ヘッダーをスキップ
Oracle® TimesTen Application-Tier Database Cache概要
11gリリース2 (11.2.2)
B66721-03
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

1 Oracle TimesTen In-Memory DatabaseおよびTimesTen Application-Tier Database Cache

Oracle TimesTen In-Memory Database(TimesTen)は、メモリーが最適化されたリレーショナル・データベースです。今日のリアルタイム・エンタープライズおよび電子通信、資本市場、防衛などの業界で必要とされている応答性および高いスループットをアプリケーションに提供します。TimesTen Application-Tier Database Cache (TimesTen Cache)で、Oracle TimesTen In-Memory DatabaseはRDBMSエンジンとして使用されます。Oracle TimesTen In-Memory Databaseは、埋込みデータベースとしてアプリケーション層にデプロイされ、標準SQLインタフェースを使用して物理メモリーに完全に対応するデータベース上で動作します。トランザクションのリアルタイム・レプリケーションによって、インメモリー・データベースの高可用性が実現されます。

TimesTen Application-Tier Database Cache(TimesTen Cache)は、Oracle Databaseの製品オプションであり、アプリケーション層におけるレスポンス時間を向上させる目的で、パフォーマンス重視のOracle Databaseのサブセットをキャッシュするのに役立ちます。キャッシュ表は、読取り専用または更新可能にすることができます。アプリケーションでは、標準SQLを使用してキャッシュ表の読取りおよび更新を行い、キャッシュとOracle Database間でデータの同期が自動的に実行されます。TimesTen Application-Tier Database Cacheによって、リレーショナル・データベースの完全な汎用性と機能性、Oracle Databaseとのキャッシュ一貫性の透過的な保持およびインメモリー・データベースのリアルタイム・パフォーマンスがアプリケーションに提供されます。

Oracle TimesTen In-Memory DatabaseおよびTimesTen Cacheでは、実行時にデータが存在する場所に関する前提を変更することによってリアルタイム・パフォーマンスが実現されます。メモリー内でデータを管理し、それに応じてデータ構造およびアクセス・アルゴリズムを最適化することによって、データベース操作の効率が最大限になり、完全にキャッシュされるディスク・ベースのリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)と比較しても、応答性およびスループットの大幅な向上が実現されます。TimesTenおよびTimesTen Cacheのライブラリもアプリケーション内に埋め込まれるため、コンテキスト・スイッチおよび不要なネットワーク操作が行われなくなり、パフォーマンスがさらに向上します。

標準リレーショナル・データ・モデルに従って、TimesTenおよびTimesTen Cacheデータベースへのアクセスには、SQL、JDBC、ODBC、PL/SQLおよびOracle Call Interface (OCI)を使用できます。SQLを使用してアプリケーションをシステム内部から遮断すると、既存のアプリケーションに影響を及ぼさずにデータベースを変更または拡張できます。アプリケーション・モジュール、表および列を追加するだけで、新しいサービスを本番環境に簡単に追加できます。主流のRDBMSの場合と同様に、コスト・ベースのオプティマイザによって、問合せおよびトランザクションを最も高速に処理する方法が自動的に判別されます。Oracle DatabaseまたはSQLインタフェースをよく理解している開発者は、TimesTenおよびTimesTen Cacheによるリアルタイム・アプリケーションの開発において、すぐに生産性を高めることができます。

Oracle TimesTen In-Memory Databaseが高速である理由

従来のディスク最適化RDBMSによって行われる作業の多くは、データが主にディスクに常駐するという前提に基づいて行われます。この基本的な前提に基づいて、最適化アルゴリズム、バッファ・プール管理、および索引検索技法が設計されています。

ディスク・ベースのRDBMSがそのすべてのデータをメイン・メモリー内に保持するように構成されている場合でも、ディスク・ベース・データの常駐という前提がパフォーマンスの足かせになります。これらの前提は、処理ロジック、索引付けスキーム、データ・アクセス・メカニズムなどについてハードコードされているため、簡単に変更できません。

