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Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
リリース12.1 For Windows
B72965-06
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4 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのネットワークの構成

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールに必要なネットワーク・ハードウェアおよびインターネット・プロトコル(IP)・アドレスがあることを確認します。

注意:

Oracle RAC環境でサポートされるネットワーク・プロトコルおよびハードウェアの最新情報は、My Oracle Support Webサイトの「動作保証」ページを参照してください。手順については、「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」を参照してください。

4.1 ネットワーク・インタフェースのハードウェア要件

Oracle Grid Infrastructureクラスタのネットワーク・ハードウェアの最小テクノロジを満たしていることを確認するには、これらの要件を確認します

4.1.1 各ノードのネットワーク要件

Oracle Grid Infrastructureをインストールするサーバーがインストールの最小ネットワーク要件を満たしていることを検証します。

  • 各ノードのホスト名には、aからz、AからZ、0から9、およびダッシュまたはマイナス記号(-)のみを使用する必要があります。アンダースコア(_)を使用するホスト名はサポートされていません。

  • 各ノードには2つ以上のネットワーク・アダプタまたはネットワーク・インタフェース・カード(NIC)が必要です(パブリック・ネットワーク・インタフェース用とプライベート・ネットワーク・インタフェース(インターコネクト)用のネットワーク・アダプタ)。各ネットワーク・アダプタにはネットワーク接続名がついています。

    注意:

    パブリックまたはプライベート(インターコネクト)のネットワーク接続名に、PUBLICおよびPRIVATE (すべて大文字)という名前は使用しないでください。
  • ネットワーク・アダプタは1GbE以上である必要があり、推奨は10GbEです。

  • 別のクラスタで実行されるOracle ASMを記憶域に使用する予定がある場合は、ASMネットワークにアクセスするための3つ目のネットワーク・アダプタを用意するか、プライベート・ネットワーク・インタフェースに使用するものと同じネットワーク・アダプタを使用する必要があります。

4.1.2 プライベート・ネットワークのネットワーク要件

次に、プライベート・ネットワーク構成の要件を示します。

  • プライベート・ネットワーク接続名は、パブリック・ネットワークに使用するネットワーク接続名とは異なっている必要があります。

  • 各ノードのインターコネクト用のプライベート・インタフェースは同じサブネット上にある必要があります。

    たとえば、プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.255.0の場合、プライベート・ネットワークの範囲は192.168.0.0から192.168.0.255になり、プライベート・アドレスの範囲は192.168.0.[0-255]である必要があります。プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.0.0の場合、プライベート・アドレスの範囲は192.168.[0-255].[0-255]になります。

  • プライベート・ネットワーク接続名にマルチバイト言語の文字を含めることはできません。プライベート・ネットワーク接続名では大/小文字が区別されます。

  • IPv4とIPv6の両方のアドレスがサポートされています。

  • OUIを使用してOracle Grid Infrastructureをインストールする場合、プライベート・ネットワーク・アダプタに関連付けるプライベート・ネットワーク接続名は、すべてのノードで同じにする必要があります。

    たとえば、2ノードのクラスタがあり、node1のプライベート・ネットワーク接続名がPrivNICである場合は、node2のプライベート・ネットワーク接続名がPrivNICである必要があります。

  • プライベート・ネットワークの場合、ネットワーク・アダプタは、TCP/IPをサポートする高速ネットワーク・アダプタおよびスイッチ(最小要件: 1GbE、推奨要件: 10GbE)を使用する必要があります。かわりに、インターコネクトにInfiniBandを使用することもできます。

    注意:

    TCPはOracle Clusterware用のインターコネクト・プロトコルです。インターコネクトにはスイッチを使用する必要があります。専用のスイッチを使用することをお薦めします。

    インターコネクト用のトークン・リングまたはクロスオーバー・ケーブルはサポートされていません。

  • プライベート・ネットワーク・アダプタでは、指定されているすべてのネットワーク接続名のエンドポイントがネットワークで確実にアクセス可能である必要があります。ノードはプライベート・ネットワーク上のすべての他のノードに接続されている必要があります。pingを使用して、インターコネクト・インタフェースが接続可能であるかどうかをテストできます。

4.1.3 パブリック・ネットワークのネットワーク要件

次に、パブリック・ネットワーク構成の要件を示します。

  • パブリック・ネットワーク接続名は、プライベート・ネットワーク接続名とは異なっている必要があります。

  • パブリック・ネットワーク接続名では大/小文字が区別されます。

  • パブリック・ネットワーク接続名にマルチバイト言語の文字を含めることはできません。

  • OUIを使用してOracle Grid Infrastructureをインストールする場合、各ネットワークのパブリック・ネットワーク・アダプタに関連付けるパブリック・ネットワーク接続名は、すべてのノードで同じにする必要があります。

    たとえば、2ノードのクラスタのネットワーク・アダプタの場合、パブリック・ネットワーク接続名としてnode1ではNIC1node2ではNIC2というようには構成できません。パブリック・ネットワーク接続名は同じにする必要があるため、両方のノードのパブリック・ネットワーク接続名としてNIC1を構成する必要があります。

  • パブリック・ネットワークの場合、各ネットワーク・アダプタは、Transmission Control Protocol/Internet Protocol(TCP/IP)をサポートする必要があります。

