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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementアップグレード・ガイド
11gリリース2 (11.1.2.3.0)
E69899-05
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10 Oracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2.x.x)環境のアップグレード

この章では、手動アップグレード手順を使用して、Oracle WebLogic Server上のOracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2.2.0)、11gリリース2 (11.1.2.1.0)および11gリリース2 (11.1.2)環境をOracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2.3.0)にアップグレードする方法を説明します。


注意:

既存のOracle Identity and Access Management環境がライフ・サイクル管理(LCM)ツールを使用してデプロイされた場合は、自動アップグレード手順を使用してOracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2.3.0)にアップグレードする必要があります。

自動アップグレード手順、サポートされる開始ポイントおよびトポロジの詳細は、第2章「Oracle Identity and Access Managementの自動アップグレードの理解」を参照してください。



注意:

この章では、Oracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2)、11gリリース2 (11.1.2.1.0)および11gリリース2 (11.1.2.2.0)環境を、11.1.2.x.xと呼びます。

この章では、次の項目について説明します。

10.1 Oracle Identity Managerのアップグレード手順

Oracle Identity Manager 11.1.2.x.xを11.1.2.3.0にアップグレードする手順は大まかに次の手順で構成されます。

  1. アップグレード前に必要なタスクの実行: この手順には、システム要件および動作保証の確認、アップグレード前レポートの生成、レポートの分析とレポートに記載の必要なアップグレード前タスクの実行、既存の11.1.2.x.x環境のバックアップなど、アップグレード前に必要なタスクが含まれます。

  2. Oracleホームのアップグレード: この手順には、Oracle WebLogic Serverの10.3.6へのアップグレード、Oracle SOA Suiteの11.1.1.9.0へのアップグレード、Oracle Identity Managerの11.1.2.3.0へのアップグレードなどのタスクが含まれます。

  3. 必要なスキーマの作成および既存のスキーマのアップグレード: この手順には、リポジトリ作成ユーティリティ11.1.2.3.0を使用したOracle BI Publisher (BIP)スキーマの作成やパッチ・セット・アシスタントを使用した既存のスキーマのアップグレードなどのタスクが含まれます。

  4. Oracle Identity Manager中間層のアップグレード: この手順には、Oracle Identity Manager中間層のアップグレードが含まれます。

  5. その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネントのアップグレード: この手順には、Oracle Identity Manager Design ConsoleおよびOracle Identity Manager Remote Mangerの11.1.2.3.0へのアップグレードなどのタスクが含まれます。

  6. アップグレード後に必要なタスクの実行: この手順には、すべてのアップグレード後タスクおよびアップグレードを確認する手順が含まれます。

表10-1に、Oracle Identity Manager 11.1.2.x.xから11.1.2.3.0へのアップグレードの手順を示します。

表10-1 Oracle Identity Manager 11.1.2.x.xを11.1.2.3.0にアップグレードする場合のロードマップ

Sl番号 タスク 詳細の参照先

1

次のアップグレード前タスクを実行します。

  1. Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0の新機能を確認します。

  2. システム要件および動作保証を確認します。

  3. サポートされるJDKバージョンを使用していることを確認します。

  4. アップグレード・プロセスの一環として失われるか上書きされるカスタマイズを確認します。

  5. アップグレード・プロセスを進める前に、アップグレード前レポートを生成し、レポートで提供された情報を分析し、レポートに記載の必要なタスクを実行します。

  6. すべてのサーバーを停止します。これには、ノード・マネージャ、WebLogic管理サーバー、SOA管理対象サーバーおよびOracle Identity Manager管理対象サーバーが含まれます。

  7. 既存のOracle Identity Manager 11.1.2.x.x環境をバックアップします。

「アップグレード前に必要なタスクの実行」を参照

2

次のタスクを実行して、Oracleホームをアップグレードします。

  1. 以前のバージョンを使用している場合は、Oracle WebLogic Serverを10.3.6にアップグレードします。

  2. Oracle SOA Suiteを11gリリース1 (11.1.1.9.0)にアップグレードします。

  3. Oracle Identity Managerバイナリを11.1.2.3.0にアップグレードします。

「Oracleホームのアップグレード」を参照

3

リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してOracle BI Publisher (BIP)スキーマを作成し、パッチ・セット・アシスタント(PSA)を使用して既存のデータベース・スキーマをアップグレードします。

