データベースを複製するには、DUPLICATE
コマンドを使用して、ソース・データベースにあるすべてのデータまたはそのサブセットをコピーします。複製データベース(コピー先のデータベース)は、ソース・データベース(コピー元のデータベース)から完全に独立して機能します。
この項の内容は、次のとおりです。
複製データベースは様々な目的で有効であり、ほとんどの場合、テストに使用されます。複製データベースでは、次のタスクを実行できます。
バックアップ手順およびリカバリ手順のテスト
Oracle Databaseの新しいリリースへのアップグレードのテスト
データベースのパフォーマンスにアプリケーションが与える影響のテスト
スタンバイ・データベースの作成
レポートの生成
たとえば、host1
上の本番データベースをhost2
上に複製し、host1
上の本番データベースを通常どおりに実行したまま、host2
上の複製データベースを使用してこのデータベースのリストアおよびリカバリを練習できます。
DUPLICATE
コマンドではなくオペレーティング・システムのユーティリティを使用してデータベースをコピーした場合、コピーしたデータベースのDBIDは元のデータベースと同じになります。このコピーしたデータベースを元のデータベースと同じリカバリ・カタログに登録するには、DBNEWIDユーティリティを使用してDBIDを変更する必要があります(『Oracle Databaseユーティリティ』を参照)。これに対して、DUPLICATE
コマンドを実行すると、複製データベースに対して異なるDBIDが自動的に割り当てられるため、複製データベースをソース・データベースと同じリカバリ・カタログに登録できます。
DUPLICATE
コマンドを使用すると、まったく同じ機能を持つデータベースのコピーを作成したり、大きく異なる目的で使用されるフィジカル・スタンバイ・データベースを作成できます。スタンバイ・データベースはプライマリ・データベースのコピーで、プライマリ・データベースのアーカイブREDOログ・ファイルを使用して継続的に更新できます。 プライマリ・データベースにアクセスできない場合は、スタンバイ・データベースへのフェイルオーバーを実行し、それを新しいプライマリ・データベースにすることができます。ただし、データベース・コピーはこの用途には使用できません。データベース・コピーは、フェイルオーバーでの使用を目的としていないため、スタンバイの様々なリカバリ・オプションおよびフェイルオーバー・オプションをサポートしていません。
関連項目:
DUPLICATEコマンドを使用したスタンバイ・データベースの作成方法は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。
ソース・ホストは、ソース・データベースをホストするコンピュータです。ソース・データベース・インスタンスは、ソース・データベースに関連付けられたインスタンスを表します。
宛先ホストは、複製データベースをホストするコンピュータを表します。ソース・ホストと宛先ホストは、同じコンピュータである場合も異なるコンピュータである場合もあります。複製のプロセスでは、複製データベースに関連付けられたデータベース・インスタンスを補助インスタンスと呼びます。
注意:
同じソース・データベースを使用して同時データベース複製操作を実行することは、サポートされていません。
RMANでは、2種類の基本的な複製がサポートされます。アクティブなデータベースの複製およびバックアップベースの複製です。RMANは、次の接続を使用しているかどうかにかかわらず、バックアップベースの複製を実行できます。
ターゲット
リカバリ・カタログ
アクティブなデータベースを複製する場合、両方への接続が必要です。
図25-1は、2つの複製方法のディシジョン・ツリーを示します。
アクティブなデータベースの複製の場合、RMANは、ソース・データベース・インスタンスにTARGET
として、補助インスタンスにAUXILIARY
として接続します。その後、データベースはRMANによってネットワークを介して補助インスタンスにコピーされます。ソース・データベースのバックアップは必要ありません。
RMANは、アクティブなデータベースの複製に必要なファイルを、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットとして転送できます。
注意:
バックアップ・セットを使用した、アクティブなデータベース複製の実行は、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以上で使用可能です。
図25-2に、アクティブなデータベースの複製を示します。
イメージ・コピーを使用してアクティブなデータベースの複製が実行されると、RMANがソース・データベースとの接続を確立後、そのソース・データベースから必要なデータベース・ファイルが補助データベースに転送されます。イメージ・コピーの使用には、ソース・データベースで追加のリソースが必要になる場合があります。この方法は、アクティブなデータベースの複製のプッシュベースの方法と呼ばれます。
RMANがバックアップ・セットを使用してアクティブなデータベース複製を実行すると、ソース・データベースおよび補助データベースとの接続が確立されます。その後、補助データベースはOracle Net Servicesを介してソース・データベースに接続し、ソース・データベースから必要なデータベース・ファイルを取得します。このようなアクティブなデータベースを複製する方法は、プルベースの方法とも呼ばれます。
アクティブなデータベース複製にバックアップ・セットを使用すると、特定の機能を利用することができます。RMANは、バックアップの作成時に未使用ブロックの圧縮を使用できるため、ネットワークを介してトランスポートされるバックアップのサイズが削減されます。マルチセクション・バックアップを使用することで、バックアップ・セットをソース・データベース上でパラレルに作成できます。また、ソース・データベースで作成されるバックアップ・セットを暗号化することもできます。
関連項目:
アクティブなデータベース複製にバックアップ・セットとイメージ・コピーのどちらを使用するかを判断する要因
補助チャネルが割り当てられないか、または割り当てられる補助チャネルの数がターゲット・チャネルの数より少ない場合、RMANはイメージ・コピーのみを使用してアクティブなデータベース複製を実行します。
ターゲット・データベースへの接続がネット・サービス名を使用して確立され、次のいずれかの条件が満たされている場合、RMANはバックアップ・セットを使用してアクティブなデータベース複製を実行します。
DUPLICATE ... FROM ACTIVE DATABASE
コマンドにUSING BACKUPSET, USING COMPRESSED BACKUPSET
句またはSECTION SIZE
句が含まれる場合。
割り当てられた補助チャネルの数が、割り当てられたターゲット・チャネルの数と同じか、それ以上の場合。
注意:
アクティブなデータベース複製の実行には、バックアップ・セットを使用することをお薦めします。
バックアップベースの複製の場合、RMANでは、既存のRMANバックアップおよびコピーを使用して複製データベースを作成します。この複製方法では、相互に排他的な次の方法のいずれかを使用します。
ターゲット・データベース接続を行わない複製。RMANは、リカバリ・カタログからバックアップについてのメタデータを取得します。
ターゲット・データベース接続を行わず、リカバリ・カタログを使用しない複製。RMANは、DUPLICATE
コマンドでBACKUP LOCATION
句を指定して、バックアップおよびコピーが存在する場所のメタデータを取得します。
ターゲット・データベース接続を行う複製。RMANはターゲット・データベースの制御ファイルまたはリカバリ・カタログからバックアップのメタデータを取得します。
図25-3に、ターゲット接続を行わない場合のバックアップベースの複製を示します。RMANは、リカバリ・カタログ・データベース・インスタンスおよび補助インスタンスに接続します。転送先ホストは、複製データベースの作成に必要なRMANバックアップにアクセスできる必要があります。
図25-4に、ターゲットまたはリカバリ・カタログ・データベース・インスタンスへの接続を行わない場合のバックアップベースの複製を示します。RMANは、転送先ホスト上の複製データベースの補助インスタンスに接続します。複製のためのすべてのバックアップまたはコピーが含まれているディスクのバックアップ場所が、転送先ホストによって使用可能である必要があります。
図25-5に、ターゲット接続を行う場合のバックアップベースの複製を示します。RMANは、ソース・データベース・インスタンスおよび補助インスタンスに接続します。必要に応じて、RMANはリカバリ・カタログ・データベース(図では非表示)に接続できます。転送先ホストは、複製データベースの作成に必要なRMANバックアップにアクセスできる必要があります。
複製データベースには、ソース・データベースと同じ内容か、またはソース・データベース内の表領域のサブセットのみを含めることができます。たとえば、DUPLICATE
コマンドのTABLESPACE
オプションを使用すると、指定した表領域のみを複製でき、SKIP READONLY
オプションを使用すると、複製データベースから読取り専用表領域を除外できます。
バックアップベースの複製では、複製の主な作業は補助チャネルによって実行されます。これらのチャネルは、宛先ホスト上の補助インスタンスのサーバー・セッションに対応しています。アクティブなデータベース複製に使用される複製技術のタイプによって、主な作業をどのチャネルが実行するかが決まります。バックアップ・セットを使用してアクティブなデータベース複製が実行される場合、複製に関する主な作業は補助チャネルによって実行されます。イメージ・コピーが使用される場合、主な作業はターゲット・チャネルによって実行されます。
複製のための明示的な時点が提供されていない場合でも、RMANでデータベースのPoint-in-Timeリカバリを実行する必要があります。Point-in-Timeリカバリが必要なのは、ソース・データベースのオンラインREDOログ・ファイルがバックアップされておらず、複製データベースに適用できないためです。複製データベースをリカバリできるのは、ソース・データベースによってアーカイブされた最新のREDOログ・ファイルの時点までです。
RMANは、複製操作のうち、次の処理を自動化します。
次の条件を満たしている場合に、補助インスタンスのデフォルトのサーバー・パラメータ・ファイルを作成します。
複製にはスタンバイ・データベースを使用しない。
サーバー・パラメータ・ファイルは複製されない。
補助インスタンスは、サーバー・パラメータ・ファイルを使用して起動されていない。
UNTIL
句の要件を満たす最新の制御ファイルを、アクティブなデータベースのバックアップまたはコピーからリストアします。
リストアまたはコピーされたバックアップ制御ファイルを、アクティブなデータベースからマウントします。
注意:
ソース・データベースの制御ファイルに無効なスレッドが含まれる場合、それらのスレッドも複製データベースで無効になります。
RMANリポジトリを使用して、データファイルを補助インスタンスにリストアするためのバックアップを選択します。この手順は、バックアップベースの複製に適用されます。
複製データファイルをコピーし、増分バックアップとアーカイブREDOログ・ファイルを使用して、現在以外の時点にリストアします。
宛先ホストで補助データベース・インスタンスを停止し、NOMOUNT
モードで再起動します。
新しい制御ファイルを作成します(この制御ファイルによって、新しいDBIDが作成されてデータファイルに格納されます)。
RESETLOGS
オプションを使用して複製データベースをオープンし、新しいデータベース用のオンラインREDOログを作成します。
複製データベースを開かない場合は、「複製データベースの状態の指定」の説明のとおり、DUPLICATE
文でNOOPEN
句を使用します。
関連項目:
複製データベースにコピーされるファイルの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のDUPLICATE
に関する項を参照してください。
マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)全体または1つ以上のプラガブル・データベース(PDB)の複製では、「データベースの複製の基本手順」に記載されている非CDBの複製手順にごくわずかな調整のみが必要です。
CDB全体または1つ以上のPDBを複製する場合:
補助インスタンスをCDBとして作成する必要があります。これには、初期化パラメータ・ファイルの次の宣言でインスタンスを開始します。
enable_pluggable_database=TRUE
必要なインスタンスへの接続が指示されたら、SYSDBA
またはSYSBACKUP
権限を持つユーザーとしてrootに接続します。両方のインスタンスで、複製を実行しているユーザーのパスワードを同じにする必要があります。
補助インスタンスのために初期化パラメータ・ファイルを作成するように指示された場合は、ファイルをソース・データベースからコピーする必要があります。これによって、補助インスタンスはCDBでもあります。コピーした後に、DB_NAME
および様々な接続先/場所のパラメータを変更します。
ソースから宛先ホストにバックアップ・ファイルを転送する場合:
「補助インスタンスからディスク・バックアップへのアクセス可能化」および「共有ディスクを使用しないディスク・バックアップのアクセス可能化」における次の変更点に注意してください。
BACKUP
コマンドのPLUGGABLE DATABASE
構文を使用して、特定のPDBのバックアップのみをコピーします。
この例では、CDB全体のバックアップ・ファイルを転送します。
BACKUP COPY OF DATABASE;
次の例では、PDB pdb3
のバックアップ・ファイルのみを転送します。
BACKUP COPY OF PLUGGABLE DATABASE pdb3;
RMANでは、DUPLICATE
コマンドを使用して、PDBを複製できます。単一のPDB、PDBのセットまたはPDB内の表領域を複製できます。
SYSDBA
またはSYSBACKUP
権限を付与されたユーザーとして、CDBのルートにログインする必要があります。PDBのバックアップベースの複製を実行するには、リストされたPDBを格納しているCDBのルートとシード・データベース(PDB$SEED
)をバックアップする必要があります。
PDBを複製するには、補助インスタンスをCDBとして作成する必要があります。これには、初期化パラメータ・ファイルのenable_pluggable_database=TRUE
宣言でインスタンスを開始します。1つまたは複数のPDBを複製すると、root (CDB$ROOT
)およびシード・データベース(PDB$SEED
)も複製されます。複製されたデータベースは、root、シード・データベースおよび複製されたPDBを含む、完全に機能するCDBです。表25-1に、PDBまたはPDB内の表領域を複製するために使用できるオプションを示します。
表25-1 PDBの複製のオプション
DUPLICATEオプション | 説明 |
---|---|
|
CDB内の指定したPDBを複製します。複数のPDBを複製する場合は、カンマ区切りのリストを使用してください。 |
|
|
|
PDB内の指定した表領域を複製します。表領域名には、その表領域が含まれるPDBの名前を接頭辞として付ける必要があります。PDBの名前を省略すると、デフォルトは |
