この章には、変更の検証方法およびOracle Database Applianceの問題のトラブルシューティング方法に関する情報が記載されています。次の各項では、これらのタスクの一方または両方を実行する様々なツールについて説明します。
Oracle Appliance Managerの診断および検証ツールは、Oracle Appliance Managerのoakcli validate
コマンドで管理します。このツールは、サポートの問題を解決するための診断および検証機能を提供します。Oracle Database Applianceに問題が発生した場合、oakcli validate
コマンドを使用して、環境が適切に構成されていること、およびベスト・プラクティスが有効であることを確認します。サービス・リクエストを行う場合も、この章で説明している手順に従ってOracle Appliance Managerを使用し、Oracleサポート・サービスに送信するためのログ・ファイルを用意します。
注意: Oracle Appliance Managerの診断および検証ツールは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアでは使用できません。 |
コマンドoakcli validate
を使用して、Oracle Database Applianceのステータスを検証します。oakcli validate
コマンドはroot
ユーザーとして実行する必要があります。
コマンドは次の構文を使用します。checklist
は1回のチェックまたはカンマ区切りリストのチェック、output_file_name
は検証出力ファイルに指定する名前です。
oakcli validate -h oakcli validate [-V | -l | -h] oakcli validate [-v] [-f output_file] [-a | -d | -c checklist] [-v patch_version]
検証ツール・オプションおよびシステム・チェックのサマリーは、次の2つの表を参照してください。
表5-1 Oracle Database Applianceの検証ツール・オプション
オプション | 目的 |
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カンマ区切りリストの |
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デフォルトのチェックのみを実行します。デフォルトのチェックは、 |
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画面( |
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オンライン・ヘルプを表示します。 |
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チェック可能な項目を説明とともに表示します。 |
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冗長出力を表示します(検証レポートを生成するパラメータとともに使用する必要があります)。 |
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oakValidationのバージョンを表示します。 |
-ver |
patch_versionで指定したパッチを使用してOracle Database Applianceにパッチを適用できない理由を報告します。 |
表5-2 Oracle Database Applianceの検証チェック
チェック | 目的 |
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Oracle Auto Service Request (Oracle ASR)構成ファイルおよびOracle Integrated Lights Out Manager (Oracle ILOM)センサー・データに基づいて、Oracle ASRコンポーネントを検証します。 |
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デプロイ済のシステム上で |
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パブリックおよびプライベートのネットワーク・ハードウェア接続を検証します。注意: このオプションは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアで使用できません。 |
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オペレーティング・システム・ディスクおよびファイル・システム情報を検証します。 |
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指定したパッチを使用して、システムがアップグレードを正常に完了できることを検証します。 |
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共有ストレージおよびマルチパス情報を検証します。 |
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ストレージ・シェルフの接続を検証します。 |
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Oracle ILOMセンサー・データの読取りに基づいて、システム・コンポーネントを検証します。 |
次のコマンドを実行すると、すべての検証コマンド・オプションとその説明が表示されます。
# oakcli validate -l
次のコマンドでは、すべてのシステム・チェックを実行します。
# oakcli validate -a
次のコマンドでは、ディスク測定のシステム・チェックを実行します。
# oakcli validate -c DiskCalibration
次のコマンドでは、ハードウェア・システム・コンポーネントおよびOracle Database Applianceネットワーク・コンポーネントを検証するシステム・チェックを実行します。