「必要なスキーマの作成および既存のスキーマのアップグレード」を参照してください

4

Oracle Identity Manager中間層をアップグレードします。これは、OIM中間層アップグレード・ユーティリティOIMUpgrade.shまたはOIMUpgrade.batをオフラインおよびオンライン・モードで実行することで行います。

「Oracle Identity Manager中間層のアップグレード」を参照します。

5

その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネント(Oracle Identity Manager Design ConsoleやOracle Identity Manager Remote Managerなど)を11.1.2.3.0にアップグレードします。

「その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネントのアップグレード」を参照してください

6

アップグレード後に必要なタスクを実行します。

「アップグレード後に必要なタスクの実行」を参照してください

7

アップグレードされた環境の検証

「Oracle Identity Managerのアップグレードの確認」を参照してください


10.2 アップグレード前に必要なタスクの実行

この項では、Oracle Identity Manager 11.1.2.x.x環境のアップグレードを開始する前に完了する必要があるアップグレード前のすべての手順について説明します。この項には次のトピックが含まれます:

10.2.1 機能の比較

表10-2に、Oracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2.x.x)およびOracle Identity Manager 11gリリース2 (11.1.2.3.0)の機能の主な違いを示します。

表10-2 機能の比較

Oracle Identity Manager 11.1.2.x.x Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0

Oracle Identity Manager 11.1.2.2.0では、Skyrosスキンを使用します。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0は、ビジネスに使用しやすい(モバイル、クラウド) Altaスキンを使用します。Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0には、新しい「ホーム」ページ、ユーザー・フレンドリな受信ボックスがある新しい「自分のプロファイル」ページがあります。

ほとんどのUIカスタマイズは、11.1.2.3.0のルック・アンド・フィールと一致させるためにアップグレード後に再実行する必要があります。

Oracle Identity Manager 11.1.2では、リクエストおよびアクセス・レビューにおいて意味のあるコンテキスト情報を提供するために、アクセス・カタログが導入されました。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0には、検索可能としてマークされたUDFが自動的に拡張検索フォームの一部となる新しい拡張検索カタログがあります。

検索フォームのカスタマイズも可能です。属性は、カタログ・アイテムの検索に使用できます。カタログには、リソース検索を簡略化するために強化されたページ区切りとカテゴリが含まれます。

Oracle Identity Manager 11.1.2.1.0では、証明が導入され、ワークフローにより、フェーズごとに1レベルのアクセスがサポートされていました。

11.1.2.2.0における証明ワークフローでは、ビジネスにおいてコンプライアンスのためのより堅牢なプロセスを定義でき、これにより、誰が何にアクセスしたかをより頻繁に監視できます。証明レビューはアクセス・リクエスト・ワークフローをミラーリングでき、複数セットのビジネス所有者やIT所有者によってこれらの証明レビューが確認または承認され後、各フェーズで完了したと判断されます。これにより、ユーザー・アクセス権限の可視性は確実に向上し、すべてのレビュー決定が、レポートだけでなく証明中にライブで記録される包括的な監査証跡でも取得されます。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0の認証機能はAlta UIを使用し、インラインSoD違反チェックを提供するように拡張されています。

11.1.2.2.0までは、BI Publisherは独立したスタンドアロン管理対象サーバーでした。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0には埋込みBI Publisherがあるため、すべてのBIレポートはOIMに埋め込まれています。

ビジネス・ユーザーは、OIMセルフ・サービス・コンソールからカスタム・レポートを起動できるようになりました。

Oracle Identity Manager 11.1.2.0.0は、高度なアクセス・レビュー機能を利用するためにOracle Identity Analytics (OIA)と統合する必要がありました。

