OCIを使用して、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseおよびOracle TimesTen Application-Tier Database Cacheにアクセスできます。Times TenでのOracle Call Interfaceサポートの詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database C開発者ガイド』を参照してください。
トピック
この項では、「連続問合せ通知について」のトピックを説明します。
連続問合せ通知(CQN)を使用すると、クライアント・アプリケーションがデータベースに問合せを登録し、オブジェクトでのDMLまたはDDL変更に応じて、あるいは問合せに関連付けられた結果セット変更に応じて通知を受信できます。通知は、DMLまたはDDLトランザクションがコミットされるときにデータベースによってパブリッシュされます。
登録時に、アプリケーションは通知ハンドラを指定し、登録する一連の問合せを通知ハンドラに関連付けます。通知ハンドラは、サーバー側のPL/SQLプロシージャでも、クライアント側のC言語のコールバックでもかまいません。登録は、オブジェクト・レベルまたは問合せレベルで作成されます。登録がオブジェクト・レベルにある場合、トランザクションで登録済オブジェクトのいずれかが変更されてコミットされると常に、通知ハンドラが起動されます。登録が問合せレベルにある場合、トランザクションで問合せの結果セットが変わるような変更内容がコミットされると常に、通知ハンドラが起動されますが、変更内容が問合せの結果セットに影響しない場合、通知ハンドラは起動されません。
関連項目:
この機能の概念や、OCIおよびPL/SQLインタフェースを使用したCQN登録の作成の詳細は、『Oracle Database開発ガイド』の連続問合せ通知の使用に関する項を参照してください。
連続問合せ通知の用途の1つは、データをキャッシュし、そのキャッシュをバックエンド・データベースのためにできるだけ最新の状態で維持する必要がある中間層アプリケーションでの使用です。
通知には次の情報が含まれます。
結果セットが変更された問合せの問合せID。これは、登録が問合せの細分化レベルにあった場合です。
変更されたオブジェクトの名前または変更された行。
操作タイプ(INSERT
、UPDATE
、DELETE
、ALTER
TABLE
、DROP
TABLE
)。
変更された行のROWID
と関連するDML操作(INSERT
、UPDATE
、DELETE
)。
グローバル・データベース・イベント(STARTUP
、SHUTDOWN
)。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)では、データベースは最初のインスタンスの起動時または最後のインスタンスの停止時に通知を送信します。
データベースの起動および停止に関するトピックについて説明します。
OCI関数OCIDBStartup()
およびOCIDBShutdown()
には、Oracle Databaseを起動および停止するために最小限必要なインタフェースが用意されています。
C言語のプログラムから、OCIDBStartup()
をコールする前に、サーバーに接続し、事前認証モードでSYSDBA
またはSYSOPER
セッションを開始する必要があります。インスタンスが起動していない場合はこのモードのみを使用でき、インスタンスを起動するためにのみ使用されます。OCIDBStartup()
をコールすると、データベースをマウントまたはオープンせずに1つのサーバー・インスタンスが起動します。データベースをマウントまたはオープンするには、事前認証セッションを終了し、通常のSYSDBA
またはSYSOPER
セッションを開始し、適切なALTER
DATABASE
文を実行します。
データベースを停止するには、アクティブなSYSDBA
またはSYSOPER
セッションが必要です。OCI_DBSHUTDOWN_ABORT
以外のすべてのモードにおいて、OCIDBShutdown()
に2つのコールを実行します。1つめのコールは、データベースへのこれ以上の接続を禁止することにより停止を開始し、次に適切なALTER
DATABASE
コマンドによりデータベースをディスマウントして閉じるためのもので、もう1つのコールは、インスタンスを停止することにより停止を終了させるためのものです。特別な環境においては、データベースをできるかぎり迅速に停止させるために、OCIDBShutdown()
をOCI_DBSHUTDOWN_ABORT
モードでコールしますが、これはSQL*PlusでのSHUTDOWN
ABORT
に相当します。
これらの関数は両方とも、サーバーに対する専用接続を必要とします。ディスパッチャを介して共有サーバーに接続されている場合、データベースを起動または停止しようとすると、ORA-106
が発生します。
OCIAdmin
管理ハンドルCデータ型を使用して、インタフェースを拡張可能にします。OCIAdmin
は、ハンドル・タイプOCI_HTYPE_ADMIN
に関連付けられています。OCIAdmin
パラメータadmhp
に値を渡すかどうかは、OCIDBStartup()
ではオプションで選択できますが、OCIDBShutdown()
では不要です。
起動するには、SYSOPER
またはSYSDBA
としてOCI_PRELIM_AUTH
モードでデータベースに接続する必要があります。ディスパッチャを介して共有サーバーには接続できません。
クライアント側のパラメータ・ファイル(pfile
)を使用するには、OCIAttrSet()
を使用して管理ハンドルで属性OCI_ATTR_ADMIN_PFILE
を設定する必要があります。設定しない場合、サーバー側のパラメータ・ファイル(spfile
)が使用されます。後者の場合は、(OCIAdmin *)0
を渡します。OCIDBStartup()
のコールにより、サーバー上で1つのインスタンスが起動します。
例10-1では、管理ハンドルで設定され、データベース起動操作を実行する、クライアント側のパラメータ・ファイル(pfile
)を使用するサンプル・コードを示しています。
停止するには、SYSOPER
またはSYSDBA
としてデータベースに接続する必要があります。ディスパッチャを介して共有サーバーには接続できません。OCI_DBSHUTDOWN_ABORT
以外のモードで停止する場合、次の手順を使用します。
OCIDBShutdown()
をOCI_DEFAULT
、OCI_DBSHUTDOWN_TRANSACTIONAL
、OCI_DBSHUTDOWN_TRANSACTIONAL_LOCAL
またはOCI_DBSHUTDOWN_IMMEDIATE
モードでコールし、これ以上の接続を禁止します。ALTER
DATABASE
コマンドを使用し、データベースをクローズしてディスマウントします。OCIDBShutdown()
をOCI_DBSHUTDOWN_FINAL
モードでコールし、インスタンスを停止します。例10-1 データベースの起動操作を実行するOCIDBStartup()のコール
... /* Example 0 - Startup: */ OCIAdmin *admhp; text *mount_stmt = (text *)"ALTER DATABASE MOUNT"; text *open_stmt = (text *)"ALTER DATABASE OPEN"; text *pfile = (text *)"/ade/viewname/oracle/work/t_init1.ora"; /* Start the authentication session */ checkerr(errhp, OCISessionBegin (svchp, errhp, usrhp, OCI_CRED_RDBMS, OCI_SYSDBA|OCI_PRELIM_AUTH)); /* Allocate admin handle for OCIDBStartup */ checkerr(errhp, OCIHandleAlloc((void *) envhp, (void **) &admhp, (ub4) OCI_HTYPE_ADMIN, (size_t) 0, (void **) 0)); /* Set attribute pfile in the admin handle (do not do this if you want to use the spfile) */ checkerr (errhp, OCIAttrSet( (void *) admhp, (ub4) OCI_HTYPE_ADMIN, (void *) pfile, (ub4) strlen(pfile), (ub4) OCI_ATTR_ADMIN_PFILE, (OCIError *) errhp)); /* Start up in NOMOUNT mode */ checkerr(errhp, OCIDBStartup(svchp, errhp, admhp, OCI_DEFAULT, 0)); checkerr(errhp, OCIHandleFree((void *) admhp, (ub4) OCI_HTYPE_ADMIN)); /* End the authentication session */ OCISessionEnd(svchp, errhp, usrhp, (ub4)OCI_DEFAULT); /* Start the sysdba session */ checkerr(errhp, OCISessionBegin (svchp, errhp, usrhp, OCI_CRED_RDBMS, OCI_SYSDBA)); /* Mount the database */ checkerr(errhp, OCIStmtPrepare2(svchp, &stmthp, errhp, mount_stmt, (ub4) strlen((char*) mount_stmt), (CONST OraText *) 0, (ub4) 0, (ub4) OCI_NTV_SYNTAX, (ub4) OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtExecute(svchp, stmthp, errhp, (ub4) 1, (ub4)0, (OCISnapshot *) NULL, (OCISnapshot *) NULL, OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtRelease(stmthp, errhp, (OraText *)0, 0, OCI_DEFAULT)); /* Open the database */ checkerr(errhp, OCIStmtPrepare2(svchp, &stmthp, errhp, open_stmt, (ub4) strlen((char*) open_stmt), (CONST OraText *)0, (ub4)0, (ub4) OCI_NTV_SYNTAX, (ub4) OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtExecute(svchp, stmthp, errhp, (ub4) 1, (ub4)0, (OCISnapshot *) NULL, (OCISnapshot *) NULL, OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtRelease(stmthp, errhp, (OraText *)0, 0, OCI_DEFAULT)); /* End the sysdba session */ OCISessionEnd(svchp, errhp, usrhp, (ub4)OCI_DEFAULT); ...
例10-2 OCI_DBSHUTDOWN_FINALモードでのOCIDBShutdown()のコール
/* Example 1 - Orderly shutdown: */ ... text *close_stmt = (text *)"ALTER DATABASE CLOSE NORMAL"; text *dismount_stmt = (text *)"ALTER DATABASE DISMOUNT"; /* Start the sysdba session */ checkerr(errhp, OCISessionBegin (svchp, errhp, usrhp, OCI_CRED_RDBMS, OCI_SYSDBA)); /* Shutdown in the default mode (transactional, transactional-local, immediate would be fine too) */ checkerr(errhp, OCIDBShutdown(svchp, errhp, (OCIAdmin *)0, OCI_DEFAULT)); /* Close the database */ checkerr(errhp, OCIStmtPrepare2(svchp, &stmthp, errhp, close_stmt, (ub4) strlen((char*) close_stmt), (CONST OraText *)0, (ub4)0, (ub4) OCI_NTV_SYNTAX, (ub4) OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtExecute(svchp, stmthp, errhp, (ub4) 1, (ub4)0, (OCISnapshot *) NULL, (OCISnapshot *) NULL, OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtRelease(stmthp, errhp, (OraText *)0, 0, OCI_DEFAULT)); /* Dismount the database */ checkerr(errhp, OCIStmtPrepare2(svchp, &stmthp, errhp, dismount_stmt, (ub4) strlen((char*) dismount_stmt), (CONST OraText *)0, (ub4)0, (ub4) OCI_NTV_SYNTAX, (ub4) OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtExecute(svchp, stmthp, errhp, (ub4) 1, (ub4)0, (OCISnapshot *) NULL, (OCISnapshot *) NULL, OCI_DEFAULT)); checkerr(errhp, OCIStmtRelease(stmthp, errhp, (OraText *)0, 0, OCI_DEFAULT)); /* Final shutdown */ checkerr(errhp, OCIDBShutdown(svchp, errhp, (OCIAdmin *)0, OCI_DBSHUTDOWN_FINAL)); /* End the sysdba session */ checkerr(errhp, OCISessionEnd(svchp, errhp, usrhp, (ub4)OCI_DEFAULT)); ...