|
指定したPDB内の指定した表領域を除き、CDB内のすべての表領域が複製されます。 |
PDBを複製する手順
「データベースの複製の基本手順」の手順1から4が完了していることを確認します。
DUPLICATE
コマンドに、表25-1で説明したPLUGGABLE DATABASE
またはSKIP PLUGGABLE DATABASE
オプションのいずれかを付けて実行します。
次に、PDBを複製する例を示します。
CDB cdb1
に、PDB pdb1
を複製するには、次のコマンドを使用します。
DUPLICATE DATABASE TO cdb1 PLUGGABLE DATABASE pdb1;
データベースcdb1
に、PDB pdb1
、pdb3
およびpdb4
を複製するには、次のコマンドを使用します。
DUPLICATE DATABASE TO cdb1 PLUGGABLE DATABASE pdb1,pdb3,pdb4;
PDB pdb3
を除く、CDB内のすべてのデータベースを複製するには、次のコマンドを使用します。
DUPLICATE DATABASE TO cdb1 SKIP PLUGGABLE DATABASE pdb3;
PDB内の表領域を複製する手順
データベースを複製する前に、複製方法を決定し、補助データベース・インスタンスを含めてデータベース環境を準備する必要があります。詳細は、各手順のリンク先を参照してください。
次の手順で複製を準備します。
ビジネス要件およびデータベース環境に応じて、状況に合った最適な複製方法を決定します。次の質問事項を検討してください。
それぞれの複製方法の前提条件を十分に理解しているかどうか。
詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のDUPLICATE
コマンドの記述に関する前提条件に関する項を参照してください。
一部の前提条件は特定のものであり、複製方法に応じて異なります。たとえば、アクティブな複製では、ソース・インスタンスと補助インスタンスにソース・データベースと同じパスワードを使用する必要があります。一方で、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログに接続しないバックアップベースの複製では、すべてのバックアップおよびデータベース・コピーが単一の場所に存在することのみが必要とされます。
ソース・データベースのバックアップが存在しているかどうか。
アクティブなデータベースの複製の主なメリットとしては、ソース・データベースをバックアップする必要のないことがあげられます。アクティブな複製では、マウントされたデータベース・ファイルまたはオンラインのデータベース・ファイルがネットワークを介して補助インスタンスにコピーされます。この方法のデメリットの1つとしては、作業がネットワークのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあげられます。また、別のデメリットとして、ファイルを補助ホストに転送するために必要なプロセスがソース・データベースによって実行されているため、ソース・データベースおよび本番ワークロードに影響を与えることもあげられます。
ソース・データベースのバックアップが存在し、ネットワークへの影響を許容できない場合は、バックアップベースの複製をお薦めします。バックアップを一時記憶域にコピーし、手動で宛先ホストに転送できます。ターゲットまたはリカバリ・カタログとの接続を使用して複製が作成される場合、宛先ホストのバックアップ・ファイルは、ソース・ホスト上のバックアップ・ファイルと同じファイル仕様である必要があります。それ以外の場合、これは要件ではありません。
リカバリ・カタログが使用できるかどうか。
リカバリ・カタログが存在する場合は、RMANがTARGET
としてソース・データベースに接続されていなくても、バックアップベースの複製を実行できます。この方法は、補助ホストからソース・データベースへのネットワーク接続が制限されたり、断続的に中断されるような場合に役立ちます。TARGET
接続を行わない複製では、ソース・データベースは複製の影響を受けません。
宛先ホストでどの程度のディスク領域が使用できるか。
ディスク・バックアップを使用して複製を実行する場合、宛先ホストのディスク領域が問題となることがあります。たとえば、ソース・データベースが1テラバイト(TB)で、共有ディスクまたはネットワーク・ファイル・システム(NFS)を使用せずにディスク・バックアップからデータベースを複製する場合は、宛先ホストで2テラバイト(TB)以上の領域を使用できる必要があります。NFSのパフォーマンスがボトルネックとなるため、環境によっては、手動でバックアップを転送する必要があります。
ソース・ホストと宛先ホストの接続がLANまたはWANであるかどうか。
アクティブなデータベースの複製のパフォーマンスは、Local Area Network (LAN)よりもWide Area Network (WAN)の方が低下する可能性があります。WANにおけるパフォーマンスの低下を許容できないときは、バックアップベースの複製のみが実行可能な選択肢となる場合があります。
データベースをいつ複製する予定か。
ユーザー・アクティビティが高い時間帯にデータベースを複製する必要がある場合には、アクティブな複製によって生じるネットワーク・スループットの損失が問題となる可能性があるため、バックアップベースの複製をお薦めします。また、アクティブなデータベースの複製の場合は、補助ホストへファイルをコピーするときに必要となるRMANチャネルが、パフォーマンスに影響を与えることがあります。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降、RMANでは、複製する必要があるソース・データベース・ファイルの転送に、バックアップ・セットを使用できます。バックアップ・セットは、ネットワークを介して補助データベースに転送されます。セキュリティを強化するために、バックアップ・セットは暗号化できます。DUPLICATE
コマンドの前にSET ENCRYPTION ALGORITHM
コマンドを使用して、暗号化アルゴリズムを指定します。
アクティブなデータベースの複製を実行する前に、次のいずれかの技術を使用して適切に暗号化されていることを確認します。
ソース・データベースで透過的暗号化が使用される場合、「手順6: 宛先ホストへのOracleキーストアのコピー」に説明されているとおりに、ソース・データベースと補助データベース間で、暗号化キーを含むOracleキーストアを共有する必要があります。
ソース・データベースでパスワード暗号化が使用されている場合、バックアップの暗号化に使用するパスワードを指定する必要があります。
次のコマンドは、暗号化パスワードをencr_pwd
に設定します。
SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY encr_pwd;
次の例では、ネット・サービス名を使用してターゲット・データベースおよび補助データベースに接続し、アクティブなデータベースの複製を実行します。暗号化キーが含まれるキーストアはターゲット・データベースと補助データベース間で共有されています。sbu
はSYSBACKUP
権限が付与されたユーザーです。
CONNECT TARGET "sbu@prod AS SYSBACKUP"; CONNECT AUXILIARY "sbu@dup_db AS SYSBACKUP"; SET ENCRYPTION ALGORITHM 'AES128'; DUPLICATE TARGET DATABASE TO dup_db FROM ACTIVE DATABASE PASSWORD FILE;
