高可用性

Oracle FS System の高可用性機能により、サービス中断を招きかねない想定外のハードウェア障害やソフトウェア障害にシステムが適切に対処できます。また、この機能によって、ハードウェアの交換作業中でも顧客データへのアクセス性が維持されます。

Oracle FS System には次の高可用性機能が含まれています。
コピーバック

データを一時的な場所から新しく交換したドライブに移動します。HDD の場合、一時的な場所はアクティブなスペアストライプです。SSD の場合、一時的な場所は専用のスペアドライブです。

ダブルパリティー

消失データの回復に役立つように、元のユーザーデータに 2 セットのパリティービットを追加して格納します。2 台のドライブに同時に障害が発生しても、データへのアクセスが維持されます。ダブルパリティーは、RAID 6 テクノロジを使って実装され、容量型メディアを指定するストレージクラスのデフォルトの冗長レベルになります。

動的スペア

特定のドライブグループ内の大容量ハードディスクドライブ (HDD) 上の割り当てられていないストリップ。このスペア容量は、そのドライブグループ内のすべての HDD にまたがってストライプ化されます。動的スペアは、RAID 5 の保護レベルおよび RAID 10 の保護レベルをサポートするために使用されます。動的スペアがドライブグループの境界をまたがることはできません。

ミラー化

Oracle FS System が論理ボリュームの正確な複製を異なる場所に保持する RAID レベル。パリティーデータは使用されません。ミラー化は、ランダム書き込み操作のパフォーマンス向上によって少なくとも 1 台、場合によってはそれ以上の台数のドライブが失われることを防ぎます。ミラー化された RAID は、RAID 10 テクノロジを使用して実装されます。

Oracle プリエンプティブコピー

疑いのあるドライブ上のデータをスペアドライブまたは動的スペアにコピーする Oracle FS System ファームウェアの機能。この操作は、障害が予測されたドライブで障害が発生し、そのあとにそのドライブを交換のためにオフラインにする前に行われます。この機能により、そのドライブで実際に障害が発生した場合のパフォーマンスの低下やデータ損失の可能性が回避されます。この機能は、再構築処理のオーバーヘッドを回避することによって、全体的なパフォーマンスを最適化します。コピーアウェイと呼ばれることもあります。

利点としては、障害が発生するドライブに冗長性があるときにコピーアウェイ操作が実行され、顕在している可能性があるエラーをパリティーデータを使用して修正できます。また、障害が発生したドライブはオンラインのままであるため、コピーアウェイ操作が行われているときに 2 つ目のドライブで障害が発生しても、データの損失が発生しません。

シングルパリティー

消失データの回復に役立つように、元のユーザーデータに 1 セットのパリティービットを追加して格納します。1 台のドライブに障害が発生しても、データへのアクセスが維持されます。シングルパリティーは、RAID 5 テクノロジを使って実装され、パフォーマンス型メディアを指定するストレージクラスのデフォルトの冗長レベルになります。

スペアドライブ

コピーアウェイ操作によるドライブグループの再構築をサポートできる未使用のソリッドステートドライブ (SSD)。ドライブエンクロージャーやドライブグループには、この目的にしか使用しない SSD は含まれません。ただし、ドライブエンクロージャー内に未使用の SSD が存在し、かつそのドライブエンクロージャー内の SSD で障害が発生したか、障害が予測されているか、取り外された場合、システムは、問題のあるドライブを再構築するためにその未使用のドライブを使用します。

さらに、未使用の SSD が存在しない場合、システムはそのパリティーデータを使用して、失われた SSD で機能し続けることができます。

一括書き込み

特定のストライプへの複数の少量の書き込み操作を単一の書き込み操作にグループ化する RAID 最適化技法。この単一の書き込み操作は、ストライプに書き込まれていないデータがあるすべての LUN に影響します。一括書き込みを使用すると、少量のデータを扱うランダム書き込み操作のパフォーマンスが向上することがあります。

この最適化技法は、RAID 5 や RAID 6 ストレージアレイ、および自動階層化 LUN で特に役に立ちます。