例10-3 OCI_DBSHUTDOWN_ABORTモードでのOCIDBShutdown()のコール
/* Example 2 - Shutdown using abort: */ ... /* Start the sysdba session */ ... checkerr(errhp, OCISessionBegin (svchp, errhp, usrhp, OCI_CRED_RDBMS, OCI_SYSDBA)); /* Shutdown in the abort mode */ checkerr(errhp, OCIDBShutdown(svchp, errhp, (OCIAdmin *)0, OCI_DBSHUTDOWN_ABORT)); /* End the sysdba session */ checkerr(errhp, OCISessionEnd(svchp, errhp, usrhp, (ub4)OCI_DEFAULT)); ...
この項では、次の項目について説明します。
ROWID
は、データベース内の行のグローバル一意識別子です。ROWIDは行が表に挿入されるときに作成され、行が削除されると破棄されます。ROWID
値には、重要な用途がいくつかあります。これは、表の各行の一意識別子です。また、1行にアクセスする場合に最も高速な手段であり、表の行の格納方法を示すことができます。
SELECT
...
FOR
UPDATE
文におけるROWID
の暗黙的フェッチとは、ROWID
がselect文で名前付きの列のいずれかではない場合でも、クライアント側で取得されるということです。OCIDefineByPos()
のposition
パラメータは0 (ゼロ)に設定されます。ROWID
疑似列値を取得する場合、次のホスト変数を指定できます。
SQLT_CHR
(VARCHAR2
)
SQLT_VCS
(VARCHAR
)
SQLT_STR
(NULL
文字で終了する文字列)
SQLT_LVC
(LONG
VARCHAR
)
SQLT_AFC
(CHAR
)
SQLT_AVC
(CHARZ
)
SQLT_VST
(OCI文字列)
SQLT_RDD
(ROWID
記述子)
SELECT
...
FOR
UPDATE
文では、更新対象の行を識別し、結果セットの各行をロックします。これは、1行の既存の値に基づいて更新する必要がある場合に役立ちます。その場合は、別のユーザーにより行が変更されないことを確認する必要があります。
ROWID
の値を格納する文字バッファの指定時(SQLT_STR
形式で取得する場合など)には、ROWID
を格納するのに十分なメモリーを割り当てます。ROWID
データ型とUROWID
データ型の違いを覚えておいてください。ROWID
データ型に格納できるのは物理ROWID
のみですが、UROWID
型には論理ROWID
(索引構成表の行の識別子)も格納できます。ROWID
型の最長内部長は10バイトですが、UROWID
データ型の場合は3950バイトです。
動的定義は、OCI_DYNAMIC_FETCH
として設定されたmode
によるOCIDefineByPos()のコールと等価です。動的定義を使用すると、特定の定義ハンドルの属性を追加設定できます。実行時に起動され、取得されるフェッチ済データまたはそのピースを格納するバッファへのポインタを取得する、コールバック関数を指定します。
ROWID
の暗黙的フェッチを使用する前に、文ハンドルで属性OCI_ATTR_FETCH_ROWID
を次のように設定する必要があります。
OCIAttrSet(stmthp, OCI_HTYPE_STMT, 0, 0 , OCI_ATTR_FETCH_ROWID, errhp);
動的定義は、ROWID
の暗黙的フェッチとは互換性がありません。通常のシナリオの場合、このモードのアプリケーションでは1つの列の各行にバッファを提供できます。つまり、1つの列値がフェッチされるたびにコールバックが呼び出されます。
位置0 (ゼロ)についてOCIDefineByPos()を使用するこの機能は、データ配列を一度にユーザー・バッファにフェッチし、その各ROWID
を同時に取得することが目的です。この機能では、ROWID
がSELECT
を使用した問合せの列のいずれかではなくても、SELECT....FOR UPDATE
文によりROWID
のフェッチが可能です。データを1つずつユーザー・バッファにフェッチする場合は、既存のOCI_ATTR_ROWID
属性を使用できます。
この機能を使用してROWID
をフェッチする場合、文ハンドルのOCI_ATTR_ROWID
属性を同時に使用してROWID
を取得することはできません。特定の文ハンドルに対して一度に使用できるのは1つのみです。
例10-4のCプログラムのフラグメントを基礎として使用します。
例10-4 ROWIDの暗黙的フェッチ
#include <oci.h> int main() { ... text *mySql = (text *) "SELECT emp_name FROM emp FOR UPDATE"; text rowid[100][15] = {0}; text empName[100][15] = {0}; ... /* Set up the environment, error handle, etc. */ ... /* Prepare the statement - select ... for update. */ if (OCIStmtPrepare (select_p, errhp, mySql, strlen(mySql), OCI_NTV_SYNTAX, OCI_DEFAULT)) { printf ("Prepare failed \n"); return (OCI_ERROR); } /* Set attribute for implicit fetching of ROWIDs on the statement handle. */ if (OCIAttrSet(select_p, OCI_HTYPE_STMT, 0, 0, OCI_ATTR_FETCH_ROWID, errhp)) { printf ("Unable to set the attribute - OCI_ATTR_FETCH_ROWID \n"); return OCI_ERROR; } /* * Define the positions: 0 for getting ROWIDs and other positions * to fetch other columns. * Also, get the define conversion done implicitly by fetching * the ROWIDs in the string format. */ if (OCIDefineByPos ( select_p, &defnp0, errhp, 0, rowid[0], 15, SQLT_STR, (void *) ind, (void *) 0, (void *) 0, OCI_DEFAULT) || OCIDefineByPos(select_p, &defnp1, errhp, 1, empName[0], 15, SQLT_STR, (void *) 0, (void *) 0, (void *) 0, OCI_DEFAULT) ) { printf ("Failed to define\n"); return (OCI_ERROR); } /* Execute the statement. */ if (errr = OCIStmtExecute(svchp, select_p, errhp, (ub4) 5, (ub4) 0, (OCISnapshot *) NULL, (OCISnapshot *) NULL, (ub4) OCI_DEFAULT)) { if (errr != OCI_NO_DATA) return errr; } printf ("Column 0 \t Column 1\n"); printf ("_________ \t ________\n"); for (i =0 ;i<5 i++) { printf("%s \t %s \n", rowid[i], empName[i]); } return OCI_SUCCESS; }
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)より、PL/SQLで、ストアド・プロシージャおよび無名PL/SQLブロックから暗黙的に結果(カーソル)を戻すことができるようになりました。OCIStmtGetNextResult()
は、暗黙的な結果を取り出し、処理するために提供されています。
例10-5に示すように、PL/SQLはDBMS_SQL
パッケージでサブプログラムRETURN_RESULT
を指定し、実行された文の結果を戻します。現行のリリースでは、SELECT
問合せの結果セットのみ、PL/SQLブロックによって暗黙的に戻すことができます。OCIStmtGetNextResult()
は、通常のOCIの定義およびフェッチ・コールを実行して行が取り出されるOCI文ハンドルを戻します。
例10-6は、暗黙的に結果セット(カーソル)をクライアントに戻すPL/SQLストアド・プロシージャを示しています。
例10-7は、クライアントによって送信される無名PL/SQLブロックを使用した同じアプローチを示しています。この例では、アプリケーションで暗黙的な結果機能を使用して、OCIアプリケーションからのSQL文のバッチを実装する方法を示しています。OCIアプリケーションでは、PL/SQL無名ブロックを動的に形成して、複数で可変のSELECT
文を実行し、DBMS_SQL.RETURN_RESULT
を使用して対応するカーソルを戻すことができます。
例10-8は、OCIStmtGetNextResult()
コールを使用してPL/SQLストアド・プロシージャ(例10-6を参照)または無名PL/SQLブロック(例10-7を参照)で戻される暗黙的な結果を取り出し、処理する方法を示すOCIプログラムです。
OCIStmtGetNextResult()
は、アプリケーションによって反復的にコールされ、実行されたPL/SQL文からの個別の暗黙的な結果を取り出すことができます。アプリケーションでは各結果セットが順次取り出されますが、任意の結果セットから別個に行をフェッチできます。トップレベルのOCI文ハンドルでは、関連付けられているすべての結果セット文ハンドルが追跡されます。トップレベルのOCI文ハンドルを解放すると、すべての暗黙的な結果セットが自動的に閉じられ、解放されます。
属性OCI_ATTR_IMPLICIT_RESULT_COUNT
は、使用可能な暗黙的な結果の数を判断するためにOCI文ハンドルに提供されています。
OCIStmtGetNextResult()
のrtype
パラメータは、結果の型を戻します。このリリースでは、型OCI_RESULT_TYPE_SELECT
のみがサポートされています。SELECT
のResultSetと同様、戻される結果セットの記述メタデータはアクセス可能になります。
注意:
暗黙的な結果をフェッチするために、次のOCIコードを外部プロシージャで使用することもできます。その場合、OCI_PREP2_IMPL_RESULTS_CLIENT
は、モードとしてOCIStmtPrepare2()
コールに渡す必要があります。
例10-5 DBMS_SQL RETURN_RESULTサブプログラム
procedure return_result(rc in out sys_refcursor, to_client in boolean default true); procedure return_result(rc in out integer, to_client in boolean default true);
例10-6 結果セット(カーソル)をクライアントに暗黙的に戻すためのPL/SQLストアド・プロシージャ
CREATE PROCEDURE foo AS c1 sys_refcursor; c2 sys_refcursor; begin open c1 for select * from emp; dbms_sql.return_result(c1); --return to client -- open 1 more cursor open c2 for select * from dept; dbms_sql.return_result (c2); --return to client end;
例10-7 結果セット(カーソル)をクライアントに暗黙的に戻すための無名PL/SQLブロック
declare c1 sys_refcursor; c2 sys_refcursor; begin open c1 for select * from emp; dbms_sql.return_result (c1); --return to client -- open 1 more cursor open c2 for select * from dept; dbms_sql.return_result (c2); --return to client end;
例10-8 PL/SQLストアド・プロシージャまたは無名ブロックのいずれかによって戻された暗黙的な結果を取り出し、処理するOCIStmtGetNextResult()の使用方法
