2 MVS ホストソフトウェアの構成

この章では VLE, のための MVS ホストソフトウェアの構成について次の各セクションで説明します。

主な構成値

次の各セクションでは、ソフトウェア構成で必要になる値について説明します。これらの値は、通常はすでにハードウェア構成で設定され、IP_and VMVC_Configuration.xls ワークシートに記録されている値と一致する必要があります。

サブシステム名

VLE のサブシステム名。これは次のように VLE インストールスクリプトによって設定されます。

  • VTCS CONFIG TAPEPLEX STORMNGR パラメータまたは CONFIG STORMNGR NAME パラメータ

  • VTCS CONFIG RTD STORMNGR パラメータ

  • SMC STORMNGR NAME パラメータ

  • SMC SERVER STORMNGR パラメータ

  • HSC STORCLAS STORMNGR パラメータ

VTSS Ethernet ポートアドレス

VTSS Ethernet ポートアドレスは、CONFIG RTD IPIF パラメータによって VTSS と VLE 間の IP 接続を構成するために必要です。VSM 5 の場合、この値は VSM 5 の「IFF Configuration Status」画面で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS, で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません

ホスト (UUI) 通信用 VLE ポートの IP アドレス

ホスト (UUI) 通信用 VLE ポートの IP アドレスは、SMC の SERVER IP パラメータで必要になります。

VMVC Volser

SMC/VTCS に VMVC を定義するために必要で、定義の方法はソフトウェアのバージョンによって異なります。「VLE の VMVC を MVS ホストソフトウェアに定義し、VMVC を MVC プールに含める」を参照してください。

VMVC 再生しきい値

詳細は、「VMVC の再生ポリシーの指定」を参照してください。

VTV の複製解除

STORCLAS DEDUP パラメータは、指定した STORMNGR で VMVC に移行された VTV データが複製解除されるかどうかを指定します。次に例を示します。

STORCLAS NAME(VLEDEDUP)STORMNGR(VLE1) DEDUP(YES)

この STORCLAS ステートメントは、VLE1 に移行されるストレージクラス VLEDEDUP のデータを複製解除するように指定します。詳細は、ELS 7.3 のコマンド、制御文、およびユーティリティーに関するリファレンスを参照してください。

複製解除は、VMVC の実効容量を増やし、VTV が VMVC に書き込まれる前に、VLE によって実行されます。そのため、Oracle では、最初に複製解除を有効にしてから、SCRPT レポートによって結果をモニターし、必要に応じて、複製解除を微調整することをお勧めします。

Early Time to First Byte (ETTFB)

ETTFB (並行テープリコール/マウント機能とも呼ばれる) では、VTV が VMVC または RTD のいずれかからリコールされている間に、ホストアプリケーションがデータを読み取ることができます。ETTFB は、VTV のリコールフェーズとマウントフェーズをオーバーラップして実行されるため、アプリケーションが迅速に VTV データを読み取ることができます。まだリコールされていない VTV の一部をアプリケーションが読み取ろうとした場合、アプリケーションの入出力要求は、必要な VTV データのリコールが完了するまでブロックされます。VLE の ETTFB により、最初のバイトへのアプリケーションアクセスが 1 秒足らずで行われ、VLE を VTSS の真の拡張にします。そのため、VLE ETTFB は、VTV データに連続的にアクセスするアプリケーションに適した選択です。VLE ETTFB は一般的に、HSM やイメージ管理アプリケーションなど、単一の VTV に複数のファイルをスタックするアプリケーションにはメリットがありません。これらの種類のアプリケーションでは、目的のデータは多くの場合 VTV の先頭ではなく、VTV 内のランダムな位置にあります。

ETTFB はデフォルトで無効になっています。ETTFB は CONFIG GLOBAL FASTRECL パラメータを使用するとグローバルに有効にできます。ETTFB をグローバルに有効にした場合、CONFIG VTSS NOERLYMNT パラメータを使用すると個々の VTSS でそれを無効にできます。

ETTFB リコールエラーが発生した VTV は、CDS の VTV レコードにエラーフラグが設定されます。これらの VTV は、あとで ETTFB 用に選択されません。エラーフラグをリセットする場合、次のいずれかを実行します。