Oracle Identity Manager 11.1.2.1.0および11.1.2.2.0では、OIAの高度なアクセス確認機能がOIMに一元的にまとめられ、企業が1つの製品からエンタープライズ・グレードのアクセス・リクエスト、プロビジョニングおよびアクセス・レビューを実行できる完全なアイデンティティ・ガバナンス・プラットフォームが提供されます。

OIA機能は現在、Oracle Identity Governance (OIG)に移植されています。顧客はIDAルールに基づいてアイデンティティ監査ポリシーを定義および管理できます。顧客はポリシーの所有者および改善者を定義できます。これは、特定のユーザー、ユーザーのリストまたはOIMロールにすることができます。

顧客は、アクション可能なポリシー違反を作成できる予防スキャンおよび検出スキャン機能を使用できます。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0には、ビジネスに使用しやすいUIを備えた、ビジネスから直接使用できる包括的なロール・ライフサイクル管理およびワークフロー承認機能があります。

ロールの作成および変更を支援する詳細なロール分析も含まれます。

Oracle Identity Manager 11.1.2.2.0までは、ポリシーはOIMプラグインおよびプラグイン・フレームワークを介して実装された事前移入アダプタを使用して実装およびカスタマイズされるため、OOTBポリシーを拡張およびカスタマイズするためにカスタムJavaコードを作成する必要がありました。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0では、実行時に評価される各種ポリシー・タイプを定義および構成できる宣言的ポリシーが導入されています。ポリシーは、Javaプラグインまたは事前移入アダプタを介してカスタマイズするのではなくUI/APIを介して構成されます。

既存の11.1.2.x.x認証機能では、ユーザー・マネージャ、組織マネージャ、カタログ所有者および選択したユーザーに基づく証明者の選択が提供されます。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0では、ロールを使用して証明者を定義できる追加の証明者選択が導入されています。証明者ロールのすべてのメンバーの受信ボックスに証明書が表示されますが、証明書を最初に要求するメンバーがその証明書のプライマリ・レビューアになります。

Oracle Identity Manager 11.1.2.x.xでは、リクエスト・プロファイルの概念が導入されました。リクエストのドラフト作成および保存を行うことができます。リクエストは2レベルの承認プロセスを通過します。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0では、リクエスト・ワークフローに対するいくつかの拡張が含まれます。一時権限付与により、リクエスタはロール、アカウントおよび権限の開始日と終了日(付与期間)を割当て時に指定できます。管理者は、承認ポリシーではなくワークフロー・ポリシー・ルールを作成することで承認を構成できます。ロール・リクエスト(作成、変更、削除など)もサポートされます。11.1.2.3.0では、SOAの有効化はオプションです。

Oracle Identity Manager 11.1.2.2.0までは、即時利用可能な管理ロールのみ使用可能でした。

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0には、様々な管理ロールの作成に役立つファイングレイン認可エンジンが用意されています。たとえば、属性を使用してメンバーシップを定義することで、管理者がホーム組織メンバーのみ管理できるように制限できます。


10.2.2 システム要件および動作保証の確認

アップグレード・プロセスを開始する前に、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様およびOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成ドキュメントを参照して、インストールまたはアップグレードする製品の最小要件をシステムが満たしていることを確認します。詳細は、第24.1.1項「動作保証、システム要件および相互運用性の確認」を参照してください。

10.2.3 動作保証されたJDKバージョンを使用していることの確認

使用しているJava Development Kit (JDK)のバージョンが、Oracle Identity and Access Management 11.1.2.3.0でサポートおよび動作保証されていることを確認します。

Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成のページで動作保証情報を確認して、必要なJDKバージョンを確認できます。

JDKは、Oracle Technology Network (OTN)の「Java SE Development Kit 7 Downloads」ページからダウンロードできます。


注意:

JDKバージョン要件の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementのシステム要件と仕様11gリリース2 (11.1.2)ドキュメントのOracle WebLogic ServerとJDKの考慮事項に関するトピックを参照してください。