  • ネットワーク・アダプタは、TCP/IPをサポートする高速ネットワーク・アダプタおよびスイッチ(最小要件: 1GbE、推奨要件: 10GbE)を使用する必要があります。

4.1.4 WindowsでのIPv6プロトコルのサポート

Oracle Grid InfrastructureとOracle RACは、RFC 2732で指定されている標準IPv6のアドレス表記法と、RFC 4193で定義されているグローバルおよびサイトローカルのIPv6アドレスをサポートしています。

クラスタ・メンバー・ノードのインタフェースは、IPv4、IPv6または両方のタイプのインターネット・プロトコル・アドレスを使用するように構成できます。ただし、次の点に注意してください。

  • パブリックVIPを構成する場合: インストール時に、特定のパブリック・ネットワークのVIPアドレスに、IPv4またはIPv6タイプを構成できます。インストール中に、クラスタのIPv6サブネットのアドレスに解決されるVIPおよびSCAN名を選択し、そのサブネットをパブリックとして選択すると、IPv6クラスタを構成できます。インストール後は、IPv4アドレスとIPv6アドレスを組み合せてクラスタ・メンバー・ノードを構成することもできます。

    IPv4クラスタ内の静的な仮想IP (VIP)アドレスを使用してインストールする場合、インストール時に指定したVIP名はIPv4アドレスにのみ解決される必要があります。静的なIPv6アドレスを使用してインストールする場合、インストール時に指定したVIP名はIPv6アドレスにのみ解決される必要があります。

    インストール中は、IPv4およびIPv6の両方のアドレスに解決されるVIPおよびSCAN名を含むクラスタを構成できません。たとえば、一部のクラスタ・メンバー・ノードではVIPおよびSCANがIPv4アドレスに解決され、他のクラスタ・メンバー・ノードではVIPおよびSCANがIPv6アドレスに解決されるようには構成できません。Oracleではこのような構成をサポートしていません。

  • プライベートIPインタフェース(インターコネクト)の構成: プライベート・ネットワークはIPv4ネットワークとして構成する必要があります。IPv6アドレスは、インターコネクトでサポートされません。

  • 冗長ネットワーク・インタフェース: パブリックまたはVIPノード名で冗長ネットワーク・インタフェースを構成する場合、冗長ペアの両方のインタフェースを同じアドレス・プロトコルに構成します。また、プライベートIPインタフェースで同じIPプロトコルが使用されていることを確認します。Oracleでは、IPプロトコルが混在する冗長インタフェース構成を使用する名前がサポートされません。冗長ペアの両方のネットワーク・インタフェースは、同じIPプロトコルで構成する必要があります。

  • GNSまたはマルチクラスタのアドレス: Oracle Grid InfrastructureはIPv4 DHCPアドレス、およびRFC 2462に記載されているステートレス・アドレス自動設定プロトコルで構成されているIPv6アドレスをサポートします。

注意:

RFC 1884で定義されているリンクローカルとサイトローカルのIPv6アドレスはサポートされません

関連項目:

  • RFC 2732およびIPv6表記の表現については、http://www.ietf.org/rfc/rfc2732.txtを参照してください。

  • RFC 3513および正しいIPv6アドレス指定については、http://www.ietf.org/rfc/rfc3513.txtを参照してください。

  • RFC 2462およびIPv6ステートレス・アドレス自動設定プロトコルについては、http://www.ietf.org/rfc/rfc2462.txtを参照してください。

  • ネットワーク通信およびIPアドレス・プロトコルのオプションの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

4.1.5 複数のパブリック・ネットワーク・アダプタの使用

パブリック・ネットワーク・インタフェースに対して複数のネットワーク・アダプタを構成できます。

Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、複数のパブリック・ネットワーク接続名を指定しないことをお薦めします。

  1. インストールの開始前に現在のプラットフォームで複数のパブリック・ネットワーク・アダプタを集約できるサード・パーティ・テクノロジを使用します。
  2. インストール中に、パブリック・インタフェースとして結合したネットワーク・アダプタの単一のネットワーク接続名を選択します。

集約テクノロジを使用せずに、2つのネットワーク・アダプタをクラスタ内のパブリック・ネットワーク・アダプタとして構成する場合、ノード上の1つのパブリック・ネットワーク・アダプタの障害によって、もう1つのパブリック・ネットワーク・アダプタへの自動VIPフェイルオーバーが行われることはありません。

4.1.6 Windows Serverデプロイメント用のネットワーク構成タスク

Microsoft Windows Serverには、独特のネットワーク機能が多数用意されています。Windows Server上でOracleソフトウェアを正常に実行できるようにするには、これらの機能の一部で特別な構成が必要です。

4.1.6.1 Windowsのメディア検出機能の無効化

プライベート・ネットワーク・アダプタでは、Windowsのメディア検出機能が無効である必要があります。

WindowsのTCP/IPのメディア検出機能を無効にするには、各ノードのDisableDHCPMediaSenseパラメータの値を1に設定する必要があります。メディア検出機能を無効にするには、Windowsレジストリを変更する必要があるため、Windowsドキュメントに示されている方法を使用して、まずレジストリをバックアップし、リストアできることを確認する必要があります。
  1. Windowsレジストリをバックアップします。
  2. レジストリ・エディタを使用して、レジストリの次のキーを表示します。
    HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters
  3. パラメータのサブキーに、新しいDWORD値を追加します。
    Value Name: DisableDHCPMediaSense
    Value: 1
  4. レジストリ・エディタを終了して、コンピュータを再起動します。
  5. クラスタ内の各ノードで手順1から4を繰り返します。