  • VTV について VTVMAINT SCRATCH(ON) コマンドを入力します。

  • VTV を新しい MVC コピーに移行します。

  • VTV をインポートします。

  • 新しいバージョンの VTV を作成します。

  • VTV をスクラッチします。

MVS ホストソフトウェア構成タスク

VSM システムに VLE を追加するには、次の各セクションで説明するタスクが必要です。

この章で参照されているコマンドおよび制御文の詳細については、ELS 7.x のコマンド、制御文、ユーティリティーに関するリファレンスを参照してください。

VLE 用 PTF をサポートする ELS の取得

ELS 7.2 以降では、基本レベルでサポートが含まれます。ELS 7.1 では、最新の SMP/E receive HOLDDATA および PTF (L1H16J6、L1H1674) を入手し、GROUPEXTEND を使用して SMP/E APPLY を実行します。

SMC OMVS RACF セキュリティーエントリの更新

VLE では、ホストへの TCP/IP 接続を行うために、SMC に OMVS RACF セキュリティーエントリが含まれている必要があります。

OMVS とは、RACF ユーザー ID に関連付けられるセグメントのことです。SMC によって起動されるタスクは、RACF STARTED クラス定義内または ICHRIN03 LNKLST モジュールで OMVS に関連付けられたユーザー ID を持つ必要があります。SMC タスクに関連付けられるユーザー ID には、次のように RACF, 内で OMVS セグメントが定義されている必要があります。

ADDUSER userid
DFLTGRP(groupname)OWNER(owner)OMVS(UID(uidnumber))

または、ユーザー ID はすでに存在しているが、その ID に OMVS セグメントが含まれていない場合は次のとおりです。

ALTUSER userid OMVS(UID(uidnumber))

SMC SCMDS ファイルの変更

SMC は VTCS と VLE との間のすべての通信を管理するので、SMC に VLE サーバーへの接続方法を知らせる必要があります。そうするには、VLE システムごとに SMC STORMNGR 文を 1 つずつ追加するとともに、VLE 用の TCP/IP 制御パスを定義する SMC SERVER 文を 1 つ以上追加します。7.0 以降の場合は、例2-1 に示すように、SMC CMDS ファイル内でこれを行うことをお勧めします。

例2-1 VLE 用の SMC コマンド

TAPEPLEX NAME(TMVSA)LOCSUB(SLS0)
SERVER NAME(ALTSERV) TAPEPLEX(TMVSA) +
HOSTNAME(MVSX) PORT(8888)
STORMNGR NAME(VLE1)
SERVER NAME(VLE1)+ STORMNGR(VLE1)IP(192.168.1.10)PORT(60000)

例2-1 には次が含まれています。

  • TAPEPLEX ステートメント。同じ MVS ホスト (SLS0) 上で HSC/VTCS を実行する単一の TapePlex TMVSA を定義しています。

  • SERVER ステートメント。別のホストで実行されるバックアップ用 HSC/VTCS サブシステム (ALTSERV) を定義しています。

  • VLE (VLE1) を定義する STORMNGR コマンド。

  • VLE への UUI 通信パスを定義する 2 つ目の SERVER コマンド。ここでは:

    • サーバー名は VLE1 です

    • STORMNGR パラメータの値は VLE1 です

    • IP パラメータの値は、UUI 通信用の VLE ポートの IP アドレス 192.168.1.10 です。

    • PORT パラメータの値は 60000 です。VLE との SMC 通信用の SERVER PORT パラメータでは、この値が常に使用されます。

VLE を定義するための VTCS CONFIG デッキの更新

VTCS CONFIG デッキを更新し、VLE および VTSS システムから VLE への接続を定義する必要があります。VTCS は次のように VLE, を制御できます。

  • VTCS 7.0 以降の場合、CONFIG TAPEPLEX 文では、VTCS の実行元であり、例2-2 に示すように、CONFIG TAPEPLEX STORMNGR パラメータに定義された VLE のリストを提供する TapePlex を定義します。

例2-2 VTCS 7.0 CONFIG VLE

TAPEPLEX THISPLEX=TMVSA STORMNGR=VLE1 
VTSS NAME=VTSS1 LOW=70 HIGH=80 MAXMIG=8 MINMIG=4 RETAIN=5
RTDPATH NAME=VL1RTD1 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD2 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD3 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD4 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD5 STORMNGR=VLE1 IPIF=1A:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD6 STORMNGR=VLE1 IPIF=1A:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD7 STORMNGR=VLE1 IPIF=1I:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD8 STORMNGR=VLE1 IPIF=1I:1 
VTD LOW=6900 HIGH=69FF

