レプリケーションのオプション

Oracle MaxRep for SAN保護計画オプションを通じて、さまざまなレプリケーションパターン用にレプリケーションペアを構成できます。

使用可能なレプリケーションのオプションには、同時に再同期されるペアの数や、プライマリOracle MaxRep レプリケーションエンジンからセカンダリレプリケーションエンジンへの圧縮データ転送などがあります。これらのオプションについて、次のリストで説明します。
注: レプリケーションエンジンの同期または非同期構成によって、使用可能なレプリケーションのオプションが決まります。すべての構成ですべてのオプションを使用できるわけではありません。
プライマリプロセスサービスからセカンダリプロセスサービスへのデータ転送をセキュリティー保護する
プロセスサービスレプリケーションエンジンに転送する前にデータを暗号化します。
重要! 暗号化された転送には暗号化されない転送と比べてパフォーマンス上の不利益があることがあるため、ソースおよびターゲットストレージ間の WAN リンクが専用のセキュア WAN である場合は、暗号化をお勧めしません。WAN 接続の非同期レプリケーション用に公衆通信事業者を使用している場合に暗号化を有効にします。
バッチ再同期

保護計画で同時に再同期されるレプリケーションペアの数を指定します。

たとえば、バッチ再同期の値が 2 で、保護計画に 4 つのペアがある場合、ペアのうち 2 つに対して再同期が開始し、残りの 2 つのペアは「キュー」状態のままになります。ペアが差分同期に達すると、次のペアは再同期プロセスのステップ 1 を開始します。回復ポイントは、ペアの構成時間からではなく、再同期の開始時間からのみ発生します。

自動再起動オプション

レプリケーションデータの不整合を自動的に修正するかどうかを指定します。不整合が発生すると、「モニター」ページの「アラートと通知」パネルに警告メッセージが表示され、ペアは再同期が必要であるとマークされます。

「自動再起動オプション」が有効で「再同期が必要」オプションを「はい」に設定すると、システムは「次の時間の間に開始します」の時間枠内で強制再同期を実行する前に、指定された期間 (デフォルトは 30 分) 待機します。この待機によってデータの整合性が保証され、手動の介入が最小限で済みます。
注: 保護計画で「自動再起動オプション」が構成されないと、再同期が必要な場合は手動の介入が必要です。
同期オプション
同期オプションでは、ソースおよびターゲットLUNのデータがはじめて相互に同期されることをレプリケーションエンジンが保証する方法を定義します。ソースおよびターゲットLUNが同期しない場合、これらのLUNは将来同期状態に戻ることがあります。
高速同期
プライマリサーバーの CPU リソースを多く使用する代わりに、基本的な再同期よりも高速な再同期を実行します。
注: 「高速同期」オプションは、非同期構成の場合のみ使用できます。

「高速同期」オプションは、Oracle MaxRepでソース LUN 上のデータブロックを読み取り、一致しないデータをハッシュ内に計算するように指定します。システムは次に、ターゲット LUN 上の同じデータブロックを読み取り、対応するハッシュを計算します。このハッシュは、ソースとターゲットのレプリケーションエンジン間をネットワーク経由で転送されます。

これらのデータハッシュが一致した場合、ターゲット LUN にデータは転送されません。データハッシュが一致しなかった場合は、レプリケーションエンジン間をネットワーク経由でデータが転送されます。このプロセスによってレプリケーションエンジン間を異なるデータだけが転送されるため、システム間のネットワークトラフィックが最小限に抑えられ、再同期時間が大幅に短縮される場合があります。

直接コピー
データをソースおよびターゲットLUN間で直接コピーし、検証は必要ありません。
注: 「直接コピー」オプションは、同期構成の場合のみ使用できます。

このオプションは、ソースとターゲットLUNの両方が同じレプリケーションエンジンまたはレプリケーションエンジンのクラスタ化された高可用性ペアからアクセス可能な場合に使用できます。直接コピーは、同期レプリケーション構成の場合のみ発生します。

圧縮

WAN で転送されるデータに圧縮を使用するかどうかを定義します。圧縮によりレプリケーションエンジン上の貴重なシステムリソースが消費される可能性があるため、帯域幅に限界のある WAN 上の非同期レプリケーション環境でのみレプリケーションエンジンを使用することを推奨します。サイズ設定の考慮事項については、Oracle カスタマサポートにお問い合わせください。

データ圧縮効率は、圧縮しているデータのタイプによって大きく異なります。通常は、さまざまなデータタイプについて、次の表で定義されるように圧縮率を見込むことができます。
表 1 ファイルタイプ別の圧縮率
ファイルタイプ 圧縮率
一般的なファイル 2:1
データベース 4:1
グラフィックスおよびメディア 1:1
メッセージング (電子メールなど) 4:1
ファイルしきい値の再同期
しきい値再同期キャッシュのフォルダサイズを指定します。再同期キャッシュフォルダがこのサイズを超えると、ソースとターゲットのLUN間のデータ転送率は調整されます。デフォルト値は 16G バイトです。
注: 「ファイルしきい値の再同期」を高すぎる値に設定すると、レプリケーションエンジン上で使用可能なシステムリソースに悪影響がある可能性があります。しきい値を小さすぎる値に設定すると、高データロード時の回復ポイント目標 (RPO) 時間が増加することがあります。
差分ファイルしきい値
しきい値差分同期キャッシュのフォルダサイズを指定します。差分キャッシュフォルダがこのサイズを超えると、ソースとターゲットのLUN間のデータ転送率は調整されます。高データ変更率のLUNを除くすべてのLUNで、デフォルト値は 65G バイトです。
注: Oracle カスタマサポートから指示がないかぎり、「差分ファイルしきい値」オプションを設定しないでください。
RPO しきい値
しきい値回復ポイント目標 (RPO) を分数で指定します。RPO は、レプリケーションペアが同期モードに後退できる最大時間を表します。RPO がこの制限を超えて増加すると、Oracle MaxRepシステムは GUI インタフェースにメッセージを送信します。この設定がレプリケーションに与える影響はありません。
注: Oracle カスタマサポートから指示がないかぎり、「RPO しきい値」オプションを設定しないでください。