4.1.6.2 ネットワーク・アダプタのバインド順序の設定

Windowsのネットワーク・プロパティでは、各ノードのパブリック・ネットワーク接続はバインドの順序(ネットワーク・サービスがノードにアクセスする順序)の最初にリストされる必要があります。プライベート・ネットワーク接続は、2番目にリストされる必要があります。

ネットワーク・アダプタ(パブリックなど)のクラスごとに使用される名前は、すべてのノードにわたって一貫性がある必要があります。同じ名前がネットワーク内の各ノード上のネットワーク・アダプタの同じクラスで使用されていない場合、ネットワーク・アダプタにはデフォルト以外の名前(PublicLANなど)を使用することができます。
  1. 「マイ ネットワーク」を右クリックして、「プロパティ」を選択します。
  2. 「詳細設定」メニューで、「詳細設定」をクリックします。
  3. パブリック・ネットワーク接続名が「アダプタとバインド」タブで最初にリストされている名前でない場合は、それを選択し、矢印をクリックしてリストの先頭に移動させます。
  4. 「OK」をクリックして設定を保存し、ネットワーク設定ダイアログ・ボックスを終了します。

4.1.6.3 パブリック・ネットワーク・アダプタのDNS登録の構成解除

Windows Server 2008で、サーバー再起動後に、ノードに対する誤ったIPアドレスがDNSに登録されないようにするには、パブリック・ネットワーク・アダプタの「この接続のアドレスを DNS に登録する」オプションを構成解除する必要があります。

Windows Server 2008での機能の変更に伴い、コンピュータのすべてのネットワーク接続は、DNSクライアント・サービスによってDNSに登録されるようになりました。以前のバージョンのWindows Serverでは、プライマリ、つまり最初のネットワーク・アダプタのIPアドレスのみがDNSに登録されていました。
  1. Windowsサーバー・マネージャ・アプリケーションを起動します。
  2. 「ネットワーク接続の表示」を選択します。
  3. パブリック・ネットワーク・インタフェースを提供するネットワーク・アダプタを右クリックして、「プロパティ」を選択します。
  4. 「ネットワーク」タブを選択し、次に、「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選択します。

    注意:

    この設定をIPv4で構成すると、自動的に同じ設定がIPv6に対して構成されます
  5. 「プロパティ」をクリックします。
  6. 「全般」タブで、「詳細設定」をクリックします。
  7. 「DNS」タブを選択します。
  8. 「この接続のアドレスを DNS に登録する」の選択を解除します。

関連項目:

Microsoft TechNetの、「Best Practices Analyzer for Domain Name System: Configuration」(具体的には、http://technet.microsoft.com/en-us/library/ff807401(v=ws.10).aspx)

4.1.6.4 自動メトリック値の手動構成

自動メトリック機能は、リンク・スピードに基づいてローカル・ルートのメトリックを自動的に構成します。インストール時にOUIで誤ったネットワーク・インタフェースが選択されないようにするには、パブリックおよびプライベート・ネットワーク・インタフェースのメトリック値をカスタマイズする必要があります。

自動メトリック機能はデフォルトで有効ですが、特定のメトリックを割り当てるために手動で構成することもできます。IPv4のパブリックおよびプライベート・ネットワーク・インタフェースでWindowsの自動メトリック機能が使用されます。自動メトリック機能が有効であり、デフォルト値が使用されている場合、Oracle Grid Infrastructureのインストール時にサーバーのデフォルトのパブリック・ホスト名としてプライベート・ネットワーク・インタフェースが選択される場合があります。
  1. 「コントロール パネル」で、「ネットワーク接続」をダブルクリックします。
  2. ネットワーク・インタフェースを右クリックして、「プロパティ」をクリックします。
  3. 「インターネット プロトコル(TCP/IP)」をクリックし、「プロパティ」をクリックします。
  4. 「全般」タブで、「詳細設定」をクリックします。
  5. メトリックを指定するには、「IP 設定」タブで自動メトリックのチェック・ボックスを選択解除します。
  6. 「インターフェース メトリック」フィールドで、パブリック・ネットワーク・インタフェース・メトリックをプライベート・ネットワーク・インタフェースより小さな値に設定します。
    たとえば、パブリック・ネットワーク・インタフェース・メトリックを100に、プライベート・ネットワーク・インタフェース・メトリックを300に設定します。

4.1.6.5 Oracle RACインストールのTCP/IP動的ポート範囲の設定

負荷の高い環境におけるOracle RACの特定の構成では、使用可能な数のソケットが使い果たされる可能性があります。この問題を回避するには、TCP/IPの動的ポート範囲を拡張します。

  1. 管理者ユーザーとしてコマンドライン・ウィンドウを開きます。
  2. 次のコマンドを実行します。
    netsh int ipv4 set dynamicport tcp start=20000 num=40000

4.1.6.6 クラスタ内のファイルをコピーするための権限の確認

インストール中に、OUIはソフトウェアをローカル・ノードからクラスタ内のリモート・ノードにコピーします。インストール・ユーザーには、ファイルをコピーするクラスタ内の他のノードに対する権限がある必要があります。