OCIStmt *stmthp; ub4 rsetcnt; void *result; ub4 rtype; char *sql = "begin foo; end;"; /* Prepare and execute the PL/SQL procedure. */ OCIStmtPrepare2(svchp, &stmthp, errhp, (oratext *)sql, strlen(sql), NULL, 0, OCI_NTV_SYNTAX, OCI_DEFAULT); OCIStmtExecute(svchp, stmthp, errhp, 1, 0, (const OCISnapshot *)0, (OCISnapshot *)0, OCI_DEFAULT); /* Now check if any implicit results are available. */ OCIAttrGet((void *)stmthp, OCI_HTYPE_STMT, &rsetcnt, 0, OCI_ATTR_IMPLICIT_RESULT_COUNT, errhp); /* Loop and retrieve the implicit result-sets. * ResultSets are returned in the same order as in the PL/SQL * procedure/block. */ while (OCIStmtGetNextResult(stmthp, errhp, &result, &rtype, OCI_DEFAULT) == OCI_SUCCESS) { /* Check the type of implicit ResultSet, currently * only supported type is OCI_RESULT_TYPE_SELECT */ if (rtype == OCI_RESULT_TYPE_SELECT) { OCIStmt *rsethp = (OCIStmt *)result; /* Perform normal OCI actions to define and fetch rows. */ } else printf("unknown result type %d\n", rtype); /* The result set handle should not be freed by the user. */ } OCIStmtRelease(stmthp, errhp, NULL, 0, OCI_DEFAULT); /* Releases the statement handle. */
関連項目:
属性OCI_ATTR_IMPLICIT_RESULT_COUNT
の詳細は、「文ハンドル属性」を参照してください。
OCIアプリケーションでは、OCI結果キャッシュを活用するクライアント・メモリーを使用して、繰り返される問合せの応答時間を短縮できます。
関連項目:
OCIクライアント結果キャッシュの使用の詳細は、『Oracle Database開発ガイド』を参照してください
クライアント文キャッシュ自動チューニングに関するトピックについて説明します。
自動チューニングにより、中間層アプリケーションのOCIクライアント・セッション機能を最適化でき、OCIアプリケーションの再プログラムを必要とすることなく、パフォーマンスを向上できます。キャッシュ・メモリーの増減などの自動チューニング操作は、定期的なOCIStmtPrepare2()およびOCIStmtRelease()のコール中、暗黙的に行われます。キャッシュ・サイズのチェックが必要な場合は、OCIAttrGet()
をサービス・ハンドルにOCI_ATTR_STMTCACHESIZE
を設定してコールすると、使用されている現在のキャッシュ・サイズが取得されます。
コード化されたOCIクライアントの文キャッシュ・サイズ設定をほぼ最適にすることは可能です。たとえば、これはSQL文の別のワーキング・セットを発生させる原因となるワークロードの変更に伴い発生することがあります。サイズが小さすぎると、ネットワーク・アクティビティが過剰になり、サーバーでの解析量が増大します。サイズが大きすぎると、使用されるメモリー量が超過します。クライアント側のアプリケーションが、このキャッシュ・サイズを常に最適に維持することは困難です。
自動チューニングにより、OCIの文キャッシュ・サイズが定期的に自動で再構成されます。自動チューニングは、OCI文キャッシュを再構成するオプションを提供するデプロイメント時間設定を指定することで行われ、このパフォーマンスの潜在的な問題が解決されます。
これらの設定は、OCI機能のユーザー構成の手動設定をオーバーライドするクライアントのoraaccess.xml
ファイル内の接続文字列ベースのデプロイメント設定として提供されています。
自動チューニング文キャッシュのさらに具体的な利点は、文キャッシュ・サイズを透過的に検出、監視および調整して、パフォーマンスを向上またはメモリー使用量を減少させることです。
開発者およびDBAが、OCIクライアント・アプリケーションに自動チューニングを使用することには次の利点があります。
文キャッシュなど、システムの各部分のパフォーマンスの問題を診断および修正するのに必要な時間や労力を減らします
パフォーマンスを向上するためにこのOCI機能の構成に必要な手動変更が最小限になります。通常、このような手動変更では異なる構成パラメータでアプリケーションを1回以上再起動する必要があるため、クライアントの高可用性がさらに低下することになります。
すべてのOCIアプリケーションに対し、アプリケーションを変更せずにすぐにそのままパフォーマンスを向上するための1つの解決策を提供します
OCIアプリケーションを(エラーを発生させる可能性がある)カスタム実装する必要がなくなり、OCIアプリケーションを自動チューニングしてパフォーマンスおよびメモリー使用量を最適化できます。この場合、自動チューニングは、OCIクライアント側文キャッシュ・サイズの内部自動チューニングのみに制限されます。
次に示すoraccess.xml
内の接続に特有のパラメータは、デフォルトの接続に特有のパラメータを使用して、構成別名ごとに、またはすべての接続文字列全体に対して設定できます。
クライアントのoraaccess.xml
構成ファイルで指定する値は、プログラム設定をオーバーライドします。
関連項目:
デフォルトの接続に特有のパラメータを使用して、構成別名ごとに、またはすべての接続文字列全体に対して設定する方法の詳細は、「接続パラメータのデフォルトの指定について」を参照してください
このパラメータはオプションで、文キャッシュ・チューニング可能コンポーネントの制限を設定します。
<statement_cache> <size>100</size> </statement_cache>
この制限は、セッションごとにキャッシュ可能な文の最大数です。自動チューニングが有効かどうかに関係なく、oraaccess.xml
内のこの設定は、OCI文キャッシュ・サイズのプログラム設定をオーバーライドします。
自動チューニングが有効な場合、この設定は文キャッシュ・サイズの上限値となり、動的にチューニングされます。
セッションで、OCIStmtPrepare2()
およびOCIStmtRelease()
における文キャッシュAPIを使用していない場合、この設定は無視されます。
デフォルト値は次のとおりです。
自動チューニングが有効な場合、文キャッシュは動的にチューニングされ、初期の文キャッシュ・サイズは100文に設定されます。
自動チューニングが無効な場合、この設定は、文キャッシュ・サイズのデプロイメント設定として機能し、プログラム設定をオーバーライドします。
このセクションでは、自動チューニングのパラメータを指定します。
OCIセッションで、OCIStmtPrepare2()
またはOCIStmtRelease()
における文キャッシュAPIを使用していない場合、そのセッションでは自動チューニングのパラメータは無視されます。一部のセッションまたは接続においては自動チューニングが有効で、別のセッションまたは接続においては無効であるようなプロセスでも有効です。
このパラメータは、自動チューニングをオンまたはオフにします。デフォルトでは、自動チューニングはオフ(FALSE)
または無効です。
<auto_tune> <enable>true</enable> </auto_tune>
自動チューニングは、<statement_cache>で記述しているように、内部のデフォルト設定とともに有効になっています。
このパラメータはオプションです。
<auto_tune> <enable>true</enable> <ram_threshold>0.1</ram_threshold> </auto_tune>
デフォルト値は0.01%です。搭載されているRAMに対するパーセンテージとして指定します。この設定を共有するプロセスの自動チューニング・セッション間で使用可能な合計メモリーを指定します。この設定は、プロセスごとまたは接続文字列別名ごとに指定できます。
接続文字列別名ごとに指定すると、クライアント・プロセスで使用される自動チューニングの合計メモリーが増大します。
このため、oraaccess.xml
ファイルの<default_parameters>
セクションで自動チューニングの制限値を指定することをお薦めします。これにより、クライアント・プロセスのすべてのセッションに対して共通のメモリー・プールを確保します。
自動チューニングで制限値を小さくすると使用されるRAMも減少しますが、システムで実行されている他のプログラムのパフォーマンスが低下する可能性が増大します。
このパラメータは、<auto_tune></auto_tune>
デプロイメント設定内で指定する必要があります。
関連項目:
このパラメータはオプションです。
<auto_tune> <enable>true</enable> <memory_target>40M</memory_target> </auto_tune>
バイト単位で指定します。デフォルトでは未定義です。この設定を共有するプロセスの自動チューニング・セッション間で使用可能な合計メモリーを指定します。この設定は、プロセスごとまたは接続文字列別名ごとに指定できます。
接続文字列別名ごとに指定すると、クライアント・プロセスで使用される自動チューニングの合計メモリーが増大します。
このため、oraaccess.xml
ファイルの<default_parameters>
セクションで自動チューニングの制限値を指定することをお薦めします。これにより、クライアント・プロセスのすべてのセッションに対して共通のメモリー・プールを確保します。
このパラメータは、<auto_tune></auto_tune>
デプロイメント設定内で指定する必要があります。
このパラメータを使用すると、システムに搭載されているRAMに関係なく、自動チューニングにおいて一定量の制限値メモリーが使用されます。
指定していない場合、自動チューニングのメモリーの制限値は、<ram_threshold>
パラメータ設定に基づいて決定されます。
<ram_threshold>
と<memory_target>
の両方のパラメータを指定すると、2つのパラメータのうち小さい方が制限値として有効になります。
関連項目:
すべての自動チューニング・パラメータの比較について説明します。
表10-1は、接続に特有の自動チューニング・パラメータの比較を示しています。
表10-1 接続に特有の自動チューニング・パラメータの比較
パラメータ | 設定とセマンティクス | 自動チューニングまたはデプロイメント設定について |
---|---|---|
|
オプションの設定です。 セッションごとのキャッシュ・サイズです。 |
自動チューニングが有効な場合(「OCIクライアント自動チューニングの有効化または無効化」を参照)、これは各セッションにおける文キャッシュ・サイズの上限値となり、自動チューニングによりチューニングされます。 それ以外の場合は、文キャッシュのデプロイメント設定を参照します。 |
|
オプションの設定です。 自動チューニングを使用するには、このパラメータを指定します。NULLの接続文字列を指定する場合、この接続文字列を使用するすべての接続、またはすべての接続に適用されます。 |
自動チューニング関連のみです。 |
|
オプションの設定です。 クライアントまたは中間層システムに搭載されているRAMに基づいて、パーセンテージ設定をメモリー値に変換します。 これは、クライアント・プロセス内の自動チューニングで使用されるメモリーの上限値です。 搭載されているRAMが8GBの場合、このパラメータを指定しないと、セッション間で800KBのメモリーが割り当てられます。 各接続で自動チューニングのパラメータを独自に設定している可能性があるため、これらの値は構成設定に基づいて全プロセスで増大することがあります。このため、 |
自動チューニング関連のみです。自動チューニングが無効な場合、このパラメータ設定は無視されます。このパラメータは、 |
|
オプションの設定です。 これは、クライアント・プロセス内の自動チューニングで使用されるメモリーの上限値です。 各接続で自動チューニングのパラメータを独自に設定している可能性があるため、これらの値は構成設定に基づいて全プロセスで増大することがあります。このため、 構文の説明は、「ファイル(oraaccess.xml)のプロパティ」を参照してください。 値はバイト単位です。1,048,576バイトが1MBです。 |
自動チューニング関連のみです。自動チューニングが無効な場合、このパラメータ設定は無視されます。このパラメータは、 |
次は、接続に特有のパラメータでもある、クライアント文キャッシュの自動チューニング・パラメータの使用方法と対話を示す使用例です。
<statement_cache> <size>100</size> </statement_cache>
プログラムの文キャッシュ・サイズはこの設定で置換されます。自動チューニングは無効になり、キャッシュはLRUごとに管理されます。この場合、アプリケーションの開発者はOCIアプリケーションの文プリフェッチのプログラム設定をオーバーライドする必要がないとみなしています。
<auto_tune> <enable>true</enable> </auto_tune>
自動チューニングは、<statement_cache>で記述しているように、内部のデフォルト設定とともに有効になっています。
<statement_cache> <size>100</size> </statement_cache> <auto_tune> <enable>true</enable> <memory_target>40M</memory_target> </auto_tune>
100に設定したこの文キャッシュのデプロイメント設定によってプログラムの文キャッシュ・サイズは置換され、また、自動チューニングが有効なため、文キャッシュは自動チューニングされます。メモリーのターゲット設定は、自動チューニングが有効なために有効になります。
自動チューニングでは、メモリー・ターゲット周辺で使用される合計文キャッシュ・メモリーを常に制限しようと試みます。メモリー・ターゲットが指定されていない場合は、搭載されている合計RAMのパーセンテージに基づいて決定されます。
この場合、メモリーの制限値は指定したメモリー・ターゲット値です。
次の条件によって、OCIクライアントの自動チューニングが有効化または無効化されます。
自動チューニングは、クライアントのoraaccess.xml
に<auto_tune>
セクションを追加し、TRUE (<enable>true</enable>
)に指定した場合に有効になります。
自動チューニングはデフォルトで、またはoraaccess.xml
の<auto_tune>