10.2.4 アップグレードの一環として失われるか上書きされるカスタマイズの確認

この項では、アップグレード・プロセスの一環として失われるか上書きされるカスタマイズを示します。

次のカスタマイズは、Oracle Identity Managerアップグレード・プロセスの一環として失われるか上書きされます。

  • セッション・タイムアウトの変更のために直接操作されるweb.xmlなどの構成ファイルは、バイナリ・アップグレードの一環として上書きされます。

  • OIMホームに含まれるカスタムJARは、バイナリ・アップグレードの一環として失われます。

  • Oracle Identity Manager Design Console構成設定は、バイナリ・アップグレードの一環として失われます。

  • Oracle Identity Manager Remote Manager構成設定は、バイナリ・アップグレードの一環として失われます。

  • カスタムUIに使用されるUI warファイルoracle.iam.ui.custom-dev-starter-pack.warは、バイナリ・アップグレードの一環として失われます。

  • 電子メール検証パターンに対して行われたカスタマイズは、アップグレード・プロセスの一環として上書きされます。

  • 次のスクリプトは、Oracle Identity Manager中間層のオフライン・アップグレードの一環として変更されます。

    • 起動スクリプト - DOMAIN_HOME/bin/にあるstartWebLogic.shおよびstartManagedWebLogic.sh (UNIXの場合)、DOMAIN_HOME\bin\にあるstartWebLogic.cmdおよびstartManagedWebLogic.cmd (Windowsの場合)

    • ドメイン環境スクリプト - DOMAIN_HOME/bin/にあるsetDomainEnv.sh (UNIXの場合)、DOMAIN_HOME\bin\にあるsetDomainEnv.bat (Windowsの場合)

    • 保護されていないメタデータ・ファイル

      アップグレード後にカスタマイズが保持される保護メタデータ・ファイルのリストは、第24.2.1項「アップグレード後にカスタマイズが保持される保護メタデータ・ファイル」を参照してください。

    これらのスクリプトに対して行われた手動編集は上書きされます。したがって、中間層のオフライン・アップグレード後にこれらに再アクセスする必要があります。

  • SSLが構成された環境では、Oracle Identity Managerバイナリ・アップグレードの一環としてファイルORACLE_HOME\designconsole\config\xl.policyが上書きされます。したがって、xl.policyファイルをカスタマイズした場合は、アップグレード・プロセスを開始する前にこのファイルをバックアップします。

10.2.5 アップグレード前レポートの生成および分析

アップグレード・プロセスを開始する前に、アップグレード前レポート・ユーティリティを実行し、このレポートの一部として示されたすべての問題にレポートで提示されている解決策を使用して対処する必要があります。アップグレード前レポート・ユーティリティでは、既存のOracle Identity Manager 11.1.2.x.x環境を分析し、既存のOracle Identity Manager環境をアップグレードする前に完了する必要がある必須の前提条件についての情報が提供されます。

アップグレード前レポートに含まれる情報には、チャレンジ質問のローカライゼーション、認可機能データのアップグレード、アップグレードの影響を受けるイベント・ハンドラ、必須データベース・コンポーネントや必須データベース設定、削除する必要があるLDAPの循環グループ、アップグレード中に処理された証明レコード、アプリケーション・インスタンス作成時の潜在的な問題などがあります。

アップグレード前レポートの生成および分析の詳細は、第24.2.2項「Oracle Identity Managerのアップグレード前レポートの生成および分析」を参照してください。


注意:

保留中の問題が報告されなくなるまで、このレポートを実行してください。

アップグレード前レポートで報告された問題が修正されていない状態ではアップグレードが失敗する可能性があるため、問題にすべて対処してからアップグレードを進めることが重要です。


10.2.6 ノード・マネージャ、管理サーバーおよび管理対象サーバーの停止

このアップグレード・プロセスには、バイナリおよびスキーマへの変更が含まれます。したがって、アップグレード・プロセスを開始する前に、Oracle Identity Manager管理対象サーバー、SOA管理対象サーバー、WebLogic管理サーバーおよびノード・マネージャを停止する必要があります。

WebLogic管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャの停止の詳細は、第24.1.9項「サーバーの停止」を参照してください。


