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Oracle® Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド
12c リリース1 (12.1)
B71291-10
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ベスト・プラクティス5: 読取り専用表領域の活用

データ・ウェアハウスが直面する重要な問題は、典型的なデータ・ウェアハウスのサイズの大きさです。高性能のバックアップ・ハードウェアを使用しても、バックアップには数時間がかかることがあります。このため、バックアップのパフォーマンスを改善する重要な考慮事項は、バックアップするデータ容量を最小限に抑えることです。読取り専用表領域は、データ・ウェアハウスでバックアップを行うデータ容量を削減する最も単純なメカニズムです。増分バックアップの場合でさえ、表領域が読取り専用に設定されているとバックアップとリカバリの処理が速くなります。

読取り専用表領域の利点は、データを1回のみバックアップすればよいという点です。データ・ウェアハウスに5年分の履歴データが含まれており、最初の4年分のデータを読取り専用にできる場合、理論的には、データベースの定期バックアップではデータの20%のみがバックアップされることになります。このように、データ・ウェアハウスのバックアップに必要な時間が大幅に短縮されます。

ほとんどのデータ・ウェアハウスでは、データは、時間でレンジ・パーティション化された表に格納されます。一般的なデータ・ウェアハウスでは、通常、データがアクティブなのは30日から1年の間です。この期間中であれば、履歴データはまだ更新と変更の可能性があります(たとえば、ある小売業者は購入日から30日間は返品を受け付けるため、売上データのレコードはこの期間に変更できます)。ただし、一定の時間が経過すると、データは多くの場合は静的になります。

パーティション化を利用すると、ユーザーは読取り専用のデータの静的な部分を作成できます。現在、Oracleでは、読取り専用パーティションまたは読取り専用表ではなく読取り専用表領域がサポートされています。読取り専用表領域を利用して、バックアップにかかる時間を短縮するには、一定のデータ・パーティションを読取り専用表領域に格納する戦略を立てる必要があります。ローリング・ウィンドウを実装するための2つの戦略を次に示します。

  1. パーティション内のデータが完全に静的になる時点に達すると、定期的にスケジュールしたプロセスを実装し、現在の読取り/書込み表領域からある表領域にパーティションを移動して、その表領域を読取り専用にできます。

  2. それぞれが少数のパーティションを含む一連の表領域を作成し、1つの表領域のデータが古くなると、定期的にその表領域を読取り/書込みから読取り専用に変更します。

データのバックアップはリカバリ・プロセスの半分にすぎないことに注意してください。データ・ウェアハウスの読取り/書込み部分を4時間でバックアップできるようにテープ・システムを構成した場合、そのデータベースの80%が読取り専用のときに完全リカバリが必要になると、そのテープ・システムではデータベースのリカバリに20時間かかることになります。