バックアップ・セットをアクティブなデータベース複製の実行に使用する際、ソース・データベースから宛先データベースへファイルを転送するために作成したバックアップ・セットを圧縮することができます。圧縮されたバックアップ・セットを使用すると、バックアップ・セットのサイズが最小になるため、データベース複製のパフォーマンスが向上します。アクティブなデータベースの複製に使用するバックアップ・セットの圧縮は、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)からサポートされています。
アクティブなデータベース複製の実行に必要なデータが含まれるバックアップ・セットを圧縮するには、DUPLICATE
コマンドのUSING COMPRESSED BACKUPSET
句を使用します。次のコマンドは、圧縮されたバックアップ・セットを使用して、アクティブなデータベース複製を実行します。ターゲット・データベースおよび補助インスタンスには、ネット・サービス名を使用して接続されているものと想定します。
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dup_db FROM ACTIVE DATABASE PASSWORD FILE USING COMPRESSED BACKUPSET;
RMANマルチセクション・バックアップでは、非常に大きなデータファイルをパラレルにバックアップすることによって、より高速なバックアップ・パフォーマンスを実現します。各バックアップ・ピースへ別々のチャネル書込みを行い、複数のバックアップ・ピースが作成されます。Oracle Database 12cリリース1 (12.1)から、アクティブなデータベース複製を実行するために必要なソース・ファイルの転送に、マルチセクション・バックアップ・セットを使用できます。
アクティブなデータベース複製に使用できるマルチセクション・バックアップ・セットを作成するには、DUPLICATE
コマンドのSECTION SIZE
句を使用します。次のコマンドは、各バックアップ・ピースのサイズに400MBを指定してマルチセクション・バックアップ・セットを作成します。ターゲット・データベースおよび補助インスタンスには、ネット・サービス名を使用して接続されているものと想定します。
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dup_db FROM ACTIVE DATABASE PASSWORD FILE SECTION SIZE 400M;
RMAN DUPLICATE
コマンドを使用すると、複製データベースが作成されて、RESETLOGS
モードで開かれます。DUPLICATE
コマンドでNOOPEN
句を使用すると、複製データベースを開く必要がないことを指定できます。
次の状況では、作成の直後に複製データベースを開かない場合があります。
複製データベースを開くとエラーになる場合。
複製データベースの初期化パラメータを変更する必要がある場合。
たとえば、フラッシュバック・データベース設定を変更する必要があるか、高速増分バックアップを構成する必要があるか、またはブロック・チェンジ・トラッキングを変更する必要がある場合です。
アップグレード手順の一部として新しいデータベースを作成している場合。
アップグレード中にRESETLOGS
オプションを指定してデータベースを開くことはできません。NOOPEN
句を使用すると、データベースを複製した後に、アップグレード・モードで開いて後続のアップグレード・スクリプトを実行できる状態にすることができます。
次のコマンドは、dupdb
と呼ばれる複製データベースを作成します。NOOPEN
句が使用されるため、RMANは複製データベースを作成しますが、開きません。
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dupdb FROM ACTIVE DATABASE NOOPEN;
データベースの複製時に、RMANによって、複製制御ファイル、データファイル、一時ファイルおよびオンラインREDOログ・ファイルの名前が生成されます。このため、これらのファイルの名前の指定方法を決定する必要があります。
最も簡単な複製の方法は、ソース・データベースと同じ名前を使用するように複製データベースを構成する方法です。同じ名前を使用する場合は、環境が次の要件を満たしている必要があります。
ソース・データベースがASMディスク・グループを使用している場合、複製データベースは同じ名前のASMディスク・グループを使用する必要があります。
ソース・データベース・ファイルがOracle Managed Filesの場合、補助インスタンスは、ソース・データベースと同じディレクトリの場所に、DB_CREATE_FILE_DEST
を設定する必要があります。ソース・ホスト上と宛先ホスト上でディレクトリが同じであっても、Oracle Databaseは複製ファイルに対して相対ファイル名を選択します。
ソース・データベースのデータベース・ファイルの名前にパスが含まれている場合、そのパス名は複製データベースにあるパス名と同じである必要があります。
注意:
宛先ホストとソース・ホストが同じである場合、利用できるいくつかの方法の1つを使用して、複製データベースのデータベース・ファイル・パスを変更します。「複製データベース・ファイルの代替名の指定」を参照してください。
前述の推奨事項に従って環境を構成する場合、複製ファイルの名前の指定で必要となる追加の構成はありません。
ソース・データベースと複製データベースでASMディスク・グループを別の名前にすることをお薦めします。次のいずれかの方法を使用して、複製データベースのデータベース・ファイルに別の名前を指定します。
補助インスタンスのDB_CREATE_FILE_DEST
およびLOG_FILE_CREATE_DEST
初期化パラメータを設定します。これは、ASMおよびOMFを使用する場合に推奨されます。
SET NEWNAME
コマンドを使用します。
補助インスタンスのDB_FILE_NAME_CONVERT
およびLOG_FILE_NAME_CONVERT
初期化パラメータを設定します。
DB_FILE_NAME_CONVERT
がASM名に適用されている場合、ディスク・グループ名の変更のみを実行する必要があります。
関連項目:
複製データベースのファイルに別のファイル名を指定する方法の詳細は、「複製データベース・ファイルの代替名の指定」を参照してください。
ソース・ホストと宛先ホストが異なる場合、補助インスタンスを作成できるように、Oracle Databaseソフトウェアを宛先ホストにインストールする必要があります。次の2つの方法の1つで、ソフトウェアをインストールできます。
Oracle Universal Installer (OUI)で、通常のインストールを実行します。
ソース・データベースと同じリリースのOracle Databaseをインストールします。データベースは作成されず、ソフトウェアのみがインストールされます。必要なパッチを適用します。
ソースのOracleホームをクローニングします。
OUIを使用して、ソースのOracleホームをクローニングします。これによって、ソース・データベースに適用されるすべてのパッチが、複製データベースに存在することになります。
関連項目:
Oracleホームのクローニングの詳細は、Oracle Universal InstallerおよびOPatchユーザーズ・ガイドを参照してください。
注意:
アクティブなデータベースの複製を実行している場合は、この項をスキップし、「手順5: データベースへのリモート・アクセスの準備」に進みます。
ターゲットおよびリカバリ・カタログへの接続を使用して、またはターゲット接続のみを使用して複製を実行している場合、RMANでは、RMANリポジトリのメタデータを使用して、複製に必要なバックアップおよびアーカイブREDOログ・ファイルを検索します。RMANがリカバリ・カタログに接続される場合、RMANはカタログからバックアップ・メタデータを取得します。RMANがカタログに接続されない場合は、(ターゲット接続を行うバックアップベースの複製のときなど)、制御ファイルからメタデータを取得します。
