この付録では、データベースのサイズ設定および他の構成オプションについて説明します。この付録の内容は次のとおりです。
Oracle Database Applianceでは、複数CPUサーバー上でインスタンス・ケージングを使用することにより、複数のデータベースを1つのシステムに統合できます。インスタンス・ケージングは、Oracle Database Resource Manager (リソース・マネージャ)と連携して、複数インスタンス間で必要なサービス・レベルをサポートします。統合により、アイドル・リソースを最小限に抑え、効率を最大限に高め、コストを下げることができます。
Oracle Database Applianceテンプレートは、各データベース・インスタンス・ワークロードのサイズに合せて事前チューニングされています。特定のコア数で動作するよう設計されています。ケージングによって、各データベースのワークロードは、テンプレートで割り当てられたコアのセットに制限されます(これによって、複数のデータベースを同時に、パフォーマンスを低下させることなく、Oracle Database Applianceの容量まで、実行できるようになります)。計画的成長に備えるために、現在のニーズよりも大きなデータベース・テンプレート・サイズを選択できます(テンプレート・サイズは後で、システム・グローバル領域(SGA)とプログラム・グローバル領域(PGA)のサイズやコア数を調節することによって調整できます)。
ヒント: Oracle Appliance Managerコンフィギュレータは、データベースのクラスとしてデータベースのサイズ設定テンプレートを参照します。 |
次の表を使用すれば、ご使用のデータベースに最適なテンプレートを選択できます。これらの表を使用するときに、次に留意してください。
CPU_COUNT値はコア数値ではありません。この表を使用してOracle Database Applianceのライセンス要件を判断する場合は、CPU_COUNT値を2で割って、ライセンス保有する必要があるコアの最小数を算出します。非常に小規模(または超極小規模)のデータベースに必要なコアは1つのみですが、必要なライセンスは構成によって次のように異なります。
Oracle Database Appliance X3-2またはOracle Database Appliance X4-2仮想化プラットフォームでは2コアにライセンス
Oracle Database Appliance X3-2またはOracle Database Appliance X4-2ベア・メタル・インストールでは4コアにライセンス
Oracle Database Appliance(ベア・メタルまたは仮想化プラットフォーム)では2コアにライセンス
この表の情報は、ディスクのバックアップを作成していることを前提としています。外部テープ・バックアップを行うと、データベース・サイズを最大3.2TBにすることができます。
1秒当たりのI/O (IOPS)値は、オンライン・トランザクション処理(OLTP) I/Oリクエストを処理するための、5ミリ秒当たりのランダムな8Kの読取り/書込みのレスポンス時間から導出されます。この率はCPU数に基づくものではなく、システムがフル稼働していることを前提としています。たとえば拡張ストレージ・シェルフなしで12個の小規模なデータベースがすべて稼働しているOracle Database Appliance X4-2システムの場合、各データベースは約275 IOPSを処理することになります。システム上で1つのデータベースのみが稼働している場合、IOPSは3,300となります。同様に、Oracle Database Applianceシステムで1個の大規模データベースと6個の小規模データベースがすべて稼働している場合、非常に小規模なデータベースは1台当たり約300 IOPSを処理し、大規模データベースは約2,000 IOPSを処理することになります。
MB/秒(MBPS)でのスループットは、データ・ウェアハウス・システムの1MBの順次読取り/書込みに基づいています。IOPSと同様にMBPSは、システムがフル稼働している場合のスループットの測定値です。単一の小規模データベースのみが動作している場合、MBPSは大規模データベース用のシステムで使用可能な最大数となります。
ログ・ファイルのサイズは、システムがフル稼働している際に、各インスタンスの4つのREDOログ・グループで15分ごとにログ・スイッチが実行されることを前提としています。
使用しているハードウェアに適した情報を見つけてください。
ご使用のデータベースがOracle Database Appliance X4-2の場合、表C-1を使用します。
ご使用のデータベースがOracle Database Appliance X3-2の場合、表C-2を使用します。
ご使用のデータベースがOracle Database Applianceの場合、表C-3を使用します。
表C-1 Oracle Database Appliance X4-2データベース・テンプレートのサイズ
システム・コンポーネント | 超極小規模 | 非常に小規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 | 非常に大規模 | 超巨大規模 | 超超巨大規模 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CPU_COUNT(インスタンスごと) |
2 |
2 |
4 |
8 |
12 |
24 |
32 |
48 |
SGA (GB) |
2 |
