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Oracle® Solaris 11.3 での IP サービス品質の管理

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更新: 2015 年 10 月
 
 

IPQoS 構成ファイル内でトラフィック転送を定義する方法

この手順では、IPQoS 構成ファイルにクラスのホップ単位の動作を追加して、トラフィック転送を定義する方法を示します。


注 -  次の手順では、dscpmk マーカーモジュールを使用してトラフィック転送を構成する方法を示します。dlclosmk マーカーを使用した VLAN システムのトラフィック転送については、VLAN デバイスでの dlcosmk マーカーの使用を参照してください。

始める前に

次の手順では、既存の IPQoS 構成ファイルにクラスおよびフィルタを定義してあるものとします。使用例 4 からの IPQoS 構成ファイルの構築を続行します。

  1. 管理者になります。

    詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのユーザーとプロセスのセキュリティー保護 の割り当てられている管理権利の使用を参照してください。

  2. IPQoS 構成ファイルがまだ開かれていない場合は、開きます。
  3. 定義した最後のフィルタの終わりを特定します。

    たとえば、IPQoS 対応サーバー Goldweb では、構成ファイルの filter 句のあとから作業を始めます。

    filter {
            name videoout
            sport videosrv
            direction LOCAL_OUT
            class video
        }
    }

    この filter 句は ipgpc クラシファイア action 文の終わりにあるため、filter を終了するには閉じ中括弧、action 文を終了するには 2 番目の閉じ中括弧が必要です。

  4. action 文でマーカーを呼び出します。
    action {
        module dscpmk
        name markAF11
    module dscpmk

    dscpmk マーカーモジュールを呼び出す

    name markAF11

    action 文に markAF11 という名前を割り当てる。

    以前に定義した goldweb クラスには next_action markAF11 という文が含まれています。この文は、クラシファイアによる処理が完了したトラフィックフローを、アクション文 markAF11 に送信します。

  5. トラックフローに対してマーカーが取るアクションを定義します。
        params {
            global_stats FALSE
            dscp_map{0-63:10}
            next_action continue
        }
    }
    global_stats FALSE

    マーカー actionmarkAF11 の統計収集を可能にする。ただし、enable_stats の値が FALSE であるため、統計は収集されない。

    dscp_map{0–63:10}

    DSCP 10 を、マーカーにより処理中の goldweb クラスのパケットヘッダーに割り当てる

    next_action continue

    userweb クラスのパケットに対しこれ以上処理を行う必要がないこと、およびこれらのパケットをネットワークストリームに戻してもよいことを示す

    DSCP 10 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 10 (バイナリ値 001010) に設定するよう指示します。このコードポイントは、goldweb トラフィッククラスのパケットが AF11 ホップ単位動作 (PHB) に従うことを示します。AF11 は、DSCP 10 を持つすべてのパケットが、低ドロップ、および高い優先順位のサービスを受けることを保証します。このため、Goldweb 上のプレミアム顧客用の発信トラフィックには、AF (相対的優先転送) PHB で指定可能なもっとも高い優先順位が与えられます。AF に設定可能な DSCP の表については、表 5 を参照してください。

  6. 別のマーカー action 文を開始します。
    action {
        module dscpmk
        name markEF
    module dscpmk

    dscpmk マーカーモジュールを呼び出す

    name markEF

    action 文に markEF という名前を割り当てる。

  7. トラフィックフローに対してマーカーが取るアクションを定義します。
        params {
            global_stats TRUE
            dscp_map{0-63:46}
            next_action acct
        }
    }
    global_stats TRUE

    video クラスの統計収集を有効にする。このクラスはストリーミングビデオのパケットを選択する

    dscp_map{0–63:46}

    DSCP 46 を、マーカーにより処理中の video クラスのパケットヘッダーに割り当てる

    next_action acct

    dscpmk モジュールに対し、dscpmk による処理が完了した video クラスのパケットを、actionacct に渡すよう指示する。actionacctflowacct モジュールを呼び出す。

    DSCP 46 は、dscpmk モジュールに対し、dscp マップのすべてのエントリを DS フィールドの 10 進数の 46 (バイナリ 101110) に設定するよう指示します。このコードポイントは、video トラフィッククラスのパケットが完全優先転送ホップ単位動作 (PHB) に従うことを示します。


    注 - EF のコードポイントは 46 (バイナリ値 101110) にすることをお勧めします。その他の DSCP は、AF PHB をパケットに割り当てるときに使用します。

    EF PHB は、DSCP 46 を持つパケットが IPQoS および Diffserv 対応システムによりもっとも高い優先度を与えられることを保証します。ストリーミングアプリケーションは、もっとも高い優先順位のサービスを必要とします。これが、QoS ポリシーでこれらのアプリケーションに EF PHB を割り当てる理由です。PHB の完全優先転送の詳細については、完全優先転送 (Expedited Forwarding、EF) PHBを参照してください。

  8. 作成したばかりの DSCP を Diffserv ルーターの適切なファイルに追加します。

    詳細は、ルーター上での差別化サービスの提供を参照してください。

  9. 変更を /etc/inet/ipqosinit.conf ファイルに保存します。
    • 変更する場合は、ipqos サービスを開始します。

      サービスの開始または再開の具体的な手順については、ipqos サービスを開始する方法を参照してください。

    • IPQoS 構成ファイルで変更を続行する場合は、別のタスクを選択します。

      必要になる可能性のある追加の変更のリストについては、一般的な IPQoS の構成計画のタスクマップを参照してください。

次のステップ