データ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティの起動時、接続文字列には接続識別子を指定できます。この識別子では、現行のOracleシステム識別子(SID)によって指定した現行のインスタンスとは別のデータベース・インスタンスを指定できます。接続識別子には、Oracle*Net接続記述子または接続記述子にマップするネット・サービス名(通常、tnsnames.ora
ファイルで定義される)を指定できます。接続識別子を使用するには、Oracle Net Listenerが実行中であることが必要です(デフォルト・リスナーを起動するには、lsnrctl
start
と入力します)。次に、inst1
が接続識別子である場合のこのタイプの接続の例を示します。
expdp hr@inst1 DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp TABLES=employees
エクスポートによってパスワードの入力を要求されます。
Password: password
ローカル・エクスポート・クライアントは接続識別子inst1
(ネット・サービス名)によって定義されるデータベース・インスタンスに接続し、inst1
からデータを取得し、データをinst1
のダンプ・ファイルhr.dmp
に書き込みます。
エクスポート・ユーティリティの起動時に接続識別子を指定することと、NETWORK_LINK
パラメータを使用してエクスポート操作を実行することは異なります。エクスポート操作を開始して接続識別子を指定すると、接続識別子によって識別されたデータベース・インスタンスにローカルのエクスポート・クライアントが接続され、データベース・インスタンスのデータが取得され、そのデータベース・インスタンスのダンプ・ファイル・セットにデータが書き込まれます。一方、NETWORK_LINK
パラメータを使用してエクスポートを実行すると、エクスポートはデータベース・リンクを使用して実行されます。(データベース・リンクとは2つの物理データベース・サーバー間の接続で、データベース・リンクによってクライアントは2つの物理データベース・サーバーに1つの論理データベースとしてアクセスできます。)
関連項目:
データベース・リンクの詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください。
接続識別子およびOracle Net Listenerの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。