・スタンバイ・データベースで作成したバックアップは、プライマリ・データベースまたは同じ本番データベースの別のフィジカル・スタンバイ・データベースでも使用できます。RMANを使用してフィジカル・スタンバイ・データベースをバックアップする場合は、リカバリ・カタログが必要です。

注意: RMANでは、ロジカル・スタンバイ・データベースは別のデータベースとして処理されます。プライマリ・データベースとはDBIDが異なるためです。

参照: Data Guard環境でのRMANの使用方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。

高速リカバリ領域

制御ファイルのコピー、オンラインREDOログのコピー、アーカイブREDOログ、フラッシュバック・ログ、RMANバックアップなどのリカバリ関連ファイルの格納のために使用可能なディスクの場所。高速リカバリ領域内のファイルは、Oracle DatabaseおよびRMANによって自動的に管理されます。

メディア管理ソフトウェア

RMANでストレージ・システム(テープなど)へのバックアップを実行するための、ベンダー固有のアプリケーション

メディア管理カタログ

メディア管理アプリケーションについてのメタデータを格納するベンダー固有のリポジトリ

Oracle Enterprise Manager

データベースに対するブラウザベースのインタフェース(RMANによるバックアップおよびリカバリにも使用できます)

RMAN環境に必須の構成要素は、ターゲット・データベースおよびRMANクライアントのみですが、実際の構成はより複雑です。たとえば、複数のメディア・マネージャに接続しているRMANクライアントおよび複数のターゲット・データベースが存在し、それらがすべてEnterprise Managerを介してアクセスされる環境を構成します。

図3-1に、RMAN環境での構成要素の例を示します。この例では、プライマリ・データベース、スタンバイ・データベースおよびリカバリ・カタログ・データベースがすべて別々のコンピュータ上に配置されています。プライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースのホストでは、ローカル接続されたテープ・ドライブが使用されます。RMANクライアントおよびEnterprise Managerコンソールは、別のコンピュータ上で実行されます。

関連項目:

Oracle Netの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

RMANコマンドライン・クライアントについて

RMANコマンドライン・クライアントを使用すると、バックアップおよびリカバリ操作を詳細に管理するためのコマンドを入力できます。RMANは、コマンドを対話モードまたはバッチ・モードで実行できるコマンド言語インタプリタを使用します。

RMANチャネルについて

Recovery Managerクライアントは、データベース・サーバー・セッションに、すべてのバックアップおよびリカバリ作業を実行するように指示します。セッションの構成は、オペレーティング・システムによって異なります。たとえば、Linuxでは、サーバー・セッションはサーバー・プロセスに対応しますが、Windowsでは、データベース・サービス内のスレッドに対応します。RMANクライアント自体は、バックアップ、リストアまたはリカバリ操作を実行しません。

RMANのチャネルは、デバイス・タイプに対する1つのデータ・ストリームであり、1つのデータベース・サーバー・セッションに対応します。バックアップまたはリストア操作時、チャネルは、データを入力デバイスから読み取り、処理して出力デバイスに書き込みます。チャネルの基本的な動作については、「RMANのパフォーマンスのチューニングの基本的な概念」を参照してください。

大部分のRMANコマンドはチャネルによって実行されます。チャネルは、RMANセッション間にわたって保持されるように構成するか、または手動で各RMANセッションに割り当てる必要があります。図3-2に示すように、チャネルは、ターゲット・データベースまたは補助データベースのインスタンス上でサーバー・セッションを開始することによって、RMANクライアントからそれらのインスタンスへの接続を確立します。

図3-2 チャネルの割当て

図3-2の説明が続きます
「図3-2 チャネルの割当て」の説明

RMANチャネルおよびデバイスについて

RMANでサポートされているデバイス・タイプは、ディスクおよびSBT (テープへのシステム・バックアップ)です。SBTデバイスは、サード・パーティ製のメディア管理ソフトウェアによって制御されます。通常、SBTデバイスはテープ・ライブラリおよびテープ・ドライブです。