TimesTenは、データがメイン・メモリーに常駐するという認識で設計されているため、データへのより直接的な経路を選択し、コード・パスの長さを短縮してアルゴリズムおよび構造を簡素化できます。

ディスク常駐という前提がなくなると、複雑さは大幅に緩和されます。マシンのコマンド数は減少し、バッファ・プール管理や余分なコピーは不要となり、索引ページも縮小し、これらの構造は簡素化されます。設計はより単純かつ縮小され、リクエストは高速に実行されます。図1-1に、TimesTenの設計の簡素さを示します。

図1-1 ディスク・ベースのRDBMSとTimesTenの比較

図1-1の説明が続きます。
図1-1「ディスク・ベースのRDBMSとTimesTenの比較」の説明

従来のディスク・ベースのRDBMSでは、クライアント・アプリケーションは、なんらかの種類のIPC接続を介してデータベース・サーバー・プロセスと通信を行います。これによって、すべてのSQL操作に対してパフォーマンス・オーバーヘッドが追加されます。アプリケーションでは、TimesTenをそのアドレス空間に直接リンクすることによって、IPCオーバーヘッドを排除し、問合せ処理を簡素化できます。これはTimesTenに直接接続することで実現されます。従来のクライアント/サーバー・アクセスも、レポートなどの機能に対して、または多数のアプリケーション層プラットフォームで共通のインメモリー・データベースへのアクセスを共有する必要がある場合にはサポートされます。アプリケーションから見ると、直接接続またはクライアント/サーバー接続かにかかわらず、TimesTen APIは同じです。

TimesTenおよびTimesTen Cacheの機能の概要

TimesTenおよびTimesTen Cacheには、多くのよく知られているデータベース機能およびいくつかの独自の機能が含まれています。この項では説明する内容は、次のとおりです。

TimesTenのAPIサポート

TimesTenのランタイム・アーキテクチャでは、ODBC、JDBC、OCI、Pro*C/C++プリコンパイラおよびODP.NET APIを介した接続がサポートされています。また、TimesTenでは、TimesTen固有の処理に対してODBC、JDBCおよびOCI機能を拡張し、かつPL/SQLをサポートする組込みプロシージャ、ユーティリティおよびTTClasses API(C++)も提供されています。APIサポートについては、後続の項を参照してください。

ODBCおよびJDBCインタフェース

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、ODBCおよびJDBCがサポートされています。他の多くのデータベース・システムでは、ODBCまたはJDBC APIのサポートが独自のインタフェースよりも大幅に遅くなる場合があるのに対して、ODBCおよびJDBCは、データベース・エンジンで直接動作するTimesTen固有のインタフェースです。TimesTenでは、完全に標準に準拠し、TimesTen環境で最大のパフォーマンスが得られるように調整されたAPIのバージョンがサポートされています。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database C開発者ガイド』および『Oracle TimesTen In-Memory Database Java開発者ガイド』を参照してください。

SQLおよびPL/SQLの機能

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、広範なSQL機能およびSQL拡張機能がサポートされているため、レプリケーションやTimesTen Cacheなどの特別な機能の構成と管理が簡単になります。

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、PL/SQL(Procedural Language Extension to SQL)がサポートされ、このプログラミング言語を使用すると、TimesTenまたはTimesTen CacheデータベースでSQLにプロシージャ構造を統合できます。PL/SQLは、サポートされるすべてのAPIから実行できます。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database SQLリファレンス・ガイド』および『Oracle TimesTen In-Memory Database PL/SQL開発者ガイド』を参照してください。

OCIおよびPro*C/C++プリコンパイラのサポート

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、TimesTenの機能に対してOracle Call Interface(OCI)およびPro*C/C++プリコンパイラがサポートされています。

TimesTen OCIサポートによって、既存の多くのOCIアプリケーションを、TimesTenでダイレクト・モードまたはクライアント/サーバー・モードで実行できます。また、TimesTen OCIでは、OCIをデータベース・インタフェースとして使用する他のOracle Database製品を使用することもできます。OCIアプリケーションからPL/SQLをコールできます。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database C開発者ガイド』を参照してください。