注意:

高可用性環境をアップグレードする場合は、すべてのホストでサーバーを停止する必要があります。

10.2.7 Oracle Identity Manager 11.1.2.x.x環境のバックアップ

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0にアップグレードする前に、既存のOracle Identity Manager 11.1.2.x.x環境をバックアップする必要があります。

サーバーを停止した後に、次をバックアップします。

  • MW_HOMEディレクトリ(ミドルウェア・ホーム内のOracleホーム・ディレクトリを含む)

  • ドメイン・ホーム・ディレクトリ

  • Oracle Identity Managerスキーマ

  • MDSスキーマ

  • ORASDPMスキーマ

  • SOAINFRAスキーマ

  • OPSSスキーマ

スキーマをバックアップする方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。


注意:

高可用性環境をアップグレードする場合は、すべてのホストのOracleホーム・ディレクトリおよびドメイン・ホーム・ディレクトリをバックアップする必要があります。

10.2.8 OIMマテリアライズド・ビュー作成の無効化

OIMスキーマをアップグレードする前に、マテリアライズド・ビューの'OIM_RECON_CHANGES_BY_RES_MV'ビューを無効化します。このビューは、oim_mview_recon_changes_by_res.sqlスクリプトで作成され、「リソースによるファイングレイン例外」レポートで使用されます。

ビュー作成を無効化する手順は次のとおりです。

  1. Oracle Fusion Middlewareパッチ・セット・アシスタントを停止します。

  2. sequence.propertiesファイルからoim_mview_recon_changes_by_res.sqlへの参照をコメントします。sequence.propertiesファイルはOIM_ORACLE_HOME/server/db/oim/oracle/StoredProcedures/MaterializedViewsにあります。

  3. Oracle Fusion Middlewareパッチ・セット・アシスタントを起動します。

OIMスキーマ・アップグレードの完了後、sequence.propertiesファイルからoim_mview_recon_changes_by_res.sqlへの参照をリストアします。

10.3 Oracleホームのアップグレード

この項では、既存のOracleホームをアップグレードする際に実行するタスクについて説明します。


注意:

アップグレード・プロセスを開始する前に、/security/SerializedSystemIni.datファイルを含むドメインに対する読取りおよび書込み権限があることを確認します。

この項には次のトピックが含まれます:

10.3.1 Oracle WebLogic Serverの10.3.6へのアップグレード

Oracle Identity and Access Management 11.1.2.3.0は、Oracle WebLogic Server 11gリリース1 (10.3.6)で動作保証されています。したがって、既存のOracle Identity Manager環境でOracle WebLogic Server 10.3.5以下のバージョンを使用している場合、Oracle WebLogic Serverを10.3.6にアップグレードする必要があります。


注意:

Oracle WebLogic Server 10.3.6をすでに使用している場合は、必須パッチを適用して、Oracle WebLogic Server 10.3.6の特定の問題を解決してください。

Oracle WebLogic Server 10.3.6に適用する必要がある必須パッチを特定するには、『Oracle Fusion Middleware Infrastructureリリース・ノート』の必須パッチのダウンロードと適用に関する項を参照してください。

リリース・ノートにリストされているパッチはMy Oracle Supportで入手できます。パッチ適用手順は、各パッチに付属するREADME.txtファイルに記載されています。


Oracle WebLogic Serverの10.3.6へのアップグレードの詳細は、第24.1.5項「Oracle WebLogic Serverの11gリリース1 (10.3.6)へのアップグレード」を参照してください。

10.3.2 Oracle SOA Suiteの11.1.1.9.0へのアップグレード

Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0は、Oracle SOA Suite 11.1.1.9.0で動作保証されています。したがって、以前のバージョンのOracle SOA Suiteを使用している場合は、Oracle SOA Suiteを11.1.1.9.0にアップグレードする必要があります。

Oracle SOA Suiteのアップグレードの詳細は、第24.2.3項「Oracle SOA Suiteの11gリリース1 (11.1.1.9.0)へのアップグレード」を参照してください。