セクションでFALSE (<enable>false</enable>)に設定した場合に無効になります。
次は、自動チューニング・パラメータを設定する際に使用するガイドラインの一部です。
クライアントの応答、メモリー割当てまたはクライアントのCPUのいずれかが高く、OCIアプリケーションを再構築せずにパフォーマンスを向上させたい場合、<auto_tune>
設定またはデプロイメント<statement_cache>
設定を使用できます。また、自動チューニングにより、クライアントとサーバーの間で転送されるネットワーク・バイト数が減少する場合もあります。
AWRまたはADDMで大量の解析がレポートされ、文キャッシュ・サイズをプログラムで変更できないか、または変更したくない場合、文キャッシュの自動チューニングを指定するか、あるいはデプロイメント文キャッシュ設定の<statement_cache>
を使用できます。
oraaccess.xmlを使用するOCIクライアント側デプロイメント・パラメータについて説明します。
Oracle Databaseリリース12c リリース1 (12.1)より、クライアント側構成ファイルのoraaccess.xml
が提供されるようになりました。このoraaccess.xml
ファイルを使用して、選択するOCIパラメータ(これらの一部はプログラム的に各種OCI APIコールで受け入れられます)を構成でき、これにより、OCIをコールするソース・コードを変更せずにデプロイメント中にOCIの動作を変更できるようになります。
oraaccess.xml
ファイルの更新は、実行中のクライアントには影響しません。oraaccess.xml
ファイルの更新を適用するには、すでに実行中のクライアントを再起動する必要があります。
oraaccess.xml
ファイルは、通常およびインスタント・クライアント・インストールのTNS_ADMIN
環境変数で指定するディレクトリから読み取られます。これは、通常のクライアント・インストールでTNS_ADMIN
が設定されていない場合は、UNIXオペレーティング・システムでは$ORACLE_HOME
/network/admin
ディレクトリ、Microsoft Windowsオペレーティング・システムでは%ORACLE_HOME%
\NETWORK\ADMIN
ディレクトリになります。
等価のパラメータをsqlnet.ora
およびoraaccess.xml
ファイルの両方で設定した場合、oraaccess.xml
ファイルの設定の方が、対応するsqlnet.ora
ファイルの設定より優先されます。
そのような場合、今後は、oraaccess.xml
ファイルの設定を使用することをお薦めします。いずれのネットワーク構成の場合でも、oraaccess.xml
ファイルではネットワーク・レベルの設定がサポートされていないため、sqlnet.ora
ファイルがそのまま主ファイルになります。
oraaccess.xml
ファイルの概要について説明します。
oraaccess.xml
ファイルには、トップレベル・ノードの<oraaccess>
があり、次の3つの要素が続きます。
<default_parameters>
: この要素は、接続間で共有されるデフォルトのパラメータ設定を記述します。これらのデフォルト・パラメータには次のものがあります。
グローバル・パラメータのデフォルト: これらのグローバル・パラメータは一度のみ指定でき、そのため、すべての接続に適用され、接続レベルでオーバーライドすることはできません。これらのパラメータは、次のタグを使用して指定します。
<events>
: 高速アプリケーション通知(FAN)および実行時接続ロード・バランシングに必要なOCI_EVENTS
モードのOCI環境を作成します。
<result_cache>
: OCIクライアント結果キャッシュ・パラメータを設定します。
<diag>
: OCI障害診断パラメータを設定します。
接続固有のパラメータのデフォルト: 接続パラメータは、特定の接続において別の値に設定できます。ただし、デフォルトにも設定でき、必要に応じて接続文字列ごとにオーバーライドできます。これらのデフォルト値は、以降のすべての接続間で共有されます(ただし、接続レベルでオーバーライドされないかぎり。<config_descriptions>
リスト項目で説明されています)。これらのデフォルト値は、次のタグを使用して指定します。
<prefetch>
: すべての問合せのプリフェッチ行の数を設定します。<rows>
パラメータを使用して指定します。
<statement_cache>
: セッションごとにキャッシュ可能な文の最大数を設定します。<size>
パラメータを使用して指定します。
<auto tune>
: 自動チューニングをオンまたはオフにする<enable>
、クライアント・システムで使用可能な物理メモリーがしきい値に達した際に、自動チューニングでこれ以上のメモリーの使用を停止するためのメモリーしきい値を設定する<ram_threshold>
、およびOCI自動チューニングでクライアント・プロセスごとに使用可能なメモリー制限値を設定する<memory_target>
で構成されます。
<fan_subscription_failure_action>
: サブスクリプションが失敗した際のアクションをtrace
またはerror
のいずれかの値に設定します。
<ons>
: FAN通知で使用される各種ONSクライアント側デプロイメント構成パラメータを設定します。
<config_descriptions>
: この要素は、基本的に、1つ以上の接続パラメータが含まれている特定のパラメータ・セット(<parameters>
)を持つ名前である構成別名要素(<config_alias>
)に関連付けられます。これらの接続パラメータは、<prefetch>
、<statement_cache>
、<auto_tune>
、<fan_subscription_failure_action>
および<ons>
など、前述の要素<default_parameters>
内ものと同じ接続パラメータです。
<connection_configs>
: この要素は、構成別名を使用してアプリケーションで使用される1つ以上の接続文字列と関連付けられるため、複数の接続文字列要素で同一のパラメータ・セットを共有できます。
1つの接続構成要素(<connection_config>
)は、構成別名要素(<config_alias>
)を使用して1つの接続文字列要素(<connection_string>
)と関連付けられます。
接続文字列は、構成別名を通じてパラメータ・セットに間接的に関連付けられるため、複数の接続文字列要素を同一のパラメータ・セットで共有できます。
次の項では、これらのクライアント側デプロイメント・パラメータの詳細を説明します。
関連項目:
前述したように、<default_parameters>
タグを使用して、各種OCIパラメータのデフォルト値を指定できます。
これらのうち、一部のパラメータは一度のみ指定でき、そのため、すべての接続に適用されます。これらのグローバル・パラメータは、次のタグを使用して記述します。
<events>
これにより、高速アプリケーション通知(FAN)および実行時接続ロード・バランシングに必要なOCI_EVENTS
モードのOCI環境が作成されます。
<events> true <!--value could be false also --> </events>
<result_cache>
<max_rset_rows>
: プロセス単位の問合せキャッシュ内の結果セットの最大サイズ(行数)です。sqlnet.ora
ファイル内のOCI_RESULT_CACHE_MAX_RSET_ROWS
と等価です。
<max_rset_size>
: 最大クライアント結果キャッシュ・サイズです。32,768バイト(32KB)以上のサイズに設定します。sqlnet.ora
ファイル内のOCI_RESULT_CACHE_MAX_RSET_SIZE
と等価です。
<max_size>
: プロセス単位の問合せキャッシュの最大サイズ(バイト数)です。クライアントで32,768未満にサイズを指定すると、クライアント結果キャッシュ機能が無効になります。sqlnet.ora
ファイル内のOCI_RESULT_CACHE_MAX_SIZE
と等価です。
<result_cache> <max_rset_rows>10</max_rset_rows> <max_rset_size>65535</max_rset_size> <max_size>65535</max_size> </result_cache>
等価のパラメータをsqlnet.ora
およびoraaccess.xml
ファイルの両方で設定した場合、oraaccess.xml
ファイルの設定の方が、対応するsqlnet.ora
ファイルの設定より優先されます。
等価のOCIパラメータ設定のリストは、表10-2を参照してください。
<diag>
次の要素を指定できます。
<adr_enabled>
: 診断を有効化または無効化します。sqlnet.ora
ファイル内のDIAG_ADR_ENABLED
と等価です。値はTRUEまたはFALSEです。
<dde_enabled>
: DDEを有効化または無効化します。値はTRUEまたはFALSEです。
<adr_base>
: 現行のADRCIセッションで使用されるADRベースの場所を指定するシステム依存ディレクトリのパス文字列であるADRベース・ディレクトリを設定します。sqlnet.ora
ファイル内のADR_BASE
と等価です。値は、ADRベース・ディレクトリのディレクトリ・パスです。
<sighandler_enabled>
: OCIシグナル・ハンドラを有効化または無効化します。値はTRUEまたはFALSEです。
<restricted>
: フル・ダンプ・ファイルを有効または無効にします。Oracle Databaseクライアントには、重要なエラーが検出された際に診断情報をダンプする機能など、問題を診断するための高度な機能が備えられています。デフォルトでは、これらのダンプは、使用可能な情報の小規模なサブセットに制限されており、アプリケーション・データはダンプされません。ただし、大部分のインストールでは、ダンプ・ファイルに対して安全な場所が構成され、このログのプライバシが確保されます。この場合は、フル・ダンプをオンにすることをお薦めします。これにより、問題の解決速度が大幅に向上します。フル・ダンプを有効にするには、値FALSEを指定します。値はTRUEまたはFALSEです。
<trace_events>
: トレース・イベント番号および有効にするトレース・レベルを示します。現在、イベント10883のみがサポートされています。使用可能なレベルは5と10です。
<diag> <adr_enabled>false</adr_enabled> <dde_enabled>false</dde_enabled> <adr_base>/foo/adr</adr_base> <sighandler_enabled>false</sighandler_enabled> <restricted>true</restricted> <trace_events> <trace_event> <number>10883</number> <level>5</level> </trace_event> </trace_events> </diag>
等価のパラメータをsqlnet.ora
およびoraaccess.xml
ファイルの両方で設定した場合、oraaccess.xml
ファイルの設定の方が、対応するsqlnet.ora
ファイルの設定より優先されます。
等価のOCIパラメータ設定のリストは、表10-2を参照してください。
例10-2 oraaccess.xmlおよびsqlnet.oraでの等価OCIパラメータ設定
パラメータ・グループ | oraaccess.xmlパラメータ | sqlnet.oraパラメータ |
---|---|---|
OCIクライアント結果キャッシュ |
|
|
OCIクライアント結果キャッシュ |
|
|
OCIクライアント結果キャッシュ |
|
|
OCI障害診断 |
|
|
OCI障害診断 |
|
|
OCI障害診断 |
|
|
関連項目:
クライアント結果キャッシュおよびクライアント構成ファイルパラメータのデプロイメント時設定の詳細は、『Oracle Database開発ガイド』を参照してください
sqlnet.ora
ファイルのADR診断パラメータの詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください
次のように、接続間で共有される接続パラメータを指定できます。
<prefetch>
: SELECT
文のプリフェッチ行数を指定します。
<prefetch> <rows>100</rows> </prefetch>
このパラメータを適切に設定することで、データベースへのラウンドトリップが減り、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
これは、OCI_ATTR_PREFETCH_ROWS
パラメータをオーバーライドするのみであることに注意してください(アプリケーションで明示的に指定されているかどうか)。アプリケーションでOCI_ATTR_PREFETCH_MEMORY
が明示的に指定されている場合は、両方の制約を使用して実際のプリフェッチ行数が決定されます。OCI_ATTR_PREFETCH_MEMORY
の制約の等価は、oraaccess.xml
ファイルでは指定できません。
また、SELECT
文で特定のデータ型の列がフェッチされる場合は、OCIプリフェッチは無効になる場合があることにも注意してください。OCIプリフェッチの詳細は、「結果のフェッチについて」を参照してください。
<statement_cache>
: セッションごとにキャッシュ可能なOCI文ハンドルの数を指定します。
<statement_cache> <size>100</size> </statement_cache>
キャッシュ文ハンドルでは、クライアント側およびサーバー側のCPU使用量とネットワーク・トラフィックを減らすことにより、繰返し実行のパフォーマンスが向上します。
このパラメータを有効にするには、アプリケーションで文ハンドルの取得と破棄用のOCIStatementPrepare2()
およびOCIStatementRelease()
コールが使用されるようにする必要があります(等価の旧OCISatementPrepare()
およびOCIHandleFree()