ODP.NETサポート

Oracle Data Provider for .NET(ODP.NET)は、Microsoft ADO.NETインタフェースの実装です。TimesTenおよびTimesTen Cacheに対するODP.NETサポートによって、.NETおよびC#クライアント・アプリケーションからTimesTenデータベースへの高速で効率的なADO.NETデータ・アクセスが提供されます。

詳細は、Oracle Data Provider for .NET Oracle TimesTen In-Memory Databaseサポートのユーザーズ・ガイドを参照してください。

トランザクション・ログAPI

TimesTenおよびTimesTen Cacheには、データベース外の動作に連動させるために、アプリケーションで更新アクティビティを監視できるAPIが用意されています。TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、この機能がトランザクション・ログAPI(XLA)によって提供され、アプリケーションで、コミットされる更新レコードを監視し、検出された更新に基づいて様々な動作を起動できます。たとえば、XLAアプリケーションでは、検出した更新を別のデータベース(TimesTenまたはディスク・ベースのRDBMS)に適用できます。別のタイプのXLAアプリケーションでは、重要な更新が行われたことをサブスクライバに通知できます。このAPIは、C、Java (JMS/XLA)およびC++ (TTClasses)でサポートされています。

TimesTenおよびTimesTen Cacheで提供されるマテリアライズド・ビューをXLAとともに使用することによって、SQL問合せで記述されたイベントの通知を有効にできます。XLAの主な目的は、トリガーにかわる高パフォーマンスで非同期の機能を提供することです。

詳細は、「トランザクション・ログAPIによるトランザクション変更の検出」および『Oracle TimesTen In-Memory Database C 開発者ガイド』を参照してください。

TTClasses

TimesTen C++ Interface Classes(TTClasses)は、パフォーマンス速度が高速に維持されたままでODBCより便利です。このC++クラス・ライブラリでは、最も一般的なODBC機能が含まれているラッパーが提供されます。また、TTClassesライブラリは、アプリケーション・ソフトウェアの作成時に最良の方法を推奨するためにも使用されます。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database TTClassesガイド』を参照してください。

分散トランザクション処理API

TimesTen では、X/Open XA仕様とそのJava派生機能であるJavaトランザクションAPI(JTA)を実装しています。

TimesTenのXAインタフェースは、分散トランザクション処理(DTP)環境でトランザクション・マネージャが使用するために実装されています。これらのインタフェースを使用することで、新しいトランザクション・マネージャを作成して、あるいは既存のトランザクション・マネージャを適用して、TimesTenリソース・マネージャと連携した処理を実現できます。

TimesTenのJTAインタフェースは、Javaアプリケーション、アプリケーション・サーバー、トランザクション・マネージャを有効にして、TimesTenリソース・マネージャをDTP環境で使用するために実装されています。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database C開発者ガイド』および『Oracle TimesTen In-Memory Database Java開発者ガイド』を参照してください。

アクセス制御

アクセス制御を使用してTimesTenおよびTimesTen Cacheをインストールすると、特定の権限を持つユーザーのみが特定のTimesTen機能にアクセスできるように設定できます。TimesTenアクセス制御では、標準SQL操作を使用して、特定の権限を持つTimesTenユーザー・アカウントを設定します。TimesTenには、オブジェクト・レベルのアクセス制御およびデータベース・レベルのアクセス制御が備えられています。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』を参照してください。

データベースの接続

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、ドライバ・マネージャを介した接続に加えて、高パフォーマンスを実現するためにダイレクト・ドライバ接続がサポートされています。また、クライアント/サーバー接続もサポートされています。

これらの接続オプションによって、ユーザーはアプリケーションに対して、最高のパフォーマンスおよび機能性のトレードオフを選択できます。ダイレクト・ドライバ接続は最速です。クライアント/サーバー接続では柔軟性が向上します。ドライバ・マネージャ接続では、異なるバージョンのODBC用に作成されたODBCアプリケーション、またはODBCインタフェースを使用する複数のRDBMS製品のサポートが可能です。

