この章では、Oracle Application Expressのインストールの概要を示し、インストール前に考慮する問題について説明します。
インストール・プロセスには次のステップが含まれます。
インストールの計画: Oracle Application Expressのインストールに必要なステップの概要については、この章を参照してください。計画フェーズでは、完全開発環境とランタイム環境のいずれをインストールするかを決定する必要もあります。
完全開発環境では、アプリケーションを開発するためにアプリケーション・ビルダー環境に完全にアクセスできます。変更できないアプリケーションを実行する本番実装に対しては、ランタイム環境を選択することをお薦めします。詳細は、「Oracle Application Expressランタイム環境について」を参照してください。
インストール要件の確認: ソフトウェアをインストールするために満たす必要がある最小のシステム要件については、「Oracle Application Expressのインストールの要件」を参照してください。
ソフトウェアのインストール: 必要なインストール・ステップは、使用するWebリスナーによって異なります。使用可能なオプションには、Oracle REST Data Services、埋込みPL/SQLゲートウェイまたはOracle HTTP Serverとmod_plsql
があります。
Oracle Application Expressのインストール方法。使用可能なオプションにはOracle Database 12c以上とともにインストールされるOracle Application Expressのリリースの使用が含まれます。
使用するWebリスナー。使用可能なオプションには、Oracle REST Data Services、埋込みPL/SQLゲートウェイまたはOracle HTTP Serverとmod_plsql
があります。
リリース1.5.x、1.6.x、2.0.x、2.2.x、3.0.x、3.1.x、3.2.x、4.0xまたは4.1xのOracle Application Expressをご使用の場合は、このマニュアルに記載されているどのインストール例に従っても、Oracle Application Expressインスタンスがリリース4.2にアップグレードされ、新しいスキーマにOracle Application Expressリリース4.2のデータベース・オブジェクトが作成され、アプリケーションのメタデータが新しいリリースに移行されます。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)には、Oracle Application Expressリリース4.2.0.00.08が含まれています。一方、Oracle Technology Networkからダウンロードできる最新バージョンはOracle Application Expressリリース4.2.2.00.11です。非コンテナ・データベースをデプロイする場合、使用可能な最新のリリースにアップグレードすることをお薦めします。Application Expressの将来のパッチまたはメジャー・リリースで、コンテナ・データベースのアップグレードまたはパッチ適用を行うための適切なスクリプトが提供されます。
Oracle Application Expressでは、テストおよび本番インスタンス用にOracle Application Expressのランタイム・バージョンのみをインストールする機能がサポートされています。このランタイム環境により、インストールするフットプリントと権限を最小限に抑えることができます。また、ランタイム・インスタンスでは開発者が本番アプリケーションを不注意で更新することが避けられるため、アプリケーションのセキュリティが向上します。
Oracle Application Expressランタイム環境では、本番アプリケーションは実行できますが、管理用のWebインタフェースは提供されません。ランタイム環境に含まれるのは、アプリケーションの実行に必要なパッケージのみです。このため、ランタイム環境はより堅牢な環境となります。Oracle Application Expressランタイム環境は、SQL*PlusまたはSQL DeveloperおよびAPEX_INSTANCE_ADMIN
APIを使用して管理します。詳細は、『Oracle Application Expressアプリケーション・ビルダー・ユーザーズ・ガイド』のランタイム環境の管理に関する項を参照してください。
既存のインスタンスに対して開発者インタフェースの削除または追加を行うスクリプトが提供されます。詳細は、「データベースからのインストール時の構成タスク」を参照してください。
実行するためには、Oracle Application ExpressにOracle REST Data Services、Oracle HTTP Serverおよびmod_plsql
または埋込みPL/SQLゲートウェイへのアクセス権が必要です。
最適なWebリスナーの選択の詳細は、次のURLにあるOracle Technology Network (OTN)の「Oracle Application Express Deployment」ページを参照してください。
Oracle REST Data Servicesは直接Oracle Application Expressエンジンと通信します。Oracle HTTP Serverは、mod_plsql
プラグインを使用してOracle Database内のOracle Application Expressエンジンと通信します。Oracle REST Data ServicesおよびOracle HTTP Serverは、WebサーバーとOracle Database内のOracle Application Expressオブジェクト間の通信ブローカとして機能します。具体的には、ブラウザ・リクエストを、SQL*Net
接続経由でデータベースのストアド・プロシージャ・コールにマップします。次の図に、Oracle REST Data Servicesを使用するOracle Application Expressアーキテクチャを示します。
この3層のアーキテクチャは、次のコンポーネントで構成されます。
Webブラウザ
Oracle REST Data ServicesまたはOracle HTTP Serverとmod_plsql
Oracle Application Expressを含むOracle Database
Oracle REST Data ServicesまたはOracle HTTP Server(Apache)とmod_plsql
の主な利点は、中間層とデータベース層を分離できることです。このアーキテクチャは、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境に適しています。
Oracle HTTP ServerまたはOracle Application Server構成では、imagesはファイル・システム上の別名/i/
で参照される場所に格納されています。以前のリリースからOracle Application Expressをアップグレードする場合は、次のファイルを確認してテキスト別名/i/
を検索することで、ファイル・システム上でimagesディレクトリを特定できます。
Oracle Database 11gリリース1 (11.1)以上で配布されたOracle HTTP Serverの場合: dads.conf
ファイルを参照してください。
Oracle Application Server 10gの場合: marvel.conf
ファイルを確認します。
テキスト別名/i/
の検索の具体例については、「データベースからのインストール時の構成タスク」を参照してください。
Oracle XML DBプロトコル・サーバーおよび埋込みPL/SQLゲートウェイは、Oracle Databaseとともにインストールされます。Webサーバーを使用したOracle Database、さらに動的なアプリケーションの作成に必要なインフラストラクチャを利用できます。埋込みPL/SQLゲートウェイは、Oracle DatabaseのOracle XML DBプロトコル・サーバーで実行され、mod_plsql
のコア機能を含みます。次の図に、埋込みPL/SQLゲートウェイを使用するOracle Application Expressアーキテクチャを示します。
前述の図に示すとおり、埋込みPL/SQLゲートウェイは、WebブラウザおよびOracle Database(埋込みPL/SQLゲートウェイとOracle Application Expressを含む)の単純な2層アーキテクチャで構成されます。
埋込みPL/SQLゲートウェイの利点は次のとおりです。
構成が容易
データベースに含まれている
別のサーバーをインストールする必要がない
Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境でOracle Application Expressを実行する場合、Oracle REST Data ServicesまたはOracle HTTP Serverとmod_plsql
を使用することをお薦めします。Oracle REST Data ServicesまたはOracle HTTP Serverとmod_plsql
では、1つのHTTP Serverがすべてのノードにアクセスできるように、サーバー名形式で接続を指定することができます。
Oracle RAC環境には埋込みPL/SQLゲートウェイ・オプションを選択しないことをお薦めします。埋込みPL/SQLゲートウェイではデータベース・インスタンスに組み込まれたHTTPサーバーを使用するため、Oracle RAC共有アーキテクチャを活用できません。
Oracle Application Expressのインストール方法は、使用するWebリスナーによって異なります。このセクションでは、各インストール例の概要について説明します。
Oracle Database 12c以上とともにインストールされるOracle Application Expressのリリースを使用し、Oracle REST Data Servicesを構成する場合は、この例のステップに従います。この例の必要なインストール・ステップは次のとおりです。
Oracle Database 12c以上とともにインストールされるOracle Application Expressのリリースを使用し、埋込みPL/SQLゲートウェイを構成する場合は、この例のステップに従います。この例の必要なインストール・ステップは次のとおりです。
ステップ2: 埋込みPL/SQLゲートウェイの構成
ステップ4: セキュリティ上の考慮事項
ステップ6: JOB_QUEUE_PROCESSESの管理について
ステップ7: SHARED_SERVERSパラメータの構成
Oracle Database 12c以上とともにインストールされるOracle Application Expressのリリースを使用し、Oracle Database 12c以上で配布されるOracle HTTP Serverおよびmod_plsql
を構成する場合は、この例のステップに従います。この例の必要なインストール・ステップは次のとおりです。
ステップ4: セキュリティ上の考慮事項
ステップ6: JOB_QUEUE_PROCESSESの管理について