例2-2 では、次に注意してください。

  • CONFIG TAPEPLEX 文。これは VTCS の実行元の TapePlex として TMVSA と、接続されているすべての VLE の名前 (この例では VLE1 という単一の VLE) を定義します。

  • CONFIG RTDPATH ステートメント。これは VTSS から VLE へのパスごとに単一の VLE RTD を定義します。この例では、VTSS1CONFIG RTDPATH ステートメントは次を指定しています。

    • RTDPATH の名前。

    • 定義された VLE (STORMNGR=VLE1) への接続。

    • ci:p 形式での VTSS と VLE ポート間の各接続の IPIF 値。ここでは:

      • c は 0 または 1 です。

      • i は A または I です。

      • P は 0 - 3 です。

      注:

      VSM 5 の場合、この値は VSM 5 の「IFF Configuration Status」画面で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません
  • VTCS 7.1 以降のシステムでは当然、VTCS 7.0 と同様に VLE 1.5.1 を制御できます。ただし、このモードでは VLE RTD ターゲットの数は、VTSS からのパスの数によって制限されます。さらに、VLE RTD は固定の VTSS パスに割り当てられます。VTSS から VLE へのパスは、VTSS と VLE 間でデータ転送が行われているかどうかに関係なく、VTCS によって常に予約されています。

    ただし、VTCS 7.1 以降では、VTSS から VLE に存在するパスより多くの VLE RTD ターゲットを持つ VLE を定義できます。これは次を意味します。

    • VTSS から VLE へのパスは、VTSS と VLE 間のデータ転送が必要でないかぎり、予約されません

    • 多くの VLE RTD 操作を同時に行うことができます。たとえば、VMVC の監査では、VTSS と VLE 間のデータ転送は必要ありません

    例2-3 に示すように、VLE は、CONFIG TAPEPLEX STORMNGR パラメータではなくCONFIG STORMNGR ステートメントによって定義されます。CONFIG STORMNGR 文は VTCS の接続先の VLE を指定します。さらに、VLE ごとに CONFIG STORMNGR VLEDEV パラメータで、VLE がエミュレートする RTD デバイスの数と名前を定義します。デバイス数を多く定義する (VLE あたり最大 96 デバイス) ほど、VTCS が VLE にスケジュールできる同時アクティビティーのレベルが高くなります。

例2-3 VTCS 7.1 CONFIG VLE

TAPEPLEX THISPLEX=TMVSC 
STORMNGR NAME=VLE1 VLEDEV(S000-S05F) 
STORMNGR NAME=VLE2 VLEDEV(S000-S05F) 
VTSS NAME=VTSS1 LOW=70 HIGH=80 MAXMIG=8 MINMIG=4 RETAIN=5
RTDPATH NAME=VL1RTD1 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD2 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD3 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD4 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD5 STORMNGR=VLE2 IPIF=1A:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD6 STORMNGR=VLE2 IPIF=1A:1 
RTDPATH NAME=VL1RTD7 STORMNGR=VLE2 IPIF=1I:0 
RTDPATH NAME=VL1RTD8 STORMNGR=VLE2 IPIF=1I:1 
VTD LOW=6900 HIGH=69FF

例2-3 では、次に注意してください。

  • CONFIG TAPEPLEX ステートメントは単に、VTCS の実行元である TapePlex として TMVSC を定義するようになりました。接続されている VLE を定義しません

  • CONFIG STORMNGR 文。このシステムに構成されている VLE (VLE1VLE2) を定義します。VLE デバイスの数は、VLEDEV パラメータによって指定します。

    この例では、各 VLE に最大 96 のエミュレートされたデバイスがあり、これにより、VTCS は VLE ごとに最大 96 個のプロセスをスケジュールできます。VLE デバイスアドレスの形式は Sxxx (xxx は 16 進値) です。

