プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Database Appliance管理およびリファレンス・ガイド
リリース12.1.2.3.0 for Linux x86-64
E64883-01
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

5 Oracle Database Applianceの検証およびトラブルシューティング

この章には、変更の検証方法およびOracle Database Applianceの問題のトラブルシューティング方法に関する情報が記載されています。次の各項では、これらのタスクの一方または両方を実行する様々なツールについて説明します。

Oracle Database Applianceの診断および検証ツール

Oracle Appliance Managerの診断および検証ツールは、Oracle Appliance Managerのoakcli validateコマンドで管理します。このツールは、サポートの問題を解決するための診断および検証機能を提供します。Oracle Database Applianceに問題が発生した場合、oakcli validateコマンドを使用して、環境が適切に構成されていること、およびベスト・プラクティスが有効であることを確認します。サービス・リクエストを行う場合も、この章で説明している手順に従ってOracle Appliance Managerを使用し、Oracleサポート・サービスに送信するためのログ・ファイルを用意します。


注意:

Oracle Appliance Managerの診断および検証ツールは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアでは使用できません。

Oracle Database Applianceの検証ツールの概要

コマンドoakcli validateを使用して、Oracle Database Applianceのステータスを検証します。oakcli validateコマンドはrootユーザーとして実行する必要があります。

コマンドは次の構文を使用します。checklistは1回のチェックまたはカンマ区切りリストのチェック、output_file_nameは検証出力ファイルに指定する名前です。

oakcli validate -h 
oakcli validate [-V | -l | -h]
oakcli validate [-v] [-f output_file] [-a | -d | -c checklist] [-v patch_version]

検証ツール・オプションおよびシステム・チェックのサマリーは、次の2つの表を参照してください。

表5-1 Oracle Database Applianceの検証ツール・オプション

オプション 目的

-a

DiskCalibrationなど、すべてのシステム・チェックを実行します。このコマンドを使用して、デプロイメントの前にシステムの準備状況を検証することをお薦めします。DiskCalibrationシステム・チェックによりパフォーマンスの低下が発生する可能性があるため、ビジー状態の本番システム上で、このオプションを使用してoakcli validateを実行しないでください。各チェックの詳細は、表5-2を参照してください。

-c checklist

カンマ区切りリストのchecklistで指定した項目の検証チェックを実行します。このパラメータを使用して、1つの項目または項目のサブセットのいずれかをチェックします。

-d

デフォルトのチェックのみを実行します。デフォルトのチェックは、NetworkComponentsOSDiskStorageSharedStorageDiskCalibrationおよびSystemComponentsです。各チェックの詳細は、表5-2を参照してください。

-f output_file

画面(stdout)にではなく、完全修飾ファイル名のファイル、output_fileに出力を送信します。

-h

オンライン・ヘルプを表示します。

-l

チェック可能な項目を説明とともに表示します。

-v

冗長出力を表示します(検証レポートを生成するパラメータとともに使用する必要があります)。

-V

oakValidationのバージョンを表示します。

-ver patch_version

patch_versionで指定したパッチを使用してOracle Database Applianceにパッチを適用できない理由を報告します。


表5-2 Oracle Database Applianceの検証チェック

チェック 目的

asr

Oracle Auto Service Request (Oracle ASR)構成ファイルおよびOracle Integrated Lights Out Manager (Oracle ILOM)センサー・データに基づいて、Oracle ASRコンポーネントを検証します。

DiskCalibration

/opt/oracle/oak/orionを使用したストレージ・ディスクのパフォーマンスのインストール前チェック。

デプロイ済のシステム上でDiskCalibrationコマンドを実行するとパフォーマンスの問題が発生するため、Oracle Database ApplianceにOracleソフトウェアをデプロイした後でこのチェックを実行しないでください。

NetworkComponents

パブリックおよびプライベートのネットワーク・ハードウェア接続を検証します。注意: このオプションは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアで使用できません。

OSDiskStorage

オペレーティング・システム・ディスクおよびファイル・システム情報を検証します。

ospatch

指定したパッチを使用して、システムがアップグレードを正常に完了できることを検証します。

SharedStorage

共有ストレージおよびマルチパス情報を検証します。

StorageTopology

ストレージ・シェルフの接続を検証します。

SystemComponents

Oracle ILOMセンサー・データの読取りに基づいて、システム・コンポーネントを検証します。


Oracle Database Applianceの検証ツール・コマンドの例

次のコマンドを実行すると、すべての検証コマンド・オプションとその説明が表示されます。

# oakcli validate -l

次のコマンドでは、すべてのシステム・チェックを実行します。

# oakcli validate -a

次のコマンドでは、ディスク測定のシステム・チェックを実行します。

# oakcli validate -c DiskCalibration

次のコマンドでは、ハードウェア・システム・コンポーネントおよびOracle Database Applianceネットワーク・コンポーネントを検証するシステム・チェックを実行します。

