この章では、ソフトウェアのデプロイ後、システムが稼働する前に実行する必要がある次の管理タスクについて説明します。
システムを保護するため、インストール後に、デフォルトの管理アカウント・パスワードを変更する必要があります。デプロイ時に、root
ユーザーのパスワードを変更しておく必要があります。デプロイ後に、Oracle Grid Infrastructureインストール所有者(grid
)およびOracle Databaseインストール所有者(oracle
)のアカウント・パスワード(welcome1
)を、企業のユーザー・セキュリティ・プロトコルに従ったパスワードに変更します。また、データベース・システム権限も変更して、その他のオープン・データベース・アカウント(SYS、SYSTEM、DBSNMPなどのロール)を保護します。
関連項目:
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Oracle Clusterwareは、失敗したノードをクラスの残りの部分から分離できる業界標準のプロトコルであるIntelligent Platform Management Interface (IPMI)をサポートしています。IPMIでは、Oracle Clusterwareまたはオペレーティング・システムとの連携がなくても問題モードを再起動できます。
IPMIの構成は、Oracle Database Applianceのカスタム・デプロイ実行時のオプションです。カスタム・デプロイを完了し、IPMIを構成した場合、次の手順に従ってユーザー名およびパスワードを変更します。
ユーザーgrid
としてログインします。
コマンドcrsctl
set
css
ipmiadmin
username
を入力します。usernameはIPMI管理者アカウントの新しい名前です。要求に応じて、新しいパスワードを指定します。次に例を示します。
[grid@appliance]$ /u01/app/11.2.0.4/grid/bin/crsctl set css ipmiadmin racadm $ IPMI BMC password: CRS-4229: The IPMI information change was successful
注意: Oracle Database Appliance上のソフトウェア・デプロイメントが完了するまで、デフォルト・パスワードを変更しないでください。デプロイメントが完了する前にパスワードを変更すると、構成エラーが発生する可能性があります。 |
Oracle Auto Service Request (Oracle ASR)は、特定のハードウェア障害に関するサービス・リクエストを自動的に生成するセキュアなサポート機能です。Oracle ASRを使用すると、迅速な診断および優先度サービス・リクエスト処理を介してシステムの可用性を向上させることができます。Oracle Database ApplianceでOracle ASRを構成するか、アプライアンスと同じネットワークの別のサーバーで構成されたOracle ASRを使用することができます。
Oracle ASRをサポートするには、Oracle Database ApplianceハードウェアをMy Oracle SupportのサポートID (SI)に関連付ける必要があります。詳細は、Oracle Auto Service Requestインストレーションおよびオペレーション・ガイドのMy Oracle SupportでのASRシステムの検証に関する項を参照してください。
Oracle ASRはカスタム・デプロイ時に構成できます。oakcli configure asr
コマンド(付録Dに記載あり)を使用して、デプロイ後に(「Typical」または「Custom」のいずれかで) Oracle ASRを構成することもできます。このコマンドによって入力が促され、必要なすべての情報を入力した後で、Oracle ASR構成を完了します。
Oracle ASRを構成するには、My Oracle Supportアカウントのユーザー名およびパスワードを入力する必要があります。Oracleへのインターネット・アクセスにプロキシ・サーバーが必要な場合、プロキシ・サーバーの名前も入力する必要があります。Simple Network Management Protocol (SNMP)バージョン2またはSNMPバージョン3を使用するために、Oracle ASRをオプションで構成することもできます。あるいは、内部または外部のSNMPバージョン3 Oracle ASRから、SNMPバージョン2 Oracle ASRを再構成することもできます。内部SNMPバージョン3 Oracle ASRからSNMP Version 2 Oracle ASRを再構成するには、次の手順を完了します。
次の2つのコマンドを実行して、SNMPバージョン3のユーザーを削除します。
cd /opt/SUNWswasr/bin/ asr delete_snmpv3_user
oakcli configure asr
を実行してinternal
オプションを選択し、内部SNMPバージョン2 Oracle ASRを構成します。
外部SNMPバージョン3 Oracle ASRからSNMP Version 2 Oracle ASRを再構成するには、次の手順を完了します。
次の2つのコマンドを実行して、外部ASRマネージャからエンジンIDを削除します(ASRマネージャは現在、ASRmgr
にインストールされています)。
cd /ASRmgr/SUNWswasr/bin/
asr delete_engine_id -e engineId1 ,engineId2
oakcli configure asr
コマンドを実行してexternal
オプションを選択し、外部SNMPバージョン2 Oracle ASRを構成します。
稼働中のOracle ASRが構成されているかを確認するには、oakcli test asr
コマンドを実行します。oakcli show asr
コマンドで、ご使用のOracle ASRの構成を確認します。
