優先度レベルとパフォーマンス

論理ボリュームの優先度レベルによって、システムがボリュームに対する着信 I/O 要求にどのように応答するかが決まります。一般に、ボリュームに関連付けられている優先度レベルが高いほど、アクセス要求に対するシステム応答は速くなります。

使用可能な優先度レベルは次のとおりです。
最高

もっとも高い処理キュー内のリクエストへの応答の優先度を示します。

次に高い処理キュー内のリクエストへの応答の優先度を示します。

中程度の処理キュー内のリクエストへの応答の優先度を示します。

2 番目に低い処理キュー内のリクエストへの応答の優先度を示します。

アーカイブ

もっとも低い処理キュー内のリクエストへの応答の優先度を示します。

Oracle FS System が着信 I/O 要求に応答するまでの時間は、次のセクションに示す要因によって決まります。

キューの優先度

コントローラの SAN インタフェースは、5 つの QoS 優先度レベルに対して 1 つずつ処理キューを備えています。SAN インタフェースは、LUN への着信 I/O 要求を、その LUN に関連付けられている QoS 優先度に一致する処理キューに格納します。

コントローラの SAN インタフェースに限度を超える処理が割り当てられた場合、Oracle FS Systemコントローラの処理リソースをキューの優先度に応じて各キューに割り当てます。優先度が最高のキューにはもっとも多くの処理リソースが割り当てられます。その他の優先度のキューには、キューの優先度レベルに応じてそれよりも少ない割合でリソースが割り当てられます。

データの移行

QoS Plus を使用する論理ボリュームについては、Oracle FS System はシステムで使用する QoS バイアスを調整して、ストレージ階層を超えてユーザーデータを移行するかどうか、および移行のタイミングを決定します。この調整により、高い優先度のボリュームにより高いパフォーマンスのストレージクラスを使用する機会が優先的に与えられます。

たとえば、2 つのデータブロックのアクセス統計が同等の場合で、1 つのブロックの QoS 優先度設定がもう一方より高い場合、高い優先度のブロックのほうが優先度の低いブロックより先に移行します。

シンプロビジョニング

QoS Plus を使用する論理ボリュームがシンプロビジョニングされている場合、Oracle FS System はインフィルに使用する初期ストレージクラスを、管理者がそのボリュームに設定したストレージクラスと RAID レベルに基づいて選択します。

ストライピング

通常の QoS (単一階層 LUN) を使用する LUN では、論理ボリュームをホストするストレージドメインに十分な数のドライブグループがある場合、Oracle FS System はより高い優先度のボリュームを多数のドライブグループに配置し、低い優先度のボリュームはそれよりも少数のドライブグループに配置します。高い優先度のボリュームを多数のドライブグループに配置することで、ボリュームのパフォーマンスを向上できます。

たとえば、最高または高の優先度レベルの論理ボリュームは 4 つのドライブグループにわたってストライピングされます。一方、低またはアーカイブの優先度レベルのボリュームは 2 つのドライブグループにしかストライピングされません。

QoS Plus を使用する LUN (自動階層化 LUN) の場合、システムは LUN を作成する前に自動階層化 LUN を配置する適切なストレージ階層を作成します。ストレージ階層はストレージドメイン内のすべてのドライブグループにわたるため、自動階層化 LUN はそれらすべてのドライブグループを、優先度レベルとは関係なく使用できます。