SALESでの問合せ(例5-1を参照)と同様の問合せを作成し、職種がSA_MANの従業員のみでなく、様々な職種の従業員のリストを表示するとします。この場合、コマンドの実行ごとに異なる値を編集してWHERE句に挿入する方法もありますが、さらに簡単な方法があります。
WHERE句のテキストSA_MANのかわりに置換変数を使用すると、コマンド自体に値を書き込んだ場合と同じ結果が得られます。
置換変数は、前に1つまたは2つのアンパサンド(&)を付けたものです。SQL*Plusでは、コマンド内で置換変数が検出されると、そのコマンドに置換変数自体ではなく置換変数の値が含まれている場合と同様に、コマンドを実行します。
変数SORTCOLの値がJOB_IDで、変数MYTABLEの値がEMP_DETAILS_VIEWの場合のコマンド例を次に示します。
SELECT &SORTCOL, SALARY FROM &MYTABLE WHERE SALARY>12000;
このコマンドは、次のコマンドと同様に実行されます。
SELECT JOB_ID, SALARY FROM EMP_DETAILS_VIEW WHERE SALARY>12000;
置換変数は、SQLコマンドおよびSQL*Plusコマンド内の任意の位置で使用できますが、最初に入力する単語としては使用できません。SQL*Plusでは、コマンド内で未定義の置換変数が検出された場合、値の入力を求めるプロンプトが表示されます。
このプロンプトには、任意の文字列を入力できます。空白および句読点を含む文字列も入力できます。参照を含むSQLコマンドで、置換変数を引用符で囲む必要がある場所に引用符が挿入されていない場合は、プロンプトが表示されたときに引用符を挿入する必要があります。
SQL*Plusでは、キーボードからの応答が読み込まれます。これは、端末の入力または出力をファイルへリダイレクトした場合でも同様です。端末が使用できない場合(たとえば、バッチ・モードでスクリプトを実行した場合)、SQL*Plusではリダイレクトされたファイルが使用されます。
プロンプトで値を入力すると、置換変数が含まれている行が2回表示されます。1回は入力した値に置換される前、もう1回は置換後です。この表示は、SETコマンドのVERIFY変数をOFFに設定すると非表示にできます。
Created file STATS
この時点で、次のようにスクリプトSTATSを実行します。
@STATS
値の入力を求めるプロンプトに次のように応答します。
Enter value for group_col: JOB_ID old 1: SELECT &GROUP_COL, new 1: SELECT JOB_ID, Enter value for number_col: SALARY old 2: MAX(&NUMBER_COL) MAXIMUM new 2: MAX(SALARY) MAXIMUM Enter value for table: EMP_DETAILS_VIEW old 3: FROM &TABLE new 3: FROM EMP_DETAILS_VIEW Enter value for group_col: JOB_ID old 4: GROUP BY &GROUP_COL new 4: GROUP BY JOB_ID
次の出力が表示されます。
JOB_ID MAXIMUM ---------- ---------- AC_ACCOUNT 8300 AC_MGR 12000 AD_ASST 4400 AD_PRES 24000 AD_VP 17000 FI_ACCOUNT 9000 FI_MGR 12000 HR_REP 6500 IT_PROG 9000 MK_MAN 13000 MK_REP 6000 JOB_ID MAXIMUM ---------- ---------- PR_REP 10000 PU_CLERK 3100 PU_MAN 11000 SA_MAN 14000 SA_REP 11500 SH_CLERK 4200 ST_CLERK 3600 ST_MAN 8200 19 rows selected.