4 |
8 |
16 |
24 |
48 |
64 |
96 |
PGA (GB) |
1 |
2 |
4 |
8 |
12 |
24 |
32 |
48 |
プロセス |
200 |
200 |
400 |
800 |
1200 |
2400 |
3200 |
4800 |
ログ・ファイル・サイズ(GB) |
1 |
1 |
1 |
2 |
4 |
4 |
4 |
4 |
このテンプレートを使用してデプロイできるデータベースの数 |
24 |
24 |
12 |
6 |
4 |
2 |
1 |
1 |
1秒当たりのI/O (1つのストレージ・シェルフあり) |
137 |
137 |
275 |
550 |
825 |
1650 |
3300 |
3300 |
スループット(MB/秒)(1つのストレージ・シェルフあり) |
145 |
145 |
292 |
583 |
875 |
1750 |
3500 |
3500 |
1秒当たりのI/O (ストレージ・シェルフおよびストレージ拡張シェルフあり) |
275 |
275 |
550 |
1100 |
1650 |
3300 |
6600 |
6600 |
スループット(MB/秒)(ストレージ・シェルフおよびストレージ拡張シェルフあり) |
230 |
230 |
458 |
917 |
1375 |
2750 |
5500 |
5500 |
ログ生成(MB/秒) |
6.83 |
6.83 |
6.83 |
13.65 |
27.30 |
27.30 |
27.30 |
27.30 |
表C-2 Oracle Database Appliance X3-2データベース・テンプレートのサイズ
システム・コンポーネント | 超極小規模 | 非常に小規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 | 非常に大規模 | 超巨大規模 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CPU_COUNT(インスタンスごと) |
2 |
2 |
4 |
8 |
12 |
24 |
32 |
SGA (MB) |
2048 |
4096 |
8192 |
16384 |
24576 |
49152 |
65536 |
PGA (MB) |
1024 |
2048 |
4096 |
8192 |
12288 |
24576 |
32768 |
プロセス |
200 |
200 |
400 |
800 |
1200 |
2400 |
3200 |
ログ・ファイル・サイズ(GB) |
1 |
1 |
1 |
2 |
4 |
4 |
4 |
このテンプレートを使用してデプロイできるデータベースの数 |
24 |
16 |
8 |
4 |
2 |
1 |
1 |
1秒当たりのI/O (1つのストレージ・シェルフあり) |
206 |
206 |
412 |
825 |
1650 |
3300 |
3300 |
スループット(MB/秒)(1つのストレージ・シェルフあり) |
146 |
219 |
438 |
875 |
1750 |
3500 |
3500 |
1秒当たりのI/O (ストレージ・シェルフおよびストレージ拡張シェルフあり) |
275 |
413 |
825 |
1650 |
3300 |
6600 |
6600 |
スループット(MB/秒)(ストレージ・シェルフおよびストレージ拡張シェルフあり) |
230 |
344 |
688 |
1375 |
2750 |
5500 |
5500 |
ログ生成(MB/秒) |
6.83 |
6.83 |
6.83 |
13.65 |
27.30 |
27.30 |
27.30 |
表C-3 Oracle Database Applianceデータベース・テンプレートのサイズ
システム・コンポーネント | 超極小規模 | 非常に小規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 | 非常に大規模 |
---|---|---|---|---|---|---|
CPU_COUNT(インスタンスごと) |
2 |
2 |
4 |
8 |
12 |
24 |
SGA (MB) |
2048 |
4096 |
8192 |
16384 |
24576 |
49152 |
PGA (MB) |
1024 |
2048 |
4096 |
8192 |
12288 |
24576 |
プロセス |
200 |
200 |
400 |
800 |
1200 |
2400 |
ログ・ファイル・サイズ(GB) |
1 |
1 |
1 |
2 |
4 |
4 |
このテンプレートを使用してデプロイできるデータベースの数 |
24 |
12 |
6 |
3 |
2 |
1 |
1秒当たりのI/O |
167 |
333 |
666 |
1333 |
2000 |
4000 |
スループット(MB/秒) |
125 |
250 |
500 |
1000 |
1500 |
3000 |
ログ生成(MB/秒) |
6.83 |
6.83 |
6.83 |
13.65 |
27.30 |
27.30 |
データベースが1つの場合は、ご使用のハードウェアで予想されるワークロードに適したテンプレートを選択します。データベースが複数ある場合は、それぞれの要件を合計し、それらすべてに十分なリソースを提供するテンプレートを選択します。データベースの増大が予想される場合、またはデータベースを追加する予定がある場合は、その増大に十分対応できる規模のテンプレートを選択します。
