ハードウェアやソフトウェアのアップグレードなどのシステム変更を行う前に、通常は変更内容を検証するためにテスト環境で広範囲なテストが実行されます。ただし、テストを実行しても、テストには実際のワークロードを使用していないため、新規システムの本番運用が開始されると、しばしば予期しない動作が発生します。テスト中に実際のワークロードをシミュレートできないことは、システム変更を検証する際の最大の問題点の1つです。
データベース・リプレイでは、テスト・システムで本番環境のワークロードを実質的に再現し、システム変更の現実的なテストを可能にします。データベース・リプレイを使用すると、本番システムのワークロードを取得して、それを元のワークロードとまったく同じタイミング、同時実行性およびトランザクション特性に従ってテスト・システムでリプレイできます。これにより、変更の影響(望ましくない結果、新しい競合ポイント、計画の品質低下など)を詳細に評価できます。広範な分析およびレポートを利用して、新しく発生したエラーやパフォーマンスの相違など、起こりうる問題の特定に役立てることができます。
データベース・リプレイでは、外部データベース・クライアントのワークロードをデータベース・レベルで取得するもので、パフォーマンス・オーバーヘッドはごくわずかです。本番ワークロードを取得することで、シミュレーション・ワークロードやスクリプトを開発する必要がなくなり、コストと時間を大幅に節約できます。データベース・リプレイを使用すると、以前であれば負荷シミュレーション・ツールを使用して何か月もかかっていた複雑なアプリケーションの現実的なテストが、数日で完了します。これにより、より高度な信頼性をより少ないリスクで確保しながら、変更を迅速にテストして新しいテクノロジを導入できます。
データベース・リプレイを使用すると、次のような重要なシステム変更をテストできます。
データベースおよびオペレーティング・システムのアップグレード
PDBおよび手動で統合したスキーマのデータベース統合テスト
ワークロードのスケールアップの様々なシナリオのオーサリングおよび実験
構成の変更(シングル・インスタンスからOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境へのデータベースの変換など)
ストレージ、ネットワークおよびインターコネクトの変更
オペレーティング・システムおよびハードウェアの移行
関連項目:
データベース・リプレイの使用の詳細は、「データベース・リプレイの概要」を参照してください。