「Oracle RACのクローニングの準備」の項で説明した前提条件のタスクを完了した後、クローニングしたOracleホームをデプロイできます。
次のように、Oracle RACデータベース・ホームをクラスタにデプロイします。
ご使用のプラットフォームに固有のOracle RACインストール・ガイドの説明に従い、次のようなOracle RACのインストール前のタスクを実行して新しいクラスタ・ノードを準備します。
カーネル・パラメータを指定します。
Oracle Clusterwareがアクティブであることを確認します。
Oracle ASMがアクティブであり、少なくとも1つのOracle ASMディスク・グループが存在し、マウント済であることを確認します。
次のように、Oracle RACデータベース・ソフトウェアをデプロイします。
Oracleホームのクローンをすべてのノードにコピーします。次に例を示します。
[root@node1 root]# mkdir -p /opt/oracle/product/12c/db
[root@node1 root]# cd /opt/oracle/product/12c/db
[root@node1 db]# tar –zxvf /path_name/db1120.tgz
ホームの位置とpath_name
の指定では、ホームの位置を、tarの作成に使用したソース・ホームと同じディレクトリ・パスにすることも、異なるディレクトリ・パスにすることもできます。
oracle
ユーザーまたはoinstall
グループ(あるいはその両方)が、ソース・ノードと宛先ノード間で異なる場合は、次のように、Oracle Inventoryファイルの所有権を変更します。
[root@node1]# chown -R oracle:oinstall /opt/oracle/product/12c/db
Oracle RACホームで前述のコマンドを実行すると、Oracleバイナリからsetuid
とsetgid
の情報が消去されます。
次のように、主なOracle RACクローニング・タスクを実行するclone.pl
スクリプトを各ノードで実行します。
表8-2および表8-3に示すように、start.sh
スクリプトに環境変数とクローニング・パラメータを指定します。clone.pl
スクリプトでは、渡されるパラメータが厳密に識別されるため、括弧、一重引用符および二重引用符を正確に使用する必要があります。
oracle
またはOracle RACソフトウェアを所有するユーザーとしてスクリプトを実行します。
次の表に、clone.pl
スクリプト・パラメータとその説明を示します。
表8-1 clone.plスクリプト・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
ORACLE_HOME=Oracle_home
|
クローニングするOracleホームへの完全なパス。無効なパスを指定すると、スクリプトは終了します。このパラメータは必須です。 |
ORACLE_BASE=ORACLE_BASE
|
クローニングするOracleベースへの完全なパス。無効なパスを指定すると、スクリプトは終了します。このパラメータは必須です。 |
ORACLE_HOME_NAME=
Oracle_home_name |
-defaultHomeName
|
クローニングするホームのOracleホーム名。必要に応じて、 |
ORACLE_HOME_USER=Oracle_home_user
|
Windowsサービス用のOracleホーム・ユーザー。このパラメータはWindowsにのみ適用でき、オプションです。 |
OSDBA_GROUP=group_name
|
OSDBA権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
OSOPER_GROUP=group_name
|
OSOPER権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
OSASM_GROUP=group_name
|
OSASM権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
OSBACKUPDBA_GROUP=group_name
|
OSBACKUPDBA権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
OSDGDBA_GROUP=group_name
|
OSDGDBA権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
OSKMDBA_GROUP=group_name
|
OSKMDBA権限が付与されたグループとして使用するオペレーティング・システム・グループを指定します。このパラメータは省略可能です。 |
-debug |
このオプションは、 |
-help |
このオプションは、 |
関連項目:
プラットフォーム用の前述の表に表示されたオペレーティング・システム・グループの詳細は、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド』を参照してください。
次の例に、clone.pl
スクリプトをコールするstart.sh
スクリプトからの抜粋を示します。