注意: ディスク・ハードウェアの容量は1 KB = 1,000バイトとして計算されますが、ソフトウェアの記憶域要件は1 KB = 1,024バイトに基づいています。つまり、定格容量900GBのディスクにはソフトウェア記憶域が約860GBしかありません。 |
デフォルトでは、Oracle Database Applianceインスタンス・ケージングは有効ではありません。インスタンス・ケージングを有効にするには、Oracle Database Appliance上の各データベースに初期パラメータRESOURCE_MANAGER_PLAN
を設定します。このパラメータでは、リソース・マネージャが現行のインスタンスに対して使用するプランを指定します。このパラメータを設定すると、リソース・マネージャがデータベース間のコア・リソースを割り当てるようになります。このパラメータでプランを指定しない場合、リソース・マネージャが有効にならないので、ケージングは有効になりません。
各データベースに対して選択したOracle Database Applianceデータベース・テンプレートのサイズに従って、コア・リソースのインスタンス・ケージング割当てが有効になります。CPU_COUNT
初期化パラメータは、テンプレートに設定されます。統合する各データベースのサイズと一致するCPU_COUNT
設定を使用して、インスタンス・ケージングを構成するための標準の指示に従います。
関連項目: インスタンス・ケージングの有効化および構成の詳細は『Oracle Database管理者ガイド』を参照 |
Oracle Database Appliance内のリソースは有限です。どのデータベース・テンプレートを使用するかを決定する際に、これらの有限なリソースをアプリケーションがどのように使用するかを決定します。
ストレージ: データベース・サイズ
ワークロード: CPU、メモリーおよびストレージ・パフォーマンス(IOPS/MBPS)
注意: データベースのサイズ設定の例(この章で後述)はガイドラインとしてのみ使用してください。実際に達成するパフォーマンスは他の要素に依存する可能性があります。デプロイ後にシステムのパフォーマンスをテストし、パフォーマンスがニーズを満たしていることを確認してください。 |
Oracle Database Applianceのデプロイメントに最適なデータベース・テンプレートを選択する際は、この章の各表の数値をガイドラインとして使用します。コアのみが、ライセンス保有コンポーネントであることに注意してください。メモリーやストレージなど、その他のリソースは、アクティブなコア数に関係なく使用可能です。Oracle Database Applianceテンプレートの1つを使用してデータベースをデプロイした後、Oracle Database Appliance上の残りのリソースは追加デプロイ用として使用できます。
注意: 実際のパフォーマンスは様々な要因に左右されます。デプロイ後にシステムのパフォーマンスをテストし、パフォーマンスが最適な状態であることを確認してください。 |
表C-3に示すサイズ設定ガイドラインでは、単一のOracle Database Applianceは、12コア(ノード当たり)を使用する1個の非常に大規模なデータベース、またはそれぞれが1コア(ノード当たり)を使用する12個の非常に小規模なデータベースをサポートできることを示しています。このガイドラインでは、単一のOracle Database Applianceは、3000 IOPSを処理できる1個の非常に大規模なデータベース、またはそれぞれが600 IOPSを処理できる6個の小規模なデータベースをサポートできることも示しています。
Oracle Database Appliance上で統合する次の3つのデータベースがあると想定します。
1番目のデータベースD1は、800GBで300 IOPSです。
2番目のデータベースD2は、200GBで500 IOPSです。
3番目のデータベースD3は、75GBで600 IOPSです。
IOPSおよびサイズの最小要件に基づいて、3つのデータベースを次のようにデプロイできます。
D1は大規模として
D2は小規模として
D3は小規模として
3つのデータベースをサポートするには、ノード当たり10コア(Oracle Database Applianceに対して20コア)をライセンス保有します。
新規Oracle Database Appliance X4-2仮想化プラットフォーム(1つのストレージ・シェルフあり)にデプロイする2つのデータベースがあると想定します。
1番目のデータベースDB1は、2TBで3000 IOPSです。
2番目のデータベースDB2は、1TBで3000 IOPSです。
I/O要件を考慮します。DB1とDB2は、それぞれ3000 IOPSを生成します。つまり、Oracle Database Applianceは合計6000 IOPSをサポートする必要があります。しかし、6000 IOPSは、Oracle Database Appliance X4-2が5ミリ秒のレスポンス時間を維持しながらサポートできる値より大きくなっています。超超巨大規模なデータベースでも、最大3000 IOPSまでしかサポートされません。
両方のデータベースをサポートするには、ストレージ拡張シェルフを追加して、各データベースに超巨大規模のテンプレートを使用する必要があります。または、シェルフを追加せずにデータベースを1つのみデプロイして、選択したデータベースに超巨大規模のテンプレートを使用することもできます。どちらの場合も、ODA_BASEに対して16コアをライセンス保有します(両方のノードのODA_BASEで32コア)。