  1. 各ノードで次のコマンドを実行して、クラスタ内の他のノードの管理者権限があることを確認します(nodenameはリモート・ノードの名前)。
    net use \\nodename\C$
  2. インストール後、前述の例に示すネット共有をシステムで使用していない場合は、次のコマンドを使用して、未使用のネット共有を削除できます。
    net use \\nodename\C$ /delete

4.1.7 パフォーマンスを確保するためのネットワーク・インタフェース構成オプション

選択する正確なネットワーク構成は、構成するクラスタのサイズおよび使用方法と、必要な可用性のレベルによって異なります。

Oracle ASMにリモートでアクセスするか、動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)をOracle RAC用に使用し、このストレージにイーサネットベースのネットワークを介して接続する場合は、データ通信用に3つ目のネットワーク・インタフェースが必要です。この場合、3つの別々のネットワーク・インタフェースを使用しないと、高いシステム負荷によってパフォーマンスと安定性の問題が発生します。

4.2 Oracle Grid InfrastructureのIP名およびアドレスの要件

大規模なクラスタでOracle Grid Naming Service (GNS)を使用すると、ネットワーク管理のコストが軽減されます。

小規模なクラスタの場合は、静的構成のIPアドレスを使用できます。大規模なクラスタの場合は、大量のIPアドレスが必要となるため、手動で管理するのは非常に煩雑になります。

4.2.1 Oracle Grid Infrastructureの名前解決オプションについて

インストールを開始する前に、各ノードにインタフェースが2つ以上構成されている必要があります。1つはプライベートIPアドレス用、もう1つはパブリックIPアドレス用です。

Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのIPアドレスは、次のいずれかのオプションを指定して構成できます。

  • マルチクラスタまたは標準のOracle Grid Naming Service (GNS)を使用した動的IPアドレスの割当て。このオプションを選択した場合、ネットワーク管理者は、GNS (標準またはマルチクラスタ)によって解決されるようにサブドメインを委任します。GNSの要件は、GNSの構成に、ゾーン委任あり(ドメインの解決をGNSに委任)またはゾーン委任なし(ドメインを委任しないGNS仮想IPアドレス)のどちらを選択するかによって異なります。

  • ゾーン委任を伴うGNSの場合:

    • IPv4の場合は、クラスタが使用するパブリック・ネットワーク上で実行されているDHCPサービス

    • IPv6の場合は、クラスタが使用するパブリック・ネットワーク上で実行されている自動構成サービス

    • 各ノードのIPアドレスを1つずつ、そしてクラスタの単一クライアント・アクセス名(SCAN)によって使用される、クラスタのIPアドレスを3つ提供するのに十分なDHCPアドレス

  • 既存のGNS構成を使用します。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)以上では、1つのGNSインスタンスを複数のクラスタで使用できます。複数のクラスタでGNSを使用するには、GNSで使用するゾーンをDNS管理者が委任する必要があります。また、GNSのインスタンスがネットワーク上のどこかで稼働しており、そのGNSインスタンスにアクセスできる(ファイアウォールでブロックされていない)必要があります。GNSインスタンスに登録されるすべてのノード名は一意である必要があります。

  • DNSまたはホスト・ファイルの解決を使用した静的IPアドレスの割当て。このオプションを選択すると、ネットワーク管理者は固定IPアドレスをクラスタの各物理ホスト名とOracle Clusterware管理VIPのIPに割り当てます。また、各ノードにドメイン・ネーム・システム(DNS)に基づいた静的名前解決が使用されるか、クラスタとクライアントの両方のホスト・ファイルを更新する必要があり、SCAN機能は限定されます。このオプションを選択する場合は、クラスタの変更時にネットワーク管理の更新を依頼する必要があります。

注意:

  • 静的ホスト名をVIP以外のすべてのサーバー・ノード・パブリック・ホスト名に使用することをお薦めします。

  • パブリックIPアドレスと仮想IPアドレスは、同じサブネット内にある必要があります。

  • DHCP割当てのネットワークは、デフォルトのネットワークでのみサポートされ、その後のネットワークではサポートされません。

プライベート・ネットワークに単一のインタフェースを使用するクラスタの場合、各ノードのインターコネクト用のプライベート・インタフェースは同じサブネット上にある必要があり、そのサブネットはクラスタのすべてのノードに接続する必要があります。たとえば、プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.255.0の場合、プライベート・ネットワークの範囲は192.168.0.0から192.168.0.255になり、プライベート・アドレスの範囲は192.168.0.[0-255]である必要があります。プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.0.0の場合、プライベート・アドレスの範囲は192.168.[0-255].[0-255]になります。

4.2.2 クラスタ名およびSCANの要件

インストール中に、データベース・インスタンスが実行されているノードに関係なくクラスタ内のデータベースに接続するために使用される、デフォルトの単一クライアント・アクセス名(SCAN)を確認するよう求められます。SCANをデフォルトから変更する場合、使用する名前は、社内全体でグローバルに一意である必要があります。

クラスタ名は、組織で一意の、1文字以上15文字以内の長さの英数字である必要があり、数字で始めることはできませんが、ハイフン(-)を含めることはできます。アンダースコア文字(_)は使用できません。