ではなく)。
<auto_tune>
: OCI自動チューニングを有効化するのに使用します。
「<auto_tune>」を参照してください。「<ram_threshold>」を参照してください。「<memory_target>」を参照してください。
<auto_tune> <enable>true</enable> <ram_threshold>0.1</ram_threshold><!--percentage --> <memory target>2M</memory_target> </auto_tune>
自動チューニングを有効化することで、指定したメモリー制約に基づいてOCIで文キャッシュ・サイズが自動的にチューニングされるようにすることができます。これにより、ランタイム・アプリケーションの特性および使用可能なメモリー・リソースに基づく適切な値に文キャッシュ・サイズを動的にチューニングできるようになります。
自動チューニングOCI文キャッシュには、アプリケーションで文ハンドルの取得と破棄用のOCIStatementPrepare2()
およびOCIStatementRelease()
コールが使用されるようにする必要があります(等価の旧OCISatementPrepare()
およびOCIHandleFree()
ではなく)。
<fan_subscription_failure_action>
: FAN通知のサブスクライブの失敗へのOCIの対応方法を決定するのに使用します。
trace
の値では、すべてのFAN通知(FANが有効な場合)のサブスクライブの失敗がトレース・ファイルに記録され、OCIはこの失敗を無視して続行されます。error
の値では、FAN通知のサブスクライブに失敗した場合、OCIからエラーが戻されます。
<fan> <!--only possible values are "trace" and "error" --> <subscription_failure_action> trace </subscription_failure_action> </fan>
<ons>
: Oracle Notification Service (ONS)パラメータを設定します。
次の接続パラメータを指定できます。
<subscription_wait_timeout>
: クライアントがONSサーバーへのサブスクリプションを待機する時間の長さ(秒単位)です。
<auto_ config>
: TRUEまたはFALSEです。TRUEの場合は、このセッションで指定された構成でクライアントがデータベースから受信する自動構成情報が拡張されます。FALSEの場合は、前述のものがオーバーライドされます。
<thread_stack_size>
: イベント通知スレッド・スタックのバイト・サイズです。
<debug>
: TRUEまたはFALSEです。デバッグ・モードはオン(TRUE)またはオフ(FALSE)のいずれかです。
<servers>
: ポートおよび接続配分を含むホスト・リストです。
<ons> <!--values or in seconds --> <subscription_wait_timeout> 5 </subscription_wait_timeout> <auto_config>true</auto_config> <!--boolean --> <threadstacksize>100k</threadstacksize> <debug>true</debug>
<servers> <address_list> <name>pacific</name> <max_connections> 3 <\max_connections> <hosts> 10.228.215.121:25293, 10.228.215.122:25293 </hosts> </address_list> <address_list> <name>Europe</name> <max_connections>3<\max_connections> <hosts> myhost1.mydomain.com:25273, myhost2.mydomain.com:25298, myhost3.mydomain.com:30004 </hosts> </address_list> </servers> </ons>
関連項目:
ONS構成パラメータの詳細は、Oracle Universal Connection Pool for JDBC開発者ガイドを参照してください。
oraaccess.xml
ファイルを使用しても、接続文字列レベルで、まったく同じ一連の接続に特有のパラメータをオーバーライドできます。
これにより、これらの接続に特有のパラメータを各アプリケーションの要件に基づいてオーバーライドできます。
<config_descriptions>
タグを使用して、一連の接続に特有のパラメータ(<parameters>
)が構成別名(接続に特有のパラメータの特定グループを作成する<config_alias>
)に関連付けられるように指定できます。その後は、<connection_configs>
を使用して、1つ以上の接続文字列(<connection-string>
タグを使用して指定)を<config_alias>
に関連付けることができるようになります。これにより、複数の<connection_string>
要素で同じ<parameters>
セットの共有を可能にする間接レベルを設定できます。
例1
この例は、すべての接続に適用可能なグローバル・パラメータおよび接続パラメータのデフォルト化を示す、非常に単純なoraaccess.xml
ファイル構成を示しています。
<?xml version="1.0" encoding="ASCII" ?> <!-- Here is a sample oraaccess.xml. This shows defaulting of global and connection parameters across all connections. --> <oraaccess xmlns="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" xmlns:oci="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess.xsd"> <default_parameters> <prefetch> <rows>50</rows> </prefetch> <statement_cache> <size>100</size> </statement_cache> <result_cache> <max_rset_rows>100</max_rset_rows> <max_rset_size>10K</max_rset_size> <max_size>64M</max_size> </result_cache> </default_parameters> </oraaccess>
例2
この例は、接続レベルでオーバーライドされる接続パラメータを示しています。
<?xml version="1.0" encoding="ASCII" ?> <!-- Here is a sample oraaccess.xml. This highlights some connection parameters being overridden at the connection level --> <oraaccess xmlns="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" xmlns:oci="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess.xsd"> <default_parameters> <prefetch> <rows>50</rows> </prefetch> <statement_cache> <size>100</size> </statement_cache> <auto_tune> <enable>true</enable> <ram_threshold>2.67</ram_threshold> <memory_target>204800</memory_target> </auto_tune> <result_cache> <max_rset_rows>100</max_rset_rows> <max_rset_size>10K</max_rset_size> <max_size>64M</max_size> </result_cache> </default_parameters> <!-- Create configuration descriptions, which are groups of connection parameters associated with a config_alias. --> <config_descriptions> <config_description> <config_alias>bar</config_alias> <parameters> <prefetch> <rows>20</rows> </prefetch> </parameters> </config_description> <config_description> <config_alias>foo</config_alias> <parameters> <statement_cache> <size>15</size> </statement_cache> </parameters> </config_description> </config_descriptions> <!-- Now map the connection string used by the application with a config_alias. --> <connection_configs> <connection_config> <connection_string>hr_db</connection_string> <config_alias>foo</config_alias> </connection_config> <connection_config> <connection_string>finance_db</connection_string> <config_alias>bar</config_alias> </connection_config> </connection_configs> </oraaccess>
例3
この例は、FAN通知の設定を示しています。
<?xml version="1.0" encoding="ASCII" ?> <!-- Here is a sample for oraaccess.xml for setting up for FAN notifications. --> <oraaccess xmlns="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" xmlns:oci="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess.xsd"> <default_parameters> <fan> <!-- only possible values are "trace" or "error" --> <subscription_failure_action> error </subscription_failure_action> </fan> <ons> <subscription_wait_timeout> 5 </subscription_wait_timeout> <auto_config>true</auto_config> </ons> <events>true</events> </default_parameters> </oraaccess>
例4
この例は、手動ONS設定が含まれる、高度なoraaccess.xml
ファイル構成の使用例を示しています。手動ONS設定は通常は使用しません。
<?xml version="1.0" encoding="ASCII" ?> <!-- Here is a sample for oraaccess.xml that highlights manual ONS settings. --> <oraaccess xmlns="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" xmlns:oci="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess" schemaLocation="http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess http://xmlns.oracle.com/oci/oraaccess.xsd"> <default_parameters> <fan> <!-- only possible values are "trace" or "error" --> <subscription_failure_action> error </subscription_failure_action> </fan> <ons> <subscription_wait_timeout> 5 </subscription_wait_timeout> <auto_config>true</auto_config> <!--This provides the manual configuration for ONS. Note that this functionality should not need to be used as auto_config can normally discover this information. --> <servers> <address_list> <name>pacific</name> <max_connections>3</max_connections> <hosts>10.228.215.121:25293, 10.228.215.122:25293</hosts> </address_list> <address_list> <name>Europe</name> <max_connections>3</max_connections> <hosts>myhost1.mydomain.com:25273, myhost2.mydomain.com:25298, myhost3.mydomain.com:30004</hosts> </address_list> </servers> </ons> <events>true</events> </default_parameters> </oraaccess>