バックアップにディスク・チャネルを使用すると、チャネルによって、ディスク上の、バックアップを作成しているターゲット・データベース・インスタンスのファイル名領域にバックアップが作成されます。バックアップは、データファイルを格納できる任意のデバイスに作成できます。RMANは、ディスク・バックアップの作成時にメディア・マネージャをコールしません。

ディスク以外のメディアにバックアップを作成するには、Oracle Secure Backupなどのメディア管理ソフトウェアを使用して、このソフトウェアでサポートされるチャネルを割り当てる必要があります。RMANは、割り当てられたチャネル・タイプがディスクでない場合は常にメディア・マネージャと通信します。SBTチャネルを使用した場合にメディア・マネージャがリソースを割り当てる方法およびタイミングは、ベンダーによって異なります。コマンドが発行された時点でリソースを割り当てるメディア・マネージャや、読取り用または書込み用にファイルをオープンしてからリソースを割り当てるメディア・マネージャがあります。

RMAN自動チャネルおよび手動チャネルについて

CONFIGURE CHANNELコマンドを使用して、複数のRMANセッションでディスクまたはテープ用に使用するチャネルを構成できます。この方法は、自動チャネル割当てと呼ばれます。RMANでは、ディスクへのバックアップに使用できるDISKチャネルが1つ、事前に構成されています。

自動チャネルを使用できるコマンドを実行すると、RMANによって、CONFIGUREコマンドで指定したオプションに基づいてチャネルが自動的に割り当てられます。BACKUPコマンドの場合は、指定したメディアにバックアップするために必要なチャネルのタイプのみがRMANにより割り当てられます。RESTOREコマンドおよびRMANのメンテナンス・コマンドの場合は、コマンドを実行するために必要なデバイス・タイプ用の必要なすべてのチャネルが割り当てられます。自動チャネルの名前はRMANによって決定されます。

また、チャネルを手動で割り当てることもできます。手動で割り当てられた各チャネルは、データベースに個別に接続します。手動でチャネルを割り当てる場合は、dev1ch2などのユーザー定義の名前を指定します。

コマンドの実行時にデバイスで使用できるチャネルの数によって、コマンドの実行中にRMANがこのデバイスに対する読取りまたは書込みをパラレルに行うかどうかが決まります。処理がパラレルで行われる場合、ファイルのバックアップが複数のチャネルで実行されます。各チャネルで複数のファイルをバックアップできますが、マルチセクション・バックアップを実行しないかぎり、ファイルは複数のチャネルでバックアップされません。

関連項目:

RMANリポジトリ

RMANリポジトリは、RMANがバックアップ、リカバリおよびメンテナンスに使用する、ターゲット・データベースに関するメタデータのコレクションです。RMANは常にそのメタデータを制御ファイルに格納します。制御ファイル内のこのメタデータは、データベースのRMANバックアップに関する正式なレコードです。このため、制御ファイルの保護は、バックアップ計画において重要です。RMANは、RMANリポジトリ情報を格納した制御ファイルのみを使用して、必要なすべてのバックアップおよびリカバリ操作を実行することができ、構成された保存方針を満たすために必要なすべてのレコードをメンテナンスします。

また、リカバリ・カタログも作成でき、これは、Oracle Databaseスキーマに格納されるRMANメタデータのリポジトリです。制御ファイルにバックアップ・アクティビティを記録する場合は領域に制限がありますが、リカバリ・カタログにはより長期の履歴を格納できます。すべてのデータベースのRMANメタデータが含まれているリカバリ・カタログを1つ作成することによって、バックアップおよびリカバリを簡単に管理できます。

リカバリ・カタログの所有者は、他のデータベース・ユーザーに対してカタログへの制限つきアクセス権の付与および取消しを行うことができます。制限付きユーザーは、それぞれ仮想プライベート・カタログと呼ばれる独自のメタデータへの完全な読取り/書込み権限を持っています。データベースに1つ以上の仮想プライベート・カタログが存在する場合、そのデータベースには1セットのカタログ表が含まれています。これらの表は、ベース・リカバリ・カタログの所有者によって所有されています。ベース・リカバリ・カタログの所有者は、各仮想プライベート・カタログ・ユーザーがアクセスできるデータベースを制御します。