標準クラスタを構成して標準インストールを選択する場合、SCANはクラスタの名前でもあります。この場合、SCANはクラスタ名の要件を満たす必要があります。SCANは、15文字以下にする必要があります。

拡張インストールでは、SCANとクラスタ名はインストール時に別のフィールドに入力するため、クラスタ名要件はSCANに使用する名前には適用されません。SCANには、15文字より長い文字を指定できます。SCAN名を含むドメインを入力し、かつ、ゾーン委任を伴うGNSを使用する場合は、ドメインをGNSドメインとする必要があります。

注意:

名前は慎重に選択してください。インストール後にクラスタ名を変更するには、Oracle Grid Infrastructureを再インストールする必要があります。

4.2.3 グリッド・ネーミング・サービス(GNS)のIP名およびアドレスの要件

ネットワーク管理では、ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を、クラスタ名(クラスタに委任されたサブドメイン内のすべての名前)の解決要求がGNSに委任されるように構成する必要があります。

グリッド・ネーミング・サービス(GNS)を有効にすると、クラスタに対する名前解決要求はGNSに委任され、GNSはGNS VIPアドレスでリスニングします。要求がドメインに届くと、GNSによってその要求が処理され、要求された名前に対する適切なアドレスとともに応答が返されます。GNSを使用するには、GNS VIPアドレスに静的IPアドレスを指定する必要があります。

注意:

別のマルチキャストDNSでGNSを使用することはできません。GNSを使用するには、システム上のすべてのサード・パーティmDNSデーモンを無効にします。

4.2.4 マルチクラスタのGNSのIP名およびアドレスの要件

マルチクラスタのGNSを使用する場合は、次の要件を確認します。

4.2.4.1 マルチクラスタのGNSネットワークについて

マルチクラスタのGNSの一般的要件は、標準のGNSの一般的要件に類似しています。マルチクラスタのGNSは、単一のクラスタにネットワーク・サービスを提供するのではなく、クラスタのセット全体で単一のネットワーク・サービスを提供する点が標準のGNSと異なります。

ネットワーク・サービスを提供するために、DHCPアドレスを使用してマルチクラスタのGNSが構成され、次のコンポーネントで名前の通知および解決が実行されます。

  • GNSサーバー・クラスタは、GNSクライアント・クラスタのアドレス解決を実行します。GNSサーバー・クラスタは、マルチクラスタのGNSが実行され、一連のクラスタに委任されるサブドメインの名前解決が実行されるクラスタです。

  • GNSクライアント・クラスタは、GNSサーバー・クラスタからアドレス解決を受け取ります。GNSクライアント・クラスタは、GNSサーバー・クラスタを使用してクラスタ・メンバー・ノード名を通知するクラスタです。

4.2.4.2 GNSサーバー・クラスタの構成

GNSサーバー・クラスタを構成するには、これらの要件を確認します。

このオプションを使用するには、ネットワーク管理者により、解決するGNSにサブドメインが委任されている必要があります。
  1. インストールの前に、GNS VIPアドレスの静的IPアドレスを作成します。
  2. DNSサーバーが解決のためにその静的GNS IPアドレスに委任するサブドメインを指定します。

4.2.4.3 GNSクライアント・クラスタの構成

GNSクライアント・クラスタを構成するには、次の要件を確認します。

  • GNSクライアント・クラスタを構成するには、次に示す要件がすべて満たされていることを確認します。
    • GNSサーバー・インスタンスがネットワーク上で稼働しており、アクセス可能であること(たとえば、ファイアウォールでブロックされていないこと)

    • GNSドメイン内のすべてのノード名が一意であること。アドレス範囲とクラスタ名は、GNSサーバーおよびGNSクライアント・クラスタの両方で一意であることが必要です。

    • 名前の解決をGNSサーバー・クラスタに委任するために必要な情報にGNSクライアント・クラスタがアクセスできるよう、GNSサーバー・クラスタにGNSクライアント・データファイルを生成しておく必要があります。また、Oracle Grid Infrastructureインストールを実行しているGNSクライアント・クラスタのメンバー・ノードに、そのファイルをコピーしておく必要があります。

4.2.4.4 GNSクライアント・データ・ファイルの作成および使用

GNSクライアント・データ・ファイルを生成して、Oracle Grid Infrastructureインストールを実行中のGNSクライアント・クラスタ・メンバー・ノードに、そのファイルをコピーします。

  1. GNSサーバー・クラスタ・メンバーで次のコマンドを実行します(path_to_fileは、作成するGNSクライアント・データ・ファイルの名前およびパスの場所)。
    srvctl export gns -clientdata path_to_file -role {client | secondary}

    次に例を示します。

    C:\> srvctl export gns -clientdata C:\Users\grid\gns_client_data -role client
  2. GNSクライアント・クラスタのインストールを実行するGNSクライアント・ノード上の安全なパスに、GNSクライアント・データ・ファイルをコピーします。
    Oracleインストール・ユーザーには、このファイルへのアクセス権限が必要です。他のユーザーにGNSクライアント・データ・ファイルへのアクセス権限を付与しないことをお薦めします。
  3. インストールの実行中、そのファイルへのパスを入力するように求めるメッセージが表示されます。
  4. GNSクライアント・クラスタ・インストールの完了後、いずれかのGNSサーバー・クラスタ・メンバーで次のコマンドを実行してGNSサービスを起動する必要があります(path_to_fileは、GNSクライアント・データ・ファイルの名前およびパスの場所)。
    srvctl add gns -clientdata path_to_file