関連項目: この項に記載されているOracle Appliance Managerコマンドの詳細は、付録D「Oracle Appliance Managerコマンドライン・インタフェース」を参照してください。 |
Oracle Database Applianceのすべてのパッチ適用は、通常のOracle Database Applianceパッチ・セット・バンドルを使用して行われます。パッチ・セット・バンドルは、次に示すシステム全体に関連するすべてのパッチを提供します。
ハードウェア・ドライバ
Oracle Linux
Oracle Databaseクローン・バイナリ
Oracle Grid Infrastructureクローン・バイナリ
通常のOracle Database Applianceパッチ・セット・バンドルが入手可能になると、登録済のOracle Database Applianceソフトウェア所有者としてMy Oracle Supportにログオンします。システムのパッチ適用の詳細は、My Oracle Supportノート888888.1の指示、ならびにパッチREADMEファイルの指示に従います。
インフラストラクチャのパッチ(OS、Firmware、Oracle ILOMなど)は、パッチの適用時にOracle Database Applianceを短時間停止する必要があります。Oracle Appliance Managerでは、ユーザーが間違った順序でパッチをインストールしないように、パッチがすべての前提条件を満たしていることを確認します。たとえば、インフラストラクチャを先に更新せず、GIにパッチのみ適用することはできません。
注意: Oracle Database Applianceパッチ・バンドルを使用して、Oracle Database Applianceにパッチを適用します。Oracle Grid Infrastructureのパッチ、Oracle DatabaseのパッチまたはLinux配布のパッチは使用しないでください。Oracle Database Applianceを対象としていないパッチを使用した場合、あるいはOpatchまたは同等のパッチ適用ツールを使用した場合は、Oracle Database Applianceインベントリが更新されず、その後のパッチ更新を実行できません。 |
My Oracle Supportのノート888888.1には、Oracle Database Applianceのパッチおよび更新に関する情報が記載されています。システムに適用するパッチを確認するには、次のようにします。
次の場所にあるMy Oracle Supportにログオンします。
https://support.oracle.com
ノート888888.1を検索します。
使用しているソフトウェアに対して使用可能なパッチがある場合、ノート888888.1の指示に従い、これらをダウンロードして適用します。
次の手順および例では、Oracle Database Appliance上のソフトウェアにパッチを適用するための一般的な手順を概説します。個々のパッチを適用する方法の詳細は、そのパッチのReadmeおよびヘルプ情報を参照してください。
Oracle Database Applianceの登録ソフトウェア所有者のサポートIDを使用してMy Oracle Supportにログインします。
https://support.oracle.com
My Oracle Supportノート888888.1の情報を確認して、システム用のパッチの識別、ダウンロードおよび適用を行います。対象のパッチ・バンドルのパッチ適用手順は、標準の手順と異なる場合があります。
「パッチ検索」で、「製品」リストからOracle Database Appliance、「リリース」リストからパッチ・リリース番号を選択します。「検索」をクリックします。次に、1つ以上のパッチを選択し、「ダウンロード」をクリックします。
root
としてログインします。
Oracle Database Applianceの各ノード上の一時ディレクトリ(たとえば/tmp
)にパッチを移動します。
パッチを解凍するには、各ノード上でoakcli unpack -package
コマンドを実行します。次のコマンド構文を使用します。path
はパッチ・ファイルへの絶対パスです。
# cd /opt/oracle/oak/bin
# ./oakcli unpack -package path
たとえば、パッチ・ファイルp16760967_27000_Linux-x86-64.zip
を/tmp
にコピーする場合、oakcli unpack -package
を次のように実行します。
ノード0の場合:
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli unpack -package /tmp/p16760967_27000_Linux-x86-64.zip
ノード1の場合:
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli unpack -package /tmp/p16760967_27000_Linux-x86-64.zip
パッチをインストールするには、ノード0でoakcli update -patch
コマンドを実行します。次のコマンド構文を使用します。version
はパッチ更新バージョン番号です。
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli update -patch version
たとえば、パッチ2.7.0.0.0に更新するには、ノード0でoakcli update -patch
コマンドを次のように実行します。
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli update -patch 2.7.0.0.0
一部のパッチ、特にグリッド・インフラストラクチャのパッチは、自動的に両方のノードにインストールされます。片方のノードにパッチがインストールされている場合は、パッチ・プロセスによって表示された出力を見るとわかります。パッチがノード0にのみインストールされている場合は、ノード1でoakcli update -patch
コマンドを繰り返します。