10.3.3 Oracle Identity Managerバイナリの11.1.2.3.0へのアップグレード

Oracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2.3.0)インストーラを使用して、Oracle Identity Manager 11.1.2.x.xのバイナリをOracle Identity Manager 11.1.2.3.0にアップグレードする必要があります。この手順の間は、ミドルウェア・ホームを既存の11.1.2.x.xミドルウェア・ホームに向けます。これにより、Oracle Identity Managerバイナリが11.1.2.3.0にアップグレードされます。


注意:

  • Oracle Identity Managerバイナリを11gリリース2 (11.1.2.3.0)にアップグレードする前に、ORACLE_HOMEおよびMW_HOME/oracle_commonでOPatchのバージョンが11.1.0.10.3であることを確認してください。別のバージョンのOPatchでは、パッチ適用が失敗する場合があります。opatchをこれより新しいバージョンにアップグレード済である場合は、バージョン11.1.0.10.3にロール・バックする必要があります。

Oracle Identity Managerバイナリの11.1.2.3.0への更新の詳細は、「Oracle Identity and Access Managementバイナリの11gリリース2 (11.1.2.3.0)への更新」を参照してください。

バイナリのアップグレード後に、次の場所でインストーラのログを確認してください。

  • UNIXの場合: ORACLE_INVENTORY_LOCATION/logs

    UNIX上のOracle Inventoryディレクトリの場所を見つけるには、ORACLE_HOME/oraInst.locファイルを確認します。

  • Windowsの場合: ORACLE_INVENTORY_LOCATION/logs

    Windows上のOracle Inventoryディレクトリのデフォルトの場所は、C:\Program Files\Oracle\Inventory\logsです。

次のインストール・ログ・ファイルがログ・ディレクトリに書き込まれます。

  • installDATE-TIME_STAMP.log

  • installDATE-TIME_STAMP.out

  • installActionsDATE-TIME_STAMP.log

  • installProfileDATE-TIME_STAMP.log

  • oraInstallDATE-TIME_STAMP.err

  • oraInstallDATE-TIME_STAMP.log

10.4 必要なスキーマの作成および既存のスキーマのアップグレード

リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して、新しいOracle BI Publisherスキーマを作成する必要があります。また、パッチ・セット・アシスタント(PSA)を使用して既存のデータベース・スキーマをアップグレードする必要があります。これを行うには、次の手順を実行します:

10.4.1 Oracle BI Publisherスキーマの作成

リポジトリ作成ユーティリティ(RCU) 11.1.2.3.0を使用して、Oracle BI Publisherスキーマ11.1.1.9.0を作成する必要があります。RCUを使用したスキーマの作成の詳細は、第24.1.3項「リポジトリ作成ユーティリティを使用したデータベース・スキーマの作成」を参照してください。


注意:

リポジトリ作成ユーティリティを使用してスキーマを作成する場合は、「コンポーネントの選択」画面の「Oracle Business Intelligence」Business Intelligence Platform (BIPLATFORM)のみ選択します。

他のスキーマは選択しないでください。


10.4.2 既存のスキーマのアップグレード

Oracle Identity Managerのバイナリを11.1.2.3.0に更新した後、パッチ・セット・アシスタント(PSA)を使用して、次のスキーマをアップグレードする必要があります。

  • Oracle Platform Security Services(OPSS)スキーマ

  • Metadata Services (MDS)スキーマ

  • Oracle Identity Manager (OIM)スキーマ

  • ORASDPMスキーマ

  • SOAインフラストラクチャ(SOAINFRA)スキーマ


注意:

Oracle Identity Managerデータベースがポリシーにアクセスする場合は、既存のスキーマをアップグレードする前に、次の手順を実行する必要があります。
  1. テキスト・エディタで、OIM_HOME/server/db/oim/oracle/Upgrade/oim11gR2PS2_2_R2PS3にあるoim_upg_R2PS2_R2PS3_common_policy_engine.sqlファイルを開きます。

  2. 次の行番号280の行

    EXECUTE IMMEDIATE sqlstr USING v_pol_owner(idx);