ターゲットにもリカバリ・カタログにも接続せずに複製を実行している場合を除いて、バックアップの名前はRMANリポジトリに記録されている名前と同じ名前で使用できる必要があります。宛先ホスト上の補助チャネルがすべてのデータファイル・バックアップおよびアーカイブREDOログ・ファイルにアクセスできることを確認してください(複製データベースを目的の時点までリストアおよびリカバリするために必要です)。アクセスできない場合、複製は失敗します。アーカイブREDOログ・ファイルは、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットとして使用可能です。
注意:
データベース・バックアップは、BACKUP DATABASE
で生成する必要はありません。個々のデータファイルの全体バックアップおよび増分バックアップを組み合せることができますが、すべてのデータファイルの全体バックアップが必要です。
この項の内容は、次のとおりです。
補助インスタンスからディスク・バックアップへのアクセスを可能にする場合は、ターゲットまたはリカバリ・カタログに接続された状態でデータベースを複製するかどうかによって、方法が異なります。ターゲットまたはリカバリ・カタログに接続しない場合、BACKUP LOCATION
句を使用して、複製のためのバックアップ場所を指定する必要があります。
バックアップ場所を使用する場合、バックアップおよびコピーは共有の場所に存在するか、または宛先ホスト上の場所への移動が可能です。後者の場合は、バックアップまたはコピーの名前や元のパスを保持する必要はありません。BACKUP LOCATION
オプションで指定された場所には、複製されるすべてのファイルをリストアし目的の時点までリカバリするために十分なバックアップ・セット、イメージ・コピーおよびアーカイブ・ログが含まれている必要があります。
バックアップは、すべて同じ時点のものである必要はありません。また、すべてバックアップ・セットである必要も、すべてイメージ・コピーである必要もありません。データファイル・バックアップは、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットとして提供されることができます。 アーカイブ・ログは、通常の形式またはアーカイブ・ログのバックアップ・セットとして提供されることができます。
異なる時点のバックアップを使用する場合、バックアップ場所には、最も古いバックアップの開始から目的のリカバリ・ポイントまでの期間をカバーするアーカイブ・ログが含まれる必要があります。
バックアップ場所に複数のデータベースのバックアップ・ファイルが含まれる場合、DATABASE
句で、複製するデータベースの名前を指定する必要があります。バックアップ場所に同じ名前を持つ複数のデータベースのバックアップ・ファイルが含まれる場合、DATABASE
句で、複製するデータベースの名前とDBID
の両方を指定する必要があります。
ソース・データベースの高速リカバリ領域は、バックアップ場所としての使用に特に適しています。これは、複製に必要なすべてのファイルがほぼ常に含まれているためです。高速リカバリ領域をバックアップ場所として使用するには、宛先システムからリモートでアクセスするか、または高速リカバリ領域の内容を宛先システムにコピーすることができます。
バックアップ場所を使用しない場合は、次の相互に排他的な例ごとに、方法が異なります。
ソース・ホストと宛先ホストが同一のファイル・システムである場合
これは最も簡単で推奨される例です。たとえば、ソース・データベースのバックアップが/dsk1/bkp
に格納されているとします。この場合、次のいずれかの方法で、宛先ホストからディスク・バックアップにアクセスできるようになります。
バックアップをソース・ホストから宛先ホストの同一のパスに手動で転送します。たとえば、バックアップがソース・ホストの/dsk1/bkp
にある場合は、FTPを使用してそれらのバックアップを宛先ホストの/dsk1/bkp
に転送します。
NFSまたは共有ディスクを使用して、宛先ホストで同じパスにアクセスできるようにします。たとえば、ソース・ホストから/dsk1/bkp
にアクセスできるとすると、NFSを使用して宛先ホストに/dsk1/bkp
をマウントし、/dsk1/bkp
をマウント・ポイント名として使用します。
ソース・ホストと宛先ホストのファイル・システムが異なる場合
この場合、ソース・ホストで使用するディレクトリ名と同じディレクトリ名は、宛先ホストで使用できません。次の選択肢があります。
バックアップを使用可能にするために共有ディスクを使用できる場合。この項では、共有ディスクを使用する方法について説明します。
バックアップを使用可能にするために共有ディスクを使用できない場合。この方法については、「共有ディスクを使用しないディスク・バックアップのアクセス可能化」を参照してください。
srchost
およびdsthost
という2つのホストがあり、NFSまたは共有ディスクにアクセスできるとします。srchost
上のデータベースは、srcdb
です。srcdb
のバックアップは、ホストsrchost
上の/dsk1/bkp
内に存在します。ディレクトリ/dsk1/bkp
は宛先ホストで使用されていますが、ディレクトリ/dsk2/dup
は、いずれのホストでも使用されていません。
バックアップをソース・ホストから宛先ホストに転送する手順
別のホストからデータベースにアクセスする必要がある場合、パスワード・ファイルおよびOracle Netからの接続を設定する必要があります。このタイプの設定は、セキュリティに影響を与える可能性があることに注意してください。
この項の内容は、次のとおりです。
手動でパスワード・ファイルを作成するか、Oracle Netを使用することで、データベース接続を確立できます。
手動でパスワード・ファイルを作成する手順
パスワード・ファイルを作成するには、『Oracle Database管理者ガイド』の手順を実行します。
パスワード・ファイルに許可されているファイル名のタイプおよびパスワード・ファイルの場所は、プラットフォームとオペレーティング・システムの両方に固有です。
関連項目:
手動でパスワード・ファイルを作成する方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。
『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』
Oracle Netの接続を確立し静的リスナーを設定する手順
データベースに接続するようにクライアントを構成し、リスナーの静的サービス情報を追加するには、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』の手順を実行します。
宛先ホスト上の補助インスタンスのパスワード・ファイルを作成するには、次の方法があります。
ソース・データベースのパスワード・ファイルを宛先ホストにコピーし、名前を補助インスタンス名と一致するように変更します。これは、ソース・ホストと宛先ホストが同じプラットフォームにある場合にのみ該当します。
パスワード・ファイルを手動で作成します。
ORAPWDコマンドを使用してパスワード・ファイルを作成します。SYSBACKUPオプションは、新しいパスワード・ファイルでSYSBACKUPエントリを作成します。
DUPLICATE... FROM ACTIVE DATABASE
コマンドにPASSWORD FILE
オプションを指定します。