# oakcli validate -c SystemComponents,NetworkComponents

注意:

NetworkComponentsオプションは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアで使用できません。

oakcli validate -c StorageTopologyコマンドでは、システム・コントローラとストレージ・シェルフ間および、ストレージ拡張シェルフがインストールされている場合は、システム・コントローラとストレージ拡張シェルフ間のケーブル構成のチェックが実行されます。システムのデプロイ後または拡張ストレージ・シェルフの追加後すぐに、このコマンドを実行することをお薦めします。次の例に示す出力は、正常な構成を報告しています。ケーブル構成が正しくない場合は、出力にエラーが表示されます。

# oakcli validate -c storagetopology
 It may take a while. Please wait...
 INFO : ODA Topology Verification
 INFO : Running on Node0
 INFO : Check hardware type
 SUCCESS : Type of hardware found : X4-2
 INFO : Check for Environment(Bare Metal or Virtual Machine)
 SUCCESS : Type of environment found : Virtual Machine(ODA BASE)
 SUCCESS : Number of External LSI SAS controller found : 2
 INFO : Check for Controllers correct PCIe slot address
 SUCCESS : External LSI SAS controller 0 : 00:15.0
 SUCCESS : External LSI SAS controller 1 : 00:16.0
 INFO : Check if JBOD powered on
 SUCCESS : 1JBOD : Powered-on
 INFO : Check for correct number of EBODS(2 or 4)
 SUCCESS : EBOD found : 2
 INFO : Check for External Controller 0
 SUCCESS : Controller connected to correct ebod number
 SUCCESS : Controller port connected to correct ebod port
 SUCCESS : Overall Cable check for controller 0
 INFO : Check for External Controller 1
 SUCCESS : Controller connected to correct ebod number
 SUCCESS : Controller port connected to correct ebod port
 SUCCESS : Overall Cable check for controller 1
 INFO : Check for overall status of cable validation on Node0
 SUCCESS : Overall Cable Validation on Node0
 INFO : Check Node Identification status
 SUCCESS : Node Identification
 SUCCESS : Node name based on cable configuration found : NODE0
 INFO : Check JBOD Nickname
 SUCCESS : JBOD Nickname set correctly : Oracle Database Appliance - E0
 INFO : The details for Storage Topology Validation can also be found in log file=/opt/oracle/oak/log/<hostname>/storagetopology/StorageTopology-2014-07-03-08:57:31_7661_15914.log

