6 メッセージ処理

SMC がインターセプトするのは、マウント、マウント解除、およびスワップオペレーションに関する特定の MVS、JES3、および TMS (Tape Management System: テープ管理システム) メッセージです。TapePlex で定義されているドライブがインターセプトされるメッセージに含まれている場合、SMC はその所有する TapePlex に対し、要求された動作を実行するよう指示します。

SMC によってインターセプトされるメッセージは、付録A インターセプトされるメッセージに一覧表示されています。

注:

JES3 マウントメッセージを処理できるようにするには、IATUX71 ユーザー出口がインストールされている必要があります。詳細については、『ELS のインストール』を参照してください。

ユーザー指定によるメッセージ処理

使用しているインストール状況で SMC が TMS をサポートしていない環境でも、SMC に指示して TMS が発行する特定のメッセージをインターセプトさせることができます。インターセプトするメッセージは、USERMsg コマンドを使用して定義できます。詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

ユーザー出口 01 を使用すると、インターセプトされたメッセージに対するアクションを変更または拡張したり、インターセプトされたメッセージリストに含まれていないメッセージに対するアクションを実行するように SMC に指示したりできます。

SMC は、メッセージをインターセプトするたびに、ユーザー出口を呼び出します。これには、付録A インターセプトされるメッセージに一覧表示されているデフォルトメッセージ、および USERMsg コマンドを使用して定義されたすべてのメッセージが含まれます。

注:

  • ユーザー出口には、SMC がインターセプトしたメッセージのみが渡されます。

  • SMC は、REPLY のユーザー出口 01 リターンコードをサポートしていません

メッセージ処理ポリシー

SMC では、マウント、マウント解除およびスワップメッセージ処理に関する、次の MVS および SMC ポリシーが適用されます。

MVS ポリシー

System Authorization Facility (SAF: システム許可機能) により、現在使用しているセキュリティーソフトウェアを用いて、ボリュームレベル (CLASS=TAPEVOL) のテープ保護が可能になります。SMC では、SAF インタフェースを介してライブラリトランスポートにマウントされたボリュームの書き込み保護要求に関するポリシーが適用されます (定義されている場合)。SMC は、RACROUTE マクロを発行することによって SAF インタフェースを呼び出し、ACS 仮想サムホイール (VTW) のサポートを通して読み取り専用ボリュームを保護します。

SMC ポリシー

SMC MOUNTDef コマンドを使用すると、以前には HSC MNTD コマンド、HSC 入力パラメータと LIBGEN オプション、および MVS/CSC ALTER コマンドと入力パラメータによって制御されていたメッセージ処理 (つまり、マウント/マウント解除) オプションの制御が可能になります。

これらのオプションを用いて、マウント遅延の自動処理、マウント解除時の削除後処理の削除、ライブラリボリュームがライブラリ外にマウントされた場合にメッセージを表示するかどうか、およびマウントメッセージをコンソール画面で非表示にするタイミングを制御します。

注:

MOUNTDef コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

Tape Management System (テープ管理システム) のサポート

SMC は、次の TMS からのマウント、マウント解除およびスワップメッセージをインターセプトします。

  • CA-1

  • CA-DYNAM/TLMS

  • DFSMSrmm

  • AutoMedia (Zara)

  • CONTROL-T

サブプールを使用するテープ管理システムの場合、サブプールは SMC によってインターセプトされ、要求されたサブプール名として使用されます (ユーザー出口 01 または TAPEREQ 文によって置き換えられていない場合)。次の関連メッセージがあります。

  • CTS002

  • CTT101A

  • CTT104A

  • TMS002

SMC スワップ処理

SMC は、HSC の拡張スワップ処理と同様の動作で、スワップ処理 (I/O エラーまたはオペレータに起因する) を自動処理します。これによって、DDR が互換性のないデバイスを選択した場合、オペレータは、互換性のある「スワップ対象」デバイスを検索する必要がなくなります。SMC が互換性のあるスワップ対象デバイスを検出できない場合、または互換性のあるデバイスがすべてビジーの場合、メッセージが発行され、それ以降の制御は DDR 処理に戻されて、SMC は関与しません。拡張スワップ処理は、SMC でサポートされている唯一のモードです。

JES3 システムでは、SMC はスワップ対象デバイスの選択に影響を及ぼしません。SMC は、SMC0107 または SMC0110 を発行しません。JES3 システムは、適切な初期化デッキ定義に基づいて、互換性のあるドライブを独自に選択できます。IGF502E が受信されても、SMC は引き続きスワップを自動化します。