この場合、RMANは、ソース・データベース・パスワード・ファイルを宛先ホストにコピーし、既存のすべての補助インスタンスのパスワード・ファイルを上書きします。この方法は、複製データベースで使用できるようにするパスワードが、ソース・データベースのパスワード・ファイルに複数含まれている場合に有効です。
DUPLICATE ... FROM ACTIVE DATABASE
を使用する場合は、追加の要件があります。パスワード・ファイルには、SYS
ユーザーおよびSYSBACKUP
権限を持つユーザー用に、2つ以上のパスワードを含める必要があり、パスワードはソース・データベースのパスワードと一致させる必要があります。補助インスタンスを開始し、ソース・データベースから接続できるようにすることができます。
関連項目:
パスワード・ファイルの作成の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
注意:
FROM ACTIVE DATABASE
オプションを使用してスタンバイ・データベースを作成する場合、RMANは、パスワード・ファイルを常にスタンバイ・ホストにコピーします。
ソース・データベースで透過的暗号化が構成されている場合、補助インスタンスでソース・データベースのOracleソフトウェア・キーストアを使用できることを確認する必要があります。ソース・データベースのキーストアを、手動で宛先ホストにコピーします。
複製データベースでのキーストアの要件は次のとおりです。
キーストアは、デフォルトの場所、またはsqlnet.ora
ファイルに指定された場所にある必要がある。
データベースがファイルにアクセスできるように、Oracleキーストア・ファイルに権限を設定する必要がある。
キーストアは、自動ログイン・キーストアである必要がある。
複製中に補助インスタンスは再起動されるため、Oracleソフトウェア・キーストアは使用できなくなります。補助インスタンスからキーストアへのアクセスを確保するため、sqlnet.ora
ファイルのENCRYPTION_WALLET_LOCATION
パラメータをキーストアの場所をポイントするように設定します。
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)では、補助インスタンスをOracle Grid Infrastructureリスナーに静的に登録し、Oracle Gridホームの sqlnet.ora
ファイル内のENVS
パラメータを使用して、キーストアの場所とデータベースの一意の名前を設定する環境変数を指定します。
次の例では、sqlnet.ora
のENVS
パラメータを設定して、キーストアの場所と一意のデータベース名を指定します。
(ENVS="ORACLE_UNQNAME=cdbrptl, ENCRYPTION_WALLET_LOCATION=(SOURCE=(METHOD=FILE)(METHOD_DATA=(DIRECTORY=/etc/ORACLE/WALLETS/cdbrpt1)))")
ソース・データベースでパスワードベースのソフトウェア・キーストア(自動ログイン・ソフトウェア・キーストアではなく)が使用される場合、データベースの複製を開始する前に、キーストア・パスワードを指定する必要があります。
DECRYPTION WALLET OPEN IDENTIFIED BY
句を指定してSET
コマンドを使用し、キーストアをオープンするために使用するパスワードを指定します。
次のコマンド・セットは、キーストアのオープンに使用するパスワードがmy_pswd
であることを指定します。
SET DECRYPTION WALLET OPEN IDENTIFIED BY my_pswd;
関連項目:
sqlnet.oraでのOracleキーストアの場所の指定については、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。
Oracleキーストアのデフォルトの場所の詳細は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください。
標準的なOracleキーストアから自動ログイン・キーストアへの変換については、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください。
初期化パラメータ・ファイルの場所と内容は、「手順2: 複製ファイルの名前の指定方法の選択」での決定によって異なります。この項では、次のことを想定しています。
ソース・ホストと転送先ホストで同じ名前を使用するという推奨される方法を選択します。Oracle Real Application Clusters環境の場合は、ソース・ホストと宛先ホストに同じORACLE_SID
を使用します。
補助インスタンス用にテキストベースの初期化パラメータ・ファイル(PFILE)を作成します。表26-5を参照してください。
初期化パラメータ・ファイルは、SQL*Plusを実行するホストのオペレーティング・システム固有のデフォルトの場所に配置されます。
たとえば、LinuxおよびUNIXではデフォルトの初期化パラメータ・ファイル名はORACLE_HOME
/dbs/init
ORACLE_SID
.ora
ですが、WindowsではORACLE_HOME
\database\init
ORACLE_SID
.ora
です。
DUPLICATE
コマンドのSPFILE
句を指定する予定です。
このDUPLICATE ... SPFILE
という方法が最も簡単です。これは、複製中にRMANによって、自動的にサーバー・パラメータ・ファイルがソース・データベースから補助インスタンスへコピーされるか、またはそのファイルがバックアップからリストアされるためです。
前述の要件を満たすことができない場合は、「サーバー・パラメータ・ファイルが存在しない場合のデータベースの複製」を参照してください。
初期化パラメータ・ファイルの作成および補助インスタンスの起動の手順
次のいずれかを実行します。
ソース・ホストの初期化パラメータ・ファイルを宛先ホストへコピーし、オペレーティング・システム固有のデフォルトの場所に配置して、CONTROL_FILES
やDB_RECOVERY_FILE_DEST
などの様々な接続先/場所のパラメータと、DB_NAME
、DB_DOMAIN
を変更します。
CDBを複製する場合、ENABLE_PLUGGABLE_DATABASE
パラメータが存在し、TRUE
に設定されていることを確認します。
次の手順を実行してください。
テキスト・エディタを使用して、テキストベースの初期化パラメータ・ファイルに使用するための空のファイルを作成し、オペレーティング・システム固有のデフォルトの場所に保存します。
パラメータ・ファイルに、DB_NAME
とDB_DOMAIN
を設定します。これらは、唯一の必須パラメータです。
DB_DOMAIN
設定によって、ネット・サービス名で接続する際に、デフォルトのデータベース・サービスに接続できるようになります。
補助インスタンスをCDBにする場合は、次のパラメータを設定します。
ENABLE_PLUGGABLE_DATABASE=TRUE
Oracle Real Application Clustersのために必要な初期化パラメータなど、必要に応じてその他の初期化パラメータを設定します。
必須の環境変数(たとえばORACLE_HOME
とORACLE_SID
)を設定します。
SQL*Plusを起動し、SYSDBA
権限またはSYSBACKUP
権限で補助インスタンスに接続します。補助インスタンスをNOMOUNT
モードで起動します。ファイルがデフォルトの場所にある場合、STARTUP
コマンドのPFILE
パラメータは不要です。
SQL> STARTUP NOMOUNT;
注意:
この場合、補助インスタンスは、サーバー・パラメータ・ファイルではなく、テキストベースの初期化パラメータ・ファイルで起動されることを確認してください。制御ファイルの作成、補助インスタンスのマウントまたはオープンは実行しないでください。