Oracle Database Applianceの構成エラー・メッセージ

Oracle Database Applianceの構成中にエラーが発生した場合、次のメッセージおよび処置を確認してください。

Error Encountered in Step 11 Validation VIP appears to be up on the network
原因: このメッセージが表示される可能性が高いのは、前のデプロイをクリーンアップせずにエンドユーザー・バンドルを再デプロイしようとする場合です。このエラーが発生するのは、Oracle Database Applianceに割り当てられたアドレスに既存のVIPが構成されていることが原因です。
処置: ノード0でcleanupDeploy.plを実行してから、Oracle Appliance Managerを再起動します。
Error CRS-4402: The CSS daemon was started in exclusive mode but found an active CSS daemon on node oda2-1, number 1, and is terminating
原因: このエラーが発生するのは、Oracle Grid Infrastructure CSSデーモンがノードをスタンドアロン・クラスタ・ノードとして開始しようとしたが、起動時に他のクラスタ・ノードが実行されていることを検出し、クラスタに結合するためにクラスタ・モードに変更しようとした場合です。
処置: このエラーは無視してください。
インストールにはハード・ドライブのパーティション化が必要です。
原因: このメッセージは、2つのオペレーティング・システム・ディスクのうち1つがインストールされていないが、オペレーティング・システムを再イメージしようとしている場合に、ノード上で発生します。
処置: 両方のオペレーティング・システム・ディスクがインストールされ、使用可能であることを確認します。
マシン・チェック例外 ...これはソフトウェアの問題ではありません。
原因: ハードウェア・システム・エラーがあります。
処置: Oracle ILOMリモート・コンソールにログインし、ハードウェア・エラーを特定します。
ボリューム・コントロールのGStreamerプラグインおよび/またはデバイスが見つかりません。
原因: Oracle ILOMリモート・リダイレクション・コンソールのサウンド・カードに必要なオペレーティング・システムのプラグインがインストールされていません。
処置: このメッセージは無視してください。コンソールのボリューム・コントロールは必要ありません。
再起動して適切なブート・デバイスを選択するか、選択したブート・デバイスにブート・メディアを挿入してキーを押してください。
原因: 1つまたは両方のオペレーティング・システム・ディスクが使用できません。このメッセージは、システムの再イメージ中に「デフォルトのハード・ディスク」を選択したが、そのディスクが使用できない場合に発生します。
処置: 両方のオペレーティング・システム・ディスクがインストールされ、使用可能であることを確認します。
そのディレクトリのAoDB Linuxインストール・ツリーは、ご使用のブート・メディアに一致していない可能性があります。
原因: このメッセージは、両方のオペレーティング・ディスクがインストールされ、オペレーティング・システム・ディスクを再イメージするよう選択した場合に、ノード上で発生します。「デフォルト(BIOS設定を使用)」をイメージ化オプションに選択しているが、1つまたは両方のディスクが使用できない場合に発生します。
処置: 両方のオペレーティング・システム・ディスクが使用可能であることを確認します。
ERROR: Gateway IP is not pingable
原因: Windowsプラットフォームでは、Oracle Appliance Managerコンフィギュレータはポート7でエコー・サービスを使用してゲートウェイに接続します。エコー・サービスが無効である場合、おそらくセキュリティ上の理由により、pingが失敗します。
処置: ネイティブ・プラットフォームのpingコマンドを実行します。pingが成功した場合、コンフィギュレータの検証出力は無視できます。
ACFS Resources Failed to Start After Applying 2.2 Infra Patch
原因: Oracle Database Applianceオペレーティング・システムのアップグレードには、Oracle Enterprise LinuxのOracle Unbreakable Enterprise Kernel (Oracle UEK)へのアップグレードが含まれます。Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (ACFS)はOracle Linuxのすべてのバージョンでサポートされているわけではないため、オペレーティング・システムのアップグレードが成功すると、Oracle ACFSが事実上無効になる可能性があります。

Oracle Database Appliance 2.2へのアップグレードには、—infra—giおよび—databaseという3つのオプションがあります。—infraオプションには、Oracle Enterprise LinuxからOracle UEKへのアップグレードが含まれます。—infraで2.2にアップグレードする前、オペレーティング・システムは11.2.0.2.x Grid Infrastructureを備えたOracle Enterprise Linuxです。—infraでのアップグレード後、オペレーティング・システムは、Oracle UEK、およびOracle UEKと互換性のない11.2.0.2.x ACFSです。

たとえば、Oracle Linux 2.6.32-300.11.1.el5uekにアップグレードすると、reco.acfsvol.acfsおよびora.registry.acfsが一時的にOFFLINE状態になります。これは、2.6.32-300.11.1.el5uekがOracle 11.2.0.2.x ACFSをサポートしていないためです。ただし、Oracle Grid Infrastructureを11.2.0.3.2にアップグレードすると、これらのコンポーネントは再度オンラインになります。

処置: —giオプションを使用してOracle Database Appliance 2.2にアップグレードします。このバージョンのソフトウェアには、Oracle UEKと連携して動作するOracle ACFSモジュールが含まれるOracle Grid Infrastructure 11.2.0.3.2が含まれます。

詳細は、My Oracle Supportのノート1369107.1を参照してください。

https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1369107.1

Oracleサポート・サービス用のログ・ファイルの用意

Oracleサポート・サービスのサポートが必要なシステム・フォルトが発生すると、ログ・レコードの提出が必要になる場合があります。oakcli manageコマンドを実行して、ログ・ファイル情報を収集します。このコマンドでは、Oracle Database Applianceに格納された複数のログ・ファイルの情報を、Oracleサポート・サービスが使用する単一のログ・ファイルに統合します。ファイルの場所は、コマンド出力で指定されます。

その他のトラブルシューティング・ツールおよびコマンド

この項では、Oracle Database Applianceの問題の診断およびトラブルシューティングに使用するその他のツールおよびコマンドについて説明します(一部はOracle Database Appliance固有、それ以外のツールはすべてのクラスタ・システムに対応)。この項では、次のリソースについて説明します。