次のいずれかのメッセージが発行されると、SMC スワップ処理が開始されます。

IGF500I SWAP XXX1 TO XXX2 - I/O ERROR
IGF503I ERROR ON XXX1, SELECT NEW DEVICE
IGF509I SWAP XXX1 - I/O ERROR

デバイス XXX1 がライブラリ内またはライブラリ外で定義されているデバイスとして SMC で認識されている場合、SMC はメッセージを制限し、自動スワップ処理を開始します。

SMC は、3 つのうちいずれかのメッセージを発行します。

  • SMC0108 No compatible drive found for SWAP processing

  • SMC によって互換性のあるドライブが選択可能な場合:

    SMC0107 SWAP volser from XXX1 to XXX2

  • MOUNTDEF SWAPLIMIT カウントを超えた場合:

    SMC0233 SWAPLIMIT=NNNNNN exceeded; swap processing canceled

SMC0108 が発行され、かつ MOUNTDEF SWAPAUTOREPLY がオンである場合、メッセージ IGF500D または IGF509DNO で応答されます。

SMC0233 が発行され、かつ MOUNTDEF SWAPLIMITbypassReply 変数が OFF である場合、メッセージ IGF509DNO で応答されます。

デバイス XXX2 は、スワップに互換性があるデバイスとして、SMC によって選択されたデバイスです。次に、SMC は MVS IGF500D または IGF509D メッセージを制限し、制限したメッセージを次のメッセージに置き換えます。

SMC0110 Allow swap of volser from XXX1 to XXX2;
Reply ’Y’, or ’N’ or DEVICE

オペレータには、選択されたデバイスを許可するか、スワップを中止するか、または異なるデバイスを選択するオプションがあります。オペレータによって異なるデバイスが選択されると、SMC は以降の整合性チェックを行わずに、このデバイスを許容します。

「Y」または新規デバイスが返された場合、MVS によって次のメッセージが発行されます。

IGF502E PROCEED WITH SWAP OF XXX1 TO XXX2

XXX1 がライブラリによって所有されるデバイスである場合は、ボリュームのマウント解除が自動化されます。XXX2 がライブラリによって所有されるデバイスである場合は、ボリュームのマウントが自動化されます。

注:

MVS セキュリティーパッケージ (RACF や TopSecret など) が、MVS スワップメッセージ IGF500D および IGF509D に応答するために必要な権限を SMC に付与するように構成されていることを確認してください。

HSC マウント関連メッセージ

本リリースでは、エラー発生時の特定のマウント関連メッセージは、HSC によって発行されます。

  • エラー状態により、同じボリュームへのマウントを繰り返す必要が生じた場合、SLS0088D が発行されます。

  • マウント解除されたボリュームで I/O またはほかのタイプのエラーが発生した場合、SLS1075D が発行されます。

SMC クライアントからの HSC マウントの管理

SMC クライアントサーバーアーキテクチャーでは、サーバーコンソールではなくクライアントコンソールを使用して、マウント/マウント解除の特定の例外条件を管理できる機能が提供されています。次のような条件が、SMC で処理されます。

  • LSM がオフラインの場合、ドライブおよびコンソールに関して、手動マウントが必要なボリュームとその位置を示すメッセージが表示されます。

  • 実行中または JES3 設定処理中のジョブからのマウント要求中にドライブが別のボリュームにロードされることが検出された場合は、UCB の未処理のマウントステータス (または JES3 SETUNIT) に基づいてマウント解除が強制的に実行され、マウントが自動的に再処理されます。

    注:

    マウントまたはマウント解除メッセージが SMC によってインターセプトされ、HSC サーバーに送信された場合、サーバーまたはクライアント上で SLS0107D メッセージは発行されません。SMC からマウント解除を指示された HSC によって、ロード済みドライブの条件が検出された場合、HSC はドライブがアンロードされるまで 1 分間待機したあと、マウント解除処理を終了します。SMC からのマウント要求の一環としてマウント解除が実行されると、ロード済みドライブのステータスが SMC に戻されたあと、マウントが遅延状態のままの場合、SMC はそのマウント要求を再処理します。
  • ドライブまたはボリュームが別のプロセスで使用中の場合、マウントが遅延状態のままであるかどうかが検証され、要求が定期的に再試行されます。オペレータは、いつでも要求を中止または再試行できます

  • TAPEPlex WTORdest クライアントオプションが選択されている場合は、特定の WTOR メッセージが HSC サーバー上で発行されず、代わりにクライアントコンソールに直接送信されます。これらのメッセージは、オペレータによる応答のあと、SMC からサーバーに対してマウントまたはマウント解除要求が再指示されることによって、サーバーに転送されます。現在、次の HSC マウント/マウント解除 WTOR メッセージが、このオプションでサポートされています。

    • SLS0134

    • SLS0905

    • SLS2126

    • SLS2905

    • SLS2984

    • SLS0109

    • SLS4084

    これらのメッセージの詳細については、『ELS Messages and Codes』を参照してください。