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Oracle® Data Guard Broker
12cリリース1 (12.1)
B71305-08
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A Oracle Data Guard Brokerのアップグレードとダウングレード

この付録では、ブローカ構成におけるOracleデータベースおよびOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)のアップグレードまたはダウングレードのプロセスを順序立てて説明します。内容は次のとおりです。

注意:

Oracle Data Guard構成では、すべてのフィジカルおよびスナップショット・スタンバイ・データベースはプライマリ・データベースからパスワード・ファイルのコピーを使用する必要があり、管理権限(SYSDGSYSOPERまたはSYSDBA)が付与または解除されるたびに、あるいは管理権限を持つユーザーのパスワード変更後、このコピーのリフレッシュが必要です。

A.1 Oracle Database 9i リリース2 (9.2)からOracle Database 12c リリース1 12.1へのアップグレード

現在、Oracle Database 9i リリース2 (9.2)でブローカ構成を実行している場合、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)をアップグレードして、次のようにブローカ構成を再作成する必要があります。

  1. Oracle Database 9i リリース2 (9.2)ブローカ構成を削除します。たとえば、DGMGRL REMOVE CONFIGURATIONコマンドを使用できます。削除を実行するには、Oracle Database 9i リリース2 (9.2)上で実行するOracle Data Guard ManagerまたはDGMGRLを使用する必要があります。
  2. DGMGRLを使用している場合は、ALTER SYSTEM SET LOG_ARCHIVE_DEST_n=" " SQL*Plusコマンドを使用して、LOG_ARCHIVE_DEST_n初期化パラメータの設定をクリアします。
  3. データベース・ソフトウェアをOracle Database 12c リリース1 (12.1)にアップグレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。
  4. Oracle Database 9i リリース2 (9.2)上で実行するOracle Enterprise ManagerおよびOracle Data Guard Managerは、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するブローカ構成を管理できません。

    参照:

    My Oracle Supportノート787461.1 (http://support.oracle.com)に記載の、様々なOracle DatabaseリリースにおいてOracle Data Guardの全機能を管理するために必要なEnterprise Manager Cloud Control (旧称Grid Control)のバージョンに関する情報

  5. Oracle Database 9i リリース2 (9.2)で実行するDGMGRLを使用する場合、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)で実行するDGMGRLにアップグレードする必要があります。
    • Oracle Database 9i リリース2 (9.2)上で実行するDGMGRLは、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するOracle Data Guardと互換性はありません。

    • Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するDGMGRLは、Oracle Database 9i リリース2 (9.2)上で実行するOracle Data Guardと互換性はありません。

      注意:

      Oracle Database 12cのコマンドライン・スクリプトは、Oracle9iではサポートされません。

  6. Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成します。

A.2 Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gからOracle Database 12c リリース1 (12.1)へのアップグレード

現在、Oracle Database 10gまたはOracle Database 11g上でOracle Data Guardを実行している場合、ご使用のオペレーティング・システムに適切なOracle Databaseインストール・ドキュメントを使用して、データベース・ソフトウェアをOracle Database 12c リリース1 (12.1)にアップグレードできます。

注意:

Oracle Database 11g リリース2 (11.2)より前は、構成ファイルは最初に作成されたときと同じセクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクにのみ格納するように制限されていました。一般にブローカ構成では1つのセクター・サイズが使用されていたため、これは問題にはなりませんでした。任意のブローカ構成内でセクター・サイズが混在する可能性があるため、ブローカ構成ファイルは、4KB以下であれば、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響をまったく受けないようになりました。

次の手順5のアップグレード・プロセス中に、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響を受けないように構成ファイルが変換されます。

  1. 次のDGMGRLコマンドを発行して、ファスト・スタート・フェイルオーバーを無効化します。

    DGMGRL> DISABLE FAST_START FAILOVER;
    
  2. 実行しているバージョン10.nまたは11.nのOracle Data Guard Brokerを停止します。

    1. 次のDGMGRLコマンドを発行して、Oracle Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を無効化します。

      DGMGRL> DISABLE CONFIGURATION;
      
    2. 次のSQL*Plus文を発行してブローカを停止します。

      SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=FALSE;
      
  3. 初期化パラメータDG_BROKER_CONFIG_FILE1およびDG_BROKER_CONFIG_FILE2で示しているように、現行のブローカ構成ファイルのコピーを作成します。

  4. Oracle DatabaseソフトウェアをOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードします。アップグレード手順については、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。

    Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するブローカ構成を管理および監視するには、DGMGRLコマンドライン・インタフェースもアップグレードする必要があります。Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するDGMGRLを使用して、Oracle Database 10gまたはOracle Database 11g上で実行するOracle Data Guardを管理することはできません。

    注意:

    Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gの既存のDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)で利用できるDGMGRLコマンドライン・インタフェースでサポートされています。

