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Oracle® Databaseユーティリティ
12cリリース1 (12.1.0.2)
B71303-09
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定義

次に、ADRCIおよびOracle Databaseの故障診断機能インフラストラクチャで使用される用語の定義を示します。

自動診断リポジトリ(ADR)

自動診断リポジトリ(ADR)は、データベース診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログ、状態モニターのレポートなど)のファイルベース・リポジトリです。複数のインスタンスや製品にまたがる一元化されたディレクトリ構造を持っています。リリース11g以上では、データベース、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)およびその他のオラクル社の製品やコンポーネントは、すべての診断データをADRに格納します。各製品のインスタンスはそれぞれ、診断データを独自のADRホーム・ディレクトリの下に配置します(「ADRホーム」を参照)。たとえば、共有記憶域とASMを使用するOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境では、各データベース・インスタンスおよび各Oracle ASMインスタンスがADR内にホーム・ディレクトリを持ちます。ADRの統一されたディレクトリ構造を使用することで、ユーザーおよびOracleサポート・サービスによる、複数のインスタンスおよび複数の製品間での診断データを関連付けた分析が可能になります。

問題点

問題とは、データベースで発生するクリティカル・エラーのことです。クリティカル・エラーには、ORA-00600などの内部エラーや、ORA-07445(オペレーティング・システムの例外)、ORA-04031(共有プールのメモリー不足)などのその他の重大なエラーが含まれます。問題はADRで追跡されます。各問題には、問題キーと一意の問題IDが割り当てられます(「問題キー」を参照。)

インシデント

インシデントは、問題が1回発生したことを表します。問題が複数回発生した場合は、発生ごとにインシデントが作成されます。インシデントはADR内で追跡されます。各インシデントは、数値型のインシデントIDによって識別されます。このIDはADR内で一意です。インシデントが発生すると、データベースによりアラート・ログ内にエントリが作成され、Oracle Enterprise Managerにインシデント・アラートが送信されます。次に、インシデントに関する診断データがダンプ・ファイルの形式(インシデント・ダンプ)で収集され、インシデントIDを使用してインシデント・ダンプにタグが付けられ、インシデント・ダンプがそのインシデント用に作成されたADRサブディレクトリに格納されます。

通常、クリティカル・エラーの診断と解決は、インシデント・アラートから開始されます。ADR内のすべてのインシデントのリストは、ADRCIコマンドを使用して取得できます。各インシデントは1つの問題にのみマップされます。

インシデントはフラッド制御されているため、1つの問題が生成するインシデントやインシデント・ダンプが多すぎることはありません。インシデント・フラッド制御の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

問題キー

すべての問題には問題キーが割り当てられています。問題キーはエラー・コード(ORA 600など)を含むテキスト文字列で、1つ以上のエラー・パラメータを含むことがあります。2つのインシデントは、その2つの問題キーが一致した場合に発生原因が同じとみなされます。

インシデント・パッケージ

インシデント・パッケージ(パッケージ)は、1つ以上の問題に対するインシデント・データの集合です。Oracleサポート・サービスにインシデント・データを送信する前に、インシデント・パッケージング・サービス(IPS)を使用してパッケージにデータを収集する必要があります。パッケージを作成した後は、パッケージに外部ファイルを追加したり、パッケージ内からファイルを選択して削除することや、パッケージ内で選択したファイルを修正(編集)して機密データを削除することも可能です。

パッケージは、パッケージの内容から物理ファイルを作成するまでは論理構成のみです。つまり、インシデント・パッケージは、ADR内のメタデータの集合として開始されます。パッケージの内容を追加および削除する場合は、メタデータのみが変更されます。Oracleサポート・サービスへデータをアップロードする準備ができたら、データをZIPファイルに保存するADRCIを使用して物理パッケージを作成します。次に、ZIPファイルをOracleサポートにアップロードできます。

ファイナライズ

ADRCIで論理パッケージから物理パッケージを生成する前に、パッケージをファイナライズする必要があります。これにより、他のコンポーネントが呼び出され、相関診断データ・ファイルがこのパッケージにすでに存在するインシデントに追加されます。また、ファイナライズすることで、最新のトレース・ファイル、アラート・ログ・エントリ、状態モニター・レポート、SQLテスト・ケースおよび構成情報も追加されます。この手順は、物理パッケージが生成されると自動的に実行されますが、ADRCIユーティリティを使用して手動で実行することもできます。パッケージを手動でファイナライズした後、追加されたファイルを確認し、機密情報を含むファイルを削除または編集することができまます。

関連項目:

相関診断データの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

ADRホーム

ADRホームは、特定のオラクル社の製品またはコンポーネントの特定のインスタンスに対するすべての診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログなど)のルート・ディレクトリです。たとえば、Oracle ASMを使用するOracle RAC環境では、各データベース・インスタンスと各Oracle ASMインスタンスにADRホームがあります。すべてのADRホームは、同じ階層ディレクトリ構造を共有します。各ADRホームの標準的なサブディレクトリには、アラート(アラート・ログ)、トレース(トレース・ファイル)およびインシデント(インシデント情報)を含むものもあります。すべてのADRホームはADRベース・ディレクトリ内に配置されます。(詳細は、「ADRベース」を参照してください。)

一部のADRCIコマンドは、同時に複数のADRホームでの動作が可能です。カレントADRCIホームパスにより、ADRCIコマンドの発行時に診断データを検索するADRホームが決定されます。詳細は、「ホームパス」を参照してください。

ADRベース

複数のADRホーム間で診断データの相関付けを行うことができるようにするために、ADRホームはADRベースと呼ばれる同じルート・ディレクトリ下でグループ化されます。たとえば、Oracle RAC環境では、ADRベースが共有ディスク上に存在し、各Oracle RACインスタンスのADRホームがこのADRベース下に配置される場合があります。

データベース・インスタンスのADRベースの場所は、DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータによって設定されます。このパラメータが指定されない場合またはNULLである場合は、データベースではこのパラメータがデフォルト値に設定されます。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

複数のデータベース・インスタンスがOracleホームを共有しているときは、これらのインスタンスが複数の単一インスタンスであるかOracle RACデータベースの複数のインスタンスであるかどうかに関係なく、1つ以上のこれらのインスタンスがADRベースを異なる場所に設定している場合、最後に起動するインスタンスがADRCIのデフォルトADRベースを決定します。

ホームパス

すべてのADRCIコマンドは、カレントADRホーム内の診断データに対して動作します。常に複数のADRホームをカレントにできます。一部のADRCIコマンド(SHOW INCIDENTなど)は、すべてのカレントADRホームから診断データを検索して表示します。その他のコマンドは、1つのADRホームをとカレントとし、カレントADRホームが複数存在している場合はエラー・メッセージを表示します。

ADRCIホームパスにより、カレントであるADRホームが決定されます。これは、ADRベース階層内のディレクトリを指定することによって決定されます。1つのADRホーム・ディレクトリが指定されている場合、そのADRホームが唯一のカレントADRホームとなります。ホームパスが階層内のADRホーム・ディレクトリ・レベルより上位のディレクトリを示している場合は、そのディレクトリより下位のすべてのADRホームがカレントになります。

デフォルトでは、ADRCI起動時のホームパスはNULLです。つまり、ADRベース下のADRホームはすべてカレントになります。

SHOW HOMEおよびSHOW HOMEPATHの各コマンドは、カレントであるADRホームのリストを表示し、SET HOMEPATHコマンドはホームパスを設定します。

関連項目: