この章では、データ系統ダッシュボードを設定および使用する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
データ系統ダッシュボードは、初期状態のBusiness Intelligence Applicationモジュールのメトリックおよびデータに関するレポート機能を提供します。これにより、Business Intelligenceのリポジトリおよび基礎となるETLマッピングを通じて、トランザクション・ソース・アプリケーションからのデータ分析が可能になります。データ系統ダッシュボードを使用することによって、ビジネス・アナリストや、ETLおよびリポジトリ・オブジェクトをカスタマイズするユーザーは、アプリケーションのレポートおよびダッシュボードのデータのソースの場所、Oracle BI Applicationsリポジトリ内でそれがモデル化される方法、ETL時にそれがロードされる方法を把握できます。
データ系統ダッシュボードは、Oracle Business Analytics Warehouseのカスタマイズの計画や実装を行う際に、ビジネス分析を実行したり、ソースからターゲットへのETLマッピングおよびデータ変換ロジックを理解したりするのに役立ちます。
概要
データ系統を設定するときに、OBAW内に事前作成されているデータ系統ウェアハウスの表の内容がETLパッケージによって移入されます。ETLパッケージは、次の5つのソースから系統メタデータをロードします。
Oracle BI Applications Configuration Manager
Oracle Data Integrator (ODI)作業リポジトリ
Oracle BIプレゼンテーション・カタログ
Oracle BIメタデータ・リポジトリ・ファイル(RPD)
Oracle Fusion OLTPの表
1回限りの予備設定手順には、事前作成されているデータ系統ウェアハウスの表にデータ系統情報をロードするためのソースからのメタデータの準備、およびソースへのアクセスが含まれています。その後、メタデータおよびデータのリフレッシュを継続的に実行できます。
データ系統を設定するための手順のリスト
データ系統ダッシュボードをインストールして設定するには、次のタスクを順に実行する必要があります。それぞれのハイレベル・タスクを詳細な手順に分割した説明が記載されています。
データ系統をサポートするための環境を構成します。第6.3.1項「設定手順: ODIトポロジおよびロード計画の構成」の説明を参照してください。
プレゼンテーション・カタログ、ダッシュボードおよびRPDメタデータ・ファイルを生成するための抽出スクリプトを構成します。第6.3.2項「設定手順: RPDおよびプレゼンテーション・カタログの抽出スクリプトの構成」の説明を参照してください。
データ系統ウェアハウスの表を作成します。第6.3.3項「設定手順: データ系統ウェアハウスの表の作成」の説明を参照してください。
スクリプトを使用してメタデータを抽出します。第6.4.1項「スクリプトを使用したOracle Business Intelligenceのメタデータの抽出」の説明を参照してください。
ODIでデータ系統ロード計画を実行して、データ系統ウェアハウスの表をロードします。第6.4.2項「データ系統ロード計画の実行と監視」の説明を参照してください。この手順によって、データ系統ウェアハウスの表に対するロードが行われます。
この項では、データ系統ダッシュボードを設定するための詳細なタスクについて説明します。内容は次のとおりです。
注意: この項のタスクは、第6.2項「データ系統の設定」で説明されている順序で実行する必要があります。
ダッシュボードの5つのソースからのデータ系統データの抽出をサポートするため、ODI作業リポジトリには必要なトポロジおよび環境の設定があらかじめ構成されています。初期設定時に、抽出されたメタデータ・ファイルへのアクセスを提供するための事前作成されているデータ系統ホーム・ディレクトリ変数を構成し、アダプタ・リストの変数を構成し、事前作成されているODIおよびODIトポロジ内のConfiguration Managerソースを構成します。これにより、ODIとConfiguration Managerはデータ系統ETLの実行時のソースとなることができます。
ODI Studioで、データ系統抽出およびロードのロード計画を開きます。
「ステップ」を選択し、DATA_LINEAGEルート・ステップを選択します。
プロパティ・インスペクタで、DL_HOME変数を$ORACLE_BI_HOME/biapps/DataLineageに設定します。
最大8個のアダプタを移入することによってADAPTOR_LIST変数を設定します。9個以上のアダプタが必要な場合は、ADAPTOR_LIST1変数を使用してさらに最大8個のアダプタを追加できます。
お使いのソース・システムに基づいて、次のリストから1つ以上の値を選択できます。'SDE_ORA11510_Adaptor'、'SDE_ORAR1212_Adaptor'、'SDE_PSFT_90_Adaptor'、'SDE_OP_V1_Adaptor'、'SDE_ORAR1211_Adaptor'、'SDE_PSFT_91_Adaptor'、'SDE_SBL_822_Adaptor'、'SDE_SBL_811_Adaptor'、'SDE_ORAR12_Adaptor'、'SDE_ORAR1213_Adaptor'、'SDE_JDEE1_91_Adaptor'、'SDE_JDEE1_90_Adaptor'、'SDE_Universal_Adaptor'、'SDE_FUSION_V1_Adaptor'。
ODI Studioのトポロジ・ナビゲータのツリー・ビューの物理アーキテクチャ・ビューで、ODI作業リポジトリをホストするテクノロジを展開し、事前作成されているBIAPPS_ODIREPデータ・サーバーを見つけます。
そのデータ・サーバーをダブルクリックし、エディタでサーバーの接続の詳細を確認するか、または正しい詳細を入力します。インスタンス名および適切な特権が与えられたODIユーザーとパスワードが確認すべき詳細です。
エディタの「JDBC」タブでJDBCドライバを確認します。接続用の有効なJDBC URLが設定されているかを確認し、必要に応じて有効なJDBC URLを指定します。
「テスト接続」をクリックし、入力した接続の詳細が正しいことを確認します。
前述の手順を繰り返して、次の項目を構成します。
FILE_BIAPPS_DL_DEFAULT: 入力ファイルが配置されているファイルの場所に接続します。
BIAPPS_DW: データ・ウェアハウスに接続します。
BIAPPS_BIACOMP: Configuration Managerのスキーマに接続します。
Fusion EARファイルを$ORACLE_BI_HOME/biapps/DataLineageから$DL_HOMEにコピーします。
この手順では、抽出スクリプトを収容するためのODIメモリー・ヒープ・サイズを設定します。また、データ系統ウェアハウスの表のロード時にソースとなるRPDおよびプレゼンテーション・カタログ・メタデータ・ファイルを生成する抽出スクリプトをカスタマイズします。
適切なヒープ・サイズを設定します。Windowsでこれを行う手順は次のとおりです。
Windowsでこれを行うには、<DOMAIN_HOME>/bin/setDomainEnv.shファイルを編集用に開きます。if NOT "%USER_MEM_ARGS%"=="" (
という行を探し、その行の前に次のコードを追加します。
if "%SERVER_NAME%"=="odi_server1" ( set USER_MEM_ARGS=-Xms512m -Xmx3072m -XX:PermSize=256m -XX:MaxPermSize=512m )
Linuxでこれを行うには、<DOMAIN_HOME>/bin/setDomainEnv.cmdファイルを編集用に開きます。if [ "${USER_MEM_ARGS}" != "" ] ; then
という行を探し、その行の前に次のコードを追加します。
if [ "${SERVER_NAME}" = "odi_server1" ] ; then USER_MEM_ARGS="-Xms512m -Xmx3072m -XX:PermSize=256m -XX:MaxPermSize=512m" export USER_MEM_ARG fi
$DL_HOMEにあるwebCatExtractスクリプトを開きます。
OBIEE_INSTANCE_HOME
をOracle BI EEインスタンスのホームの場所に設定します。
OBIEE_WEBCAT
をOracle BI Applicationのプレゼンテーション・カタログの場所に設定します。
TARGET_DIR
を、抽出されたメタデータ・ファイル(webcat_text.txtおよびwebcat_dashboard_test.txt)が作成される場所に設定します。
ファイルを保存して閉じます。
webCatExtract_dashboardスクリプトを開き、前述のように変数OBIEE_INSTANCE_HOME、OBIEE_WEBCAT
およびTARGET_DIR
を設定します。
ファイルを保存して閉じます。
rpdExractスクリプトを開き、OBIEE_ORACLE_HOMEを、Oracle BI EEインスタンスのホームの場所、およびプレゼンテーション・カタログとリポジトリの場所に設定します。
OBIEE_ORACLE_HOME
をOracle BI EEインスタンスのホームの場所に設定します。
OBIEE_RPD
をOracle BI EEのリポジトリの名前および場所に設定します。
TARGET_DIR
を、抽出されたメタデータ・ファイル(rpd_text.txt)が作成される場所に設定します。
ファイルを保存して閉じます。
この手順では、Generate DataLineage DDLパッケージを使用して、ウェアハウス内にデータ系統の表を作成します。これらの表はデータ・ウェアハウスの作成時にデフォルトで作成されますが、このパッケージを使用していつでも作成できます。
ODI Studioデザイナ・ナビゲータで、「BIアプリケーション・プロジェクト」→「コンポーネント」→「DW DDLの生成」→「パッケージ」を展開します。
Generate DataLineage DDLパッケージを実行し、オペレータを使用して実行状況を監視します。
この項では、最初に行う、および継続的に行うデータ系統ダッシュボードのロードと更新の詳細なタスク、およびそれらで必要となるメタデータについて説明します。内容は次のとおりです。
注意: この項のタスクは、第6.2項「データ系統の設定」で説明されている順序で実行する必要があります。
この手順では、メタデータ抽出スクリプトをコピーして実行し、出力ファイルをデータ系統のホーム・ディレクトリにコピーします。メタデータ抽出スクリプトを実行してメタデータをリフレッシュできます。
Oracle Business Intelligence Enterprise EditionがインストールされているWindowsマシンにスクリプトをコピーし、実行します。
スクリプト内のTARGET_DIR
変数で指定された場所に次のファイルが生成されていることを確認します。
WebCat_text
Webcat_dashboard_text
rpd_text
これらのファイルには、抽出されたプレゼンテーション・カタログおよびリポジトリ・メタデータが含まれており、データ系統ウェアハウスの表のロード時のソースとなります。
スクリプト実行によって出力されたファイルをTARGET_DIRの場所から$DL_HOMEにコピーします。
Fusion EARファイルを$ORACLE_BI_HOME/biapps/DataLineageから$DL_HOMEにコピーします。
この手順では、ODIの中でデータ系統抽出およびロードのロード計画を実行します。このロード計画は、ソースとして構成および生成されたソースおよび抽出されたメタデータ・ファイルを使用して、事前作成されているデータ系統ウェアハウスの表へのロードおよびリフレッシュを行います。
ODI Studioデザイナ・ナビゲータで、「ロード計画とシナリオ」→「事前定義されたロード計画」→「データ系統」を展開します。
データ系統抽出およびロードのロード計画を実行し、オペレータを使用して実行状況を監視します。
この項では、BI Applicationsデータ系統ダッシュボードの概要、およびOracle Business Intelligence Applicationsでのその使用事例を示します。この項の内容は次のとおりです。
OBIA DataLineageダッシュボードの「DataLineage要約」ページ内の次のダッシュボード・プロンプトを使用して、Oracle BI Applicationsの様々なエンティティでデータ系統が分析されます。
ダッシュボード名
レポート名
プレゼンテーション表名
プレゼンテーション列名
論理表名
論理列名
倉庫データストア・リソース名
倉庫列名
ソース・アプリケーション
ソース表名
ソース列名
任意のレベルのダッシュボード・プロンプトの値を選択でき、以降の選択は他の選択によって制約を受けます。たとえば、「レポート名」プロンプトでなんらかの選択を行うと、「論理表名」プロンプトの選択は選択済のレポートに含まれる内容に制限されます。
OBIAデータ系統ダッシュボードには5つのページがあります。その中の要約の表形式の結果については、詳細ページで詳しいデータ系統を確認できます。次のページがあります。
DataLineage要約: 物理関係および論理関係に関するエンドツーエンドのデータ系統の要約レポートを提供します。要約レポート内のエンティティに関する詳細なレポートおよびダッシュボード・ページに移動するには、そのリンクをクリックします。
ダッシュボード実装: 選択されたダッシュボードに関して、次のレポートの詳細を示します。ダッシュボード・ページ、レポートおよびプレゼンテーション列。プレゼンテーション・カタログ、表および列。RPD実装、OBAWの物理列からプレゼンテーション列を導出する方法の詳細。
レポート実装: 選択したレポートに関して、基礎となる物理列からプレゼンテーション列を導出する方法の詳細を示します。また、ウェアハウスの表を記述するレポートや、OLTPソースからステージング表へ、およびステージング表からウェアハウスのディメンション表やファクト表へロードするODIインタフェースやアダプタのリストを示すレポートも含まれます。
プレゼンテーション・レイヤー実装: 選択されたプレゼンテーションの表および列に関して、RPD内での論理列と物理列の導出の詳細を示します。また、ウェアハウスの表を記述するレポートや、OLTPソースからステージング表へ、およびステージング表からウェアハウスのディメンション表やファクト表へロードするODIインタフェースやアダプタのリストを示すレポートも含まれます。
倉庫実装: 選択されたウェアハウスの表名と列名に関して、ウェアハウスのデータ・ストア、およびそのOLTPソースの表と列の要約を示します。また、OLTPソースからステージング表へ、およびステージング表からウェアハウスのディメンション表やファクト表へロードするODIインタフェースやアダプタのリストを示すレポートも含まれます。
この項では、OBIAデータ系統ダッシュボードのレポートおよび使用例を示すために、1つの使用シナリオを取り上げます。
Oracleビジネス・アプリケーションのデータ系統を分析するには:
OBIAデータ系統ダッシュボードに移動します。
「DataLineage要約」ページで、利用可能なプロンプトから選択します。プロンプトから複数選択できますが、利用可能なプロンプトの選択は前に行った他のプロンプトの選択によって制約を受けます。
「適用」をクリックして「OBIA-LineageSummary」レポートを表示します。このレポートは、プレゼンテーション・ダッシュボードおよびレポートから、BI Applicationsリポジトリ・メタデータを経由し、最終的にウェアハウスの表および列に至るまでの系統の詳細を示します。
ダッシュボードの「ダッシュボード実装」ページで詳細なレポートへドリルするには、サマリー・レポートで「ダッシュボード名」の値をクリックします。これにより「ダッシュボード実装」ページが開かれ、「ダッシュボード名」のダッシュボード・プロンプトに、ダッシュボード名があらかじめ選択されています。レポート内の他のエンティティをクリックして他のページに移動することもできます。たとえば、「倉庫列名」をクリックし、「実装」を選択すると、ETLの実装に焦点を当てた「倉庫実装」ページに移動します。「ダッシュボード実装」ページでレポートを確認してください。
「ダッシュボード実装」ページでレポートを確認するには:
このページの最初のレポートである「DashboardImplementation-OBIA-LineageSummary」は、デフォルトの「LineageSummary」レポートと同様の系統を示します。このレポートでは、ダッシュボードからプレゼンテーション・カタログを経由し、ウェアハウスの表と列に至るまでの系統を追跡します。
2つ目のレポートである「DashboardImplementation-DashboardDetails」は、ダッシュボードのみに焦点を当てます。ダッシュボードのページ、レポート、プレゼンテーション・カタログ、および関連するプレゼンテーションの表と列の名前に関する詳細情報が示されます。
3つ目のレポートである「DashboardImplementation-OBIA-RPDImplementation」は、BIリポジトリ・メタデータ内のデータの系統に焦点を当てます。プレゼンテーション・カタログの名前から始まり、ビジネス・モデルおよび論理表と列の名前を経由し、物理的なカタログ、表、列の名前に至るまで、3つのリポジトリのレイヤーをすべてカバーします。論理レイヤーの詳細には式が含まれます。これは、単に表および列のリソースの論理式である場合が多くあります。
4つ目のレポートである「DashboardImplementation-ODIImplementation-SourceToStaging」は、ウェアハウスのステージング表のロードで使用されるETLインタフェースに焦点を当て、ウェアハウスの表と関連するアダプタおよびインタフェースの詳細を示します。
5つ目のレポートである「DashboardImplementation-ODIImplementation-StagingToWarehouse」は、ウェアハウスのターゲットとなるファクト表およびディメンション表のロードで使用されるETLインタフェースに焦点を当て、ウェアハウスの表と関連するアダプタおよびインタフェースの詳細を示します。
「DataLineage要約」ページに戻り、「レポート名」の値をクリックし、「レポート実装」を選択し、「レポート実装」ページのダッシュボード・プロンプトの値としてそのレポートを開きます。レポートをスクロールしてこのページを表示します。これらのレポートがダッシュボード用に提供されているレポートとほぼ同じであることに注目してください。
「プレゼンテーション・レイヤー実装」ページに移動します。このページには、RPDでプレゼンテーションの列に導出される論理列および物理列の詳細に関するレポートが含まれます。また、ウェアハウスの表を記述するレポートや、OLTPソースからステージング表へ、およびステージング表からウェアハウスのディメンション表やファクト表へロードするODIインタフェースやアダプタのリストを示すレポートも含まれます。
「倉庫実装」ページに移動します。ここでは、「WarehouseImplementation-OBIA-LineageSummary」レポートによって、ウェアハウスの表と列とそれに関連するモデル、およびソースのトランザクションの表と列の間の関係の要約が示されます。