レプリケーションの概念の理解

Oracle MaxRep for SANを使用したデータのレプリケーションには、多くの重要な概念とテクノロジが関わっています。

継続的データ保護

継続的データ保護 (CDP) は、データへのすべての変更のコピーを保存し、保存したデータのすべてのバージョンをキャプチャーすることによって、データを継続的にキャプチャーまたは追跡するテクノロジを表します。これにより、データを任意の時点に復元できます。これは、データへの変更をキャプチャーして、それらを個別のジャーナルに送ります。CDP ベースのソリューションは、クラッシュ整合イメージから、ファイル、メールボックス、メッセージ、データベースファイル、およびログなどの論理オブジェクトまで、復元可能オブジェクトの詳細な粒度を提供できます。

従来のバックアップにはスケジュールが必要で、データをバックアップした時点にしか復元できません。CDP では、ソースLUN上のすべてのデータ変更が継続的に追跡され、ターゲットLUNに送信されるため、スケジュールが必要ありません。

Oracle MaxRep for SANはファイルレベルの違いではなく、ブロックレベルの違いをレプリケートします。これはつまり、100G バイトのファイルの 1 バイトを変更すると、その変更されたブロックのみがレプリケートされます。

CDP テクノロジには次の属性があります。
  • 保護されたプライマリサイトへのデータの変更は継続的にキャプチャーまたは追跡されます。

  • すべてのデータ変更がセカンダリOracle FS Systemに保存されます。

  • データ回復はテープバックアップやアーカイブよりはるかに時間がかかりません。

障害回復

障害回復 (DR) は、会社のインフラストラクチャーのクリティカルなテクノロジにおける致命的な問題発生後にも動作し続ける機能です。CDP テクノロジを使用する DR ソリューションはデータをセカンダリサイトにレプリケートします。障害発生時、障害の瞬間までプライマリサイトに存在していたデータにただちにアクセスできます。

レプリケーションステージ
Oracle MaxRep for SANは 3 つのステージでドライブレベルデータをレプリケートします。
再同期 (ステップ 1)

ソースLUNにある元のデータがターゲットLUNにレプリケートされます。

再同期 (ステップ 2)

再同期 (ステップ I) 中のすべてのデータ変更がターゲットLUNにレプリケートされます。

差分同期

差分同期は、ソースLUNのすべての変更がターゲットLUNに同時にコピーされるリアルタイムプロセスです。

整合データ

DR またはバックアップの場合、復元されたデータが元のデータと整合している必要があります。バックアップデータの整合性を確保するため、定期的な時間間隔またはオンデマンドでソースLUNに整合ブックマークが発行されます。

整合性には 3 つのタイプがあります。
整合

クラッシュ整合とも呼ばれます。すべてのポイントインタイムLUN情報が使用できることを指定します。非ブックマークポイントインタイム回復は整合です。

ファイルシステム整合

ブックマークが発行された時点で、ファイルシステムがそのキャッシュをディスクにフラッシュしたことを指定します。ファイルシステム整合性では、ホストベースのOracle MaxRepエージェントが使用されます。

アプリケーション整合

複数のボリュームにまたがる可能性があり、キャッシュされたデータも含むすべてのアプリケーションデータが、その時点でストレージにフラッシュされ、使用できることを指定します。Oracle MaxRep for SANはホストベースのOracle MaxRepエージェントによるアプリケーション整合性も提供します。

アプリケーションまたはファイルシステムと連携するOracle MaxRepエージェントのみがブックマークを作成します。

保持または CDP ログ

保持ログ (CDP ログとも呼ばれます) は、指定された期間内のソースLUNへのデータ変更に関する情報を格納します。この期間は、保持期間と呼ばれます。整合ポイントは、保持期間内のブックマークとして格納されます。LUNは、この保持期間内のアプリケーション整合性のある任意のブックマークにロールバックできます。

アプリケーション整合性が必要ない場合は、LUNをこの保持期間の任意の時点にロールバックできます。この保持期間内のどのブックマークも使用しないでロールバックされたアプリケーションは、クラッシュ整合性しかありません。

この保持期間に関連付けられる保持ポリシーには 4 つのタイプがあります。
時間ベース

指定した期間後に、保持期間内のデータが上書きされます。

領域ベース

保持ドライブ内の領域制限に達したあとに、保持期間内のデータが上書きされます。

時間および領域ベース

指定した時間後または指定した領域が使用されたあとのいずれか先に発生したときに、保持期間内のデータが上書きされます。

スパース保持

長期間のデータ保持の目的には、スパースポリシーが使用されます。スパースポリシーは、保持ドライブ上の領域を節約して保持期間を増やすのに役立ちます。

適用されるポリシーのタイプに応じて、保持期間は、保持ログファイル内の古いデータ変更を破棄しながら定期的なブックマークを保持することによって維持されます。古いデータを破棄すると、新しいデータ変更のための余地が生まれます。

スナップショット
スナップショットは、保持期間内の単一の時点に存在していたプライマリOracle FS Systemからのデータのアクセス可能なレプリカです。スナップショットのタイプには、物理レプリケーションコピーと仮想スナップショットの 2 つがあります。
  • 物理レプリケーションコピーは、物理LUNの完全コピーです。目的のコピーのサイズは、ターゲットLUN (レプリケーションペア内) 以上になるはずです。
    注: 物理コピーは物理LUNが存在するOracle FS Systemからマウントします。
  • 仮想スナップショットは仮想LUNです。仮想スナップショットは vsnap とも呼ばれます。vsnap は必要とするシステムリソースが最小であるため、すばやくロードおよびアンロードされます。
    注: 仮想スナップショットは、仮想スナップショットをホストしているレプリケーションエンジンから回復ホストにマウントします。

物理コピーと仮想スナップショットは、次のいずれかのモードでアクセスします。

読み取り専用

読み取り専用スナップショットは情報目的で、書き込みを受け付けたり、保持したりすることはできません。読み取り専用オプションは仮想スナップショットにのみ使用できます。物理コピーは常に読み取り/書き込みです。

読み取り/書き込み

読み取り/書き込み仮想スナップショットは書き込みを受け付け、保持します。これは、指定されたとおりに、ローカルドライブの特定の部分にアーカイブログを保存することによって行われます。

読み取り/書き込み/ジャーナル

仮想スナップショットの場合、読み取り/書き込み/ジャーナルモードによって、データの回復後、仮想スナップショットを別の時点にロールバックできます。読み取り/書き込み/ジャーナルオプションは、仮想スナップショットにのみ使用できます。物理コピーは常に読み取り/書き込みです。