一部のRMAN機能は、リカバリ・カタログを使用している場合にのみ機能します。たとえば、リカバリ・カタログにストアド・スクリプトを作成し、このスクリプトでRMANジョブを実行できます。それ以外のRMANコマンドが、特にリカバリ・カタログの管理に関連している場合もあります。これらのコマンドは、RMANがリカバリ・カタログに接続されていない場合は使用できません(また、使用する必要はありません)。

リカバリ・カタログは、RMANによってのみメンテナンスされます。ターゲット・データベース・インスタンスがカタログに直接アクセスすることはありません。RMANは、リポジトリを更新するなんらかの操作が終了した後、および特定の操作が行われる前に、データベース構造についての情報、アーカイブREDOログ、バックアップ・セット、およびデータファイルのコピーを、ターゲット・データベースの制御ファイルからリカバリ・カタログに伝播します。

RMANを使用したメディア管理について

オラクル社提供のメディア管理レイヤー(MML) APIを使用すると、サード・パーティ・ベンダーはメディア管理ソフトウェアを構築でき、メディア管理ソフトウェアとは、RMANとともに動作し、シーケンシャル・メディア・デバイス(テープ・ドライブなど)へのバックアップを可能にするソフトウェアです。メディア管理ソフトウェアは、テープなどのシーケンシャル・メディアのロード、アンロードおよびラベル付けを処理します。シーケンシャル・メディア・デバイスでRMANを使用するには、メディア管理ソフトウェアをインストールする必要があります。

バックアップまたはリストア時、RMANクライアントは、ターゲット・データベース・インスタンスに接続して、メディア・マネージャに要求を送信するようにインスタンスに指示します。RMANクライアントとメディア・マネージャが直接通信することはありません。

この項の内容は、次のとおりです。

RMANとメディア・マネージャの相互作用について

メディア・マネージャにバックアップまたはリストアを実行する前に、メディア・マネージャとの通信を処理する1つ以上のチャネルを割り当てておく必要があります。メディア・マネージャ用にデフォルトのチャネルも構成できます。デフォルトのチャネルは、メディア・マネージャを使用し、チャネルを明示的に割り当てていないすべてのバックアップおよびリカバリ作業で使用されます。

RMANは、テープのロード、ラベル付けまたはアンロードを行う固有のコマンドを発行しません。バックアップ時、RMANは、メディア・マネージャにバイト・ストリームを渡し、そのストリームに一意の名前を関連付けます。バックアップをリストアする必要がある場合、RMANは、メディア・マネージャにバイト・ストリームの取得を要求します。ストリームの格納方法および格納場所の詳細は、メディア・マネージャによって管理されます。たとえば、メディア・マネージャは、テープおよび各テープ上のファイルの名前をラベル付けして管理し、テープを自動的にロードおよびアンロードしたり、テープをロードおよびアンロードするようにオペレータに通知します。

メディア・マネージャの中には、プロキシ・コピー機能をサポートしているものがあります。この機能を使用すると、メディア・マネージャが、データファイルとバックアップ・デバイス間のデータの移動全体を処理します。 これらの製品では、ストレージ・サブシステムとメディア・サブシステム間で高速接続などの技術を使用して、プライマリ・データベース・サーバーの負荷を軽減している場合があります。RMANは、バックアップまたはリストアが必要なファイルのリストをメディア・マネージャに提供し、メディア・マネージャは、データを移動する方法およびタイミングに関するすべての決定を行います。

RMANおよびOracle Secure Backupについて

Oracle Secure Backupは、ファイル・システムをテープにバックアップすることによって信頼性の高い安全なデータ保護を提供するメディア・マネージャです。SAN、ギガビット・イーサネットおよびSCSI環境のすべての主要なテープ・ドライブおよびライブラリがサポートされています。

Oracle Secure Backupは、データベースのバックアップおよびリカバリのアルゴリズムに関する専用の機能は備えていませんが、SBTインタフェースを介してRMANのメディア管理レイヤーとして機能できます。この機能で、Oracle Secure Backupは、サポートされている他のサード・パーティのSBTライブラリと同じサービスをRMANに提供します。ただし、Oracle Secure Backupは、他のメディア・マネージャにはない機能も備えています。