注意:
ターゲット接続を行わないバックアップベースの複製を実行する場合には、「複製で使用するためのRMANチャネルの構成」に進みます。
RMANがTARGET
としてソース・データベースに接続されている場合、複製を行うには、ソース・データベースが適切な状態に設定されている必要があります。
ソース・データベースが適切な状態にあることを確認する手順
このタスクでは、RMANクライアントを起動し、「手順1: 複製方法の選択」で選択した複製方法で必要となるデータベース・インスタンスに接続します。RMANクライアントは、ネットワーク経由で必要なデータベースに接続可能であるかぎり、任意のホスト上に配置できます。
RMANを起動し、ターゲット・インスタンスおよび補助インスタンスに接続する手順
この項の内容は、次のとおりです。
バックアップベースの複製では、ソース・データベース・インスタンスではなく、補助インスタンスのチャネルによって、RMANのバックアップがリストアされます。チャネル構成は複製方法に応じて異なります。
RMANでは、ソース・データベースのチャネル構成と同じ構成を宛先ホスト上の複製に使用できます。ソース・データベースのチャネルでAUXILIARY
オプションを指定しなくても、RMANでこれらの構成を利用できます。
次の追加事項に注意してください。
補助チャネルのチャネル・タイプ(DISK
またはsbt
)は、バックアップ・メディアと一致している必要があります。通常、ディスク・バックアップ用に割り当てるチャネルの数を増やすと、複製が高速になります。ディスクが最大の読取り/書込み速度に達した後、複製の速度を速くすることはできません。テープ・バックアップの場合は、チャネルの数を使用可能なデバイスの数に制限します。
ただし、補助チャネルに特別なパラメータが必要な場合(別のメディア・マネージャを指す場合など)は、CONFIGURE
コマンドのAUXILIARY
オプションを指定して自動チャネルを構成します。
ターゲット接続もリカバリ・カタログも使用せずに複製を実行する場合、ディスク・チャネルのみが使用できます。ユーザーによって割り当てられたチャネルが使用されていない場合、最初に制御ファイルをリストアするチャネルは1つのみです。制御ファイルがマウントされた後は、割り当てられるチャネルの数はリストアされた制御ファイルの構成によって異なります。
DUPLICATE
コマンドのUSING
BACKUPSET
句を省略したとき、割り当てられた補助チャネルの数がターゲット・チャネルの数以上の場合、RMANは引き続きバックアップ・セットによるアクティブなデータベース複製を使用します。
アクティブなデータベースの複製では、ソース・データベースのチャネル構成を変更したり、AUXILIARY
チャネルを構成する必要はありません。
バックアップ・セットを使用してアクティブなデータベース複製を実行するには、追加の補助チャネルを割り当てる必要があります。補助チャネルの数は、ターゲット・チャネルの数以上である必要があります。アクティブな複製にバックアップ・セット使用することによってパラレル可も可能になり、複製プロセスの速度を向上させることができます。
関連項目:
CONFIGURE
コマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。
この項では、データベースを複製する最も基本的な手順について説明します。この項では、次のことを想定しています。
リモート・ホストにデータベースを複製します。複製データベース・ファイルには、ソース・データベース・ファイルと同じ名前を使用します。
注意:
この構成でDUPLICATE
コマンドを実行する場合は、DUPLICATE
コマンドにNOFILENAMECHECK
オプションを指定する必要があります。ソース・データベースと同じホスト上にデータベースを複製する場合は、NOFILENAMECHECK
が指定されていないことを確認してください。
データベース全体または1つ以上のPDBを複製します。他の例については、「ソース・データベース表領域のサブセットの複製」を参照してください。
注意:
Oracle RACデータベースの複製方法の詳細は、My Oracle SupportのNote 1617946.1 (https://support.oracle.com/rs?type=doc&id=1617946.1
)を参照してください。
同じディレクトリ構造を持つリモート・ホストにデータベースを複製する手順
DUPLICATE
コマンドを実行します。例25-1 同じディレクトリ構造を持つ別のホストへの複製(アクティブ)
この例は、アクティブな複製を実行する方法を示しています。デフォルトでは、RMANはプルの方法(バックアップ・セットを使用)を使用します。DUPLICATE
では、ソース・データベース・ファイルの名前が複製データベース・ファイルの名前と同じであるため、NOFILENAMECHECK
オプションが必要です。
PASSWORD FILE
オプションを指定すると、RMANはパスワード・ファイルを宛先ホストにコピーします。
RMANは、サーバー・パラメータ・ファイルを接続先ホストに自動的にコピーし、サーバー・パラメータ・ファイルを使用して補助インスタンスを再起動して、必要なすべてのデータベース・ファイルおよびアーカイブREDOログをネットワークを介して接続先ホストにコピーし、データベースをリカバリします。最後に、RMANは、RESETLOGS
オプションを指定してデータベースをオープンし、オンラインREDOログを作成します。dupdb
は複製データベースのDB_NAME
です
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dupdb FROM ACTIVE DATABASE PASSWORD FILE SPFILE NOFILENAMECHECK;
例25-2 PDBの複製
この例では、単一のPDBを複製するために、前述の例にPLUGGABLE
DATABASE
句を追加します。rootおよびシード・データベースは、自動的に複製に含められます。補助インスタンスは、宣言enable_pluggable_database=TRUE
を含む初期化パラメータ・ファイルを使用して開始する必要がありました。
DUPLICATE TARGET DATABASE TO cdbdupe PLUGGABLE DATABASE sales FROM ACTIVE DATABASE PASSWORD FILE SPFILE NOFILENAMECHECK;
これは例25-1を少し変更した例です。この例でRMANは、ソース・データベースに対してTARGET
接続を行いません。例25-3では、ソース・データベースprod
の複製が、以前のデータベース・インカネーションの2013年の状態で作成されます。BACKUP LOCATION
句が提供されていないため、RMANはソース・データベースに接続していませんが、リカバリ・カタログに接続する必要があります。
例25-3 過去の特定の時点までのデータベースの複製(バックアップベース)
DUPLICATE DATABASE prod DBID 8675309 TO dupdb UNTIL TIME "TO_DATE('11/01/2013', 'MM/DD/YYYY')" SPFILE NOFILENAMECHECK;
例25-3の特徴は、次のとおりです。
FROM ACTIVE DATABASE
句が指定されていません。句を指定しないと、RMANでは、バックアップベースの複製が行われます。
ソース・データベースのDBID
が指定されていますが、これは、ソース・データベース名prod
がリカバリ・カタログ内で一意ではないためです。
NOFILENAMECHECK
チェックが指定されていますが、これは、複製データベース・ファイルでソース・データベース・ファイルと同じ名前を使用する場合にはこのオプションが必要となるためです。
