この付録では、ブローカ構成におけるOracleデータベースおよびOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)のアップグレードまたはダウングレードのプロセスを順序立てて説明します。内容は次のとおりです。
Oracle Database 9i リリース2 (9.2)からOracle Database 12c リリース1 (12.1)へのアップグレード
Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gからOracle Database 12c リリース1 (12.1)へのアップグレード
注意:
Oracle Data Guard構成では、すべてのフィジカルおよびスナップショット・スタンバイ・データベースはプライマリ・データベースからパスワード・ファイルのコピーを使用する必要があり、管理権限(SYSDG
、SYSOPER
またはSYSDBA
)が付与または解除されるたびに、あるいは管理権限を持つユーザーのパスワード変更後、このコピーのリフレッシュが必要です。
現在、Oracle Database 10gまたはOracle Database 11g上でOracle Data Guardを実行している場合、ご使用のオペレーティング・システムに適切なOracle Databaseインストール・ドキュメントを使用して、データベース・ソフトウェアをOracle Database 12c リリース1 (12.1)にアップグレードできます。
注意:
Oracle Database 11g リリース2 (11.2)より前は、構成ファイルは最初に作成されたときと同じセクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクにのみ格納するように制限されていました。一般にブローカ構成では1つのセクター・サイズが使用されていたため、これは問題にはなりませんでした。任意のブローカ構成内でセクター・サイズが混在する可能性があるため、ブローカ構成ファイルは、4KB以下であれば、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響をまったく受けないようになりました。
次の手順5のアップグレード・プロセス中に、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響を受けないように構成ファイルが変換されます。
次のDGMGRLコマンドを発行して、ファスト・スタート・フェイルオーバーを無効化します。
DGMGRL> DISABLE FAST_START FAILOVER;
実行しているバージョン10.nまたは11.nのOracle Data Guard Brokerを停止します。
次のDGMGRLコマンドを発行して、Oracle Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を無効化します。
DGMGRL> DISABLE CONFIGURATION;
次のSQL*Plus文を発行してブローカを停止します。
SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=FALSE;
初期化パラメータDG_BROKER_CONFIG_FILE1
およびDG_BROKER_CONFIG_FILE2
で示しているように、現行のブローカ構成ファイルのコピーを作成します。
Oracle DatabaseソフトウェアをOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードします。アップグレード手順については、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。
Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するブローカ構成を管理および監視するには、DGMGRLコマンドライン・インタフェースもアップグレードする必要があります。Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するDGMGRLを使用して、Oracle Database 10gまたはOracle Database 11g上で実行するOracle Data Guardを管理することはできません。
注意:
Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gの既存のDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)で利用できるDGMGRLコマンドライン・インタフェースでサポートされています。
Oracle Database 11gのDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Database 10gによるサポートが保証されていません。
Oracle Database 12c リリース1 (12.1)にアップグレード後、ブローカを起動します。次に例を示します。
次のSQL*Plus文を発行してブローカを起動します。
SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=TRUE;
次のDGMGRLコマンドを発行して、Oracle Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を有効化します。
DGMGRL> ENABLE CONFIGURATION
ブローカがOracle Database 12c リリース1 (12.1)上で起動すると、まずOracle Database 10gおよびOracle Database 11gブローカ構成ファイルが存在するか検出します。それらは、自動的にアップグレードされ、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)で導入された新しいプロパティも含められます。この自動変換は透過的かつ永続的であり、1回のみ実行されます。
注意:
手順5で行われるこの自動アップグレードで、構成ファイルはサポートされている4KBセクター以下のディスク・セクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクに格納されます。
注意:
アップグレード前に起動されたオブザーバは自動的に停止し、アップグレードの完了後は構成を監視できなくなります。Oracle Database 12cバージョンのOracleオブザーバ・ソフトウェアを使用して、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)以上で実行するOracle Databaseを監視する必要があります。
Oracle Data Guard Brokerを使用してOracle Data Guard構成を管理し、ローリング・アップグレード時にその構成を保持する場合は、次の手順を実行する必要があります。
DISABLE CONFIGURATION
コマンドを使用)。ENABLE CONFIGURATION
コマンドを使用)。この手順に従うと、ブローカ構成が維持され、ローリング・アップグレードの完了後にリビルドする必要がありません。
この手順には次の制限事項があります。
ブローカ構成は、ローリング・アップグレードの完了後に有効化する必要があります。構成を有効にする前に、ローリング・アップグレードが完了していることを確認してください。
ブローカ構成は、異なるバージョンのOracleを実行している複数のデータベースをサポートしません。プライマリ・データベースとして同じバージョンのOracleを実行していないスタンバイ・データベースはすべて無効になり、ORA-16673: 「スタンバイ・データベースで異なるOracleバージョンが実行されています」
というエラー・メッセージが表示されます。
ブローカ構成が無効化されている場合、ブローカ構成を有効化できるのは、制御ファイルのロールがプライマリであるデータベースに接続している間だけです(V$DATABASE
ビューのDATABASE_ROLE
列を問い合せて、どれに値PRIMARY
が含まれるかを確認します)。
参照:
ローリング・アップグレードの詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。