    を、次のように置き換えます。

    EXECUTE IMMEDIATE sqlstr USING v_pol_owner_type(idx);

  3. 変更したファイルを保存します。


PSA画面でOracle Identity Managerスキーマを選択すると、すべての依存スキーマも自動選択され、アップグレードされます。

パッチ・セット・アシスタントを使用したスキーマのアップグレードの詳細は、「パッチ・セット・アシスタントを使用したスキーマのアップグレード」を参照してください。

スキーマをアップグレードした後、「スキーマのアップグレード後のバージョン番号」の説明に従って、スキーマのバージョン番号をチェックしてアップグレードを確認します。

スキーマのアップグレード後のバージョン番号

OIMスキーマにoim_schema_userとして接続し、次の問合せを実行します。

select version,status,upgraded from schema_version_registry where owner=<SCHEMA_NAME>;

表10-3に示されているように、バージョン番号がアップグレードされていることを確認します。

表10-3 スキーマのアップグレード後のコンポーネント・バージョン番号

コンポーネント バージョン番号

OPSS

11.1.1.9.0

MDS

11.1.1.9.0

OIM

11.1.2.3.0


ORASDPM

11.1.1.9.0

SOAINFRA

11.1.1.9.0


10.5 Oracle Identity Manager中間層のアップグレード

Oracle Identity Manager中間層をアップグレードするには、中間層アップグレード・ユーティリティOIMUpgradeをオフラインおよびオンライン・モードで実行する必要があります。Oracle Identity Manager中間層のアップグレードの詳細は、第24.2.4項「Oracle Identity Manager中間層のアップグレード」を参照してください。

10.6 その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネントのアップグレード

Oracle Identity Manager中間層をアップグレードした後で、その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネント(Oracle Identity Manager Design ConsoleやOracle Identity Manager Remote Managerなど)を11.1.2.3.0にアップグレードする必要があります。

Oracle Identity Manager Design ConsoleおよびOracle Identity Manager Remote Managerのアップグレードの詳細は、第24.2.5項「その他のOracle Identity Managerインストール済コンポーネントのアップグレード」を参照してください。

10.8 Oracle Identity Managerのアップグレードの確認

Oracle Identity Managerのアップグレードを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 次のURLを使用して、Oracle Identity Manager 11.1.2.3.0が実行されていることを確認します。

    http://<oim_host>:<oim_port>/sysadmin

    http://<oim_host>:<oim_port>/identity

    各パラメータの意味は次のとおりです。

    <oim_host>は、Oracle Identity Managerが実行されているホストです。

    <oim_port>は、ポート番号です。

  2. 次のURLを使用して、Oracle BI Publisher 11.1.1.9.0が実行されていることを確認します。

    http://<bip_host>:<bip_port>/xmlpserver

    各パラメータの意味は次のとおりです。

    <bip_host>はOracle BI Publisherが実行されているホストです。

    <bip_port>はポート番号です。アップグレード時に変更されていない場合、BI Publisherのデフォルトのhttpポートは9704です。

  3. Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Identity Managerとその他のOracle Identity ManagementコンポーネントがOracle Fusion Middleware環境で稼働していることを確認できます。


注意:

SOAコンポジットDefautlRequestApprovalおよびDefaultOperationApprovalは、Oracle Identity Manager 11.1.2または11.1.2.1.0からOracle Identity Manager 11.1.2.3.0にアップグレードした後、Oracle Enterprise Managerにおいてバージョン1.03.0で2回使用できます。アップグレード前に生成されたリクエストの処理またはその他すべての機能には、1.0コンポジットが必要です。

10.9 トラブルシューティング

Oracle Identity Managerアップグレード・プロセス中に発生する可能性のある一般的な問題のリストは、第25.1項「Oracle Identity Managerのアップグレードの問題のトラブルシューティング」を参照してください。

アップグレードに関連する既知の問題とその回避策のリストは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementリリース・ノート』のOracle Identity and Access Managementのアップグレードおよび移行の問題に関する項を参照してください。