類似の例として、アーカイブ・バックアップをリストアする必要があるとします。このバックアップは、データベースのリストアおよびリカバリに必要なすべてのファイルが含まれているという点で包括的なバックアップです。テストのためにアーカイブ・バックアップをリストアする場合は、一時インスタンスを作成し、DUPLICATE
コマンドを使用する方法をお薦めします。この方法を使用すると、ソース・データベースに影響が及ぼされません。
DUPLICATE
コマンドで、アーカイブ・バックアップを使用して作成されたリストア・ポイントを指定する必要があります。リストア・ポイントが制御ファイル内に存在しているときに、RMANがカタログまたはソース・データベースに接続されている場合は、TO RESTORE POINT
のみを指定できます。例25-4では、リストア・ポイントとしてTESTDB103107
を指定しています。
例25-4 バックアップベースの複製におけるアーカイブ・バックアップの使用
DUPLICATE DATABASE prod DBID 8675309 TO dupdb TO RESTORE POINT TESTDB103107 SPFILE NOFILENAMECHECK;
例25-1をバックアップベースに変更したとします。この場合、RMANは、TARGET
としてソース・データベースに接続します。例25-5では、ソース・データベースの1週間前のデータを表示するために、複製データベースをその時点までリカバリします。
例25-5 過去の特定の時点までのデータベースの複製(バックアップベース)
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dupdb SPFILE NOFILENAMECHECK UNTIL TIME 'SYSDATE-7';
例25-5の特徴は、次のとおりです。
FROM ACTIVE DATABASE
句が指定されていません。句を指定しないと、RMANでは、バックアップベースの複製が行われます。
NOFILENAMECHECK
オプションが指定されています。これは、複製データベース・ファイルでソース・データベース・ファイルと同じ名前を使用する場合にはこのオプションが必要となるためです。
例25-6は例25-1を少し変更した例で、この例では、RMANは、ソース・データベースに対してTARGET
接続を行わず、リカバリ・カタログに対してCATALOG
接続を行いません。制御ファイルのバックアップまたはコピーを含む、2013年11月1日午後2:00までの複製に必要なすべてのバックアップおよびコピーは、/prod_backups
に格納されています。
例25-6 ターゲット接続およびリカバリ・カタログ接続を行わない場合のデータベースの複製(バックアップベース)
DUPLICATE DATABASE TO dupdb UNTIL TIME "TO_DATE('11/01/2013 14:00:00', 'MM/DD/YYYY HH24:MI:SS')" SPFILE BACKUP LOCATION '/prod_backups' NOFILENAMECHECK;
例25-6の特徴は、次のとおりです。
データベース名が指定されていません。DATABASE
キーワードを使用してデータベース名を指定しないことによって、DUPLICATE
はデータベース名とDBID
をバックアップから取得します。BACKUP LOCATION
に複数のデータベースのバックアップが検出されると、エラーが表示されます。
BACKUP LOCATION
句を使用して、複製のタイプがターゲット接続もリカバリ・カタログも使用しないバックアップベースであることを識別します。
UNTIL TIME
オプションが指定されています。これは、BACKUP LOCATION
句で許容される唯一のUNTIL
副次句です。
NOFILENAMECHECK
オプションが指定されています。これは、複製データベース・ファイルでソース・データベース・ファイルと同じ名前を使用する場合にはこのオプションが必要となるためです。
例25-7 過去の特定の時点までのデータベースの複製(バックアップベース)
この例では、過去の特定の時点までのバックアップベースの複製を実行します。
DUPLICATE TARGET DATABASE TO dupdb SPFILE NOFILENAMECHECK UNTIL TIME 'SYSDATE-7';
例25-7の特徴は、次のとおりです。
FROM ACTIVE DATABASE
句が指定されていません。この句を省略すると、RMANでは、バックアップベースの複製が行われます。
NOFILENAMECHECK
オプションによるチェックが指定されています。これは、複製データベース・ファイルでソース・データベース・ファイルと同じ名前を使用する場合にはこのオプションが必要となるためです。
この例では、ターゲット・データベースの複製プロセスを自動化するためのスクリプトの使用方法を示します。
ターゲット・データベースのバックアップを補助インスタンス上で使用できる。
ターゲット・データベースのメタデータが含まれるRMANリカバリ・カタログに接続できる(ターゲット・データベースへの接続は不要)。
ソース・データベースと複製データベースの両方で、Oracle Managed Files (OMF)を使用している。
オペレーティング・システムにLinuxまたはUNIXが使用されている。
補助データベースのホストに監査ディレクトリが作成されている。
バックアップベースの複製の要件が満たされている。
補助データベースを削除する
ターゲット・データベースをバックアップする
ダミーの補助インスタンスを作成し、NOMOUNT
モードでオープンする
ターゲット・データベースのバックアップとRMANリカバリ・カタログ内のメタデータを使用して、ターゲット・データベースを複製する
複製データベースの制御ファイルは+REDO/
ORACLE_SID
/CONTROLFILE/cf3.ctl
として保存され、データファイルは+DATA
ディレクトリ内に保存されます。
必要なオブジェクトが複製データベース内に作成されていることを確認する。
ターゲット接続なしでバックアップベースの複製を使用してターゲット・データベースを複製する手順
RMANは、以前に失敗したDUPLICATE
コマンドの繰返しであるDUPLICATE
コマンドを自動的に最適化します。繰返しのDUPLICATE
コマンドは、過去に正常にコピーされたデータファイルを検知し、それらのデータファイルを再度コピーしません。これは、バックアップベース(ターゲット接続の有無を問わない)の複製かアクティブなデータベースの複製かにかかわらず、すべての複製の形式に適用されます。DUPLICATE
コマンドの自動最適化は、非常に大きなデータベースの複製中に障害が発生した場合に特に有効です。
DUPLICATEの処理を再起動する手順
最初のDUPLICATE
コマンドによって正常に複製されたデータファイルを検索します。
再度複製される必要のない各データファイルに対して、次のようなメッセージを表示します。
RMAN-05560: Using previous duplicated file /oradata/new/data01.f for datafile 1 with checkpoint SCN of 1654665
欠落しているか、または不完全なデータファイルのみをリストアするため、コピーおよびリストアをすべてのデータファイルに対して再実行することを回避します。
失敗したDUPLICATE
操作からRMANが自動的にリカバリしないようにする場合、NORESUME
キーワードを指定してこの機能を無効にします。DUPLICATE
の最初の起動時にNORESUME
キーワードを使用すると、後続の新しいデータベース用のDUPLICATE
コマンドがこの自動最適化を使用することを防止できます。