Oracle Clusterware ADRデータは、ADRベースと呼ばれるルート・ディレクトリに書き込まれます。ADR以外のコンポーネントもこのディレクトリを使用するため、Oracleベースと呼ばれることもあります。ベースとして使用するファイル・システム・パスをOracle Grid Infrastructureのインストール時に指定します。これを変更するには、Oracle Grid Infrastructureを再インストールするしかありません。
ADRファイルはADRホーム・ディレクトリに存在します。任意のホストで実行するOracle ClusterwareでもADRホームの構造は常に次のようになります。
ORACLE_BASE/diag/crs/host_name/crs
この例で、ORACLE_BASE
はOracle Grid Infrastructureのインストール時に指定したOracleベース・パス、host_name
はホストの名前です。Windowsプラットフォームでは、円記号(\
)でパスのディレクトリ名が区切られます。
ADRホーム内には、特定のタイプのADRデータのための様々なディレクトリがあります。特に重要なディレクトリはtrace
とincident
です。trace
ディレクトリには、Oracle Clusterwareデーモンとコマンドライン・プログラムによって書き込まれる正常なトレース・ファイルすべて(インシデント以外)と、Oracle Clusterwareアラート・ログの単純なテキスト・バージョンが含まれます。この構成は、Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1.0.2)より前のバージョンとは大幅に異なります。以前のバージョンでは診断ログ・ファイルはデーモンごとに個別のディレクトリに書き込まれていました。