構成監査およびディスク診断用のOracle Appliance Managerツール

Oracle Appliance Managerでは、様々な高性能の監視ツールやレポート作成ツールにアクセスできますが、これらのツールには、独自の構文およびコマンド・セットを必要とするスタンドアロン・ツールから派生したものがあります。次のリストでは、ORAchkコマンドおよびディスク診断ツールを簡単に説明します。

  • ORAchk

    ORAchk構成監査ツールは、次のようなカテゴリでOracle RAC 2ノード・デプロイ用の重要な構成設定を監査します。

    • オペレーティング・システムのカーネル・パラメータ、パッケージなど

    • RDBMDS

    • データベース・パラメータおよびその他のデータベース構成設定

    • CRS/Grid Infrastructure

    • ASM

    ORAchkは、システム対応であり、ベスト・プラクティス(たとえば、Oracle Appliance Managerでの実行時にOracle Database Applianceに固有のベスト・プラクティス)があるかを確認します。Oracle Database ApplianceでORAchkを検索するには、oakcli orachk -hコマンドを使用します。ORAchkの詳細は、https://support.oracle.com/epmos/faces/DocContentDisplay?id=1268927.2を参照してください。

  • ディスク診断ツール

    ディスク診断ツールを使用すると、ディスクの問題の原因を特定するのに役立ちます。このツールにより、ノードごとに14のディスク・チェックのリストが生成されます。ツールを実行するには、次のコマンドを入力します。

    # oakcli stordiag eshelf_pd_unit
    

トレース・ファイル・アナライザ・コレクタ

トレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタを使用すると、Oracle Clusterware/Grid InfrastructureおよびOracle RACシステムでの診断データ収集が簡単になります。TFAの動作は、Oracle Clusterwareに同梱されているionユーティリティと似ています。どちらのツールも診断データを収集し、パッケージ化します。しかし、TFAは診断情報の収集を一元管理して自動化しているため、ionに比べてずっと強力です。

TFAには、次の主なメリットとオプションがあります。

  • 単一ノードから実行される単一コマンドへの、すべてのクラスタ・ノード上のすべてのCRS/GIおよびOracle RACコンポーネントに関する診断データ収集のカプセル化

  • データ・アップロード・サイズを削減するためにデータ収集時に診断ファイルを削減するオプション

  • 一定期間および特定の製品コンポーネント(ASM、RDBMS、Clusterware)に対する診断データ収集を分離するオプション

  • Oracle Database Appliance内の単一ノードに対する収集された診断出力の一元管理(必要な場合)

  • すべてのログ・ファイルおよびトレース・ファイルでの問題を示す状態のオンデマンド・スキャン

  • 問題を示す状態に関するリアルタイム・スキャン・アラート・ログ(DBアラート・ログ、ASMアラート・ログ、Clusterwareアラート・ログなど)


関連項目:

My Oracle Supportノート『TFAコントローラ - 拡張された診断収集用ツール』(https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1513912.1)

Oracle Database Applianceハードウェア監視ツール

Oracle Appliance Managerのshowコマンドによって実装されるOracle Database Applianceハードウェア監視ツールでは、Oracle Database Applianceサーバー・ノードの様々なハードウェア・コンポーネントのステータスが表示されます。ベア・メタル・システムおよび仮想化システムで、このツールを使用します。

oakcli show -hコマンドの出力で、監視対象のコンポーネントの一覧を参照してください。


関連項目:

oakcli showなど、すべてのOracle Appliance Managerのコマンドの詳細は、第4章を参照してください。

oakcli show power

NAME            HEALTH HEALTH DETAILS PART_NO. SERIAL_NO.          LOCATION 
INPUT POWER OUTPUT POWER INLET TEMP      EXHAUST TEMP

Power Supply_0  OK     -              7047410   476856F+1242CE0020 PS0    
Present     88 watts     31.250 degree C 34.188 degree C
Power Supply_1  OK     -              7047410   476856F+1242CE004J PS1     
Present     66 watts     31.250 degree C 34.188 degree C

注意:

Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのODA_BASEの初回起動時、Oracle Database Appliance Serverハードウェア監視ツールは有効になっており、基本的な統計を約5分間収集します。その際に、「Gathering Statistics…」というメッセージが表示されます。

Oracle Database Applianceハードウェア監視ツールでレポートされた情報は、コマンドを実行したノードのみを対象としています。出力の詳細は、表示するように選択したコンポーネントによって異なります。次の例は、現行ノードにおける電源装置サブシステムの出力を表示しています。