# oakcli validate -c SystemComponents,NetworkComponents
注意: NetworkComponents オプションは、Oracle Database Appliance X3-2より前のハードウェアで使用できません。 |
oakcli validate -c StorageTopology
コマンドでは、システム・コントローラとストレージ・シェルフ間および、ストレージ拡張シェルフがインストールされている場合は、システム・コントローラとストレージ拡張シェルフ間のケーブル構成のチェックが実行されます。システムのデプロイ後または拡張ストレージ・シェルフの追加後すぐに、このコマンドを実行することをお薦めします。次の例に示す出力は、正常な構成を報告しています。ケーブル構成が正しくない場合は、出力にエラーが表示されます。
# oakcli validate -c storagetopology It may take a while. Please wait... INFO : ODA Topology Verification INFO : Running on Node0 INFO : Check hardware type SUCCESS : Type of hardware found : X4-2 INFO : Check for Environment(Bare Metal or Virtual Machine) SUCCESS : Type of environment found : Virtual Machine(ODA BASE) SUCCESS : Number of External LSI SAS controller found : 2 INFO : Check for Controllers correct PCIe slot address SUCCESS : External LSI SAS controller 0 : 00:15.0 SUCCESS : External LSI SAS controller 1 : 00:16.0 INFO : Check if JBOD powered on SUCCESS : 1JBOD : Powered-on INFO : Check for correct number of EBODS(2 or 4) SUCCESS : EBOD found : 2 INFO : Check for External Controller 0 SUCCESS : Controller connected to correct ebod number SUCCESS : Controller port connected to correct ebod port SUCCESS : Overall Cable check for controller 0 INFO : Check for External Controller 1 SUCCESS : Controller connected to correct ebod number SUCCESS : Controller port connected to correct ebod port SUCCESS : Overall Cable check for controller 1 INFO : Check for overall status of cable validation on Node0 SUCCESS : Overall Cable Validation on Node0 INFO : Check Node Identification status SUCCESS : Node Identification SUCCESS : Node name based on cable configuration found : NODE0 INFO : Check JBOD Nickname SUCCESS : JBOD Nickname set correctly : Oracle Database Appliance - E0 INFO : The details for Storage Topology Validation can also be found in log file=/opt/oracle/oak/log/<hostname>/storagetopology/StorageTopology-2014-07-03-08:57:31_7661_15914.log
Oracle Database Applianceの構成中にエラーが発生した場合、次のメッセージおよび処置を確認してください。
Oracle Database Appliance 2.2へのアップグレードには、—infra
、—gi
および—database
という3つのオプションがあります。—infra
オプションには、Oracle Enterprise LinuxからOracle UEKへのアップグレードが含まれます。—infra
で2.2にアップグレードする前、オペレーティング・システムは11.2.0.2.x Grid Infrastructureを備えたOracle Enterprise Linuxです。—infra
でのアップグレード後、オペレーティング・システムは、Oracle UEK、およびOracle UEKと互換性のない11.2.0.2.x ACFSです。
たとえば、Oracle Linux 2.6.32-300.11.1.el5uekにアップグレードすると、reco.acfsvol.acfs
およびora.registry.acfs
が一時的にOFFLINE状態になります。これは、2.6.32-300.11.1.el5uekがOracle 11.2.0.2.x ACFSをサポートしていないためです。ただし、Oracle Grid Infrastructureを11.2.0.3.2にアップグレードすると、これらのコンポーネントは再度オンラインになります。
—gi
オプションを使用してOracle Database Appliance 2.2にアップグレードします。このバージョンのソフトウェアには、Oracle UEKと連携して動作するOracle ACFSモジュールが含まれるOracle Grid Infrastructure 11.2.0.3.2が含まれます。