    例: S000-S05F は 96 個のエミュレータされたデバイスを表します。

  • VTSS1 用の CONFIG RTDPATH ステートメント。次のことを指定しています。

    • RTDPATH の名前

    • 定義された VLE への接続 (STORMNGR=VLE1、STORMNGR=VLE2)

    • ci:p 形式での VTSS と VLE ポート間の各接続の IPIF 値。ここでは:

      • c は 0 または 1 です

      • i は A または I です

      • P は 0 - 3 です

      注:

      VSM 5 の場合、この値は VSM 5 の「IFF Configuration Status」画面で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS, で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません

VMVC の再生ポリシーの指定

VLE の MVC メディア (VMVC) では断片化が発生するため、実際の MVC とまったく同様に再生する必要があります。ただし、VMVC の再生処理では、標準の再生に比べてずっと少ないリソースしか使用されません。VMVC の再生しきい値は、CONFIG RECLAIM VLTHRES パラメータ経由で指定します。VLTHRES に小さい値を設定するほど、VTCS が VMVC に対して再生を実行する頻度が多くなり、それによって VMVS の実効容量が増えます (断片化が少なくなる)。

VLE の VMVC を MVS ホストソフトウェアに定義し、VMVC を MVC プールに含める

VMVC volser は、MVS ホストソフトウェアと VLE の両方に定義する必要があります。VLE への VMVC の定義は、VLE 構成の一部として行います。次の各セクションでは、VMVC を MVS ホストソフトウェアに定義する方法について説明します。

VMVC ボリュームプールの作成 (7.0 以降)

  1. VMVC プールを定義する HSC POOLPARM または VOLPARM 文をコーディングします。

    たとえば、VLE1 と VLE2 に 2 つの別のプールを定義するには:

    POOLPARM NAME(LEPOOL1)TYPE(MVC)
    VOLPARM VOLSER(VL0000-VL880)
    
    POOLPARM NAME(LEPOOL2)TYPE(MVC)
    VOLPARM VOLSER(VL2000-VL2880) 
    
  2. SET VOLPARM を実行して、POOLPARM または VOLPARM 文を検証します。

    SET VOLPARM APPLY(NO)
    

    APPLY(NO) は、ステートメントをロードせずに検証します。結果が適切であれば、次のステップに進みます。それ以外の場合は、ボリューム定義を修正してこのステップを再実行し、定義が有効になった場合は次のステップに進みます。

  3. SET VOLPARM を実行して、POOLPARM または VOLPARM 文をロードします。

    SET VOLPARM APPLY(YES)
    

MVS ホストソフトウェアのポリシーの更新

次の各セクションでは、VLE システムにデータが送信されるように MVS ホストソフトウェアのポリシーを更新する方法について説明します。

VLE 用のストレージクラスとマネージメントクラスの作成

マネージメントクラスは、VTCS が VTV を管理する方法を指定します。HSC MGMTclas 制御文はマネージメントクラスとその属性を定義します。たとえば、MGMTclas ステートメントの DELSCR パラメータで、VTSS からスクラッチされた VTV を VTCS が削除するかどうかを指定します。さらにマネージメントクラスは、移行された VTV の格納場所を指定するストレージクラスを指すこともできます。HSC STORclas 制御文はストレージクラスとその属性を定義します。STORCLAS STORMNGR キーワードによって、VLE システムを移行された VTV の格納先として指定します。次に例を示します。

STOR NAME(VLOCAL) STORMNGR(VLESERV1) DEDUP(YES)
STOR NAME(VREMOTE) STORMNGR(VLESERV2)DEDUP(YES) 

上のステートメントは、VLE1 上に「ローカル」のストレージクラス (VLOCAL) を、VLE2 上に「リモート」のストレージクラス (VREMOTE) を定義しています。これらの STORCLAS ステートメントが指定しているように、ストレージクラス VLOCLAL または VREMOTE への移行はすべて、指定された VLE に転送される必要があります。複製解除は、両方のストレージクラスに指定されます。

必要であれば、これより制限を緩めることもできます。たとえば、VMVC と MVC の両方を含む MVCPOOL を定義すれば、VLE への移行を行うように移行ポリシーを設定できます。ただし、VLE がいっぱいになるか、使用できなくなった場合は、そのまま続けて実際のテープメディア (MVC) への移行を行います。たとえば、MVC プール DR を次のように定義します。