    次に例を示します。

    C:\> srvctl add gns -clientdata C:\Users\grid\gns_client_data

関連項目:

GNSサーバーおよびGNSクライアント管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

4.2.5 手動で構成する場合のIPアドレス要件

GNSを有効にしない場合、各ノードのパブリック・アドレスおよびVIPアドレスは、静的IPアドレスである必要があります。パブリック・アドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスは、同じサブネット上に存在する必要があります。

プライベートとして指定したサブネット上のIPアドレスは、クラスタ・メンバー・ノードのプライベートIPアドレスとして割り当てられます。Oracle Clusterwareは、プライベート・サブネットのプライベートIPアドレスを管理します。hostsファイルでこれらのアドレスを手動で構成する必要はありません。

クラスタには、次のアドレスが構成されている必要があります。

  • 各ノードについて、インストール前に構成済で、インストール前にそのノードに対して解決可能なパブリックIPアドレス。

  • 各ノードについて、インストール前に構成済だが、現在は使用されていないVIPアドレス。

  • SCANとして指定された名前に3つの静的IPアドレスが関連付けられ、そのすべてのアドレスがランダムな順序でDNSによってリクエスタに返されるように、インストール前にドメイン・ネーム・サーバー(DNS)上に構成された3つの静的IPアドレス。これらのアドレスは、現在使用されていないアドレスに解決されるように、インストール前にDNSで構成済である必要があります。SCAN名は、「クラスタ名およびSCANの要件」で規定されている要件を満たす必要があります。

  • インストール前に構成済だが、独自のサブネットがある別のプライベート・ネットワーク上に構成されている各ノードのプライベートIPアドレス。IPアドレスは、他のクラスタ・メンバー・ノードによらないかぎり解決可能にできません。

  • Oracle ASMがクライアントとして機能する、1つ以上のネットワーク。ASMネットワークは、物理ネットワークである必要はなく、仮想ネットワークにできます。ASMネットワークは、3つ目のNICを使用するか、プライベート・ネットワーク・アダプタを共有する必要があります。このNICには仮想NICを指定できます。

注意:

SCAN VIPアドレスの構成は、hostsファイルで行わないことを強くお薦めします。SCAN VIPにはDNS解決を使用します。SCANの解決にhostsファイルを使用すると、1つのIPアドレスへの解決しかできず、SCANアドレスは1つのみになってしまいます。

サポートされているのは、DNSまたはホスト・ファイルでのSCANの構成のみです。SCANをNetwork Information Service(NIS)で構成することはできません。

4.2.6 SCANのDNS構成の確認

DNSによってSCANが正しくアドレスに関連付けられていることを確認するには、nslookupコマンドを使用します。

インストール後、クライアントがクラスタにリクエストを送信すると、Oracle ClusterwareのSCANリスナーはクライアント・リクエストをクラスタのサーバーにリダイレクトします。
  • コマンド・プロンプトで、nslookupコマンドを使用してクラスタのSCANの名前を指定します。
    次に例を示します。
    C:\> nslookup mycluster-scan
    Server:         dns3.example.com
    Address:        192.0.2.001
     
    Name:   mycluster-scan.example.com
    Address: 192.0.2.201
    Name:   mycluster-scan.example.com
    Address: 192.0.2.202
    Name:   mycluster-scan.example.com
    Address: 192.0.2.203

4.2.7 グリッド・ネーミング・サービスの一般的なクラスタ構成例

GNSを使用する場合は、GNS VIPアドレスに静的IPアドレスを指定し、サブドメインをドメイン・ネーム・サーバー(DNS)で構成して、静的なGNS IPアドレスにそのサブドメインの解決を委任する必要があります。

GNSを使用する場合は、GNSのVIPアドレスに静的IPアドレスを指定し、サブドメインをDNSで構成して、静的なGNSのIPアドレスにそのサブドメインの解決を委任する必要があります。

クラスタにノードが追加されると、組織のDHCPサーバーによって、これらのノードに動的にアドレスが提供されます。これらのアドレスは自動的にGNSに登録され、GNSによってサブドメイン内で、GNSに登録されたクラスタ・ノード・アドレスの解決が行われます。

アドレスの割当てと構成はGNSによって自動的に行われるため、これ以上の構成は必要ありません。Oracle Clusterwareによって、クラスタに対してノードが追加または削除されるときに、動的なネットワーク構成が行われます。参考までに例を示します。

IPv6ネットワークでは、IPv6自動構成機能によってIPアドレスが割り当てられるため、DHCPサーバーは必要ありません。

2ノードのクラスタで、GNS VIPが定義されている場合は、インストール後の構成として次の表に示すようなものが考えられます。この構成では、クラスタ名はmycluster、GNSの親ドメインはgns.example.com、サブドメインはcluster01.example.comです。IPアドレスの192.0.2の部分はクラスタのパブリックIPアドレスのサブドメインを表し、192.168.0はプライベートIPアドレスのサブドメインを表します。