詳細は、My Oracle Supportのノート1369107.1を参照してください。
https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1369107.1
Oracleサポート・サービスのサポートが必要なシステム・フォルトが発生すると、ログ・レコードの提出が必要になる場合があります。oakcli manage
コマンドを実行して、ログ・ファイル情報を収集します。このコマンドでは、Oracle Database Applianceに格納された複数のログ・ファイルの情報を、Oracleサポート・サービスが使用する単一のログ・ファイルに統合します。ファイルの場所は、コマンド出力で指定されます。
この項では、Oracle Database Applianceの問題の診断およびトラブルシューティングに使用するその他のツールおよびコマンドについて説明します(一部はOracle Database Appliance固有、それ以外のツールはすべてのクラスタ・システムに対応)。この項では、次のリソースについて説明します。
Oracle Appliance Managerでは、様々な高性能の監視ツールやレポート作成ツールにアクセスできますが、これらのツールには、独自の構文およびコマンド・セットを必要とするスタンドアロン・ツールから派生したものがあります。次のリストでは、ORAchkコマンドおよびディスク診断ツールを簡単に説明します。
ORAchk
ORAchk構成監査ツールは、次のようなカテゴリでOracle RAC 2ノード・デプロイ用の重要な構成設定を監査します。
ORAchkは、システム対応であり、ベスト・プラクティス(たとえば、Oracle Appliance Managerでの実行時にOracle Database Applianceに固有のベスト・プラクティス)があるかを確認します。Oracle Database ApplianceでORAchkを検索するには、oakcli orachk -h
コマンドを使用します。ORAchkの詳細は、https://support.oracle.com/epmos/faces/DocContentDisplay?id=1268927.2
を参照してください。
ディスク診断ツールを使用すると、ディスクの問題の原因を特定するのに役立ちます。このツールにより、ノードごとに14のディスク・チェックのリストが生成されます。ツールを実行するには、次のコマンドを入力します。
# oakcli stordiag eshelf
_pd_
unit
トレース・ファイル・アナライザ(TFA)コレクタを使用すると、Oracle Clusterware/Grid InfrastructureおよびOracle RACシステムでの診断データ収集が簡単になります。TFAの動作は、Oracle Clusterwareに同梱されているionユーティリティと似ています。どちらのツールも診断データを収集し、パッケージ化します。しかし、TFAは診断情報の収集を一元管理して自動化しているため、ionに比べてずっと強力です。
TFAには、次の主なメリットとオプションがあります。
単一ノードから実行される単一コマンドへの、すべてのクラスタ・ノード上のすべてのCRS/GIおよびOracle RACコンポーネントに関する診断データ収集のカプセル化
データ・アップロード・サイズを削減するためにデータ収集時に診断ファイルを削減するオプション
一定期間および特定の製品コンポーネント(ASM、RDBMS、Clusterware)に対する診断データ収集を分離するオプション
Oracle Database Appliance内の単一ノードに対する収集された診断出力の一元管理(必要な場合)
すべてのログ・ファイルおよびトレース・ファイルでの問題を示す状態のオンデマンド・スキャン
問題を示す状態に関するリアルタイム・スキャン・アラート・ログ(DBアラート・ログ、ASMアラート・ログ、Clusterwareアラート・ログなど)
関連項目: My Oracle Supportノート『TFAコントローラ - 拡張された診断収集用ツール』(https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1513912.1 ) |
Oracle Appliance Managerのshow
コマンドによって実装されるOracle Database Applianceハードウェア監視ツールでは、Oracle Database Applianceサーバー・ノードの様々なハードウェア・コンポーネントのステータスが表示されます。ベア・メタル・システムおよび仮想化システムで、このツールを使用します。
oakcli show -h
コマンドの出力で、監視対象のコンポーネントの一覧を参照してください。
oakcli show power NAME HEALTH HEALTH DETAILS PART_NO. SERIAL_NO. LOCATION INPUT POWER OUTPUT POWER INLET TEMP EXHAUST TEMP Power Supply_0 OK - 7047410 476856F+1242CE0020 PS0 Present 88 watts 31.250 degree C 34.188 degree C Power Supply_1 OK - 7047410 476856F+1242CE004J PS1 Present 66 watts 31.250 degree C 34.188 degree C
注意: Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのODA_BASEの初回起動時、Oracle Database Appliance Serverハードウェア監視ツールは有効になっており、基本的な統計を約5分間収集します。その際に、「Gathering Statistics…」というメッセージが表示されます。 |
Oracle Database Applianceハードウェア監視ツールでレポートされた情報は、コマンドを実行したノードのみを対象としています。出力の詳細は、表示するように選択したコンポーネントによって異なります。次の例は、現行ノードにおける電源装置サブシステムの出力を表示しています。