POOLPARM NAME(DR)TYPE(MVC)
VOLPARM VOLSER(VL0000-VL0100)
VOLPARM VOLSER(ACS000-ACS099)

したがって、プール DR には、MVC と VMVC の両方が含まれています。プール DR を指定するストレージクラスは、まず VMVC への移行を行い、VMVC が使用不可能な場合にのみ MVC を使用します。

例:

STOR NAME(DRCLASS) MVCPOOL(DR)DEDUP(YES)

この方法は、ACS と VLE の両方が VTSS システムに接続された構成を使用する場合に役立ちます。

次に、VLE への移行を指定するには、定義した VLE ストレージクラスを MGMTCLAS MIGPOL パラメータ経由で指定します。次に例を示します。

MGMT NAME(M1) MIGPOL(VLOCAL,VREMOTE)
MGMT NAME(M2) MIGPOL(DRCLASS)

マネージメントクラス M1 は、VTV コピーの 1 つを「リモート」の VLE に、もう 1 つのコピーを「ローカル」の VLE に移行します。マネージメントクラス M2 は、単一の VTV コピーを、MVC と VMVC の両方を含む「混在」MVC プールを指しているストレージクラスに移行します。

注:

VLE への移行を指示することに加え、次の点も考慮してください。
  1. ELS 7.0 以降で実行している場合は、HSC MIGRSEL および MIGRVTV を使って VLE への移行を微調整できます。これらのステートメントを使用すると、あるマネージメントクラスでのデータの移行を、あるストレージクラスで開始したあとに別のストレージクラスで開始できます。この方法は通常、クリティカルな DR コピーができるだけ先に行われることを保証するために使用されます。詳細については、『HSC および VTCS の構成』を参照してください。

  2. VLE 1.1 以降のシステムで複数の VLE が相互に、および VTSS に接続されている場合、デフォルトで VTCS は VLE と VLE 間の接続を優先して複数の VTV コピーを作成します。この動作は、「VLE と VLE 間のコピーの制御」の説明に従って制御できます。

VLE と VLE 間のコピーの制御

VLE と VLE との接続で、VTV のコピーが VTSS と一方の VLE の両方に存在し、それを接続された VLE に移行する場合、デフォルトで VLE と VLE との接続が使用されます。たとえば、ローカル VLE (LOCVLE) とリモート VLE (REMVLE) が VTSSA に接続された DR のシナリオなどです。2 つの VTV コピーを移行したいと考えます。

  • 最初に、VTSSA から LOCVLE にローカルコピーします。

  • 2 番目に、VLE と VLE 間のコピーを使用して LOCVLE から REMVLE にコピーします。このとき、VLE と VLE 間のレプリケーションを使用します (VTSS と VLE 間の移行に対比して)。

目的のとおりに VTV コピーを行うには、次を実行します。

  1. VTV コピーを LOCVLE に送信する STORCLAS 文を作成します。

    STORCLAS NAME(FORLOCAL) STORMNGR(LOCVLE)
    
  2. VTV コピーを REMVLE に送信する STORCLAS 文を作成します。

    STORCLAS NAME(FORREMOT) STORMNGR(REMVLE)
    
  3. ストレージクラス FORREMOT への移行の前にストレージクラス FORLOCAL への移行を行うよう指定する MGRVTV 文を作成します。

    MIGRVTV STOR(FORLOCAL) INITIAL
    MIGRVTV STOR(FORLOCAL) SUBSEQNT(360)
    

    最後に、2 つの VTV コピー (ローカルサイトへのコピーとリモートサイトへのコピー) を指定する MGMTCLAS 文を作成します。

    MGMTCLAS NAME(DRVLE) MIGPOL(FORLOCAL,FORREMOT)
    

VLE へのデータのルーティング

VLE にデータをルーティングするには、まず VLE マネージメントクラスを指定した SMC POLICY コマンドを作成します。次に、目的のワークロードを SMC VLE ポリシーにルーティングする SMC TAPEREQ 文を作成します。次に例を示します。

POLICY NAME(VLEDR) MEDIA(VIRTUAL) MGMT(DRVLE)

TAPEREQ DSN(HR.**) POLICY(VLEDR)

上の例では、HR を HLQ として持つすべてのテープデータセットに VLEDR ポリシーを割り当てています。