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Oracle® Database高可用性ベスト・プラクティス
12cリリース1 (12.1)
E57730-02
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9 Oracle GoldenGateの構成

Oracle GoldenGateは、影響の少ない、リアルタイム・データの取得、分散および配信を同機種システムおよび異機種システムの両方で実現します。Oracle GoldenGateでは、費用効果的かつ影響の少ないリアルタイムのデータ統合と可用性を継続させるソリューションが、幅広いユースケースに対して可能です。Oracle GoldenGateではOracleテクノロジおよびアプリケーションとの緊密な統合、追加的な異機種システムのサポート、およびパフォーマンスの向上が提供されます。

この章には、次の項目が含まれます。

9.1 Oracle GoldenGateの概要

Oracle GoldenGateはソース・データベースのオンラインREDOログ・ファイルからREDOレコードを読み取り、このレコードをプラットフォーム非準拠の追跡ファイル形式に変換して、追跡ファイルをターゲット・データベースに転送することで、プライマリ・データベースの変更を捕捉します。Oracle GoldenGateは追跡ファイルをSQLに変換し、SQLをターゲット・データベースに適用することで、論理レプリカを保持します。ターゲット・データベースは同期の発生中、読取り/書込みに対してオープンです。その他のOracle GoldenGate情報は、次のサイトを参照してください。

http://www.oracle.com/us/products/middleware/data-integration/goldengate/resources/index.html

Oracle GoldenGateの使用が適しているのは、その他のMAA機能では対応できない高度な要件にその柔軟性を生かせるような場合です。Oracle GoldenGateはMAAアーキテクチャにおける重要な要素で、次のような目的に有効です。

  • データ可用性とパフォーマンス平準化に使用されるアクティブ/アクティブなマルチマスター構成。前述の構成に対する重要な考慮事項である、競合の回避、または競合を検出および解決するプロセスの実装のどちらかによって、更新の競合を管理する機能。

  • レポーティング・インスタンスへの読取り/書込みアクセスが必要な場合の、操作レポーティングのオフロード。

  • 次のような計画メンテナンス・タスクのための、ゼロに近い停止時間(一方向レプリケーション)または停止時間ゼロ(双方向レプリケーション)。

    • データベースのアップグレード

    • バックエンド・データベース・オブジェクトを変更するアプリケーションのアップグレード(旧バージョンと新バージョンをマップするための変換をユーザーが実装する必要があります)。

    • データベースの統合

    • データベースおよびプラットフォームの移行

9.1.1 Oracle GoldenGateおよびOracle RAC

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)では、相互接続された複数のインスタンス間で、Oracle Databaseへのアクセスを共有できます。Oracle RAC環境では、Oracle Databaseは単一の共有データベースに同時にアクセスしながら、クラスタ内の2つ以上のシステム上で稼働します。その結果、複数のハードウェア・システムにまたがる単一データベース・システムとなり、Oracle RACではクラスタ内での障害時に高可用性と冗長性を提供できます。Oracle GoldenGateは、クラスタ・ノード障害時に、動作可能なノードでGoldenGateが自動的に再起動するように、Oracle Grid Infrastructureエージェントを使用してOracle RACおよびOracle Cluster Ready Services (CRS)と統合されています。


関連項目:


9.1.2 Oracle GoldenGateとOracle Data Guard/Oracle Active Data Guard

Oracle GoldenGateはOracleの戦略的ロジカル・レプリケーション製品です。Oracle Data Guardは、データ保護およびデータ可用性に重点を置いたOracleの戦略的フィジカル・レプリケーション製品で、ロジカル・レプリケーションを上回るメリットを提供することから、対象となる目的における標準のMAA推奨製品です。Oracle Data Guardは、障害保護のためのストレージ・リモート・ミラー化またはホスト・ベース・ミラー化ソリューションのかわりとしてもよく使用されています。Oracle Data Guardではデータベースのローリング・アップグレード、移行の選択(たとえば、WindowsからLinux)、データ・センターの移動、およびその他のタイプの計画メンテナンスをサポートしているため、計画済停止時間を最小限に抑えることもできます。Oracle Active Data GuardはOracle Data Guardの拡張機能で、読取り専用ワークロードおよびバックアップをオフロードするために、ソース・データベースの同期化されたフィジカル・レプリカを読取り専用にオープンするのを維持しておく、最もシンプルかつ高速で効率的なメソッドです。データ保護のためのData Guardの利点の詳細は、次のWebサイトでGoldenGateリンクから製品の技術資料『Oracle Active Data GuardとOracle GoldenGate』を参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/index.html

Oracle GoldenGateはData Guard構成で相補的に使用されることがほとんどです。Oracle GoldenGateは、Oracle Grid Infrastructureエージェントを使用してData Guardと統合されているため、Data Guardのロール移行(スイッチオーバーまたはフェイルオーバー)時、GoldenGateプロセスはプライマリ・データベースで自動的に再起動します。Data Guard保護モードは、MaxAvailability/MaxProtection (データ損失ゼロ)またはMaxPerformance (データ損失)のいずれかにできます。


関連項目:

Oracle Grid Infrastructureエージェントの詳細は、Oracle Grid InfrastructureダウンロードのWebページ(http://www.oracle.com/technetwork/database/database-technologies/clusterware/downloads/index.html)を参照してください。

9.1.3 Oracle GoldenGateとエディションベース再定義

エディションベース再定義はOracle Database内で完全に実装されている機能で、アプリケーションのバックエンドを実装するデータベース・オブジェクトについて、アプリケーションの可用性を妨げることなくパッチ適用またはアップグレードを行うことができます。エディションベース再定義を使用すると、データベースの停止時間はゼロのまま、アプリケーション・アップグレードをオンラインで実装できます。エディションベース再定義にはOracle Database 11gリリース2が必要で、アプリケーションの変更も必要です。アプリケーションは、オンラインでアップグレードできるようにエディション可能にする必要があります。

Oracle GoldenGateはオンライン・アプリケーション・アップグレードにも使用できます。アップグレードを実装するためにアプリケーション自体を変更する必要はありませんが、Oracle GoldenGateを使用してバージョン間のマッピングを実装するために、アプリケーションの新旧のバージョン間の差異に関する十分な知識が管理者には必要です。アプリケーションに対するユーザー制御や、これらのテクノロジの2番目に大きな区分に対するユーザー優先度によって、停止時間ゼロのアプリケーション・アップグレードの実行に適したアプローチが決まります。

これらのテクノロジの2番目に大きな差異は、エディションベース再定義が、通常はアプリケーションをサポートする単一データベースのみを使用することです。Oracle GoldenGateは2番目に同期化されたデータベースを使用してアップグレードを実行します。

  • エディションベース再定義を使用することで、アプリケーションの旧バージョンは旧エディション内に、アプリケーションの新バージョンは新エディション内に存在し、どちらとも同じデータベース内にあります。エディションは分離メカニズムです。アプリケーションの新旧のバージョンで同じように表されるデータは、両方のバージョンで使用される表の列で一度だけ示されます。アプリケーションの2つのバージョンで異なるように表されるデータのみが2回存在する必要があります。したがって同期が必要なのは、2つのバージョン間で異なる、総データ中の通常はわずかな割合のみです。クロス・エディションはトランザクション内でトリガーされ、新旧データの潜在的な競合はコミットされる前に防止されるため、競合解決の必要性はありません。

  • Oracle GoldenGateを使用することで、アプリケーションの旧バージョンは元のデータベースで稼働し、アプリケーションの新バージョンは2番目のデータベースで稼働します。2番目のデータベースは分離メカニズムです。すべてのデータ、つまり、アプリケーションの新旧のバージョンで同じように表されるデータと、アプリケーションの2つのバージョンで異なるように表されるデータの両方が2回存在する必要があります。したがって、同期はすべてのデータに対して必要です。同期は、REDOログのマイニングによって構築されるSQLのリプレイ・メカニズムに介入するコードを使用して、実装されます。したがって、これはトランザクション不可であり、新旧のデータ間の競合を防ぐことはできません。正確に言えば、競合解決を明示的な処理後の手順として実装することが必要です。