関連項目:
接続文字列レベルで、まったく同じ一連の接続に特有のパラメータをオーバーライドする方法は、「接続パラメータのデフォルトの指定について」を参照してください
ここでは簡単にするために、oraaccess.xml
ファイルの構文に関する一部の一般的な規則を示します。oraaccess.xsd
ファイルで指定されるXMLスキーマが、oraaccess構文の最終的な公式の参照になります。
このファイルの内容では大/小文字が区別され、すべての要素(タグ、パラメータ名)は小文字です。
TBD: ファイルを確認するXMLスキーマ(スキーマの定義およびそれが配置される場所の詳細(ほとんどは$ORACLE_HOME/rdbms/admin/)を提供)。ファイルが無効である場合、アプリケーションは適切なエラーをスローして停止します。
たとえば、Comment "<!-- comments -->"というように、パラメータ(ノード)の間にコメントを含めることができます。
パラメータの順序に関する構文はXMLスキーマoraaccess.xsd
ファイルを参照してください(このリストの後に記載されているoraaccess.xsd
ファイルに関する詳細を参照)。
メモリー・サイズの有効な値および形式は、100、100k、100K、1000Mおよび1121mです。つまり、M、m、K、kの接尾辞または接尾辞なしのいずれかのみを使用できます。Kまたはkはキロバイト、Mはメガバイトを意味します。接尾辞なしの場合は、サイズがバイトであることを意味します。
<ram_threshold>は、0から100の間の10進数で、パーセント値を示す必要があります。
数字を指定する場合、正の符号なし整数のみを使用でき、符号は使用できません。有効な形式は、<statement_cache> <size>100</size> </statement_cache>
のようになります。
構成別名(<config_alias>foo</config_alias>
)では大/小文字が区別されません。
文字列パラメータ(<config_alias>
など)は引用符で囲みません。
これらのルールは、スキーマ定義ですべてカプセル化されています。
OCIで無効なoraaccess.xml
ファイルが指定された場合、OCIでエラーがレポートされます。
oraaccess.xml
ファイルをデプロイする前に、OracleでサポートされているXMLスキーマ・ファイルoraaccess.xsd
を使用して確認することをお薦めします。このスキーマ・ファイルは、通常のクライアントではORACLE_HOME/rdbms/admin
、インスタント・クライアントSDKではinstantclient_12_1/sdk/admin
にインストールされています。oraaccess.xml
ファイルの変更後、独自の任意のXML検証ツールを使用して検証を行うこともできます。
サンプルのoraaccess.xml
ファイルは、通常のクライアントではORACLE_HOME/rdbms/demo
ディレクトリ、インスタント・クライアントではinstantclient_12_1/sdk/demo
にあります。これらのファイルのパラメータはデモ目的のみで、デプロイ前にアプリケーションの要件に合わせて変更およびテストする必要があります。
OCIの11gリリース1 (11.1)では、障害診断が導入されました。OCIクライアント上のインシデント(問題の発生)は、ユーザーの介入なしで診断データの形式(ダンプ・ファイルまたはコア・ダンプ・ファイル)で取得されます。リリース11.2.0.1までは、診断データは、インシデントについて作成された自動診断リポジトリ(ADR)サブディレクトリに格納されていました。たとえば、LinuxまたはUNIXアプリケーションがNULL
ポインタ参照で失敗した場合、コア・ファイルはオペレーティング・システム・ディレクトリではなくADRホーム・ディレクトリ(存在する場合)に書き込まれます。ADRサブディレクトリ構造および出力を処理するためのユーティリティであるADRコマンド・インタプリタ(ADRCI)について、次の各項で説明します。ただし、リリース11.2.0.2からは、診断データは現在のディレクトリに格納されます。
ADRホームは、OCIなどの特定の製品のインスタンスおよび特定のオペレーティング・システム・ユーザーに関するすべての診断データのルート・ディレクトリです。ADRホームは、ADRベースという同一のルート・ディレクトリの下でグループ化されます。
障害診断およびOracle DatabaseのADR構造については、『Oracle Database管理者ガイド』の診断データの管理に関する解説で詳しく説明されています。
ADRベースの位置の決定方法について説明します。
ADRベースの場所は、OCIにより次の順序で決定されます。
すべての診断パラメータについて、OCIは最初にoraaccess.xml
ファイル内で検索します。これらのパラメータがそこで設定されていない場合、OCIは次にsqlnet.ora
ファイル(存在する場合)で次のような文を検索します(LinuxまたはUNIX)。
ADR_BASE=/foo/adr
adr
(ディレクトリの名前)が存在し、OCIアプリケーションを実行して同じADRベースを共有するすべてのオペレーティング・システム・ユーザーによって書込み可能である必要があります。foo
はパス名を表します。sqlnet.ora
の場所は、ディレクトリ$TNS_ADMIN
(Windowsの場合は%TNS_ADMIN%
)で指定されます。$TNS_ADMIN
が存在しない場合は、現在のディレクトリが使用されます。ADR_BASE
が設定されており、すべてのユーザーが1つのsqlnet.ora
を共有する場合、ディレクトリadr
が存在しない、またはユーザーによる書込みができないと、OCIは検索を停止します。ADR_BASE
が設定されていない場合、OCIは検索を続行し、他の特定のディレクトリの有無をテストします。
たとえば、sqlnet.ora
にエントリADR_BASE=/home/chuck/test
が含まれる場合、ADRベースは/home/chuck/test/oradiag_chuck
であり、ADRホームは/home/chuck/test/oradiag_chuck/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11
のようになります。
$ORACLE_BASE
(Windowsでは%ORACLE_BASE%
)が存在します。この場合、Oracle Universal Installerを使用したデータベースのインストール時にクライアント・サブディレクトリが作成されているため、これが存在します。
たとえば、$ORACLE_BASE
が/home/chuck/obase
である場合、ADRベースは/home/chuck/obase
であり、ADRホームは/home/chuck/obase/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11
のようになります。
$ORACLE_HOME
(Windowsでは%ORACLE_BASE%
)が存在します。この場合、Oracle Universal Installerを使用したデータベースのインストール時にクライアント・サブディレクトリが作成されているため、これが存在します。
たとえば、$ORACLE_HOME
が/ade/chuck_l1/oracle
である場合、ADRベースは/ade/chuck_l1/oracle/log
であり、ADRホームは/ade/chuck_l1/oracle/log/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11
のようになります。
オペレーティング・システムのホーム・ディレクトリは、LinuxまたはUNIXでは$HOME
、Windowsでは%USERPROFILE%
です。LinuxまたはUNIXでは、ユーザーchuck
の場所は/home/chuck/oradiag_chuck
のようになります。Windowsでは、C:\Documents and Settings\chuck
の下にOracle
というフォルダが作成されます。
たとえば、Instant Clientでは、$HOME
が/home/chuck
である場合、ADRベースは/home/chuck/oradiag_chuck
であり、ADRホームは/home/chuck/oradiag_chuck/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11
です。
Windowsでは、アプリケーションがサービスとして動作している場合、ホーム・ディレクトリ・オプションはスキップされます。
LinuxまたはUNIXオペレーティング・システムの一時ディレクトリは/var/tmp
です。
たとえば、Instant Clientでは、$HOME
が書込み不可である場合、ADRベースは/var/tmp/oradiag_chuck
であり、ADRホームは/var/tmp/oradiag_chuck/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11
です。
Windowsオペレーティング・システムの一時ディレクトリは、次の順序で検索されます。
%TMP%
%TEMP%
%USERPROFILE%
Windowsシステム・ディレクトリ
これらのディレクトリの選択肢がいずれも使用不可および書込み不可である場合、ADRベースは作成されず、診断は実行されません。
関連項目:
『Oracle Database Net Servicesリファレンス・ガイド』
ADRCIは、ADR内の診断データを表示し、インシデントおよび問題に関する情報をOracleサポートが使用できるようzipファイルに圧縮できるコマンドライン・ツールです。ADRCIは対話式に、またスクリプトから使用できます。問題が発生すると、OCIまたはクライアントで重大なエラーとなります。各問題には問題キーがあります。1つのインシデントは問題の1回の発生を意味し、数字を使用した一意のインシデントIDで識別されます。各インシデントには、属性のセット(ORA
エラー番号、エラー・パラメータ値およびその他の情報)である問題キーが割り当てられています。2つのインシデントの問題キーが一致する場合、根本的な原因は同じです。
関連項目:
ADRCIの概要は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください
次に、LinuxシステムでADRCIを起動し、SHOW
BASE
コマンドについてHELP
コマンドを使用し、SHOW
BASE
コマンドを-PRODUCT
CLIENT
オプション(OCIアプリケーションに必要)とともに使用する方法を示します。ADRCIコマンドは大/小文字の区別はありません。ユーザー入力は太字で表示されます。
% adrci ADRCI: Release 12.1.0.0.0 - Development on Thu Oct 13 14:17:46 2011 Copyright (c) 1982, 2009, Oracle. All rights reserved. adrci> help show base Usage: SHOW BASE [-product <product_name>] Purpose: Show the current ADR base setting. Options: [-product <product_name>]: This option allows users to show the given product's ADR Base location. The current registered products are "CLIENT" and "ADRCI". Examples: show base -product client show base adrci> show base -product client ADR base is "/ade/chuck_l3/oracle/log"
次に、SET
BASE
コマンドを記述しています。
adrci> help set base Usage: SET BASE <base_str> | -product <product_name> Purpose: Set the ADR base to use in the current ADRCI session. If there are valid ADR homes under the base, all homes will will be added to the current ADRCI session. Arguments: <base_str>: It is the ADR base directory, which is a system-dependent directory path string. -product <product_name>: This option allows users to set the given product's ADR Base location. The current registered products are "CLIENT" and "ADRCI". Notes: On platforms that use "." to signify current working directory, it can be used as base_str. Example: set base /net/sttttd1/scratch/someone/view_storage/someone_v1/log set base -product client set base . adrci> quit
ADRCI
を起動すると、デフォルトのADRベースはrdbms
サーバーに対するものとなります。$ORACLE_HOME
は/ade/chuck_l3/oracle
に設定されます。
% adrci
ADRCI: Release 12.1.0.0.0 - Development on Thu Oct 13 14:17:46 2011
Copyright (c) 1982, 2009, Oracle. All rights reserved.
ADR base = "/ade/chuck_l3/oracle/log"
OCIアプリケーションのインシデントの場合、ベースを次のようにチェックおよび設定する必要があります。
adrci> show base -product client ADR base is "/ade/chuck_l3/oracle/log" adrci> set base /ade/chuck_l3/oracle/log
Instant Clientの場合、$ORACLE_HOME
がないため、デフォルトのベースはユーザーのホーム・ディレクトリです。
adrci> show base -product client ADR base is "/home/chuck/oradiag_chuck" adrci> set base /home/chuck/oradiag_chuck adrci> show incidents ADR Home = /home/chuck/oradiag_chuck/diag/clients/user_chuck/host_4144260688_11: ************************************************************************* INCIDENT_ID PROBLEM_KEY CREATE_TIME ------------------------------------------------------------------------- 1 oci 24550 [6] 2007-05-01 17:20:02.803697 -07:00 1 rows fetched adrci>
関連項目:
診断能力を無効にするには、sqlnet.ora
で次のパラメータを設定し(デフォルトはTRUE
)、診断をオフにします。
DIAG_ADR_ENABLED=FALSE DIAG_DDE_ENABLED=FALSE
OCIシグナル・ハンドラをオフにし、標準オペレーティング・システムの障害処理を再度有効化するには、sqlnet.ora
で次のパラメータを設定します。
DIAG_SIGHANDLER_ENABLED=FALSE
前述のように、sqlnet.ora
でADR_BASE
を使用し、ADRベースの場所を設定します。
Oracle Databaseクライアントには、重要なエラーが検出された際に診断情報をダンプする機能など、問題を診断するための高度な機能が備えられています。デフォルトでは、これらのダンプは、使用可能な情報の小規模なサブセットに制限されており、アプリケーション・データはダンプされません。ただし、大部分のインストールでは、ダンプ・ファイルに対して安全な場所が構成され、このログのプライバシが確保されます。この場合は、フル・ダンプをオンにすることをお薦めします。これにより、問題の解決速度が大幅に向上します。フル・ダンプを有効にするには、Oracle Databaseクライアント・インストールで使用したsqlnet.ora
ファイルに次の行を追加します。
DIAG_RESTRICTED=FALSE
診断機能が正しく機能していることを確認するには、次のようにします。
TNS_ADMIN
ディレクトリにあるsqlnet.log
ファイルに、診断機能を起動できなかったこと(通常、これは無効なディレクトリ名または権限が原因です)を示すエラー・メッセージがないか調べます。関連項目:
sqlnet.ora
でのADRパラメータの設定については、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。
ADRの構造に関する詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Databaseリリース11.2以上では、クライアントとサーバーで異なるバージョンのタイム・ゾーン・ファイルを使用できます。この動作モードはOracle Database 11.2より前のリリースではサポートされていませんでした。
このような混在モードで作業するには、クライアントとサーバーの両方が11.2以上であることが必要です。この項では、このようなモードで作業する場合に発生する問題について説明します。これらの問題を回避するには、クライアントとサーバーで同じバージョンのタイム・ゾーン・ファイルを使用します。
クライアントとサーバーで異なるバージョンのタイムゾーン・ファイルを使用している場合、次の動作が見られます。異なるバージョンのタイムゾーン・ファイルを使用すると、TIMESTAMP
WITH
TIMEZONE
(TSTZ
)データ型の値の処理にのみ影響が出ることに注意してください。
次に示すOCIの日時および時間隔のAPIでは、入力パラメータがTSTZ
型の場合、無条件にエラーが発生します。これは、これらの操作が、データベースと同期していないクライアント上のローカル・タイムゾーン・ファイルに依存するためです。そのような構成で計算を続けると、クライアント層とデータベース層間で計算の一貫性がなくなる可能性があります。
OCIDateTimeCompare() OCIDateTimeConstruct() OCIDateTimeConvert() OCIDateTimeSubtract() OCIIntervalAdd() OCIIntervalSubtract() OCIIntervalFromTZ() OCIDateTimeGetTimeZoneName() OCIDateTimeGetTimeZoneOffset()Foot 1 OCIDateTimeSysTimeStamp()
TSTZ
値の取得または変更時に、パフォーマンスが低下します。パフォーマンスの低下は、異なるバージョンのタイムゾーン・ファイルを使用するクライアントとサーバーの補正に、追加の変換が必要であることから生じます。
より新しいタイムゾーン・ファイルで新規タイムゾーン・リージョンが定義される場合、新規タイムゾーン・リージョンを認識しないバージョンのタイムゾーン・ファイルを持つノードで、新規リージョンに属するTIMESTAMP
WITH
TIMEZONE
値に対してエラーが発生する可能性があります。
TSTZ
型属性を含む不透明型またはXMLType
のインスタンス、あるいはその両方を操作するアプリケーションでは、データ損失を避けるために、クライアントとサーバーで同じバージョンのタイムゾーン・ファイルを使用する必要があります。
関連項目:
タイムゾーン・ファイルとタイムスタンプのタイムゾーン・データによるアップグレードの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください
マルチテナント・アーキテクチャにより、Oracle Databaseにスキーマ、スキーマ・オブジェクトおよび非スキーマ・オブジェクトのポータブル・コレクションを含めることができ、これらはOracleクライアントに個別のデータベースとして表示されます。マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)は、1つ以上のプラガブル・データベース(PDB)を含むOracle Databaseです。
OCIクライアントは、関連するPDBにプラガブル・データベースが適切に設定されているサービスを使用してそのPDBに接続できます。
通常、OCIコールはプラガブル・データベースか通常のデータベースのいずれかに接続されているかに関係なく同様に動作します。CDBについて特別な考慮が必要なOCIコールおよび機能を次の各項で説明します。
関連項目:
PDBおよび様々なPDBに接続するサービスの構成の詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください。
CDB$ROOT
以外のコンテナに接続されている場合、OCI_PRELIM_AUTH
モードでログインしようとすると、ORA-24542
エラーが発生します。
CDB$ROOT
以外のコンテナに接続されている場合、OCIDBStartup()を発行しようとすると、ORA-24543
エラーが発生します。
CDB$ROOT
以外のコンテナに接続されている場合、OCIDBShutdown() を発行しようとすると、ORA-24543
エラーが発生します。CDB$ROOT
に接続されている場合にOCIDBShutdown()
を発行すると、インスタンス全体が停止します。
OCI連続問合せ通知(CQN)は、CDBではサポートされていません。
OCIクライアント結果キャッシュは、CDBではサポートされていません。
リリース12.1より古いクライアント・ライブラリにリンクされている、およびプラガブル・データベースに接続されているOCIアプリケーションでは、通常(共通以外)のユーザーとして接続した場合、高速アプリケーション通知(FAN)高可用性(HA)機能は利用できません。回避策として、そのようなアプリケーションは共通ユーザーとして接続します。この制限は、リリース12.1のOCIクライアントには存在しません。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文を使用して、1つのプラガブル・データベースから別のプラガブル・データベースへのOCI接続を切り替えることができます。ただし、ALTER SESSION SET CONTAINER
文を使用してプラガブル・データベース間の切替えを行うアプリケーションでは、次に示すように使用方法がOCI制限と一貫していることを確認する必要があります。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文は、OCI移行可能セッション(ログイン中にOCI_MIGRATE
モードで作成されたセッションなど)には使用できず、この組合せではORA-65135
エラーが発生します。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文はOCI接続プール(古いOCI接続プールAPI)にはサポートされておらず、この組合せではORA-65135
エラーが発生します。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文は、OCIセッションの切替え(複数のOCIユーザー・ハンドルで同じOCIサーバー・ハンドルを共有)ではサポートされていません。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文は、アプリケーションでOCIのTIMESTAMP WITH TIMEZONE
またはTIMESTAMP WITH LOCAL TIMEZONE
データ型が使用されている場合、およびデータベースのタイムゾーン設定またはデータベースのタイムゾーン・ファイル・バージョン設定が異なるプラガブル・データベース間の切替えがアプリケーションで行われる場合は、TIMESTAMP WITH TIMEZONE
やTIMESTAMP WITH LOCAL TIMEZONE
データ型で誤ったデータが読み取られたり、書き込まれたりする可能性があるため、サポートされていません。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文は、コマンドを使用してキャラクタ・セットが異なる2つのプラガブル・データベース間でOCI接続の切替えが行われる場合、キャラクタ・タイプに誤ったデータが読み取られたり、書き込まれたりする可能性があるため、サポートされていません。
クライアントが最初にEXTENDED MAX_STRING_SIZE
設定でコンテナに接続された後、同じセッション内で、STANDARD MAX_STRING_SIZE
設定で別のコンテナに切り替えられた(ALTER SESSION SET CONTAINER
文を使用して)場合、4000バイトを超えるバインド変数を使用しようとすると後続のOCIStmtExecute()コールでORA-14697
エラーが発生します。MAX_STRING_SIZE
の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
実行されたものとは異なるコンテナのコンテキスト内で、OCIStmtFetch()またはOCIStmtFetch2()を使用して、OCI文ハンドルからのフェッチを試行すると、ORA-65108
エラーが発生します。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文をOCIで実行する場合、OCIクライアント結果キャッシュは無効になります。