関連項目:

Oracle Secure Backupの使用方法については、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。

Backup Solutions Programについて

Oracle PartnerNetworkの一部であるOracle Backup Solutions Program(BSP)には、オラクル社のMML仕様に準拠した製品を生産している、メディア・マネージャのベンダーが参加しています。ベンダーのメディア管理製品を、ご使用のプラットフォームで使用できる場合があります。詳細は、Oracleサポート・サービスに連絡して使用可能な製品のリストを入手するか、または各ベンダーに連絡して参加を確認してください。あるいは、次に示すBackup Solutions ProgramのWebサイトにアクセスしてください。

http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/bsp-088814.html

オラクル社は、RMANとの互換性に関してメディア・マネージャ・ベンダーを認証しているわけではありません。可用性、バージョンの互換性および機能については、オラクル社ではなく、メディア・マネージャ・ベンダーに問い合せてください。

高速リカバリ領域について

バックアップおよびリカバリ関連の様々なファイルを作成するコンポーネントは、互いを認識しません。また、それぞれのデータが格納されるファイル・システムのサイズも認識しません。ディスクベースの自動バックアップおよびリカバリでは、高速リカバリ領域(リカバリ領域とも呼ばれる)を作成できます。バックアップ関連のファイルは、高速リカバリ領域によって自動的に管理されます。

高速リカバリ領域を使用すると、バックアップ関連のファイル用のディスク領域の管理および異なるタイプのファイル間での領域使用の均衡化を手動で行う必要性が最小限に抑えられます。このような点から、高速リカバリ領域を使用すると、データベースの継続的な管理が簡単になります。リカバリ領域を有効にしてバックアップ管理を簡単にすることをお薦めします。

リカバリ領域の作成時には、ディスク上の場所を選択し、記憶領域の上限を設定します。また、バックアップ・ファイルがリカバリに必要となる期間を制御するバックアップの保存方針も設定します。データベースは、この領域内で、データベースのバックアップ、アーカイブREDOログおよびその他のリカバリ関連ファイルに使用されるストレージを管理します。不要になったファイルは、RMANが新しいファイル用の領域を要求したときに削除されます。

関連項目:

高速リカバリ領域およびその構成方法については、「高速リカバリ領域の構成」を参照してください。

Data Guard環境でのRMANについて

Data Guardは、トランザクション上の一貫性を持つ本番データベースのコピーとしてスタンバイ・データベースを維持します。スタンバイ・データベースには、フィジカル・スタンバイ・データベースと、ロジカル・スタンバイ・データベースがあります。

Data Guard環境のデータベースは、初期化パラメータ・ファイル内のDB_UNIQUE_NAMEパラメータによって一意に識別されます。Data Guard環境でRMANが正しく動作するようにするには、同じDBIDを持つすべてのデータベース間でDB_UNIQUE_NAMEが一意になるようにする必要があります。

Data Guard環境でRMANを使用する場合は、リカバリ・カタログが必要です。リカバリ・カタログには、すべてのプライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースのメタデータを格納できます。

この項の内容は、次のとおりです。

関連項目:

Data Guard環境でのRMANの使用方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。

Data Guard環境におけるRMAN構成の概要

バックアップおよびリカバリでのRMANの継続的な使用を簡単にするには、プライマリ・データベースおよびフィジカル・スタンバイ・データベースのそれぞれにいくつかの永続構成を設定します。これらの設定によって、RMANの動作の様々な点が制御されます。たとえば、バックアップの保存方針、テープまたはディスクへのバックアップのデフォルトの格納先、デフォルトのバックアップ・デバイス・タイプなどを構成できます。

CONFIGUREコマンドでFOR DB_UNIQUE_NAME句を指定すると、スタンバイ・データベースまたはプライマリ・データベースにTARGETとして接続しなくても、Data Guard環境のデータベースの永続的な構成を作成できます。たとえば、RMANをリカバリ・カタログに接続し、SET DBIDコマンドを実行します。その後、フィジカル・スタンバイ・データベースの作成前にその構成を作成できます。これにより、データベースが作成されたときに、RMANの構成が適用されるようになります。