詳細は、「TimesTen接続オプション」を参照してください。

永続性

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、永続性は、ディスク・ベース・バージョンのデータベースのトランザクション・ロギングと定期的リフレッシュを組み合せることによって実現されます。ログ・レコードは、トランザクションに対して非同期または同期でディスクに書き込まれ、アプリケーションによってトランザクション・レベルで制御されます。ネットワーク・システム内での非金銭的トランザクションなどの最大スループットが優れたシステムでは、非同期ロギングによって、発生の可能性がある障害を最小限に抑えて非常に高いスループットを実現できます。データ整合性を保持する必要がある場合(証券取引の場合など)、TimesTenおよびTimesTen Cacheを使用すると、データを失うことなく、完全な永続性が保証されます。

TimesTenでは、次の場合にトランザクション・ログが使用されます。

  • アプリケーションまたはデータベースで障害が発生した場合にトランザクションを記録する。

  • ロールバックされるトランザクションを取り消す。

  • 他のTimesTenデータベースに変更をレプリケートする。

  • Oracle Database表にTimesTenの変更をレプリケートする。

  • アプリケーションで表への変更を検出(XLA APIを使用)できるようにする。

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、バックグラウンドで処理され、データベース・アプリケーションにほとんど影響を与えないチェックポイント処理で、ディスク・ベース・バージョンのデータベースが保持されます。この処理は、ファジー・チェックポイントと呼ばれ、自動的に実行されます。また、TimesTenおよびTimesTen Cacheには、リカバリでトランザクション・ログ・ファイルを必要としない、ブロッキング・チェックポイントもあります。ブロッキング・チェックポイントは、アプリケーションで開始する必要があります。TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、チェックポイントの途中で障害が発生した場合に備えて2つのチェックポイント・ファイルが保持されます。アプリケーションのアクティビティに対するチェックポイントの影響を最小限に抑えるために、チェックポイント・ファイルはトランザクション・ログとは別のディスクに存在している必要があります。

詳細は、次の項を参照してください。

問合せの最適化によるパフォーマンス

TimesTenおよびTimesTen Cacheには、索引の存在、表のカーディナリティ、問合せ内のORDER BY句の存在などの要素に基づいて最適な問合せ実行計画を選択する、コスト・ベースの問合せオプティマイザが備えられています。

メイン・メモリー・システムのコスト構造は、ディスク・アクセスが主要なコスト要素であるディスク・ベース・システムとは異なるため、TimesTenおよびTimesTen Cacheのオプティマイザがパフォーマンス・コストを最小化するためにSQL文を分析する方法は、従来のディスク・ベース・システムの場合とは異なります。TimesTenおよびTimesTen Cacheではディスク・アクセスが要素とならないため、ディスク・ベース・システムのオプティマイザでは通常考慮されない要素(条件を評価するコストなど)が、最適化コスト・モデルに含まれます。

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、範囲索引、ハッシュ索引およびビットマップ索引が提供されます。また、問合せオプティマイザでは2種類の結合方法(ネステッド・ループおよびマージ結合)が使用されます。オプティマイザによって、必要に応じて一時索引を作成できます。オプティマイザが受け入れるヒントによって、一時領域の使用とパフォーマンスのような要因間でバランスを取るかどうかの決定権が、アプリケーションに与えられます。

問合せオプティマイザと索引付けテクニックの詳細は、第5章「問合せの最適化」を参照してください。

同時実行性

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、共有データベースが完全にサポートされています。アプリケーションのレスポンス時間、スループットおよびトランザクション・セマンティクス間の最適なバランスを選択できるオプションが提供されています。

コミット読取り分離レベルは、非ブロッキング処理を実現します。これがデフォルトの分離レベルです。きわめて厳密なトランザクション・セマンティクスを持つデータベースに対しては、シリアライズ可能分離レベルを使用できます。これらの分離レベルは、ODBC標準に準拠し、最適なパフォーマンスを考慮して実装されています。ODBC標準で定義されているように、デフォルトの分離レベルをTimesTenまたはTimesTen Cacheデータベースに対して設定でき、このデフォルトの分離レベルは、実行時に各接続に対して動的に変更できます。