置換変数の直後に文字を追加する場合は、変数と文字の区切りにピリオドを使用します。次に例を示します。
SELECT SALARY FROM EMP_DETAILS_VIEW WHERE EMPLOYEE_ID='&X.5'; Enter value for X: 20
これは、次のように解釈されます。
SELECT SALARY FROM EMP_DETAILS_VIEW WHERE EMPLOYEE_ID='205';
例5-9 置換変数の使用
数値列についてのサブグループ統計(最大値)の計算に使用するSTATSというスクリプトを、次のように作成します。
SELECT &GROUP_COL, MAX(&NUMBER_COL) MAXIMUM FROM &TABLE GROUP BY &GROUP_COL . SAVE STATS
ファイルSTATSを拡張して、数値列の最小値、合計および平均値を含めるとします。例5-9では、値の入力を求めるSQL*PlusプロンプトがGROUP_COLに対して2回、NUMBER_COLに対して1回表示されます。それぞれのGROUP_COLまたはNUMBER_COLの前にはアンパサンドが1つ付いています。さらに3つのファンクションを、それぞれの前にアンパサンドを1つ付けてスクリプトに追加した場合は、合計で4回、数値列の値の入力を求めるプロンプトが表示されます。
グループ列および数値列の入力を求めるプロンプトが再度表示されないようにするには、STATS内でそれぞれのGROUP_COLおよびNUMBER_COLの前にもう1つのアンパサンドを追加します。SQL*Plusでは、前に2つのアンパサンドが付いた置換変数が自動的に定義(DEFINE)され、前に1つのみのアンパサンドが付いた置換変数は定義(DEFINE)されません。変数が定義済である場合、現行のセッションでは、変数の値の入力を求めるプロンプトは表示されません。
SELECT &GROUP_COL, MAX(&NUMBER_COL) MAXIMUM FROM &TABLE GROUP BY &GROUP_COL
2
2* MAX(&NUMBER_COL) MAXIMUM
APPEND ,
2* MAX(&NUMBER_COL) MAXIMUM,
CHANGE/&/&&
2* MAX(&&NUMBER_COL) MAXIMUM,
I
3i
MIN (&&NUMBER_COL) MINIMUM,
4i
SUM(&&NUMBER_COL) TOTAL,
5i
AVG(&&NUMBER_COL) AVERAGE
6i
1
1* SELECT &GROUP_COL,
CHANGE/&/&&
1* SELECT &&GROUP_COL,
7
7* GROUP BY &GROUP_COL
CHANGE/&/&&/
7* GROUP BY &&GROUP_COL
SAVE STATS2
Created file STATS2
最後に、スクリプトSTATS2を実行し、プロンプトに次のように応答します。
START STATS2 Enter value for group_col: JOB_ID Enter value for number_col: SALARY Enter value for table: EMP_DETAILS_VIEW
次の出力が表示されます。
JOB_ID MAXIMUM MINIMUM TOTAL AVERAGE ---------- ---------- ---------- ---------- ---------- AC_ACCOUNT 8300 8300 8300 8300 AC_MGR 12000 12000 12000 12000 AD_ASST 4400 4400 4400 4400 AD_PRES 24000 24000 24000 24000 AD_VP 17000 17000 34000 17000 FI_ACCOUNT 9000 6900 39600 7920 FI_MGR 12000 12000 12000 12000 HR_REP 6500 6500 6500 6500 IT_PROG 9000 4200 28800 5760 MK_MAN 13000 13000 13000 13000 MK_REP 6000 6000 6000 6000 JOB_ID MAXIMUM MINIMUM TOTAL AVERAGE ---------- ---------- ---------- ---------- ---------- PR_REP 10000 10000 10000 10000 PU_CLERK 3100 2500 13900 2780 PU_MAN 11000 11000 11000 11000 SA_MAN 14000 10500 61000 12200 SA_REP 11500 6100 250500 8350 SH_CLERK 4200 2500 64300 3215 ST_CLERK 3600 2100 55700 2785 ST_MAN 8200 5800 36400 7280 19 rows selected.
NUMBER_COLおよびGROUP_COLの値の入力を求めるプロンプトは、1回のみ表示されます。現行セッションでSTATS2を再実行する場合、TABLEの入力を求めるプロンプトは表示されます(この変数は、名前に1つのアンパサンドが付いていて定義(DEFINE)されないため)が、GROUP_COLまたはNUMBER_COLの入力を求めるプロンプトは表示されません(これらの変数は、名前に二重アンパサンドが付いていて定義(DEFINE)されるため)。
先へ進む前に、次のように入力してシステム変数VERIFYの設定をONに戻します。
SET VERIFY ON
例5-10 二重アンパサンドの使用方法
二重アンパサンドを使用してスクリプトSTATSを拡張した後にそのスクリプトを実行するには、まず、次のように入力して置換の前後に各行が表示されないようにします。
SET VERIFY OFF
この時点で、次のコマンドを入力してSTATSを取得し、編集します。
GET STATS
システム変数の詳細は、「SET」を参照してください。