ORACLE_BASE=/opt/oracle ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/12c/db cd $ORACLE_HOME/clone THISNODE='host_name' E01=ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/12c/db E02=ORACLE_HOME_NAME=OraDBRAC E03=ORACLE_BASE=/opt/oracle C01="-O CLUSTER_NODES={node1,node2}" C02="-O LOCAL_NODE=$THISNODE" perl $ORACLE_HOME/clone/bin/clone.pl $E01 $E02 $E03 $C01 $C02
次の表に、前の例に太字で示されている環境変数E01、E02およびE03とその説明を示します。
表8-2 clone.plスクリプトに渡される環境変数
記号 | 変数 | 説明 |
---|---|---|
E01 |
|
Oracle RACデータベース・ホームの位置。このディレクトリ位置が存在し、Oracleオペレーティング・システム・グループ |
E02 |
|
Oracle RACデータベースのOracleホームの名前。Oracleインベントリに格納されています。 |
E03 |
|
Oracleベース・ディレクトリの位置。 |
次の表に、前の例に太字で示されているクローニング・パラメータC01およびC02とその説明を示します。
表8-3 clone.plスクリプトに渡されるクローニング・パラメータ。
変数 | 名前 | パラメータ | 説明 |
---|---|---|---|
C01 |
|
クラスタ内のノードのリストを表示します。 |
|
C02 |
ローカル・ノードの名前。 |
次の例に、ユーザーが作成する必要があり、clone.pl
スクリプトをコールするstart.bat
スクリプトからの抜粋を示します。
set ORACLE_home=C:\oracle\product\12c\db1
cd %ORACLE_home%\clone\bin
set THISNODE=%hostname%
set E01=ORACLE_HOME=%ORACLE_home%
set E02=ORACLE_HOME_NAME=OraDBRAC
set E03=ORACLE_BASE=Oracle_Base
set C01="CLUSTER_NODES={node1,node2}"
set C02="-O LOCAL_NODE=%THISNODE%"
perl clone.pl %E01% %E02% %E03% %C01% %C02%
注意:
この手順は、LinuxおよびUNIXのインストールに対してのみ実行します。
ノードでclone.pl
プロシージャが完了した後、すぐにroot
オペレーティング・システム・ユーザーとして$ORACLE_HOME/root.sh
を実行します。
[root@node1 root]# /opt/oracle/product/12c/db/root.sh -silent
各ノードでスクリプトを同時に実行できます。
[root@node2 root]# /opt/oracle/product/12c/db/root.sh -silent
各ノードでスクリプトが完了していることを確認し、次の手順に進みます。
注意:
すべてのノードのOracle RACインスタンスを作成する場合、クラスタの1つのノードでDBCAを実行するだけで済みます。
この手順では、DBCAをサイレント・モードで実行し、レスポンス・ファイルに入力してOracle RACインスタンスを作成する方法を示します。
次の例では、ERIという名前のOracle RACデータベースを各ノードで作成し、各ノードにデータベース・インスタンスを作成し、そのインスタンスをOCRに登録し、DATA
と呼ばれるOracle ASMディスク・グループにデータベース・ファイルを作成し、サンプル・スキーマを作成します。また、SYS
、SYSTEM
、SYSMAN
およびDBSNMP
パスワードをpassword
(各アカウントのパスワード)に設定します。
[oracle@node1 oracle]$ export ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/12c/db [oracle@node1 oracle]$ cd $ORACLE_HOME/bin/ [oracle@node1 bin]$./dbca -silent -createDatabase -templateName General_Purpose.dbc \ -gdbName ERI -sid ERI \ -sysPassword password -systemPassword password \ -sysmanPassword password -dbsnmpPassword password \ -emConfiguration LOCAL \ -storageType ASM -diskGroupName DATA \ -datafileJarLocation $ORACLE_HOME/assistants/dbca/templates \ -nodelist node1,node2 -characterset WE8ISO8859P1 \ -obfuscatedPasswords false -sampleSchema true
関連項目:
DBCAを使用したデータベースの作成と構成の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。