TimesTenおよびTimesTen Cacheにおける同時操作の管理の詳細は、第4章「同時操作」を参照してください。

データベース・キャラクタ・セットおよびグローバリゼーション・サポート

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、ネイティブ言語でのデータの保存、取得および処理に対してグローバリゼーション・サポートが提供されています。最もよく使用されるシングルバイト・エンコーディング、マルチバイト・エンコーディングおよびUnicodeを含む、50を超える様々な各国語キャラクタ・セット、各国間共通キャラクタ・セットおよびベンダー固有のキャラクタ・セットがサポートされています。TimesTen Cacheは、Oracle Databaseと互換性があるいくつかのデータベース・キャラクタ・セットをサポートしています。接続キャラクタ・セットは、別のエンコーディングで実行されているアプリケーションでTimesTenおよびTimesTen Cacheデータベースと通信できるように定義できます。アプリケーションとデータベース間のキャラクタ・セットの変換は、透過的に自動で実行されます。

TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、異なる言語および文化に関する複雑なソート要件を処理する言語ソート機能が提供されています。80を超える言語ソート機能が提供されています。これらの言語ソート機能は、大/小文字を区別せず、アクセント記号の有無を区別しないソートおよび検索をアプリケーションで実行できるように拡張できます。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のグローバリゼーション・サポートに関する説明を参照してください。

インメモリー列圧縮

TimesTenには、表を列レベルで圧縮する機能があるため、データをより効率的に格納できます。このメカニズムによって、列内で重複値による冗長な格納が排除されるため、表の領域が削減され、全表スキャンを実行するSQL問合せのパフォーマンスが向上します。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database SQLリファレンス』のCREATE TABLEに関する説明を参照してください。

サーバー間のデータ・レプリケーション

TimesTenおよびTimesTen Cacheのレプリケーションによって、サーバー間のリアルタイム・データ・レプリケーションが可能になり、高可用性および負荷分散が実現します。データ・レプリケーション構成は、非同期送信または同期送信を使用して、競合の検出と解決および障害が発生したサーバーのリストア後の自動再同期化が行われるように、アクティブ/スタンバイまたはアクティブ/アクティブにできます。

詳細は、「レプリケーション」を参照してください。

TimesTen Cacheによるキャッシュ・データ

TimesTen Application-Tier Database Cache (TimesTen Cache)では、Oracle Databaseのデータに対して、更新可能なリアルタイム・キャッシュが作成されます。また、Oracle Databaseから計算サイクルをオフロードし、応答性に優れたスケーラブルなリアルタイム・アプリケーションを使用可能にします。TimesTen Cacheによって、Oracle Database表のサブセットがキャッシュ・データベースにロードされます。更新を双方向で伝播し、キャッシュされないデータに対するSQLリクエストのパススルーを自動化するように構成できます。また、障害が発生すると、データの再同期化を自動的に実行します。

第8章「TimesTen Cache」を参照してください。

Oracle DatabaseからTimesTen表へのデータのロード

SQL問合せの結果をバックエンドOracle DatabaseからTimesTenの単一の表にロードできます。TimesTenでは、Oracle Databaseでユーザーが指定したSELECT文を実行し、その結果セットをTimesTenの表にロードするツールが提供されます。

TimesTenではこのタスクを実行するための2つの方法が提供されています。

  • 対話形式のSQLユーティリティのttIsqlユーティリティで提供されているcreateandloadfromoraqueryコマンドでTimesTen表名とSELECT文を指定することで、TimesTen表が自動的に作成され、Oracle DatabaseでSELECT文が実行されてTimesTen表に結果セットがロードされます。

  • ttTableSchemaFromOraQueryGet組込みプロシージャは、ユーザーが指定したSELECT文を評価することで、SELECT文の結果セットを適切に受け取ることができる表をTimesTenで作成するCREATE TABLE文を生成します。ttLoadFromOracle組込みプロシージャは、Oracle DatabaseでSELECT文を実行し、結果セットをTimesTen表にロードします。

