プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド
12cリリース1 (12.1)
B71323-07
目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
次

Oracle RACの概要

非クラスタのOracle Databaseには、Oracle Databaseとインスタンス間に1対1関係があります。しかし、Oracle RAC環境では、データベースとインスタンス間に1対多の関係があります。Oracle RACデータベースには最大100のインスタンスが存在でき、Foot 1それらすべてが1つのデータベースにアクセスします。すべてのデータベース・インスタンスは同じインターコネクトを使用する必要があり、Oracle Clusterwareもこれを使用します。

各Oracle RACデータベース・インスタンスには次のものも存在するため、Oracle RACデータベースは、非クラスタのOracle Databaseとアーキテクチャが異なります。

複数のサーバーの処理能力を組み合せることによって、単一のサーバーの場合よりも優れたスループットおよびOracle RACスケーラビリティを実現できます。

クラスタは、相互に接続された複数のコンピュータまたはサーバーで構成され、エンド・ユーザーおよびアプリケーションからは1つのサーバーとして認識されます。Oracle DatabaseとともにOracle RACオプションを使用すると、Oracle Databaseをクラスタ化できます。Oracle RACでは、インフラストラクチャとしてOracle Clusterwareを使用し、複数のサーバーを関連付けてそれらが単一のシステムとして動作するように構成します。

Oracle Clusterwareは、Oracle Databaseと統合された、ポータブルなクラスタ管理ソリューションです。Oracle Clusterwareは、Oracle RACの実行に必要なインフラストラクチャを提供するOracle RACを使用するために必要なコンポーネントです。Oracle Clusterwareでは、仮想インターネット・プロトコル(VIP)・アドレス、データベース、リスナー、サービスなどのリソースも管理します。さらに、Oracle Clusterwareによって、非クラスタのOracle DatabaseとOracle RACデータベースの両方で、Oracle高可用性インフラストラクチャを使用できます。Oracle ClusterwareとOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM) (この2つは一緒になってOracle Grid Infrastructureを構成します)が一緒になることによって、非クラスタとOracle RACデータベースの任意の組合せで使用されるストレージのクラスタ化プールを作成できます。

Oracle RACが動作するほとんどのプラットフォームにおいて、必要なクラスタウェアはOracle Clusterwareのみです。データベース・アプリケーションでベンダー・クラスタウェアが必要とされている場合、このベンダー・クラスタウェアがOracle RAC用に認証されていれば、このクラスタウェアはOracle Clusterwareとともに使用できます。

関連項目:

詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』および『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

図1-1に、Oracle DatabaseのオプションであるOracle RACにより、複数のサーバーが1つのOracle Databaseにアクセスするための単一のシステム・イメージが提供される方法を示します。Oracle RACでは、各Oracleインスタンスは異なるサーバー上で実行する必要があります。

図1-1 Oracle RACアーキテクチャでのOracle Database

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle RACアーキテクチャでのOracle Database」の説明

従来、Oracle RAC環境は、1つのデータ・センターにあります。しかし、Oracle RACを拡張遠距離クラスタに構成でき、これは、サイト障害からの非常に高速なリカバリを実現し、すべてのサイトのすべてのノードで単一のデータベース・クラスタの一部としてアクティブにトランザクションを処理できるアーキテクチャです。拡張クラスタでは、クラスタ内のノードは通常、2つのファイア・セルの間、2つの部屋や建物の間、2つの異なるデータ・センターや都市の間など、地理的に分散されます。可用性の理由から、データを両方のサイトに配置する必要があり、これにより、記憶域に対してディスク・ミラーリング技術の実装が必要になります。

このアーキテクチャの実装を選択する場合、特に距離、待機時間および提供される保護の程度を考慮し、このアーキテクチャがビジネスに対してよい解決策となるかどうかを評価する必要があります。拡張クラスタ上のOracle RACは、ローカルのOracle RACクラスタで可能となるよりも優れた高可用性を実現しますが、組織の障害時リカバリ要件を満たすとはかぎりません。適切な分離は一部の災害(局所的停電、サーバー室の冠水など)に対する有効な保護策となりますが、あらゆる種類の障害に効果があるわけではありません。破損や地域災害に対する防御を含む災害に対する包括的な保護策として、『Oracle Database高可用性概要』および次のMaximum Availability Architecture(MAA) Webサイトで説明するように、Oracle RACとともにOracle Data Guardを使用することをお薦めします。

http://www.oracle.com/technology/deploy/availability/htdocs/maa.htm

Oracle RACは、すべてのタイプのアプリケーションに対して高可用性および高スケーラビリティを提供する特殊な技術です。また、Oracle RACインフラストラクチャは、Oracleエンタープライズ・グリッド・コンピューティング・アーキテクチャを実装するための主要なコンポーネントです。複数のインスタンスが単一のデータベースにアクセスすることで、サーバーがシングル・ポイント障害になることを防止できます。Oracle RACを使用すると、小規模な汎用サーバーをクラスタに組み込んで、ミッション・クリティカルなビジネス・アプリケーションをサポートするスケーラブルな環境を構築できます。Oracle RACデータベースにデプロイするアプリケーションは、コードを変更せずに使用できます。



脚注の説明

脚注1:

Oracle Database 10gリリース2 (10.2)以上の場合、Oracle Clusterwareは、Oracle Clusterware標準クラスタ内で100のノードをサポートし、これらのノード上の1つの本番データベースに属する100のデータベース・インスタンスを実行するオプションを備えています。