高速アプリケーション通知(FAN)および実行時接続ロード・バランシング通知は、ALTER SESSION SET CONTAINER
文を使用してプラガブル・データベース間の接続の切替えが行われるアプリケーションにはサポートされていません。
ALTER SESSION SET CONTAINER
文は、現在のトランザクションが存在する場合は読取り専用に設定するため、OCIトランザクション・コール(OCITransStart()、OCITransDetach()、OCITransCommit()、OCITransRollback()、OCITransPrepare()、OCITransMultiPrepare() およびOCITransForget())を実行しようとするといずれも新しいコンテナでエラーが発生します。これらのコールを発行するには、元のコンテナに切り替える必要があります。
OCISubscriptionUnRegister()コールが、誤ったコンテナ(対応するOCISubscriptionRegister()コールが実行されたものとは異なるコンテナ)のコンテキスト内で試行される場合、ORA-24950
が戻されます。
OCI_PTYPE_DATABASE
を含んだOCIDescribeAny()コールでは、接続先のデータベースが記述されます。ALTER SESSION SET CONTAINER
文の実行後、アプリケーションで現在のデータベースの記述の確認が求められる場合は、OCIDescribeAny()
コールを再発行する必要があります。
異なるコンテナからのオブジェクトを操作するのに使用されるOCI任意データ、コレクションまたはオブジェクト関数へのコールはサポートされていません。
OCIObjectFlush()コールは、OCIObjectNew()コールを使用してオブジェクト・インスタンスが作成されたコンテナでのみサポートされます。
OCIObjectFlush()は、ALTER SESSION SET CONTAINER
文を使用してコンテナを切り替える前に呼び出すことをお薦めします。OCIObjectFlush()
コールは、いずれのトランザクションも開始されていない場合、トランザクションを開始することに注意してください。
コンテナの切替え後に実行されたOCIObjectFlush()は、トランザクションが同じセッションによって別のコンテナですでに開始されている場合(暗黙的なDMLの結果として、またはOCIObjectFlush()
コールの結果として)、エラーを戻すことがあります。
OCIObjectFlush()コールは、OCIObjectFlush()
コールが発行されたコンテナのコンテキスト内で使用済となったオブジェクトのみをフラッシュします。
バージョンのセッション属性は、ALTER SESSION SET CONTAINER
文で変更することがあります。アプリケーションでこれらの属性がキャッシュされる場合、これらの設定はALTER SESSION SET CONTAINER
文の後、同じでなくなる可能性があります。OCIAttrGet()コールで取得可能な属性、およびALTER SESSION SET CONTAINER
文で変更する可能性がある属性の例を次に示します。
Oracle Database 11gリリース2より、Oracle Streamsで、高パフォーマンスな、Oracle DatabaseとOracle以外のデータベース、非RDBMS Oracle製品、ファイル・システム、サード・パーティ・ソフトウェア製品などと間のほぼリアルタイムの情報共有インフラストラクチャを実現する、eXtended Streams (XStream) OutとXStream Inと呼ばれる拡張APIが提供されるようになりました。
XStreamは、Streamsインフラストラクチャ上に構築されます。
関連項目:
XStream Outは、リモート・クライアントのアウトバウンド・サーバーへの連結(Streams適用プロセス)、および論理変更レコード(LCR)形式での行変更の抽出を可能にします。
XStream Outを使用するには、他のStreams設定と同様、取得プロセスおよび適用プロセスを作成する必要があります。LOB、LONG
およびXMLType
など、Oracle Streamsでサポートされるすべてのデータ型がXStreamでサポートされます。そのような適用プロセスはアウトバウンド・サーバーと呼ばれます。取得およびアウトバウンド・サーバーは、同一のデータベース・インスタンス上にある場合とない場合があります。取得およびアウトバウンド・サーバーの開始後、行変更が取得され、アウトバウンド・サーバーに送信されます。外部クライアントは、OCIを使用してこのアウトバウンド・サーバーに接続できます。接続の確立後は、アウトバウンド・サーバーからのLCRの待機中、クライアントをループさせることができます。クライアントでは、クライアント側のコールバックがLCRが受信されるたびに起動されるように登録できます。必要に応じていつでもクライアントをアウトバウンド・サーバーから連結解除できます。再起動時には、アウトバウンド・サーバーはREDOストリームのどの位置でクライアントへのLCRのストリームを開始するか認識しています。
関連項目:
LCRの基本は、『Oracle Streams概要および管理』を参照してください
XStreamの概念の詳細は、Oracle Database XStreamガイドを参照してください
LCRストリームは反復可能である必要があります。
LCRストリームには、アセンブルおよびコミット済のトランザクションのリストが含まれている必要があります。
1つのトランザクションからのLCRは連続しています。LCRストリーム内にはトランザクションのインターリーブはありません。
LCRストリーム内の各トランザクションには、LCRの順序付きリストとトランザクションIDが含まれている必要があります。
各トランザクションの最後のLCRにはコミットLCRが含まれている必要があります。
各LCRは固有の位置を持つ必要があります。
1つのトランザクション内およびトランザクション間のすべてのLCRの位置は、確実に増加する必要があります。
アウトバウンド・サーバーまたはクライアントが異常終了した場合、この2つの間の接続は自動的に切断されます。再起動後に適切にリカバリされるようにするには、クライアントで処理済最低位置がメンテナンスされる必要があります。
処理済最低位置は、その位置以降、すべてのLCRがクライアントで処理されたことを示します。この位置は、各トランザクションの適用中にクライアント側でメンテナンスされる必要があります。クライアントでXStream Out APIが実行される間、この位置は定期的にサーバーに送信されます。この位置によって、その位置以降のすべてのLCRがクライアントで処理されたことがサーバーに示されるため、サーバーでは必要がなくなったREDOログを削除できます。
再起動するとすぐに、クライアントはアウトバウンド・サーバーに再度アタッチする必要があります。アタッチ・コールの間、クライアントは、受信した最後の位置をアウトバウンド・サーバーに通知できます。次に、アウトバウンド・サーバーは、この最後の位置より大きい位置を持つLCRを送信します。クライアントが最後の位置を指定しない場合(つまり、NULL
を指定した場合)、アウトバウンド・サーバーはシステム表から処理済最低位置を取得し、開始位置を導出してREDOログを調べます。次に、この処理済最低位置より大きい位置を持つLCRをクライアントに送信します。
非OracleデータをOracle Databaseにレプリケートするには、XStream Inを使用します。これにより、リモート・クライアントのインバウンド・サーバーへの連結(Streams適用プロセセス)、およびLCR形式での行およびDDL変更の送信が可能になります。
外部クライアント・アプリケーションは、OCIを使用してこのインバウンド・サーバーに接続されます。接続の確立後、クライアント・アプリケーションは、LCRをストリームすることによりインバウンド・サーバーの取得エージェントとして機能します。クライアント・アプリケーションは、データベース接続ごとに1つのインバウンド・サーバーにのみ連結できます。各インバウンド・サーバーには1つのクライアントのみを連結できます。
XStream Inでは、Oracle Streamsの次の機能が使用されます。
適用プロセスおよびオプションの適用プロセスの並列を使用した、DML変更の高パフォーマンス処理。
SQL生成、競合検出と解決、エラー処理および適用ハンドラを使用した処理のカスタマイズなどの適用プロセス機能。
ラウンド・トリップが最小限である情報のネットワーク伝達ストリーム。
XStream Inでは、LOB、LONG
、LONG
RAW
およびXMLType
など、Oracle Streamsでサポートされているすべてのデータ型がサポートされています。クライアント・アプリケーションから、LOBおよびXMLType
データがチャンクでインバウンド・サーバーに送信されます。複数のチャンクで単一のLOBまたはXMLType
の列値が構成されます。
処理済最低位置は、その位置以降、インバウンド・サーバーでLCRが必要とされないことを示します。この位置は、取得プロセスで取得された変更を適用するOracle Streams適用プロセスの最も古いSCNに対応します。
処理済最低位置は、この位置以下のLCRがインバウンド・サーバーで処理済であることを示します。クライアントがインバウンド・サーバーに再連結される場合、インバウンド・サーバーでこの処理済最低位置以下のすべてのLCRは破棄されるため、この処理済最低位置より上のLCRのみがそれから送信される必要があります。
クライアント・アプリケーションが異常終了した場合は、クライアント・アプリケーションとインバウンド・サーバー間の接続は自動的に切断されます。再起動時、クライアント・アプリケーションで処理済最低位置がインバウンド・サーバーから取り出され、この処理済最低位置から変更を取り出すように取得エージェントに指示が出されます。
XStream Inインタフェースを使用してクライアント・アプリケーションのリカバリ時間を制限するため、クライアント・アプリケーションから空のトランザクションなどのアクティビティを定期的にインバウンド・サーバーに送信できます。サーバーに送信するLCRが存在しない場合、インバウンド・サーバーの処理済最低位置に進むように、コミット・ディレクティブとともに行LCRをクライアントから送信できます。このアクティビティは、インバウンド・サーバーの処理済最低位置を進めることができるという承認の役割を果たします。インバウンド・サーバーに送信されるLCRストリームは、前述のXStream OutのLCRストリーム・プロパティに従う必要があります。
XStreamsのセキュリティ特性について説明します。
XStream Outでは、システム・レベルの権限を必要とせずに、通常のユーザーによるLCRの取り出しが可能です。DBAロールなどのシステム・レベルの権限は、XStream Outの構成に必要です。XStream Outを構成するユーザーは、LCRを取得するためのアウトバウンド・サーバーへの連結が可能な接続ユーザーとして通常のユーザーを指定できます。
XStream Inでは、通常ユーザーはXStream Inの構成に必要なシステム・レベルの特権(DBAなど)を必要とせずに、独自のスキーマで表を更新できます。
XStreamでは、インバウンドまたはアウトバウンド・サーバーに接続されたユーザーが信頼できるか想定できません。
OCIクライアントは、データベースで作成されたXStreamアウトバウンドまたはインバウンド・サーバーにアタッチする前に、Oracle Databaseに接続する必要があります。接続済のユーザーは、アタッチしたアウトバウンド・サーバーで構成されたconnect_user
またはアタッチしたインバウンド・サーバーで構成されたapply_user
と同じである必要があります。同じでない場合は、エラーが発生します。
関連項目:
Oracle XStreamsの構成の詳細は、Oracle Database XStreamガイドを参照してください
脚注の凡例
脚注 1:クライアントとサーバーのタイム・ゾーン・ファイルが一致しない(リージョンが同期化されていない)場合は、ORA-01805
エラーが戻されます。リージョン・タイム・ゾーン値が同じ(UTCで同じインスタントを示す)場合は、TIME ZONE
オフセットが異なっていてもOCI_SUCCESS
が戻されます。