Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1.0.2)以降、Oracle Clusterwareプログラムによって書き込まれる診断データ・ファイルは、トレース・ファイルと呼ばれ、.trc
ファイル拡張子が付けられて、ADRホームのtrace
サブディレクトリにまとめられます。これらのファイルのネーミング規則では、通常、ファイル名として実行可能プログラム名が使用され、プログラムの種類によって他のデータが追加されることもあります。
Oracle Clusterwareコマンドライン・プログラムによって書き込まれるトレース・ファイルでは、同じコマンド・プログラムの複数の呼出しとデータを区別するために、オペレーティング・システム・プロセスID (PID)がトレース・ファイル名に含まれます。たとえば、CRSCTLによって書き込まれるトレース・データの名前は、crsctl_
PID
.trc
のような構造になります。この例では、PID
は、10進数として表示されるオペレーティング・システム・プロセスIDです。
Oracle Clusterwareデーモン・プログラムによって書き込まれるトレース・ファイルはファイル名にPIDを含みません。また、ファイル・ローテーション・メカニズムの対象であり、名前に影響があります。ローテーションでは、現在のデーモン・トレース・ファイルが特定のサイズになると、そのファイルが閉じて名前が変更され、新しいトレース・ファイルが開きます。これが決められた回数行われます。その後、デーモンの一番古いトレース・ファイルが破棄され、ローテーション・セットが設定されたサイズに保たれます。
ほとんどのOracle Clusterwareデーモンで使用されるファイル・サイズの制限は10 MB、ローテーション・セット・サイズは10ファイルです。この場合、合計100 MBのトレース・データが保存されます。任意のデーモンの現在のトレース・ファイルではファイル名としてプログラム名のみが使用されます。ローテーション内の古いファイルにはファイル名に番号が付けられます。たとえば、Oracle高可用性サービス・デーモン(OHASD)が現在書き込んでいるトレース・ファイルの名前はohasd.trc
です。直前にローテーションされたトレース・ファイルの名前はohasd_
n
.trc
です(n
は増分する10進数)。n
が最も大きいファイルは、最も新しくアーカイブされたトレースです。n
が最も小さいファイルは最も古いトレースです。
Oracle Clusterwareエージェントはデーモン・プログラムです。このトレース・ファイルには、エージェントの生成元(OHASDとCluster Ready Servicesデーモン(CRSD)のどちらによって生成されたか)と、エージェントを実行しているオペレーティング・システム・ユーザー名を示す特別なネーミング規則があります。つまり、エージェントでの名前の構造は次のようになります。
origin_executable_user_name
注意:
この名前構造の最初の2つのアンダースコア(_)は、リテラルとしてトレース・ファイル名に含まれます。user_name
のアンダースコアは、ファイルのネーミング規則の一部ではありません。
この例で、origin
はohasd
またはcrsd
、executable
は実行可能プログラム名、user_name
はオペレーティング・システム・ユーザー名です。また、これらはデーモンであるため、エージェント・トレース・ファイルは前述のローテーション・メカニズムの対象になります。ローテーションが発生すると、ファイルに_n
接尾辞が追加されます。