RMANは、TARGETとしてデータベースに接続されている場合、リカバリ・カタログの再同期化中にデータベースの制御ファイルを更新します。ただし、データベースにTARGETとして接続されていない場合、このデータベースに対してFOR DB_UNIQUE_NAMEを使用すると、RMANはリカバリ・カタログ内の構成のみを変更します。

Data Guard環境でのRMANによるファイル管理について

RMANは、リカバリ・カタログを使用して、Data Guard環境内のすべてのデータベース・ファイルのファイル名を追跡します。また、カタログには、オンラインREDOログ・ファイル、スタンバイREDOログ・ファイル、一時ファイル、アーカイブREDOログ・ファイル、バックアップ・セットおよびイメージ・コピーが作成される場所も記録されます。

この項の内容は、次のとおりです。

Data Guard環境でのバックアップの互換性について

RMANコマンドは、リカバリ・カタログのメタデータを使用して、Data Guard環境内の異なる物理データベース間で透過的に動作します。たとえば、表領域をフィジカル・スタンバイ・データベースにバックアップして、プライマリ・データベースにリストアおよびリカバリすることができます。また、表領域をプライマリ・データベースにバックアップして、フィジカル・スタンバイ・データベースにリストアおよびリカバリすることもできます。

注意:

ロジカル・スタンバイ・データベースのバックアップは、プライマリ・データベースでは使用できません。

スタンバイ制御ファイルのバックアップと非スタンバイ制御ファイルのバックアップには互換性があります。たとえば、スタンバイ制御ファイルをプライマリ・データベースにリストアし、プライマリ制御ファイルをフィジカル・スタンバイ・データベースにリストアできます。この互換性は、制御ファイルのバックアップをData Guard環境の1つのデータベースにオフロードできることを意味します。データベース・ファイルのファイル名は、データベースのリストアおよびリカバリ中にRMANによって自動的に更新されます。

Data Guard環境でのバックアップの関連付けについて

リカバリ・カタログは、すべてのデータベース・ファイルまたはバックアップ・ファイルをDB_UNIQUE_NAMEに関連付けることによって、Data Guard環境内のファイルを追跡します。ファイルを作成するデータベースは、そのファイルに関連付けられます。たとえば、RMANでstandby1という一意の名前を持つデータベースをバックアップすると、standby1がこのバックアップに関連付けられます。CHANGE ...RESET DB_UNIQUE_NAMEコマンドを使用して、対象のバックアップに別のデータベースを関連付けないかぎり、そのバックアップはそれを作成したデータベースに関連付けられたままになります。

Data Guard環境でのバックアップのアクセシビリティについて

バックアップのアクセシビリティは、その関連付けとは異なります。Data Guard環境では、関連付けられたデータベースのみがディスク・バックアップにアクセスできるとリカバリ・カタログによってみなされますが、1つのデータベースに作成されたテープ・バックアップにはすべてのデータベースがアクセスできます。バックアップ・ファイルがいずれのデータベースにも関連付けられていない場合、リカバリ・カタログ・ビュー内のバックアップ・ファイルに関する行のSITE_KEY列にnullが表示されます。デフォルトでは、RMANは、TARGETとして接続されているデータベースにSITE_KEYnullのファイルを関連付けます。

BACKUPRESTORECROSSCHECKなどのRMANコマンドは、すべてのアクセス可能なバックアップで動作します。たとえば、RECOVER COPY操作の場合、RMANでは、データベースに関連付けられているイメージ・コピーのみがリカバリの対象とみなされます。RMANでは、ディスクおよびテープ上の増分バックアップが、イメージ・コピーのリカバリ対象とみなされます。データベース・リカバリでは、RMANによって、データベースおよびテープ上のすべてのファイルに対応付けられたディスク・バックアップのみがリストアの対象とみなされます。