9.2 Oracle GoldenGateの構成ベスト・プラクティス

GoldenGateプロセスの停止時間によって起こった待機時間の増加を減らすために、GoldenGate Extract、Data pumpおよびReplicatの最適なパフォーマンスおよび高可用性を構成する次のようないくつかのベスト・プラクティスがあります。

9.2.1 Oracle GoldenGate Integrated ExtractおよびIntegrated Replicat

Oracle GoldenGateリリース12.1.2では、Replicatは統合モードで動作できるようになり、Oracleターゲット環境でのスケーラビリティが向上しました。Oracleデータベース内の適用処理機能は、正しい順序で操作が適用されるように参照整合性およびデータ記述言語(DDL)を自動で処理するために利用されます。Extractも、Oracle GoldenGateリリース11.2.1で導入された統合キャプチャ・モードでOracleデータベースとともに使用できます。ExtractはOracleデータベース・ログ・マイニング・サーバーと統合され、データベースから論理変更レコード(LCR)形式で変更データを受信します。ローカルまたはダウンストリームのマイニング・データベースから取得するようにExtractを構成できます。統合キャプチャはデータベースと完全統合されているため、Oracle RAC、Oracle ASM、TDEおよびデータ圧縮を使用するための追加設定が不要で、パフォーマンスを犠牲にすることなく設定が大幅に簡略化されます。

Oracle GoldenGateの最新バージョンは、My Oracle Supportの「パッチと更新版」からダウンロードできます。

Integrated Extractを使用するには、リリース11.2.0.3以降のデータベースを使用する必要があります。11.2.0.3に必要な個別のパッチ番号は、My Oracle Supportノート1557031.1を参照してください。また、統合キャプチャ・モードのExtractは、11.2.0.3以降のマイニング・データベースを使用しているダウンストリーム・マイニングで10.2.0.4以降のOracleバージョンからの変更の取得にも使用できます。

Integrated Replicatを使用するには、リリース11.2.0.4以降のデータベースを使用します。

9.2.2 クラスタ化ファイル・システムの使用

クラスタ化ファイル・システムの使用は、ノード障害時にOracle GoldenGateのチェックポイント・ファイルおよび追跡ファイルの可用性を継続させるために不可欠です。障害発生後、Extractプロセスが最後に認識されたアーカイブREDOログ・ファイルの位置からマイニングを継続し、Replicatプロセスが障害発生前の同じ追跡ファイルの位置からの適用を開始できるようにするため、チェックポイント・ファイルの可用性の確保は不可欠です。Oracle Database Filesystem (DBFS)またはOracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)の使用によって、動作可能なデータベースまたはASMインスタンスを、Extractプロセスのソース、またはReplicatプロセスの宛先として使用できます。

Oracle GoldenGateとともに使用するため、DBFSまたはOracle ACFSを構成するためのベスト・プラクティスは、次の各参考資料に記載されています。


注意:

次のドキュメントに記載されているベスト・プラクティスは、Oracle Exadata Database Machineなどのすべてのサポート対象Oracle GoldenGateプラットフォームに適用されます。


関連項目:

DBFS構成の推奨事項は、MAAホワイト・ペーパーの『Oracle Exadata Database MachineでのOracle GoldenGateの構成』(http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/maa-wp-gg-oracledbm-128760.pdf)および『Oracle Real Application ClustersとのOracle GoldenGateの構成』(http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/maa-goldengate-rac-2007111.pdf)を参照してください。

9.3 Oracle GoldenGateの運用ベスト・プラクティス

Oracle GoldenGateの管理および運用のベスト・プラクティスの詳細は、次のドキュメントを参照してください。