    Oracle Database 11gのDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Database 10gによるサポートが保証されていません。

  5. Oracle Database 12c リリース1 (12.1)にアップグレード後、ブローカを起動します。次に例を示します。

    1. 次のSQL*Plus文を発行してブローカを起動します。

      SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=TRUE;
      
    2. 次のDGMGRLコマンドを発行して、Oracle Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を有効化します。

      DGMGRL> ENABLE CONFIGURATION
      

    ブローカがOracle Database 12c リリース1 (12.1)上で起動すると、まずOracle Database 10gおよびOracle Database 11gブローカ構成ファイルが存在するか検出します。それらは、自動的にアップグレードされ、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)で導入された新しいプロパティも含められます。この自動変換は透過的かつ永続的であり、1回のみ実行されます。

    注意:

    手順5で行われるこの自動アップグレードで、構成ファイルはサポートされている4KBセクター以下のディスク・セクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクに格納されます。

注意:

アップグレード前に起動されたオブザーバは自動的に停止し、アップグレードの完了後は構成を監視できなくなります。Oracle Database 12cバージョンのOracleオブザーバ・ソフトウェアを使用して、Oracle Database 12c リリース1 (12.1)以上で実行するOracle Databaseを監視する必要があります。

A.3 Oracle Database 12c リリース1 (12.1)へのダウングレード

Oracle Database 12c リリース1 (12.1)へのアップグレードを完了していて、以前のリリースにダウングレードする場合は、次の手順でデータベース・リリースをダウングレードし、ブローカ構成を再作成する必要があります。

  1. Oracle Database 12c リリース1 (12.1)上で実行するEnterprise ManagerまたはDGMGRLを使用してOracle Database 12c リリース1 (12.1)ブローカ構成を削除します。たとえば、DGMGRL REMOVE CONFIGURATIONコマンドを使用できます。
  2. Oracle Databaseソフトウェアを以前のOracleリリースにダウングレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseのマニュアルを参照してください。
  3. Oracle Data Guard BrokerをOracle Database 10gまたはOracle Database 11gにダウングレードするには、次のようにします。
    • Oracle Database 12cリリース1 (12.1)へのアップグレード後にブローカ構成に変更を加えていないことが明白である場合、アップグレード手順で作成したブローカ構成ファイルをコピーできます(「Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gからOracle Database 12c リリース1 (12.1)へのアップグレード」を参照)。続いて、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、そのコピーの作成時点で存在したとおりにブローカ構成を再度有効化します。

    • あるいは、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成できます。

  4. Oracle Data Guard BrokerをOracle Database 9i リリース2 (9.2)にダウングレードするには、次のようにします。
    • Oracle Enterprise Managerを使用していた場合、Oracle Database 10g リリース2 (10.2)上で実行するOracle Enterprise Managerを継続して使用し、Oracle Database 9i リリース2 (9.2)ブローカ構成を管理できます。また、Oracle Database 9i リリース2 (9.2) Enterprise Managerを再インストールして、Oracle Data Guard Managerにダウングレードすることもできます。

    • Enterprise Manager、Oracle Data Guard ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成します。

A.4 ローリング・アップグレード時のブローカ構成の維持

Oracle Data Guard Brokerを使用してOracle Data Guard構成を管理し、ローリング・アップグレード時にその構成を保持する場合は、次の手順を実行する必要があります。

  1. ブローカ構成を無効化します(DGMGRL DISABLE CONFIGURATIONコマンドを使用)。
  2. ローリング・アップグレードを実行します。
  3. 現在のプライマリ・データベース(制御ファイルのロールがPRIMARYであるデータベース)に接続して、ブローカ構成を再有効化します(DGMGRL ENABLE CONFIGURATIONコマンドを使用)。

この手順に従うと、ブローカ構成が維持され、ローリング・アップグレードの完了後にリビルドする必要がありません。

この手順には次の制限事項があります。

  • ブローカ構成は、ローリング・アップグレードの完了後に有効化する必要があります。構成を有効にする前に、ローリング・アップグレードが完了していることを確認してください。

  • ブローカ構成は、異なるバージョンのOracleを実行している複数のデータベースをサポートしません。プライマリ・データベースとして同じバージョンのOracleを実行していないスタンバイ・データベースはすべて無効になり、ORA-16673: 「スタンバイ・データベースで異なるOracleバージョンが実行されています」というエラー・メッセージが表示されます。

  • ブローカ構成が無効化されている場合、ブローカ構成を有効化できるのは、制御ファイルのロールがプライマリであるデータベースに接続している間だけです(V$DATABASEビューのDATABASE_ROLE列を問い合せて、どれに値PRIMARYが含まれるかを確認します)。

参照:

  • ローリング・アップグレードの詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。