ビジネス・インテリジェンスおよびオンライン分析処理

TimesTenおよびTimesTen Cacheには、ビジネス・インテリジェンスなどのアプリケーション用のSQL分析関数およびSQL集計関数が含まれています。アナリストや意思決定者は、分析関数を使用して比較を行い、傾向を把握することができます。ここには、ランク付け、累積、移動、集中およびレポートの関数が含まれます。

GROUP BY SQL句には、オンライン分析処理(OLAP)演算子(GROUPING SETSCUBEROLLUPなど)が含まれます。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database SQLリファレンス』の関数およびSQL文の説明を参照してください。

ラージ・オブジェクト

TimesTenでは、TimesTen Cacheにキャッシュされていない表のラージ・オブジェクト(LOB)がサポートされます。TimesTenでは、BLOBCLOBおよびNCLOBデータ型がサポートされています。

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database SQLリファレンス』のデータ型に関する説明を参照してください。

自動データ・エージング

データ・エージングは、不要となったデータを削除する処理です。通常、データ・エージングには、特定の時間値に基づいた古いデータの削除と最低使用頻度(LRU)に基づいたデータの削除の2つのタイプがあります。たとえば、昨日の物価リストの削除、システムからログアウトしているユーザーのプロファイルとプリファレンスの削除、2年以上前の詳細記録の削除などを実行できます。

TimesTenのデータベース表およびTimesTen Cacheデータに対して、次の2つのタイプの自動データ・エージング機能を使用できます。

  • タイムスタンプ値に基づいた時間ベースのデータ・エージング

  • LRUアルゴリズムに基づいた使用率ベースのデータ・エージング

詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』の表へのエージングの実装に関する説明と、『Oracle TimesTen Application-Tier Database Cacheユーザーズ・ガイド』のキャッシュ・グループへのエージングの実装に関する説明を参照してください。

システムの監視

ユーザーは、次のオプションを使用してシステムの監視とレポートを行うことができます。

  • ttStatsユーティリティで、データベース・パフォーマンス・メトリックをリアルタイムに監視して表示できます。ユーザーが指定した間隔で、パフォーマンス・スナップショットからHTMLレポートが生成されます。


    注意:

    システム統計は収集されてSYS.SYSTEMSTATS表に格納され、この情報は様々なTimesTenのユーティリティおよび監視機能によって使用されます。

  • Oracle TimesTen In-Memory Database用Oracle Enterprise Managerシステム監視プラグインでは、データベース・メトリックおよびパフォーマンスの監視に使用できるグラフィカル・ユーザー・インタフェースが提供されます。また、データベース・パフォーマンスの問題の診断とトラブルシューティングに役立つ、収集されたメトリック情報に関するレポートを参照できます。

  • TimesTenでは、SQL操作の実行時統計を測定して表示することでSQL文のパフォーマンスを判断できる、ttStatsConfigttSQLCmdCacheInfoおよびttSQLExecutionTimeHistogram組込みプロシージャが提供されます。

管理とユーティリティ

TimesTenおよびTimesTen Cacheは、次のような一般的なデータベース・ユーティリティをサポートしています。

  • 対話形式のSQL (ttIsql)。

  • バックアップおよびリストア(ttBackupおよびttRestore)。

  • 異なるデータベース・システム間のデータ・コピー。

  • 移行(ttMigrate)では、異なるバージョンのTimesTenまたはTimesTen Cacheの間でデータを移動する高速コピーが提供されます。

SQL拡張機能を使用することによって、多くの管理作業を実行できます。また、TimesTenおよびTimesTen Cacheでは、レプリケーション、Oracle Databaseからのキャッシュおよびマテリアライズド・ビューを設定する場合にもSQL拡張機能が使用されます。

TimesTen組込みプロシージャとC言語関数は、TimesTenの操作と設定に対してプログラム制御を可能にします。TimesTenコマンドライン・ユーティリティによって、ユーザーは接続、ロック、レプリケーションなどの状態を監視できます。また、TimesTenスキーマのシステム表に対してSQL SELECT問合せを使用することによって、それらの状態を取得することもできます。

TimesTenの管理の詳細は、第9章「TimesTenおよびTimesTen Cacheの管理」を参照してください。