表4-1 グリッド・ネーミング・サービスのネットワーク構成例

ID ホーム・ノード ホスト・ノード 指定された名前 種類 アドレス アドレスの割当て元 解決方法

GNS VIP

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-gns-vip.example.com

仮想

192.0.2.1

ネットワーク管理者が固定

DNS

ノード1パブリック

ノード1

node1

node1脚注 1脚注 1

パブリック

192.0.2.101

固定

GNS

ノード1 VIP

ノード1

Oracle Clusterwareにより選択

node1-vip

仮想

192.0.2.104

DHCP

GNS

ノード1プライベート

ノード1

node1

node1-priv

プライベート

192.168.0.1

固定またはDHCP

GNS

ノード2パブリック

ノード2

node2

node2脚注 1

パブリック

192.0.2.102

固定

GNS

ノード2 VIP

ノード2

Oracle Clusterwareにより選択

node2-vip

仮想

192.0.2.105

DHCP

GNS

ノード2プライベート

ノード2

node2

node2-priv

プライベート

192.168.0.2

固定またはDHCP

GNS

SCAN VIP 1

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan.cluster01.example.com

仮想

192.0.2.201

DHCP

GNS

SCAN VIP 2

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan.cluster01.example.com

仮想

192.0.2.202

DHCP

GNS

SCAN VIP 3

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan.cluster01.example.com

仮想

192.0.2.203

DHCP

GNS

脚注 1 ノードのホスト名が、ホスト上で使用されているVIPアドレスなど、複数のアドレスに解決される場合があります。

4.2.8 グリッド・ネーミング・サービスへのドメイン委任

標準クラスタにグリッド・ネーミング・サービス(GNS)を構成する場合は、Oracle Grid Infrastructureをインストールする前に、GNSによって処理されるサブドメインに対するすべての名前解決要求がGNSに送信されるように、DNSを構成します。

GNSが提供するサブドメインは、クラスタ・メンバー・ノードを表します。

4.2.8.1 グリッド・ネーミング・サービスで使用するサブドメイン名の選択

GNSを実装するには、ネットワーク管理者がDNSを構成してクラスタのドメインを設定し、そのドメイン解決をGNS VIPに委譲する必要があります。別のドメインを使用するか、クラスタに既存のドメインのサブドメインを作成できます。

サブドメイン名には、sales-cluster.rac.comなど、サポートされている任意のDNS名を指定できます。

サブドメイン名は、企業ドメインとは別にすることをお薦めします。たとえば、企業ドメインがmycorp.example.comの場合、GNSのサブドメインはrac-gns.comなどとします。

サブドメインが別でない場合は、GNS専用とする必要があります。たとえば、サブドメインmydomain.example.comをGNSに委任する場合は、lab1.mydomain.example.comのように、このサブドメインを他のドメインが共有しないようにします。

関連項目:

  • GNSの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • ネットワーク識別名の選択の詳細は、「クラスタ名およびSCANの要件」を参照してください。

4.2.8.2 グリッド・ネーミング・サービスへのドメイン委任のためのDNSの構成

DNS転送を使用して、GNSに名前解決要求を送信するように、DNSを構成する必要があります。

管理対象のWindowsサーバーでDNSサーバーが実行されている場合は、次の手順を実行してDNSを構成する必要があります。
  1. 「スタート」をクリックして、「プログラム」を選択します。「管理ツール」を選択して、「DNS マネージャ」をクリックします。
    DNSサーバーの構成ウィザードが自動的に起動します。
  2. ウィザードを使用して、GNS仮想IPアドレスのエントリを作成します。このアドレスは有効なDNS名です。
    たとえば、クラスタ名がmycluster、ドメイン名がexample.com、IPアドレスが192.0.2.1の場合、次のようなエントリを作成できます。
    mycluster-gns-vip.example.com: 192.0.2.1

    指定したアドレスは、ルーティング可能である必要があります。

    注意:

    ドメイン名にアンダースコアを含めることはできません。Windowsではアンダースコア文字を使用できますが、この用法はInternet Engineering Task Force RFC 952標準に違反し、Oracleではサポートしていません。
  3. DNS転送を構成するには、「スタート」をクリックして「管理ツール」を選択し、「DNS」を選択します。
  4. 「ServerName」を右クリックして、次に「フォワーダ」タブをクリックします。ServerNameはサーバーの名前です。
  5. 「新規」をクリックして、問合せを転送するDNSドメインの名前(たとえば、clusterdomain.example.com)を「DNS ドメイン」ボックスに入力します。「OK」をクリックします。
  6. 「選択したドメインのフォワーダ IP アドレス」ボックスで、GNSのVIPアドレスを入力した後、「追加」をクリックします。
  7. 「OK」をクリックして終了します。
DNSサーバーが異なるオペレーティング・システムで実行されている場合は、該当するプラットフォームのOracle Grid Infrastructureのインストレーション・ガイドおよびオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

注意:

経験のあるDNS管理者は、リバース・ルックアップ・ゾーンを作成して、リバース・ルックアップの解決を有効にすることがあります。リバース・ルックアップは、ポインタ・リソース(PTR)・レコードを使用して、IPアドレスをホスト名に解決します。リバースDNSゾーンを構成してある場合は、元の順方向レコードを作成するときに、関連するリバース・レコードを自動的に作成できます。

4.2.9 手動によるIPアドレスの構成例

GNSを使用しない場合は、インストールの前に、パブリックIPアドレス、仮想IPアドレスおよびプライベートIPアドレスを構成する必要があります。また、pingコマンドを実行し、デフォルトのゲートウェイにアクセスできることも確認してください。

デフォルトのゲートウェイを検出するには、ipconfigコマンドを使用します(オペレーティング・システムのヘルプを参照)。

たとえば、クラスタ名がmyclusterで、各ノードに1つのパブリック・インタフェースと1つのプライベート・インタフェースがある2ノードのクラスタの場合に、3つのIPアドレスのいずれかに解決されるSCANドメイン・アドレスがDNSに定義してあるとすると、ネットワーク・インタフェースには、次の表に示す構成が考えられます。

表4-2 手動によるネットワークの構成例

ID ホーム・ノード ホスト・ノード 指定された名前 種類 アドレス アドレスの割当て元 解決方法

ノード1パブリック

ノード1

node1

node1脚注 2脚注 2

パブリック

192.0.2.101

固定

DNS

ノード1 VIP

ノード1

Oracle Clusterwareにより選択

node1-vip

仮想

192.0.2.104

固定

DNS、hostsファイル

ノード1プライベート

ノード1

node1

node1-priv

プライベート

192.168.0.1

固定

DNS、hostsファイル、またはなし

ノード2パブリック

ノード2

node2

node2脚注 2

パブリック

192.0.2.102

固定

DNS

ノード2 VIP

ノード2

Oracle Clusterwareにより選択

node2-vip

仮想

192.0.2.105

固定

DNS、hostsファイル

ノード2プライベート

ノード2

node2

node2-priv

プライベート

192.168.0.2

固定

DNS、hostsファイル、またはなし

SCAN VIP 1

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan

仮想

192.0.2.201

固定

DNS

SCAN VIP 2

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan

仮想

192.0.2.202

固定

DNS

SCAN VIP 3

なし

Oracle Clusterwareにより選択

mycluster-scan

仮想

192.0.2.203

固定

DNS

脚注 2 ノード・ホスト名が、複数のアドレスに解決される場合があります。

インターコネクト用にプライベート名を指定する必要はありません。インターコネクト用に名前解決が必要な場合は、システムのhostsファイルかDNSでプライベートIP名を構成できます。ただしOracle Clusterwareでは、インストール中にプライベート・インタフェースとして定義されたインタフェース(Local Area Connection 2など)と、プライベート・サブネットに使用されるサブネットに、インターコネクト・アドレスが割り当てられます。

SCANが解決されるアドレスはOracle Clusterwareによって割り当てられるため、特定のノードには固定されません。VIPのフェイルオーバーが有効になるように、前述の表で示した構成では、SCANアドレスと、両方のノードのパブリック・アドレスおよびVIPアドレスが同一のサブネット(192.0.2)上に定義されています。

注意:

すべてのホスト名はInternet Engineering Task Force RFC 952標準(英数字を許可)に準拠している必要があります。ホスト名にアンダースコア(_)は使用できません。

4.3 ネットワーク・アダプタの意図した使用方法

インストール時に、Oracle Universal Installer(OUI)がクラスタ・ノードで検出するネットワーク・アダプタ(ネットワーク・インタフェース)ごとに計画された使用方法を指定するように求められます。

各NICは次の役割のいずれかのみを実行します。

  • パブリック

  • プライベート

  • 使用しない

Oracle ClusterwareとOracle RACの両方には、同じプライベート・アダプタを使用する必要があります。選択する正確なネットワーク構成は、構成するクラスタのサイズおよび使用方法と、必要な可用性のレベルによって異なります。ネットワーク・インタフェースは1GbE以上である必要があり、推奨は10GbEです。

他の目的に使用する予定のネットワーク・アダプタ(Oracle以外のネットワーク・ファイル・システム専用のアダプタなど)の場合、そのネットワーク・アダプタがOracle Clusterwareで無視されるように、「使用しない」アダプタとして指定する必要があります。

動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)をOracle RAC用に使用し、このストレージにイーサネットベースのネットワークを介して接続する場合は、NAS I/O用に3つ目のネットワーク・インタフェースが必要です。この場合、3つの別々のインタフェースを使用しないと、負荷によってパフォーマンスと安定性の問題が発生します。

4.4 Oracle Grid Infrastructureが使用するネットワークのブロードキャスト要件

ブロードキャスト通信アドレス解決プロトコル(ARP)は、Oracle Grid Infrastructureで使用するために構成されたすべてのパブリックおよびプライベート・インタフェース全体で適切に動作する必要があります。

ブロードキャスト通信は、パブリックまたはプライベート・インタフェースが使用する、構成済の仮想ローカル・エリア・ネットワーク(VLAN)全体で動作する必要があります。

4.5 Oracle Grid Infrastructureが使用するネットワークのマルチキャスト要件

各クラスタ・メンバー・ノードでは、OracleマルチキャストDNS (mDNS)デーモンがすべてのネットワーク・インタフェースでマルチキャスティングを使用して、クラスタの他のノードと通信します。

マルチキャスティングは、プライベート・インターコネクトで必要です。このため、少なくとも次を対象に、クラスタでマルチキャスティングを有効にする必要があります。

  • プライベート・インターコネクトとして定義されたブロードキャスト・ドメイン全体

  • IPアドレス・サブネット範囲224.0.0.0/24および230.0.1.0/24

ルーター全体でマルチキャスト通信を有効にする必要はありません。