Oracle MaxRep for SAN のしくみについて

Oracle MaxRep for SANは継続的データ保護 (CDP) テクノロジを使用しています。Oracle MaxRepは長距離障害回復要件に加え、運用回復およびバックアップ要件をサポートするように構成できます。

Oracle MaxRep for SANはミッションクリティカルなLUNをローカルまたはリモートのいずれかの 1 つ以上のセカンダリLUNにレプリケートします。

次の図は、ローカルサイトを表し、アプリケーションサーバーまたはホストによって、ソースOracle FS Systemに書き込まれた新しいデータによって、継続的データ保護が開始されます。コントローラは 1 つのコピーをプライマリOracle FS System上の LUN に、他方のコピーをレプリケーションエンジンに伝送することによって、データをコピー (分割) します。システムはプライマリ LUN にデータを書き込むと、データが LUN に正常に書き込まれたことの確認応答をアプリケーションサーバーに送信します。

レプリケーションエンジンはターゲットLUNの対応する場所を読み取り、新しいソースデータと既存のターゲットデータを比較します。ターゲットLUNで更新が必要な場合、レプリケーションエンジンはターゲットLUNおよび保護計画LUNの保持LUN、つまりジャーナルを更新します。

保持LUNは、レプリケーションエンジンの保持ジャーナルを保存するOracle FS System上のLUNです。保持ジャーナルには、任意の時点にロールバックできる時間索引付きのレプリケーションイベントのリストが格納されています。

図 1 継続的データ保護プロセスフロー 継続的データ保護プロセスフロー 
凡例
1 アプリケーションサーバー 10 ホーム LUN
2 プライマリOracle FS Systemへの新しいデータの書き込み 11 ターゲット LUN データの読み取り
3 コントローラの書き込みスプリット 12 レプリケーションジャーナルへのメタデータの書き込み
4 レプリケーションエンジンへのデータ書き込みスプリット 13 ターゲット LUN への新しいデータの書き込み
5 ソース LUN へのデータ書き込みスプリット 14 保持 LUN
6 ホストへのターゲット LUN 書き込み確認応答 15 バックアップ LUN
7 ソース LUN 16 ターゲット LUN
8 プライマリOracle FS System 17 セカンダリOracle FS System
9 レプリケーションエンジン  

レプリケーションエンジンはソースアプリケーションのデータパスに含まれることはありません。この構成により、障害発生時やレプリケーションエンジンの交換時に、アプリケーションをホストしている本稼働サーバーの操作への影響を回避します。そのような構成の利点は、ビジネスの運用を中断することなく、Oracle MaxRep for SANを既存の環境に配備できることです。

ソースLUNからターゲットへのデータの初期レプリケーションは、段階的に実行されます。初期同期は 2 ステップで実行され、最後のステップではレプリケートされたデータの違いがチェックされます。これらのステップについては次で詳しく説明します。
注: Oracle MaxRep for SAN GUIでは、同期再同期という用語を使用して、それぞれ同期と再同期を表しています。
再同期ステップ 1

これはソースLUNのベースラインコピーがターゲットLUNにレプリケートされるレプリケーションプロセスの初期ステップです。高速コピーオプションによって構成された保護計画では、この初期ステップでは、2 つのOracle FS System間のソース LUN とターゲットLUN間の不一致のデータのブロックのみが転送されます。この比較により、完全コピーを実行することに比べて、初期再同期に必要な時間とネットワークリソースを大幅に削減できます。

再同期ステップ 2

再同期ステップ 1 でソースLUNに書き込まれた追加のデータは、再同期ステップ 2 で処理のためにジャーナリングされます。レプリケーションエンジンはキャプチャーした変更をターゲットLUNにレプリケートします。

差分同期

差分同期ステップでは、Oracle MaxRep for SANはソースLUNへの変更をキャプチャーし、それらをターゲットLUNに送信します。

初期同期後に再同期が必要な場合、システムは同期プロセスと同様に、進行中の変更をキャプチャーします。Oracle MaxRep for SANは初期同期ステップで、ターゲットLUNに一致しないブロックのみをレプリケートする高速再同期をサポートしています。非同期レプリケーションでは、高速再同期機能が使われます。同期レプリケーションでは、ソース LUN からデータを読み取り、そのデータを直接ターゲット LUN に書き込む直接再同期が使われます。

ソースLUNの保守アクティビティー時またはソースLUNの実際の障害発生時に、Oracle MaxRep for SANはターゲットLUNからソースLUNを回復するために、方向を切り替えることができます。Oracle MaxRep for SANは CDP テクノロジを使用して、データをレプリケートするため、ソースを保持期間中の任意の時点に復元できます。オプションのOracle MaxRepエージェントを使用している場合、ターゲットLUNをアプリケーション整合性ブックマークにロールバックして、データの整合性を確保することもできます。

Oracle MaxRepは物理ドライブまたは仮想ドライブ上のスナップショット (単一のポイントインタイムコピーに存在していたソースLUNのデータの正確なレプリカ) もサポートしています。