バックアップのアクセシビリティの相違点を説明するために、データベースprodstandby1が異なるホストに存在していると想定します。RMANは、prod上のデータファイル1を本番ホスト上の/prmhost/disk1/df1.dbfおよびテープにバックアップします。RMANは、standby1上のデータファイル1をスタンバイ・ホスト上の/sbyhost/disk2/df1.dbfおよびテープにバックアップします。RMANがprodデータベースに接続している場合、RMANコマンドを使用しても、スタンバイ・ホストにある/sbyhost/disk2/df1.dbfバックアップでは操作を実行できません。ただし、RMANでは、standby1で作成されたテープ・バックアップはリストアの対象とみなされます。

注意:

スタンバイ・ホストからプライマリ・ホスト(またはその逆)にバックアップを転送し、対象のホスト上のデータベースにTARGETとして接続した後、CATALOGコマンドを使用してバックアップをカタログに追加できます。ターゲット・データベースによってファイルがカタログに追加されると、そのファイルはターゲット・データベースに関連付けられます。

関連項目:

リカバリ・アプライアンス環境内のRMANについて

RMANは Zero Data Loss Recovery Appliance (リカバリ・アプライアンス)と完全に統合されており、RMANコマンドを使用して、保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップできます。

リカバリ・アプライアンスへのRMANバックアップの作成

リカバリ・アプライアンスには、エンタープライズ内のすべてのターゲット・データベースのバックアップ用として一元化されたリモート・リポジトリが用意されています。すべてのターゲット・データベースのバックアップおよびバックアップ・メタデータは、リカバリ・アプライアンスでセントラル・リカバリ・カタログ(リカバリ・アプライアンス・カタログ)によって管理されます。

リカバリ・アプライアンスを使用してターゲット・データベースのバックアップを管理する前に、リカバリ・アプライアンスとターゲット・データベースの両方で構成手順を実行する必要があります。

ターゲット・データベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップするには、次の手順を実行します。

  1. リカバリ・アプライアンス環境内で保護されているデータベースの要件をターゲット・データベースが満たしていることを確認します。

    関連項目:

    サポートされているOracle Databaseリリースの詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』を参照してください。

  2. リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをターゲット・データベースにインストールします。このバックアップ・モジュールは、リカバリ・アプライアンスにバックアップを転送するためにターゲット・データベースによって使用される共有ライブラリです。

    関連項目:

    リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールをインストールするための手順は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。

  3. 保護されたデータベースとしてターゲット・データベースをリカバリ・アプライアンスに登録します。

    この手順には、保護方針の作成、リカバリ・アプライアンスで認証するために保護されたデータベースによって使用されるリカバリ・アプライアンス・データベース・ユーザーの構成、および保護されたデータベースのリカバリ・アプライアンス・カタログへの登録が含まれます。

    関連項目:

    • リカバリ・アプライアンスでの登録手順は、『Zero Data Loss Recovery Appliance管理者ガイド』を参照してください。

    • 保護されたデータベースでの登録手順は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。

  4. (オプション)ターゲット・データベースのバックアップおよびリカバリ設定を構成します。これらの設定は、リカバリ・アプライアンスを使用してバックアップおよびリカバリ操作を実行するときに使用されます。

    CONFIGUREコマンドは、保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ設定を構成するために使用されます。

    関連項目:

    • RMAN環境の構成

    • リカバリ・アプライアンス環境内の設定の構成の詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。

  5. RMANを起動し、保護されたデータベースにTARGETとして接続し、リカバリ・アプライアンス・カタログにCATALOGとして接続します。

    ターゲット・データベースへの接続は、SYSDBAまたはSYSBACKUP権限を持つユーザーとして行う必要があります。リカバリ・アプライアンスへの接続は、保護されたデータベースのバックアップおよびリカバリ操作を実行するのに必要な権限を持つリカバリ・アプライアンス・ユーザーとして行います。

    関連項目:

    RMANを使用した接続の作成の詳細は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。

  6. リカバリ・アプライアンス・バックアップ・モジュールを指し示すRMAN SBTチャネルを1つ以上割り当てます。これらのチャネルは、リカバリ・アプライアンスにデータを転送するために使用されます。
  7. ターゲット・データベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップします。通常のRMANコマンドを使用して、データベースをリカバリ・アプライアンスにバックアップします。

    関連項目:

    保護されたデータベースのバックアップ手順は、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。